『落下』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
冷たい風がばちばちと耳に当たって、ありとあらゆる音が掻き消される。ラミネート加工を施された手書きの「きけん」が剥がれて飛ばされ泥まみれになっている。
「なんで、そんなところにいるんですか」
きみの声がした。もう聞けないはずの声がした。
「きみに会いたいからだよ」
涙があふれてくるのに、風がすべてを飛ばしては無かったことにする。変なところに力が入って不細工な、ぼくの顔だけが残る。
「欲張りだなあ」
これ以上何を求めているのかと聞かれている気がしたから、壁打ちとわかっている独り言を続けた。「ぼくは、また君と、話したい。手を繋ぎたい。ハグをしたい。……キスも、まぐわいも、ぜんぶしたい。また、もう一度」
こんなに欲張りになってしまったのは、きみが勝手にいなくなったのが悪いんだ。
ぼくがいるのに、ぼくがいるのに、きみはお構いなしにぼくを置いていったじゃないか。
愛してるって言ってくれたじゃないか。それなのに。
「お前は、もうちょっと、楽に死んでいいと思うけど」
「ぼくが楽に死にたかったら、寿命を全うして死ぬさ。きみと同じところで死ねば、すこしは近づけそうなんだ」
コンクリートから、足音がよく響く鉄へ素材が変わる。雨が降っていたから、いまにも滑ってしまいそうだ。
「また同じ時間に生きようよ」
背中から、重力に身を任せて、真っ逆さまに。
ああ、きみも、この景色を見たんだね。
落下
落下
下に落ちること
地面または水面があるはず
宇宙だとその果てまでいけるかも
上から下に落ちるので
下からは落ちれない
下から上がるには底が必要で
底には何か嫌なものでもあるのかね
下であることを恐れる必要はない
上から下に向かうにしても
それなりの素養が必要で
そうそう底までは辿り着けない
落下って
自身の位置を自覚してないんだろうね
落下したようでいて
実は同じ場所だったりする
これは自分への見せ方の問題で
幻滅したりするかもだけど
自覚しただけである
その場所に上も下もない
そんな場所からの落下の話
正しく現実を直視出来ていれば
多少の気をつけていられれば
落下することはまずない
下降程度で済むはず
落下が出来たなら
あとはその底が
どんな場所か知ることが大切で
そこから上がっていきたいように
上がっていけばいいけど
実際は手遅れではないとしても
こと信用や信頼なら
自分だけの問題じゃないから
手遅れだと言ってさしつかえがない
自分事なら気にしないけど
自分に出来ること
自分でしたいことを
自分勝手にやるだけだから
あとは周りの問題で自分事じゃない
ただそれだけだから
その評価を下すのは事後であり
価値は人それぞれだから
私が価値を見出せてるなら気にはしない
あなたが落ちてくれさえ、するのなら
季節外れな、でも綺麗な花火が地面に咲いた。ひゅーと落ちて、どんっと散った。
私はそれを見下ろしていた。突っ立つ私の周りで微かに蠢いていた澱んだ夜の空気が、花火が散ったのと同時に滑らかに動き出してどこかへ消えていく。これで私は他と同じになって、また健やかに生き始めるだろう。
ふと、腕時計を見る。夜闇に溶けた針を目を凝らして見つけ出すと、もう夜はそれほど残されていないとわかった。私は屋上の縁に立ったまま、欠伸をする。眼下遠くに見える赤が月明かりに照らされて素敵だった。
にわかに風がやってくる。後ろから私の背中を押すみたいにやってくる。落ちるのも嫌なので、私は屋上の縁から離れ、それから服についた皺を手で伸ばした。もうここに用はない。私は鉄でできた重い扉に近づくと、その内側の鍵穴にしっかりと鍵を挿す。少し風が強いのが不安だが、自然に扉が閉じることはまあ、ないだろう。
私は屋上を後にした。
「いいかい。父さんはこれから自由落下をするからね」
そう言い残して、研究者だった△△の父は、飛び降り自殺をした。
△△の両親は早くに離婚していた。仕事がある中で家事をし、その上△△を育てていたのだから、父はどこか追い詰められていたのかもしれない。気がつけば、父の機嫌を損ねて手をあげられることが日常となっていった。
ある日突然、マンションの屋上に連れて行かれて、△△は遂に自分が殺されるのかと怯えたが、そうではなく父が死んだ。
愛や優しさというものを、自分は知らない。施設に入って、たくさんの人に優しくしてもらった。自分は、その人達の真似をして誰かに優しくしたり、共感したりした。だから本気で心から優しい気持ちが溢れだしたことなど、死ぬまで一度もなかった。
愛されてみたかった。そして自分も、心の底から人やものを愛せる人間になって、優しい人だと言われたかったのだ。
見つけられない物は落下しているからなのだろうね。今もまた落ち続けているだろう。まだ見つけられていないのだから。どこで落下し続けているだろう。せめてどこにあるかだけでも知りたかった。
大切なものは残り続け、要らない物は(要らない者)は落ちていく。(堕ちていく)
もしかしたら落下しているものが案外大事な物かもしれない。でも穴はいつか塞がり落下していく物はその中に閉じ込められる。そして無かったことになる。(亡かったことになる。)
可哀想だろう。惨めだろう。哀れだろう。(憐れだろう。)嬉しいだろう。楽しいだろう。(愉しいだろう。)愉悦の笑みを零すだろう。塵が消えれば(得れば)快適だろう。でも戸惑うだろう。私がやったのかもしれないと。(演った。)
私は落下しているだろう。(雨宿り、天野鳥。)
酷く取り乱して叫ぶだろうな。(鳥乱して。)
落下
「重力には逆らえないよ」
少女は諦めたようにそう呟いた。背中に生えたその美しい翼では羽ばたくことができず、せいぜい高いところから落下して滑空することくらいしかできなかった。
「そう思っているから、飛べないんじゃない?」
少女の横でもう一人の少女は羽を広げて飛ぼうとする。
「あたしは、飛べるって信じてる」
もう一人の少女のその言葉で、少女の瞳に希望が宿った。
それを見たもう一人の少女は、ニヤリ、と笑って羽ばたく。ゆっくりと足が地面から離れていき、ついにその重力に逆らうことができた。たった数センチではあるが、ふわふわと飛ぶもう一人の少女は、少女に手を差し出す。
「あなたを縛るものなんて、本当はないのよ」
難関を越えて
みんなに
おめでとう!
って言われて。
なりたいわたしになった!
つもりだった。
でも
いざその道を
歩いてみたら
苦しさの連続で
必死に
綱渡りをする毎日。
この道から落ちたら
もう後はない
ような気さえしてた。
でも
いざ
バランスを崩して
綱渡りから落ちたら
落ちた先にも
道は見つかって
今度は
苦しくない道で
ありますように。
と願うばかり。
#落下
景色が水彩絵の具のように滲み、霞んで入り交じる。体表の産毛が、細胞の一つ一つが泡立ち、宙に吸われる。自我が虚無に還元される。肉体が霧散する。風を切って魂と肉体がズレる。衝撃とともに魂が弾き出される。意識ごと痛みは吹き飛ぶ。
#落下
落下
前に好きだって言ってたよね。
そう言って渡されたのは、お菓子のおまけについてくるマスコット。
あくびをした猫が愛らしく手の上に乗っていた。
よく覚えてたね。
本当にちょっとした会話だったから、笑って彼に言った。
君との話だから覚えてたんだよ。
猫の頭を撫でながら君は笑う。
うわ、やられてしまった!
まるで落ちているかのような感覚で目が覚める、というのは多くの人が経験することだと聞く。実際私も経験したことがあるし、確かに落ちているとしか言いようのない感覚だったことを覚えている。
しかし数ヶ月前から始まったこの現象は、それとは似ているようで全く違っていた。落ちている。確かに落ちているのだ。夢の中、あらゆる状況で私は落下し続けている。あの感覚で目が覚めるわけでもなく、寝ている間だけずっと落下感を味わうだけ。明確な風景まで思い出せるほど緻密な夢は、学生時代に経験したあれとは異なっているように思う。
一度調べてはみたが、運気の降下や精神的な不安定といった何の解決にもならないものだった。自分でどうしろというのだろう。地面と衝突する直前に目覚めるこの日々こそが精神を揺らす原因ではないか。
それに、もう一つ懸念がある。毎回毎回、私が落ちる先には誰かがいるのだ。最初こそ何かわからなかったが、何度も見るうちにそれが人だとわかった。私を見上げ、長い腕を広げて、まるで待っていたかのようにそこに佇んでいる。面識のない男性だったが、ついこの間転勤してきた男性が夢の中の男性と瓜二つで、いよいよ訳が分からない。なぜ出会う前から彼が夢に出てきたのか、なぜ毎回いるのか、なぜ私を待っているのか。
なぜ、夢の中の彼には腕が四本あるのか。
『落下』
落下
『おっと』なにか音がした。
『ガタン、ゴロゴロゴロ、』
ん?私が恋に落ちた音か??
それとも、近くの怪しい変態が変なものでも落としたんか??
『いや、ちがった…。』
私がバイトの焼肉屋で鉄板達をぶちまけた音だ。
『はい!バイトもうある意味オワタ♥️』
せめて、私が新しく恋に落ちる音であって欲しかった笑
周りの視線が痛い…。
ある意味 注目を浴びドキドキな私がここにいる。
とりあえず深呼吸をしてリラックス。
「ドMにはぴったりなこの状況やな」と君の心の声が私に聞こえる。
『え、 このドMの私にぴったりの状況??』
「うん!!」って思ったヤツいないよな??
『いやいや、否定はしないが…笑』
この周りからの痛い視線
温かいようでめちゃくちゃ冷たいこの笑顔。
ドキドキわくわく…笑
それ以上は何も言わないでくれ笑
次はもう同じ過ちのないよう努めよう。
同じ失敗は2度としない。これが私のモットーさ。
どこまでいくんだろう。
...おちてから、どれぐらいたったのかなぁ
最初は凄く焦ったけど、いまはどうってことないや。
やっぱ、慣れってこわいなぁ、
ずーーーっとある、へんな浮遊感も、私に希望を持たせようとしてくる光も、
全部あるだけのものになっちゃった。
なのに、どん底にはいけない。
まだ、こころはおちないの?
落下
私は幸せから落下した。
あんなに楽しくて素敵な時間だったのに。
なのに私の立つ地面は崩れ落ちて幸せというものから落下した。
未だに私は落下したところにいる。
いい加減上をみてもいいのかもしれない。
「落ちている」
わたしはそう思った。
背中を下にして、体をくの字に曲げて
何処か高いところから落ちている。
不思議と恐怖はなかった。
いつまでも空は遠くならないし
いつまでも地面は現れない。
ただ、落ちていく感覚と浮遊感だけがあった。
ふと、自分の瞼が閉じていることに気付いた。
周りの景色は見えているのに
瞼は固く固く閉ざされていた。
開けようと思って力を込めても
まるで糊でも付いたかのように重い。
瞼に意識を集中して
渾身の力で勢いよく開く。
パッと明るくなった視界の先には
見慣れた自室の天井があり、
背中は硬い床の上に落ちていた。
「あぁ、またベッドから落ちちゃった。」
わたしは、とっても寝相が悪い。
親方ー!!
何か塩顔眼鏡イケメンが空から
降って来ただー!!
(例のキラキラした音の脳内再生をどうぞ。)
みたいなことが起きない限り
あたしの世界は完結しないんじゃないかと思う
思春期の女の子の数学ノートの裏側
走り書きされた落書き文章である あたし は
行間のなかで身動き取れないまま
ゾンビモノと怪奇現象モノだけは
ご勘弁ください、とばかり
頭を悩ませながら
シャーペン突き刺してくる
あなたを見上げています
どうか
どうか。
落下ってのはね
地面や物体から離れて
空中から落ちることを言うのさ
物体が重力の影響を受けて
地面に向かって自由落下する事も指す
高いとこから落下してみよう
空から落下してみよう
いろんなところから落下してみよう
落下するととっても気持ちくて涼しい
真空中では全ての物体が同じ重力加速度で落下していく。
羽毛も鉄球も同じように落ちる。
しかし実際には空気抵抗があるため同じにはほぼならない。
ここに、同時に同じ高さから身を翻した二つの人間。
一つは様々な偏見や観念に耐え忍んで速やかに地に着いた。
一つは様々な衝動や誘惑にかまけて空を舞い続けた。
その二つはお互いの在り方を認め合ってはいたが、
心の底では常に見下し合っていた。
~落下~
ただ、落としたかったのかもしれない。
全てを、奪いたかったのかもしれない。
その事にどんな意味があるかなんて、当事者にしか解らない。
ただ、言えることは。
俺達は間違っていたんだろう。
何が正しかったのかは、もう無意味でしかない。
俺達が正しいと、正解だと思ったわけじゃなくて。
ただひたすらに、落とすことだけを考えてきた。
その結果がこれなら、受け入れるだけだ。
その覚悟はあったーーーけど。
その為に、悲しませてしまったことも事実。
それが、後悔になるんだろう。
”落下”していく自分を見下ろしながら、俺達はただ、あるがままを享受するしかなかった。
落下
突然地面に穴が開いた
当然私の体は
重力に従って落ちてゆく
もうだめだ
あぁ
今のが夢でよかった
*落下
「 落下 」 No.1
私は今、ベランダから飛び降りようとしている。
もうこの世界では生きていけない。みんな私のことは、お人形みたいに扱うからとても苦しい。いつも私の前で悪口言ったり、暴力を振るったり。私は、貴方たちのストレス発散する用の人形じゃないのに。
私はベランダから飛び降りた。
「あぁ…。これが私の幸せ…。やっと見つけた。」
ドンッ。
人が落ちた音が大きくその場に響いた。