『花束』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
#26 『花束』
今日で店じまい。
端正込めて花束を造り続けて50年ちょっと。
人生最後の花束を心を込めて造り、最後の客に手渡す。
ふと、この人は誰に何のために渡すのか、好奇心が湧き出してくる。
大切な人への愛の告白に使うのか。
それとも入院している家族へのお見舞いか。
最後だし、いいだろう。
店をそそくさと閉めて、慌ててあとをつける。
着いたのは、何かイベントをやっている会場だった。
そうか!
歌い手さんへのサプライズか!
我が最後の花束の晴れ舞台としては最高の演出じゃないか。
チケットを買い、中へ入ると、熱狂した観客の中央に四角いリング。
プロレス?
すると我が最後の花束を抱えてキレイな女性が入ってくる。
…ま、最後は屈強な肉体のプロレスラーか、
…それもまたいいだろう…。
プロレスラーへ最後の花束が渡される。
……やはり何だかわからないが、感無量で思わず泣き出しそうになった………
!その瞬間。
「てめぇ、コノヤロー!!!」
我が最後の花束は……、イカつい髭面の男の顔に散った……。
………泣いた。
素敵に思う事。
ためて、ためて花束にして
好きな人に渡して
笑顔が出るといいね
花束
「ほら綺麗な花束でしょ
人から見れば祝福の象徴だけど
根を張る花にはさしずめ四肢をを切り落とされた奴隷の縛り上げかな、根を生やすことも子孫を残すことも出来ないまま人間の都合で理不尽に枯らされて、燃えるゴミになるんだろうね、ちょっと可哀想だけど仕方ないよね、だって人の幸福の為だもの
お誕生日おめでとう、はい花束」
「…ありがとう大事にするよ」
向日葵を基調にまとめられた花たちは雪道ではよく目立つ。俺が歩くとゆらゆらと揺れて、すれ違う通行人は季節はずれの花を不思議そうに振り返って見ていた。
山奥にある不思議な花屋。
たまたま機会があり立ち寄ってみた。
カランとドアベルが鳴り、目を見張る。山は雪化粧をしていたのに花屋には四季が集まり別の空間が広がっていた。
「ようこそ」
現れたのは花屋のオーナー。優しく上品な雰囲気を持つ女性だった。
「人に贈りたくて」
「えぇ。お力になりますよ」
防寒着のままの俺と春物を着ているオーナー。寒くも暑くもない、適温だった。もしかしたらこの場所で季節を管理しているのかもしれない、なんて君がいたら言うんだろうな。
君の好きな向日葵を中心に同じ色合いと、白を混ぜて、受け取る君の姿を思い描く。花の一本一本に意味を込めたくてオーナーに相談すると
「相手の方をとても大切に想ってらっしゃるんですね。お客様は情熱的です。私まで恥ずかしくなってきました」
と頬を染めながら言われてしまった。
「薔薇はもう贈ったんですか?」
「前に一本だけ。」
「まぁ…!」
オーナーが花をまとめ、包装されると花の表情が引き締まった。
「素敵に咲きますように」
魔法の呪文のように唱え、「またお待ちしています」と丁寧に見送ってくれた。まだ蕾のものがあったから言っていた言葉はその事だと思っていたんだ。
………
……
「これどうしたの?」
「不思議な噂をたよりにちょっとね」
君に渡すと冬に会えない花たちに目を瞬かせ、顔を寄せて、「ありがとう」と君が綻んで意味に気付く。
よく咲いてる。
「どういたしまして」
腕に大切に抱えられたそれは君を飾る『花束』だった。
逆さまの空に生花の花束を
見えない向こう側に野花の花束を
生臭い硫黄に造花の花束を
世界最弱の神に国花の花束を
悪しからず
~花束~
ふと海岸沿いに足を踏み入れた際
私の左耳から鐘の音が聞こえた。
少し若い声から渋めの声まで全て
取り込まれているのが横目でも分かるくらい
人が沢山いることがわかった。
新郎新婦であろう人達は
白いのをベースに綺麗に身にまとっている。
新婦は白く綺麗なAライン型のドレスで
頭には少し長めなベールが顔を覆いかぶり
幸せを噛み締めている最中であろう。
女性の人だかりが前へ出て
何かを待っている。
(ブーケトスか…?)
新婦の手には色鮮やかな花が
手に馴染んでおりとても綺麗で目移りしてしまう。
気づいたらブーケは空中に飛んでおり
なんとキャッチした相手は
女性の中に1人スラッとして黒髪が
目にかかるくらいな長めの前髪。
次の瞬間その男性がブーケを片手で取っていた。
そしてその男性が後ろを振り向き
私の方へとダッシュで走ってきた。
急なことで動揺し
その場から逃げてしまいそうになった
けれど右手から重りを感じ後ろを振り向いた。
その顔は1番よく知ってる
私が2年間片思いしていた男性が手を掴んでいた。
そしてさっきの新婦からキャッチした
ブーケを私に差し出し
男性は言葉を発した。
「3年間…君に恋してました」
なんと私より1年早めに
恋していた。
私は嬉しさのあまり言葉を失った。
目の前にはブーケの花束
言葉を迷っていると
「次は僕達が幸せのトロッコを繋げよう」
私は初めて
【大好き】【愛してる】【付き合って欲しい】
以外で告白された。
私は
そのブーケの中の花を1つ取り
相手の胸ポケットに差したのだ。
そして夕日に染まりながら
私と男性の影は重なった。
今日は疲れたから書くのはお休みしよう。
そう思ったのだが、一昨日書く習慣を始めてから、
一日一つずつ何かを書ければいいなぁ
と思ったのに、何も書かずに今日を終えるのはちょっとなぁ、と思ったので、少しだけ書くことにする。
今日のお題は『花束』。
昨日書いた『スマイル』の続きとして、
スマイルのその後を書こうかと思い、
いろいろ考えは浮かんでいるのだが、
きちんとした文にまでする気力が無いというか、
私が昨日のように書き始めると、一つの無駄なく書いたつもりでも大体2000字を越えるようで、時間がかなり掛かるので今日は書かないことにする。
要約すると、スマイルはあの後人間になった。
「あなた」が長寿を全うした頃には人工知能に感情を付与する為の機能追加をする際の費用が安価になっていた為、「あなた」の残した遺産を使い人間と同じ“心”をもった。
(というのは建前で、最後の件があった事により、感情を付与された訳でも無いのに「悲しい」という気持ちを理解し始めてしまっていた為、バレると捕まってあれやこれや研究されそうだったので、スマイルはそうなる前に考えて、“機能追加をしたからすべての感情がわかるようになった”ということにした。)
人と同じように老いることこそないが、そのようにして人間のように生活をするAIロボットは沢山いる時代になっていた為、地球が飽和状態にならないよう、いつかは活動停止する機能も追加されるようになっているので、ほとんど人間だと言えるのではないだろうか。
…ここまで書くと書きたくなってきたが…。
そのスマイルが、当時を思い出し、私は「あなた」と共に生きていたのだ、機能追加をされていたらあなたの最期に私も後を追うか、涙で部屋が埋まり自分は故障してしまっていたかもしれないから、あの時機能追加されなくて良かった、こうして全ての感情を手に入れた今考えても思う、私は本当に幸せだ、一時も不幸になったことなどない、などと考えつつ、
「あなた」の好きな花を花束にして、毎月欠かさず行なっている墓参りをする、というような話を書こうと思っていた。
そもそも『スマイル』も、その一つ前の『どこにも書けないこと』と同じような形式で読み切りやすい長さで何かを書こうと思い途中まで書いていたのだが、とても詰まらない物になったと感じたのでやめた。
その後シャワーを浴びながら考えて出来たのが『スマイル』だった。
普段文を書くことはないのだが、読んでもらえて、反応を貰えて、とても嬉しい。
皆さんのくれるハートの一つ一つが、花束のように私の心を潤してくれます。
少しでも楽しんで貰えていたら幸いです。
あなたがくれた花。私の誕生日の花だ。
教えた覚えはないのに、ちゃんと作ってくれたんだね。
普段は言えない気持ちを花言葉に代弁してもらう。花言葉は怖いものもあるけれど、素敵な言葉が私の心を満たしてくれるから、花言葉を調べるのが好きになった。
花束を買いに花屋へ行くと、昔の同僚がいた。身長は相変わらず高く、声が少し変わっていたぐらいだった。
「あ、久しぶり。今日は誰宛?」
「今日は親宛。」
「親御さん元気?」
「少し腰が本当にやばくなってきたらしいけど。それ以外は異常なし。」
「おお〜良かったじゃんか。病気とかは?」
「病気はね、全然大丈夫だって。」
「おばさん宛?おじさん宛?」
「2人共でお願いできるかな。」
「セルフ?」
「お前のおすすめので宜しく。花とか全然分からないから。」
「おーけー。じゃあ奥で待ってて。休憩所あるから、そこで休んでて。長旅疲れただろ?」
「ありがとな。」
「おーよ。お前には借りがあるからな。」
奥に入ると自販機があり、そこでコーヒーを買った。周りにはぽつぽつとお客さんが居たが結構静かだった。
自分の順番が来て、番号を呼ばれた。
表に行き、お袋と親父の花束の区別の仕方を教えてもらった。花束を貰い、お金を払い、店を出た。
数分歩くと実家に着く。ピンポーンとチャイムを鳴らし、お袋がでてきた。
「まぁ〜!大きな花束!!誰にあげるの?」
「お袋と親父。」
「私にくれるの!?私のはどっち?」
「こっち。」
「ありがとう!」
お袋は飛び跳ねるぐらい喜んでいる。膝を痛めないか心配だ、。
「親父は?」
「いつもの部屋にいるわよ。」
「ありがとう。」
いつもの部屋というのは、亡くなった兄の部屋。コンコンとドアを叩き、入れ、と親父の声が聞こえる。
「親父、」
「なんだ花束は。とうとう婚約者でも出来たのか?」
「これは親父宛。捨てるか飾るか親父の好きなようにして。」
親父は座布団から立ち、花束から1本抜き、兄の仏壇に置いた。それは兄の愛してやまないと言えるほどの好きな花だった。
「今日は泊まっていくのか?」
「ああ。兄貴と一緒に居たいからな。」
「好きにしろ。」
33テーマ【花束】
『花束』
花に興味はないけれど、ブーケのような小さな花束をもらった時、なんだか心がホワッと温かくなって笑顔が綻んだ。
花に興味はないはずなのに、自分の手元にあると愛おしさが込み上げてくる。
これは、花が持つ不思議な魔力というやつの仕業なのか。
可憐な花や艶やかな花、それぞれが輝きを放つ花束をもらって嬉しくない人なんているのだろうか。
花束をもらったらとても嬉しい。
なのに、残念なことがひとつ・・・
私は『火の手』を持っているからか、必ず枯らしてしまう。
どんなに手をかけても(かけるからか?)、日ごとに花の色が褪せていってしまう。
悲しくなってしまうが、やっぱり一輪だけでも小さくても、花があるだけで部屋の雰囲気はガラリと明るくなるから、飾りたい。
だからもし、いつかまた花束をもらう時がきたら、『水の手』を持つ妹か姉の旦那に上手な育て方を教えてもらおう。
そして私もいつか、誰かに送りたいな。
愛を込めて花束を。
花束
泣くことに慣れたあなたへ
失うことに慣れたあなたへ
さようならに慣れたあなたへ
贈り物に乾いた気持ちを。
麻紐でまとめた
まとまりのないお祝いを。
小さな君からの花束がたくさんの幸せを束ね
私のもとへやってくる
永遠に刻まれた記憶は心安らぐ香りとともに
私の心を明るく染めたのだ
紅葉のような小さな手を握り
新たな命の輝きへ贈る
「産まれてきてくれてありがとう」
☆花束☆
毎年あぜ道に咲く
白くて小さな花
部屋に飾らせてねって語りかけて
花束にした。
私の一番好きな花になった。
あの日 何気なくあなたがくれた花束
不器用な手つきで束ねて
はい!って笑顔で差し出した。
小さな胸は震えてキュンとなった。
今でも鮮やかに浮かぶ
遠い日の景色…
生まれた頃より身近にあった
幸せなことと知りもせず
ゆとりが必要なこととも知らず
その一つ一つに慈愛を持って
世界の端に生きる 声のないものに
目を向けて優しく灯す
花泥棒などと言ったものだが
野山よりも強く美しくそこにあった
あなたが心豊かで
きっと誰より優しいひとだったから
鏡のように映し出されたこころだったのだと
当たり前のようにあったものは
簡単には手に入らないもの
ずっとそばで見てきた
何もこの身に残ってはいなかった
あなたのように 凛といきいきと
寄り添う優しさを身に纏うことはなかった
それはあなたが心豊かで
きっと誰より優しいひとだったから
世界の端に生きる声のないものに
目を向けて優しく灯す
その一つ一つに慈愛を持って
幸せなことと知りもせず
そこにあったのは あなたの包み込む優しい心だった
#花束
花束
プレゼントに花を贈るなんて
なんか勿体無い、花より団子だよ
花なんて‥‥‥と思っていた
24歳の誕生日に、花束をもらった
相手はバイト先のお客さん
でも嬉しかった
団子より嬉しかった
貰って初めてわかった
花束がリボンを緩めて、ベンチに座っていた。
わたしは花束の横に座って、「もらっていいですか?」と聞いた。
花束が「どうぞ」という。
リボンを締め直すと、花束は嬉しそうに笑った。
花束
夫から、花束をもらった
どうしたの?なんで?
そう聞くと
日頃の感謝を込めて
と言われ驚いた
私のほうこそ日頃の感謝を込めて
何か送らなければならないのに
何て素敵なことだろうか。
私はお礼に夫のためだけに
夫の好きなオムライスを作って
そのオムライスにケチャップでこう書いた
LOVE🖤
花束
もらったこともないし あげたこともない
もらうと嬉しいのかなぁ?
花は好きなんだけど 花束はなぁ~😅
―花束―
日頃の感謝は
白ダリア
尊敬の意を
モスローズ
奇跡の出会いに
青バラ5本
咲きかけの恋情
紫のリラ
群青リボンでまとめて束ねて
想いの詰まった花束を手に
届け届けとこの想いよと
高まる気持ちはまだ鳴り止まぬ
私達のあの丘の上で
色とりどりの野花を摘み取る
君に手渡した私の花束
君はそれをギュッと抱き締めた
君は毎日その花束を見つめ
慈しむように水を注ぐ
花瓶に満たされたぐらつく水の上で
花々はゆらゆらと揺れながら
君は花束に水を注がなくなった
水のやり過ぎは根を腐らせるから君は正しい
私は色褪せた一輪の花を見つけ
そっと花瓶から抜き取った
君は花束を眺めている
世界が終わったような顔をしている
萎びて痩せ細った花
また一枚の花弁が花瓶の側にはらりと舞う
君は花瓶が置いてある机に顔を寝かせ
ぱらぱらと落ちた萎びた花弁を見つめている
君の顔色は花弁の色と似ている
私は一枚の花弁を拾い上げ
口元に運んでそれを食む
味気のない花弁
口の中で粉々になる
そこに微かに残るあの丘の香り
君が去った世界で
君に送った花束を
私は今も噛み締めている
「−花束−」