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落下


「重力には逆らえないよ」
少女は諦めたようにそう呟いた。背中に生えたその美しい翼では羽ばたくことができず、せいぜい高いところから落下して滑空することくらいしかできなかった。
「そう思っているから、飛べないんじゃない?」
少女の横でもう一人の少女は羽を広げて飛ぼうとする。
「あたしは、飛べるって信じてる」
もう一人の少女のその言葉で、少女の瞳に希望が宿った。
それを見たもう一人の少女は、ニヤリ、と笑って羽ばたく。ゆっくりと足が地面から離れていき、ついにその重力に逆らうことができた。たった数センチではあるが、ふわふわと飛ぶもう一人の少女は、少女に手を差し出す。
「あなたを縛るものなんて、本当はないのよ」

6/18/2023, 2:02:30 PM