『花畑』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
花畑
いろんな個性を持った花が
ここに集う
なんだか人間のようだ。
いろんな過去があって、
いろんな思いがあって、
自分の色をつくっていく。
たとえ色が同じでも、
辿った道が違う。
思った事が違う。
だから
花畑には、いろんな過去や思いを背負って
花を咲かせた人間の
象徴なのだと思う。
私もいつか、自分の花を
咲かせたい。
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♡が300越えました。本当にありがとうございます。
【花畑】
あれは私が十七、弟が十五の頃のことだった。
田舎で暮らしていた祖父が亡くなり、それを機に祖母が私たちの暮らす町の施設に入ることになった。
そこで祖父母の家の片付けをするため、私たち姉弟は両親に連れられ、田舎へとやってきた。
私たちにとっては、随分と久しぶりの帰省だったが――
古い家の片付けなんかに乗り気になれるわけもなく、私たち姉弟はただただ「面倒だ」と考えていた。
しかし、実際に家に着いてみると、祖母がかなり積極的に断捨離を進めていたため、家に残された物品は非常に少なかった。
片付けが予想以上にあっさり終わったことで私たちは気抜けし、滞在予定にも空白が生まれた。
「この近くに小さな神社があったよね?」
「そうだったか? 俺、覚えてねぇわ」
私たちの暮らす町から遠く離れた、この村。
この地を最後に訪れたのは、もう十年近くも前のこと。
弟はまだ小学校にも通っていなかったのだし、覚えてないのも当然だ。
「大人たちは明日、書類のことで長い話し合いをするらしいよ。私たちは暇だし、この辺りをうろちょろしてみようか」
「まぁ、それしかすることねぇもんなぁ」
こうして、私たちは十年ぶりにこの村を散策することにした。
視界一面に広がる田畑は、都会育ちの私には新鮮な光景だった。
山が近いのか、大きく茂った木の陰の広がりがまるで空を侵そうとしているかのように見える。
名前も知らない背の高い草の奥、濁った水を湛えた池が見え、そこからは蛙の鳴き声が聞こえていた。
「すごいね。同じ国の景色とは思えない……」
私は、どちらかと言うと「怖い」と感じた。
早く自分の町に帰りたいと思った。
「だよなぁ、すげぇや!」
弟は何だか楽しそうだった。
それに水を差したくなかったので、私は「もう帰ろうよ」の言葉をギリギリまで我慢することにした。
うっすらと記憶に残っていた神社だとか。
村に一つしかないらしい商店だとか。
そういったスポットにも立ち寄り、いよいよ行くところがなくなった私たちは、祖父母の家に戻ることにした。
「ここらへんはもう、ばーちゃんたちの土地なんだよな?」
「うん。うちの土地って結構広いらしいの。で、今後それを誰に貸し出すかって、今、大人たちで話し合ってるはずだよ」
「ふーん、そうなんだ?」
「今のうちにうまく話が纏まったら、何種類かの夏野菜を植えるのがまだ間に合うとか何とか……私もよく知らないけど」
「そんじゃあさ、うちの農地もぐるっと一周回って見てみようぜ?」
「えー……まぁ、別にいいけどさ……」
まだ探検し足りないといった様子の弟に、渋々付き合うことにする。
とはいえ、何も植えられていない農地を見て回るのはあまり楽しくはない。
「なぁ、こっちは……林かな?」
「そうね、そこもうちの土地だよ」
「へえ、これもかー」
「蛇とかいそうで怖いよね」
「あ、でも……俺、ここはなんか見覚えがある気がする」
「えっ?」
「この奥ってさ、なんか花畑とかなかった? レンゲがいっぱい咲いててさ」
「あ……」
弟に言われて、私の記憶も蘇った。
そう、確か――
私たちは十年前にその花畑で一緒に遊んだことがあるのだ。
「姉ちゃんはレンゲの花冠を作ってさ、俺は花をちぎって蜜を吸ってた」
「ああ、うん! あったよ、そんなことあった! 私もそれ覚えてる!」
共通の記憶に気分が高揚し、私たちは何の示し合わせもなく自然と林の中に踏み込んでいった。
蘇った記憶の中のピンクのレンゲ草の鮮やかさが、蛇が出そうな林に入る勇気をくれたのだ。
「抜けてすぐの所だったよな、確か」
「うん、そうだった気がする」
林は薄暗くてちょっと怖いのだが、拓けた場所にある花畑は日当たりが良くて明るかった気がする。
草の薄い所を上手に進んでいく弟に続いて、私も頑張って先に進んだ。
「……ここだ」
弟が立ち止まった。
私も歩みを止め、足元ばかりを注視して下がりきっていた視線を上に向けた。
すると、そこには――
「…………」
記憶にあった花畑はなかった。
背の高い雑草の覆い茂った、気味の悪い草むらがあるだけだった。
「…………」
「…………」
「……帰るか」
「……うん、もう帰りたい」
ついに我慢出来なくなってそうこぼすと、弟は素直にその通りにしてくれた。
また林を抜け、私たちはまっすぐ家に向かい、その後は町に帰る日までずっと屋内で過ごした。
……
…………
あれから、四十年が経った。
祖母はもちろん両親も既に亡くなった。
親が祖父母から相続した田舎の農地を、今度は私たちが相続することになった。
私は田舎の土地なんて欲しくもなかったが、何故か弟は欲しがった。
私は喜んで、その土地を弟に任せることにした。
「うちの農地って、確かかなり広かったよね? それを全部自分たちで管理してるんでしょう? 大変なんじゃないの?」
「まぁ、そりゃあな。でも、じーちゃんたちもやってたことだしな」
弟の奥さんが入院をしたので、その見舞いとして私は久しぶりにこの村を訪れた。
奥さんに「心配だから様子を見てきて欲しい」と頼まれたやって来た、元祖父母の家。
今は家屋の建て直しをして、弟夫妻の家になっている。
「それよか姉ちゃん、せっかく来たんだし、ちょっと一緒に来てくれよ」
「え? どこに?」
「外だよ。まぁ、いいから来いって」
弟にせがまれ、私は家の外に出た。
そうして、すたすたと歩いていく弟の背中について行く。
「こ、この奥に行くの!?」
弟は、暗い林の中に入っていこうとする。
私は躊躇して、思わず足を止めてしまった。
「ああ、姉ちゃん、覚えてねぇか?」
「えっ、何を???」
弟が何を言っているのか解らず、オロオロする私の顔を見て弟は可笑しそうに笑って、
「まぁ、いいからついて来いって」
と、林の中を進んでいく。
「えっ、ちょっと待ってよ!」
弟の歩いていくところは草が薄めだし、念のためウォーキングシューズで来たが……
それでもこういった道には慣れていないので歩きづらくて仕方ない。
足を取られないように気をつけて、懸命に道を辿っていく。
「よく頑張ったな、姉ちゃん」
弟が足を止めたので、私も足を止める。
何となくさっきまでと違う日当たりの良さを感じながら、ゆっくりと顔を上げた。
そこには――
「……っ!」
鮮やかなピンクと緑。
差し込んでくる暖かな春の陽光。
華やかながらも穏やかに。
そこにはレンゲの花畑が広がっていた。
「姉ちゃん、覚えてるか? 俺ら、ガキん頃、ここで一緒に遊んだんだぜ?」
「…………」
あまりに美しい光景過ぎて……
言葉が出てこない。
私はコクコクと首を縦に振って、弟に返事をした。
(そうだ、そんなことがあった……)
(何年前のこと?)
もう、五十年以上前のことだ。
なのに……
こうしてレンゲの群れを見ていると、あの時のことが鮮明に蘇ってくる。
「あっち……あっちの木の傍で、私は冠を作ったの。
作り方は……おばあちゃんが教えてくれた。
冠に使う分のレンゲを、私はたくさん摘んで手元に置いていて……
あんたは私の側まで来て、そのレンゲの花をちぎって蜜を吸うの。
レンゲはいくらでも咲いてるのに、わざわざ私の摘んだ分からちぎっていくのよ……うふふ」
情景が蘇り……
笑いと涙が同時に溢れてきた。
弟はそんな私を見て、面白そうに笑っている。
「じゃあさ、ばーちゃんが施設に入ることになった時、俺らがここに来たこと覚えてるか?
この花畑のことを思い出して一緒に林の奥まで来たけど、ただ雑草が茂ってただけでさ。俺はすごくガッカリしたね」
「うん……そういや、そんなことも、あったね……」
子どもの頃にここで遊んだ記憶ほど、鮮明には残っていないけれど……
でも、その記憶も蘇ってきた。
「綺麗な花畑ってな、人の手が入らないと出来ねぇんだよ。綺麗な花ってのは、すぐに雑草に負けちまうからな。
俺らがガキの頃に遊んだあの花畑は天然ものじゃなくて、じーちゃんやばーちゃんが作ったもんだったんだ」
「そう、だったの……
それじゃ、この花畑はあんたが作ってくれたのね……?」
グスグス鼻を鳴らし、涙を拭きながら微笑む私を見て、弟は「まぁな」と得意気に胸を張る。
それから、ぽつりと言った。
「綺麗な花畑。もう一度、姉ちゃんに見て欲しかったんだよなぁ」
―END―
畑ってさぁ、やめてくんない?
つけるなら、園よ園!
花畑はよぉ、ボォっとしてるヤツの頭ん中だろ?
花園は言葉に品があるだろよぉ。
ここ?
あぁ、この花ね。
今の時期はほとんどダイコンの花よ。
収穫が楽しみだよなぁ。
『花畑』
誰と行きたいか?って
それは母と
誰よりも喜んでくれると知ってるから
花の好きな母に
ひとつでも多くの花畑を見せてあげたい🌷
花畑を正直、あまり綺麗だと思ったこと事が少なくて、
私は、一輪の花だけで良いと思ってしまうから。
世界が狭いのか
みんなのように綺麗だね
と簡単に言えないの
風に舞う香りに包まれながら
ただひたすらに歩いている
どこまでも広がる青い空と
果てしなく広がる鮮やかな色彩が
止めどなく目に入ってくる
かなり長く歩いている気がするが
不思議と疲れは感じない
目の前に広がる景色は
どれだけ歩いていても変わらない
どこに向かっているか
いつまで歩き続けるのか
そんな事はどうでもよくなったきた
目の前に広がる景色の中に
ゆっくり溶け込んでいくようだ
私の前を歩く人たちもいた気がするが
もう姿は見えない
本当にいたのかさえわからない
私はどこから来たのか
私はいつからここにいるのか
時々頭に浮かんでいた
痛くて悲しみに溢れた場面は
もう浮かばなくなった
眠るような感覚を覚える
私の存在は
景色の中から無くなった
海人
お題《花畑》
青い花畑の海に溺れる。
月灯りの夜の花畑。花冠を彼女が丁寧に編んで、青年の頭に飾る。
「似合いますお兄さん」
「嬉しくありませんよ」
名を奪われた自分を拾い、助けてくれた彼女。純粋に慕ってくれるのは何より嬉しいが――もっと、深い繋がりがほしい。束縛というなの強い繋がりでも構わないから。
彼女(あなた)の楽園にたどり着いた運命を、感謝せずにはいられない。
季節が変わっても
枯れることなく
毎年その場所で咲き続ける
欲を言えばそんな花に生まれたい
毎年同じ仲間、家族
変わることなく咲き続ける
雨にも風にも負けない
強い強い多年草
生まれ変わりが本当にあるのなら
私はそんな花に生まれたい
色とりどりの花畑の一部として
どうか、どうか
花畑の中で
どの他の花よりも傑出して
輝く一輪の花に
私はなりたい
それを可能にするのは
自分だけだ
『花畑』
死後の世界のイメージのひとつにもなっている
一面の花畑
どうして、花畑なのだろう
夢の中の 花畑を歩く人は
皆、笑顔に映った
まあるくて あたたかくて
やわらかな気持ちとともに
人は 花を愛でる時
なんの見返りも 求めはしない
ただ ひたすらに ひたむきに
こちら側から 愛を注ぐ
それは 心を安らかにしてくれた
花への 感謝の表れなのかもしれない
無償の愛と感謝
それが 花の真理なのだろうか
もしかしたら 死後の世界も
無償の愛と感謝で 満ち溢れていますようにと、
願いを込めて
死者に 花を手向け、
花畑へと 送り出す
そんな意味が込められているのだろうか
花畑から 膨らんだ
私のイメージ
花畑
ずいぶん前の事だが、住んでいた家の隣は空き地だった。
結構な広さで、耕作放棄地のようだ。所々に畝の名残があり、筋になっている。
立ち入り禁止の看板もなく、柵もなかった。車の通らない散歩コースに、その空き地はもってこい。
歩き始めた子供とよく散歩した。
春になると、シロツメクサが咲いた。
今どき、広い空き地が出入り自由でシロツメクサが咲いている、等といつたのどかな風景はない。
のどかだったあの頃、あれはシロツメクサの花畑、と今になり思った。
いちめんのコスモスのなかで
かつてあなただったいのちをさがす
秋晴れの午後
―花畑―
柔らかい朝日が差し込む部屋にて、
小鳥のさえずりで目が覚める…
なんてメルヘンチックなことはなく、
カーテンが閉め切られた至ってシンプルな部屋にて、
セットしていた目覚まし時計の機械的な音で目が覚めた。
すごく、すごく嫌な気分だ。
理由は、
『変な夢、見た…』
いつものように夜11時をまわった頃にベッドに入った僕は、
その後眠りに落ち、変な夢を見た。
赤色のアネモネ、水色のネモフィラ、紫色のパンジー、
ピンク色のチューリップ、青色の勿忘草、黄色のカタバミ…
種類も色も様々な花たちが風に吹かれながら咲き乱れる
花畑の真ん中で、花に囲まれながら、
僕の腕の中で苦しそうに顔を歪めた僕の彼女が、
何かを伝えようと必死に口をパクパクとさせながら、
最後にはスーッと消えていってしまう夢。
腕に感じていた彼女の命の重みがスっと消えた瞬間、
喪失感に襲われて、暫く思考が停止した。
そこで夢は終わった。いや、目が覚めた。
今までに見たことの無い夢だった。
それに、風が体を撫でていく感じとか、
腕の中に彼女がいる感覚とか、
妙にリアルだった…気が…する。
何れにしろ所詮夢なんだし、気にする事はないと思うのだが、
どうしても頭から離れない。何かを暗示しているようで。
その中で、この夢が正夢になってしまったらどうしよう、
という気持ちもあったんだと思う。
今日は朝から彼女とドライブに行く予定だったのに。
どこに行くかは成り行きに任せようと言う話に
なっていたが、
花畑に行きたいなんて絶対言わないなんて保証は全くない。
最近、『週末のお出かけ先におすすめ!
今が見ごろの花畑特集!!』というテレビ番組を真剣に
見ていた彼女を思い出す。
…80%以上の確率で行先は花畑になるのではないか。
考えに考えた末、彼女に連絡する。
今日のドライブの話なんだけどさ、
また今度でもいい?
│
え…どうして?
返信に困った。
花畑で君が消える夢を見たから、なんて言えない。
嫌な予感がしたから…そんなので彼女は納得しないだろう。
罪悪感はあったけど、僕は彼女に嘘をつくことにした。
在り来りなのは急な仕事とかか…
でも僕の仕事に急なんてない。彼女もそれを知っている。
なら、体調不良とか…そう思い、返信した。
ちょっと体調が優れなくて
│
え、嘘!
風邪かなにか?大丈夫?
│
大丈夫だよ
風邪ほど悪くはないし、1日休めば良くなると思う
│
待ってて!今から家行くから!!
何か欲しいものとかある?
早い。行動が早い。
それにこの言い方じゃ僕に拒否権はないんだろう。
多分、彼女は今日のドライブを楽しみにしてて、
だから看病という形で、僕に会いたいんじゃないかなんて
思う。実際、僕も君に会いたいし。
うーん、特にない…かな
│
わかった!今から行くね
│
うん、ありがとう
そこで会話は切れた。
体温は誤魔化せないだろうけど…
せめて具合が悪く見えるように、頑張るしかないか。
――翌日、あるニュースが世間を騒がせた。
小さくて可愛らしい花がカラフルに咲き乱れることで
今人気の花畑で、放火事件があったという話だ。
負傷者は10人近く出たらしいが、
幸いにも死者は出ていないらしい。
火事に気づくのは少々遅れたものの、
観光客の避難がスムーズだったためまだ良かったが、
死者が数人出てもおかしくないレベルの火事だったとか。
朝このニュースを隣で見ていた彼女は言った。
「ぇ〜!ここ、昨日ドライブで行きたかったとこ!」
それを聞いて僕は少し驚く。昨日の勘が当たっていたとは。
やはり昨日の行動は正しかったんだとホッとしながら、
「花が焦げたら行けなくなっちゃうじゃん…」と
がっかりしてる彼女をフォローする。
『まぁまぁ。他にも花畑はあるんだし。
それより、このドライフラワー作りのお店、
面白そうじゃない?』
一応、今日起きたら体調はすっかり良くなったという
ことにしてある。
僕が差し出したスマホを見ながら歓喜する彼女を見つめた。
自然と顔が綻ぶ。
僕の心は、色とりどりの花が咲いた花畑のように、
晴れやかになった。
花畑なんて
絵で描くような
テレビで見るような
本で見たような
そんな綺麗で大きな
花畑
足を踏み入れたことが
ありません
たんぽぽが
1mくらい咲いている
小さな
小さな
花畑なら
足を踏み入れて
ぐちゃぐちゃにしました
16歳女子の頭ん中だいたいはこれ
《 花畑 》
赤 黄色 オレンジ
紫 白 ピンク
青い空
曇り空
雨の空
緑 黄色 水色
白 桃色
まあるい心
花畑____
歩いていると道端に花が咲いている。
歩いていると花弁が空から降ってくる。
歩いていると花を持った人が通り過ぎる。
歩いていると萎れた花を持った人が通り過ぎる。
人はなぜ、花を植えるのだろうか。
人はなぜ、花を誰かに与えるのだろうか。
私の心さん
私の中にはお花は咲いてますか?
毎日、一本は咲かせたいですね
咲かせられるのは自分!
たくさんのお花が咲いて 心から溢れる笑顔になるといいよね!
きっとそぅなるから!
自分を信じてね!
私!大好きだよ!!
ふんわりと優しい風が吹いた。
いや、背中を押されたのか…
身体が柔らかく包まれるような感覚がした。
目を開けると、見たこともないような景色。
1人でぼんやりと突っ立っていたはずだったのだが、
隣にはまだ幼い女の子が立っていた。
「あっち」
女の子が指を指す先には
色とりどりの花が咲いている。
気が付くと自然と足が動いていた。
「行くの?」
少し心配そうに見つめる女の子に、優しく笑いかける。
「あそこで寝そべったら気持ち良さそうだよね」
「でも……」
女の子は言葉を濁す。
その意味はわかっていた。
「大丈夫だよ。案内してくれてありがとう。」
花畑に足を踏み入れる。
身体が宙に浮いたかと思うほど、軽くなった。
女の子はもういない。
花畑
優しさの種をまき
悲しみの苗を植え
涙の水やりを欠かさず
笑顔の太陽を浴びせる
そうして育った花畑
誰かの癒しになれるかな
悲しみに寄り添えるかな
笑顔を取り戻せるかな
そして、いつの日にか
その誰かがまた
優しさの種をまき
悲しみの苗を植え
また誰かに寄り添う
こうして
リレーするように
伝い合っていくうちに
遠い誰かとつながる感覚が
ひとりじゃないことを
教えてくれる
いろんな人の
思いがこもる花畑に
様々な花が咲きますように