『落ちていく』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
落ちていく╱11月23日 木曜日
好きだよって言うと、俺も好きって返してくれる。
可愛いって言ってくれる。
幸せって言うと、俺も幸せって言ってくれる。
それが当たり前だと思ってしまった。
そのせいで、今とても辛い思いをしてるの。
私からの好きはスルー。
あなたからは言ってくれない。
LINEだってあんまりしてきてくれない。
両想いなのに片想いみたい。
そんなに辛いのにあなたをまだ好きなのは、きっとあなたに魅力がありすぎるから。
期待してしまっているから。
思わせぶりに釣られているから。
どんどんあなたという沼に落ちていく。
落ちて落ちて、抜け出せなくなっていく。
あなたも一緒に落ちてよ。
落ちていく
気づかぬうちにどんどん深く
会いたくて、ただ会いたくて
一目でいいから
気づかれなくてもいいから
ただ会いたい
あなたに会いたい
11/23「落ちていく」
歌に導かれるように、夢に誘われるように、出会ったのはあなた。
もう一度会いたいと思い、もう一度会えた。
何度でも会いたいと願い、以来いまだ会えず。
闇を彷徨う中の一筋の光だった。
砂漠を征く中の一滴の水だった。
どこにいる。あなたは。どこにある。我が救いは。
落ちていく。あなたに。
落ちていく。落ちていく。底なしの恋に。
(所要時間:7分)
11/22「夫婦」
空気みたいなんだよな。
「長年一緒にいれば、そりゃあどんな相手でも飽きる」と言われるけれど。
飽きているのとはちょっと違う。
いるんだかいないんだかわからない。いやまあ、いるんだけど。
「おはよう」
「おはよう」
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
「ただいま」
「おかえり」
空気みたいなんだよな、と思い続けて数十年。ふと、その理由が思い当たる。
自然に必要なものなのかもしれないな。
なんて思って、らしくなく照れる。そんな11月22日、「いい夫婦の日」。
(所要時間:6分)
11/21「どうすればいいの?」
うーん、と首を傾げる。
噂の部屋に閉じ込められた。キスをしなければ出られない部屋というやつだ。
問題は、一緒に閉じ込められた相手だ。
確かに、好きだ。いや、愛してる。私が小さかった頃からずっとずっと、偏愛している。
サボちゃん。
昔は手のひらサイズだったが、今はそれなりによじれつつ伸びて、まあ、30センチぐらい。毎週水をやって大事に育てていた。アロエリーナばりに話をよく聞いてくれた。…だからよじれたのか?
問題は、サボちゃんがサボテンだということですね。
キスしなければならないんですよね。
…どうすればいいの?
(所要時間:4分)
11/20「宝物」
それは、宝物庫の一番奥に眠るもの。
黄金の肌に、翡翠の瞳。唇から覗く真珠の歯、延べた指の先には珊瑚の爪。ビロードを纒い、ダイヤの飾りの靴を履く、まばゆく美しい女性の像。
この国の守り神だったという彼女を、時の王が欲したという。伝説に残るのはそこまでだ。
滅び去ったこの国の最奥に眠る彼女と、その足元に転がる白骨と王冠。国に、彼らに、何があったのか。解き明かす者が現れる日を、彼らは待っているのか、いないのか。
(所要時間:8分)
「落ちていく」
何で読んだかわからないけど
落ちていくのは悪いことじゃない。
落ちるとこまで落ちて、底に着くから
落ち着くのだ
妙に納得した覚えがある
落ちていく。
手を離したから、落ちていく。
深い闇へ落ちていく──
あのまま駆け落ちでも何でもして、二人で逃げればよかったのに。逃げたのは俺一人だけだった。
彼女の胸に突き立てた短刀からじわじわと闇が広がって、体が蝕まれるようだ……
「許さない」
そう、責め立てる声が聞こえた。
「嘘つき」
彼女の泣き顔が脳に焼きついて消えない。
その綺麗な瞳に魅入られて、初めて欲しいと思った人を。まさか己の手で命を散らしてしまう日が来るなんて。
俺の行き先は地獄だろう。もう二度とあの柔らかい日々へ戻れはしない。
春を失って季節は終わりを告げた。吹き荒ぶ風は彼女の泣き声すら消して。
桜の花びらが舞う中、搔き抱いた冷たい春を美しいと思った……あの感情を何と呼ぶのか、俺は今もわからずに落ちていく──
【落ちていく】
ああ、落ちていく
底なしの闇に
誰かこの闇の中を照らして
私を連れ出して。
Theme:落ちていく
瞼が重い。今にも眠りに落ちてしまいそうだ。
でも、彼女はそんな私の手を強く握り身体を揺する。
どうやら眠らせてくれるつもりはないようだ。
私は彼女を宥めるように、頬に触れて優しく撫でる。
彼女はその手を掴んで首を振る。
「いかないで」
ぽたりと温かい雫が私の頬に落ちる。
どうか、泣かないで。
いずれまた逢えるんだから。遠い未来にではあるけれど。
最期は笑顔で見送ってほしいというのは我儘かな。
やがて眠気に抗えなくなった私は瞼を下ろす。
彼女の声、手に感じる彼女の温もりが段々と遠退いていく。
「また会えるよ」
呟いた言葉は、彼女に届いたのだろうか。
やがて私は、深い深い眠りへと落ちていった。
〚落ちていく〛
失敗や過ちを繰り返し
自分の人間としての価値が落ちていく
いつか底につく日が来るだろうか
どうなったら底につくのだろう
底についたときどうなってしまうのだ
ろう
底ってなんなんだろう
落ちていく
白い翼を見た
美しいその人
掴もうと手を伸ばした
呼吸が空回る
人形みたいに瞼が動かない
スルリ、と
頬に
その真っ白い指が
撫でるように
「───────、──」
真っ白な肌に
赤い唇が映える
「──?─────」
間違い無い
やっぱり
僕の
天使だ
「────、──、───────────。」
途端
溢れんばかりの光が
僕等を包む
「────」
息が停まる。
落ちていく
「なんや緊張するわあ」
「あんたでも緊張するんかいな」
「いうてあんな立派な舞台やで?お客様もぎょうさんいてはるし」
「あんたの作ったもんの出来がようて褒められんねん。順番も最後やろ?堂々としとき」
「いや無理やて。わしなんか最後はちょっとおまけでいれたったていう落ちや」
「ちょっとあんた落ちて!行くんや!ほらあんたの出番!」
沼に落ちていく。
沼から抜け出せない。
笑顔で話しかけてくれる君。
君を見る度に目が合って胸が高なる。
君が私の沼に落ちることはあるのかな。
落ちてくれないかな。
私の沼に。
落ちて、堕ちて、墜ちて、おちて。
おちた先に会ったのは、紛れもない私だった。
何十、何百と積み上がったわたし。
虚ろな瞳がこちらを見つめ、こう言った。
「ねぇ、どうすればよかったの?」
その瞬間また墜ちて。
あぁどうしようもなかったんだと気づく。
「どうすれば、好かったんだろう」
落ちていく彼女の手を掴んだらなにか変わったかなと、暗闇に堕ちていく意識の中で微かに思考した。
はら、はら。
風に吹かれて私は舞う。
小さく薄い体でも、少しの命でも。
ほんの数秒間、舞いながら落ちる。
私が舞う様を綺麗だと言う人が居てくれる。
はら、はら。
ああ、落ちていく。
落ちていく、落ちていく。
うさぎの穴を、落ちていく。
アリスは上を見上げて、青いスカートに泥がついたと言って怒る。
たどり着いたのは野うさぎの巣。
ハンチング帽を被った猟師が、ミートパイにしようと、野うさぎの巣の前で待ってる。
さよならうさぎ。
アリスはミートパイが好きじゃなかったので、なおさらうさぎが、可愛そうになってきて、泣いちゃった!
後からやってきた白うさぎは、山高帽を頭に被って、
「コノヤロウ! 薄汚い人間め!」
と言って、チクタクチクタク言う時計を叩きながら、人間に向かって唾を吐く。
「お嬢さん、あいつを懲らしめてやりましょう」
「どうすればいいの?」
泣いているアリスは、思わず首を傾げた。
「爆竹です。罠にかけてやるのです。私共は、人間をミートパイにしてやりたいと、長いこと思いあぐねていたのです。もちろん私共は、草食ですから、そんな卑しいものは、口に致しません。ですから、あなたの犬のおやつにでもして差しあげなさい!」
「なんですって!? 犬のおやつに? 冗談じゃないわ」
アリスは憤慨して、もう平手を上げて、白うさぎに殴りかからんばかり。
睡魔の闇に落ちていく
この時間きっちり日が変わる。
【落ちていく】54 kogi
落ちていくような気がした
貴方のその瞳に
落ちていくような気がした
貴方のその声に
落ちていくような気がした
貴方のその笑顔に
落ちていったんだ、貴方という人に
映画みたいなドラマみたいな出会いじゃないけれど、
確かに感じた、貴方と言う存在に惚れるという瞬間。
私の中で何かが動いた瞬間。
世界で何よりも君が1番綺麗に感じた瞬間。
そんな貴方が、
落っこちて死ぬなんて、
誰も思わないじゃん。
ずるいよね。
最後まで、私にだけは言わないでさ、
日記なんかで知りたくなかったよ。
あの日貴方も、私に落ちてたなんて。
真っ赤な赤い髪
琥珀色の綺麗な瞳
凛とした綺麗な声
リーダーシップを持つ人
仲間思いな人
子供心を忘れない人
メリハリがある人
頑張り屋さんな人
愛情がたっぷりな人
人たらしな所
腹黒い所
あざとい所
私はそんな貴方に
落ちていた
落ちていく、急速に。
速度はどんどん上がっていき、止まる気配はない。
抗おうという気持ちは、自分でもびっくりするくらい出てこない。
底までいったら、どうなる? 何がある?
気になっているうちは、この自由落下を楽しもうじゃないか。
ああ、なんてことだ。
今日もしてしまった。
明日はやらないと心に誓った昨日。
やはり一度やってしまうと止められないのか。
体が重い。視界がなんだかおかしい。
ドラッグなんかに手を出すんじゃなかった。
俺の人生が、価値が、落ちていく。
ひらりひらり。
はらり。はらり。
それとも
ひゅー、すとん。
どさっ。
ころころ、ごろごろ。
生きた心地のしない
そして
時に美しく
舞っているように
–落ちていく–