『花束』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
花嫁の投げたブーケが偶然手元に降ってくる。
物語みたいな展開を、まさか現実で体験するとは思わなかった。
「よかったじゃない」
友人はそう言ってくれるが、たぶん花嫁の知りあいからは恨まれているんじゃなかろうか。というかこういうのって普通仲のいい人間めがけてトスするもんじゃないの? 私は花婿側の知人だし。
花を包んでいる白い紙を指先でなんとなく弄ぶ。
……結婚ねえ。
正直、まったく興味がない。少なくとも今は自分自身のことに精一杯で、そこまで考える余裕がない。
もちろん、過去には積極的に動いたこともあった。そのすべてが私にとっては最悪な終わりを迎え続けて、いつしか熱を失った。
……たぶん、あれがなかったら、細々とでもいい出会いってやつを探していたかもしれないわね。
うっかり思い出しそうになった奴の記憶を振り払うように、友人を呼び止める。
「これ、あげるよ」
「え、いいの?」
「私より結婚したくてたまらない人のところに行ったほうが嬉しいって」
「そう?」
嬉しそうな友人の手に渡ったブーケは、私の目には眩しく見えた。
お題:花束
スマイル
向日葵
****
花束
でんしゃ とか
徒歩 だからさ
金一封のほうが
うれしい
「バレンタイン」
繰り返すだけの毎日だった私。
後輩君と、何か起こる予感がしつつ日々は過ぎた。
明日は世でいう『バレンタインデー』
そうして…私の誕生日。
特にお祝いするでもなく、毎年過ぎていく。
女子社員達は、義理チョコどうする?論争を繰り広げる時期。
その風習も、コロナ禍で消えつつあるようだ。
けれど、本命チョコはバッチリ残り
色々浮き足立っている、女子社員を羨ましく眺めていた。
「んっ?羨ましい??」
一瞬不思議な気持ちが頭をよぎった。
たぶん、魔が差して買ってしまったチョコのせいだ。
あげる気もないから、カバンの中にしまい込んである。
欧米では、男性が花束やプレゼントを渡し愛情を示す日らしいけど…
日本では関係ないし、私にも関係ない。
そうして迎えたバレンタインデー。
当日も、打ち合わせにその他の業務にと
慌ただしく過ぎていく。
チョコや誕生日なんて忘れる程に。
あっという間に終業時間。
珍しく全部の業務が終わり、定時上がりが出来た。
「先輩!時間になったので今日は上がりますね。」
「うん。珍しい事だからゆっくり休んで。」
「先輩もゆっくりして下さい。お疲れ様でした」
「ありがとう。お疲れ様。」
カバンから出すか、もたついてる間に、後輩君はいそいそと帰ってしまった。
『彼女いるのかな…?』
チクンと胸に痛みが走る。…あれ?私…
まさかね…と頭をふって、帰宅する事にした。
駅への道すがら…カバンからスマホのバイブ音
画面には後輩君の名前。どうしたのだろ?
ちょっと嫌な予感がして、出る。
「どうしたの?」
「あっ!先輩今どこです?」
「駅に向かう途中だけど…?」
やっぱり、少し焦り気味の声。何かあったのかも。
「ちょっとミスしちゃったかもで…途中の公園来て貰えますか?」
「作った資料は、手元にあるんで確認お願いします!」
予感的中…でも、ミスしてたかなぁ?
私の見落としもある可能性は否定出来ない
「わかった。すぐ行くから待ってて。」
と一言…すぐに切って、指定された公園へ急ぐ。
程なくして到着し、公園内を探す。
いた!
細身の長身…ベンチに座っていてもわかる。
憧れてる女子社員が何人かいるのも知っている。
優しく、人懐こい性格だからモテるのだろう。
そんな事より…
「お待たせ!…でどこなのミスって?」
噴水前のベンチに、座ってた後輩君が立ち上がる。
「先輩!お誕生日おめでとうございます!」
…の言葉と同時に……
目の前には可愛ミニブーケの花束。
何が起きたかわからず、混乱してる私。
「…誕生日、知っててくれたんだ?」
「当然です。先輩は、相棒ですから。」
「ごめん…私、誕生日知らないよ?」
「あー、それは知らなくて良いです。多分、笑うから…」
いつもハッキリ明朗に話す後輩君が、珍しく口ごもる。
「あっ!」
私は、今ならと…カバンからチョコレートを出す。
「これ、貰って?」
「!!!…いーんですか!? 彼氏にとかじゃ?」
思いがけずに喜ぶ後輩君。気のせいか顔が赤い?
「彼氏なんて…もう何年もいないよ」
「嬉しいです。…ならば、遠慮なく頂きます。」
私の手から、にこにこと優しく受け取る後輩君。
その姿を見た私は…今自覚した。好きなんだなと。
ストンと何かが落ちて、ワクワクとどきどきしてくる。
貰ったミニブーケを見つめ、そういえばと….
「結局、誕生日はいつなの?」
「…笑いません?……3月14日です…」
下を向きながら
少し顔を赤らめる後輩君が、可愛く思わず笑ってしまう。
「やっぱり、笑うじゃないですか!!!」
こうして、私の久しぶりの恋は、スタートしたのだった。
……………
『よかった、先輩喜んでる。』
『…でも、まだ気づいてないだろなぁ…俺の気持ちに。』
「長期戦で頑張るかな。」
ミニブーケを見ながら、微笑む先輩を見て
俺は、やっと本気になれた恋に決意をした。
墓の前供えられてる花たちが
花束に見えて 君がいなくて
真っ赤な薔薇の花束をポーンって投げてドカーンって爆発させたらひらひらって沢山のはなびらが虚空をかすめていくでしょ?
それが真っ赤なドレスがよく似合う貴方にぴったりだなっていうのは安易に想像ができたから、サプライズでやろう!って思ったの。でもいざ実行したらなんとその子泣いちゃって。
うーん…
でも そうよね。だって私、あなたと直接話したこと1度もないんだもん。残念だけど、あなたは私の事全然知らないもんね。
それにしてもあの子の泣き顔本当に可愛かったな。
これからも陰ながら応援してるね。
(影から)
#花束
花束って買ったことないな。どういう人がどういう目的で買うんだろ。
祝いの時にも訃報の時にも花はある印象だし、どんな時にでも需要はあるんだろうな。
花っていうとサボテンも花が咲くんだっけ。一時期サボテンを鑑賞植物として買おうと思ったことがあったな。結局は買わなかったけど。
サボテンは楽らしいけどそれでもやっぱ生き物はめんどうだからな。植物を生き物と呼ぶのが正しいのかはわからんけど。
とにかくたまにでも水をやらなきゃいけないこと。いつか枯れること。一番嫌なのが土台の土に虫がたかったらという不安。これらが嫌だからサボテンっていうか植物を買うのはためらう。
インテリアとしてなら手間がかからないのがいくらでもあるしな。
ただ植物が部屋にあると健康にいいってどっかで見た気がする。うろ覚えだけど緑は目や精神にいいとかなんとか。
それと植物から出るなんか、具体的にはわからんけどなんか体に良さそうな成分的なのが出てそうじゃん。
森林浴とかよく聞くしな。植物はインテリアとしてだけじゃなくて健康にもいいんだろう。
自然を部屋に置くって書くとなんかかっこいいしな。でもどれだけメリットがあってもめんどうが勝っちゃうなぁ。
感謝の気持ちを伝えたくて
君に花束を送るよ
「いつもありがとう」
─────『花束』
花はすき
君が好きだと言っていたから
花はすき
花を見ている君が幸せそうだから
花はすき
花が咲くように笑う君が好きだから
花よりも君が好き
同じ気持ちだね と笑い合うこの時間が大好きだから
この瞬間を集めて作った花束は
いつまでも綺麗で輝いて見える
2023.02.10. -花束-
「花束」
花一本一本に想いを込めて
貴方だけを想い
花を重ねていく
花言葉なんてあなたは気にもしないかもしれないけど私は結構気にするんだよ。
だから言葉の代わりに花を送る。
どうか貴方にこの気持ち伝わりますようにって願いを込めて。
言葉に出来ないことでも花でなら伝えられる気がするから。
願わくば花に込めた想いに貴方が気づいてくれますように。
貴方の元へ届きますように。
そんな願いを込めて花束を海に投げた。
大好きなあなた
もう会えないあなた
どうか遠くで笑っていますように。
そしてごめんね。
ちゃんと渡せなくてごめん。
本当はあなたの傍に置いておきたかった。
でも、出来ないんだ。ごめん。
本当にごめんなさい。
ああ。泣かないって思ってもダメみたい。
水面にちらばった花が私の想いを散らしてるようで余計に悲しくなった。
それでも私は貴方が好き。
この気持ちだけは散らさない。
ずっとあなたを想っています。
スノードロップ
薔薇
グラジオラス
ガーベラ
チューリップ
桃
マーガレット
カーネーション
ハナミズキ
ワスレナグサ
水仙
アンモビウム
チューリップ(黒)
純愛
愛
思い出
熱愛
愛の告白
あなたに夢中
真実の愛
愛を信じる
私の思いを受け止めて
私を忘れないで
愛して欲しい
不変の誓い・永遠の悲しみ
私を忘れてください
花束といえば、結婚や記念日など、華やかで素敵な場面でのプレゼントというイメージがある。なぜ、そういうシチュエーションでは花束が選ばれるのだろうか。
花束はそれほどまでに特別な存在だとは思わない。他にプレゼントできるものなんて、沢山あるし、そもそもそんなに多くの人がプレゼントしたいと思うほどに、お花のことばかり考えている人、お花のことが大好きでたまらない人なんて、一部しかいないと思う。
なんで花束なんだろう。花言葉があるから?
じゃあなんで花には、言葉や思いが込められているのだろう。〇〇言葉が他にもあっていいのに。しかも、自然に生えてるものを摘み取るよりも、自分でなにか手作りしたほうが思いは込められると思うけど。
花束=大切な人への贈り物、という風潮があるけど、そんな風潮に流され、なんとなくでプレゼントとして花束を選ぶようにはしたくない。
涙はまだ引いていない。
でも、貰った大量の花束を両手に抱え、
「ありがとうございましたっ!!!!!!」と礼をして
勢いのまま駐輪場まで走っていった。
自転車のカゴいっぱいに花束を乗せて、
「荷物、先に持って帰ればよかったかな」と笑う。
力いっぱいペダルを漕いで校門を出た。
それはまだ寒い冬の日。
私が花束を貰った日。
高校最後の部活の日。
上空からプロペラの回る音が聞こえる。こちらに近付くにつれて耳が痛くなる。忌々しい程に警鐘の如く存在を知らせる航空機は太陽と真逆の方角へ通り過ぎた。この地では草も生えず太陽を遮る高層ビルは生えてくる気配がない。私は墓石に触れる。彼が逝去してから約何年経ったろう。世界は再び阿片をきっかけに争いを起こし、平和だったあの日々とは想像もつかないくらいに、猖獗を極めた。
ただ阿片といってもそれはコンピュータ内に包含されている依存性の高い人工知能の事である。イモニセkと呼ばれる人工知能は人間関係が希薄化した電脳内政府を基礎単位とした社会には必要不可欠だった。21世紀の社会の人間関係におけるコモンウェルスは交話的コミュニケーションと忍従の肯定だった。機械的な問答、上司との飲み、気に食わない相手との会話、面倒臭い客の対応。生きる為とはいえこれが連綿と続くのなら…と未来に失望して若年層は自殺を図り、労働力は年々減っていく。
それを救ったのがイモニセkだ。人間的な返事をして、事前に得た個人情報と会話の蓄積から傾向を導出してその人物のカロカガティアに導くまるで神のような装置だった。瞬く間に出生率は上昇し、人と無理に会わずしてあらゆる生産や外務委託が可能になり、買い物もイモニセkを介して注文出来る。人間関係を必要最低限にしておくことが、電脳市民の普遍的な幸福なのだ。いや、もう市民と呼ぶのも厭わしい人間像が築かれていったのだ。 そんな人類の生が永劫に渡ると思えた。だが、この様な社会が持続する訳がない。先進国と発展途上国の格差はシュバルツシルト曲面が存在しているかのように明確な文化の境目があった。それは先進国が連合国のみで輸出入を決定したのが要因だったのだろう。発展途上国は常時トリップしている先進国の一つに攻め入り、見事に壊滅させた。そこでようやく先進国は、自分達が御伽噺に陶酔していた事に気付いた。
「君との日々は夢のように心地良かった。しかし、やはり夢だったようだ。目を覚まして、戦わなければならない。」
彼は勇ましくそう言い放った。そして悲しくも散った。
墓石の近くで少年が脳をさらして倒れている。もう彼の子供を産む事は叶わない。私の笑顔を褒めてくれる事も叶わない。ならばせめて、花を供えてやりたかった。しかし退廃した街の残骸に花は咲かない。私にはもう生きる理由などない。航空機が向かった方角を睨みながら呪詛を唱えて、地球滅亡を願った。
ふと、鮮やかな何かがある事に気付いた。警戒しながらも近付いていく。それは、花束だった。紫色の花が束になっているようだ。恐らくトリカブトだろう。墓に添える花としては相応しくないが、こんな世界には相応しい花だ。私はトリカブトの花束を取るために走る。
死ぬのなら彼の隣で。
そして私は遂に花束を手に取った。
その瞬間、私の手の中で超新星爆発の様な爆発が起きた。息ができない。全身が溶けている感覚がある。私は彼の為に、遂に何も果たせなかった。美しいものには刺があるのだと、死の直前激しく痛感した。
「花束」
花束
いつものある朝、
素敵なあなたに、お礼の花束を贈りました。
あなたは、びっくりしていたけど。
とっても嬉しいそうでした。
あなたがいてくるから、私も頑張れます。
感謝の気持ちをこめて。
いつもありがとう。
「こんな所にお花屋さん」
なんとなく足を踏み入れた裏道。いつもと違う帰り道で見つけたのは小さなフラワーショップ。大小さまざまなバケツに顔を出す色とりどりの花々。近づいただけで特有の控えめな甘さが風に運ばれてくる。
ガラスの向こうも当然のように緑と花に溢れ,所狭しと飾られたドライフラワーに花束 リースにクマの形をしたピンク色のカーネーション。
「バラにアネモネにスイートピー,チューリップにガーベラ·ダリア かすみ草とスターチス。百合に菊それから蘭と桜もある」
知っている名前を一つ一つ確認するようにして観賞する。美しく咲き誇ったものからまだ蕾のものまで各々の魅力を主張してくる。
「いいなぁ」
「花好きなんですか?」
くすくすと控えめな笑い声に振り向けば,そんなことを問われる。穏やかそうなほほ笑みを浮かべたその人はエプロン姿で,手にはふわふわとした珠のような黄色の花。あれは確か……
「ミモザ? 」
「はい 正解です。もし良かったら中見てきませんか?」
「えっ。……迷惑じゃありません?」
思っても無い誘いだけれどお仕事の邪魔をする訳にはいかない。
「見ての通り他にお客さんもいないことですし,お時間があれば話し相手になってくれませんか」
「そういうことなら,よろこんで」
エスコートされた店内は,一歩足を踏み入れただけで花の香りに包まれるそんな空間。
「いらっしゃいませ。良かったらかけて」
「ありがとうございます」
どこに視線を向けても花。小ぶりなものから大ぶりなものまで多種多様な植物たち。そんなものを眺めながら,そのひとつひとつについての話を繰り返す。
たくさんの知らない話。花の種類に面倒の見方 果てはラッピングの仕方まで。柔らかな日差しがオレンジの光に変る時までずっと。
「ああ,もうこんな時間。つい話しすぎちゃった。もうすぐ閉店の時間だ」
「遅くまでごめんなさい。仕事大丈夫ですか」
軽く一時間は話していたらしい。あまりに楽しすぎて時間を忘れていた。
「いやいや。誘ったのはこっちだから。大丈夫だよ。ほとんど済んでるから」
「そうですか。じゃあ帰ります。今日は本当にありがとうございました」
これ以上押し問答していても迷惑にしかならないので,名残惜しいがお礼を言って帰ることにする。
「ちょっと待って。はいこれ」
「……?」
渡されたのはカラフルな花のミニブーケ。どれも大きく花開いて1番美しい瞬間を閉じこめたような作品。
「サービス。明日には売れないから気にしないで。家で飾る分にはもう少し持つと思う」
「ありがとうございます。すっごく嬉しい」
顔を近づけてみればそれぞれの香りが混じりあった匂いがした。優しい色。
「どういたしまして,喜んでもらえて何より。気をつけておかえり。またおいで」
「はい,ぜひまた。さようなら」
頂いたブーケを大切に抱えながら家路に着く。ほのかな甘い香りは幸せの匂い。なんでもない日の特別な思い出。
テーマ: «花屋»
花束
27歳の終わり頃。
沢山のTo doリストを抱えて帰省した。
久しぶりの父からの誘いも多忙を理由に断ると
夜中にも関わらず突然キレだした。
「お前は、なしてそげんことも出来んとか!?」
萎んだ口元をわなわなと震えさせながら
振り下ろそうとする腕を必死で止める母。
結局、何発か叩かれたが痛くはなかった。
怖かったあの拳もすっかり歳をとっている。
それからの数日間。
父とは目も合わせずもちろん会話もない。
同じ空間にいることを拒んだ私は予定をさらに詰め、
家にはあまり帰らなかった。
まだ少し雪が残る朝。
笑い声が消えた実家から車で30分の場所にある
大きな扉の前。
久しぶりに聞いた声は少し震えていた。
「こんなお父さんだけど、〇〇ちゃんのこと大好きよ」
謝ることを知らない人が考えた精一杯の
ごめんね。だった。
まだ泣いてはいけない。
左手の大きな百合の花束をぎゅっと握り
おめでとうの声で溢れるの光へ
父と2人ゆっくりと歩き出した。
『何でもない日の花束』
蒼白い日々の行列 中間地点で皮を剥ぐ めくれた表皮に未来の斑点 冒険と称して何でもない日に意味を与える 無造作に集められた花達が束になり 今日は記念日と歌い出す 全ての何でもない人々が 生きてて良かったと思えるように
お題:花束
気持ちを伝える為に、送るような花束
貴方も大切な人へ花束を送って、気持ちを伝えてみては?――
【花束】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
2/11 PM 1:30
日本では、女性から男性へ
チョコレートを贈る日として
定着しているバレンタインデー。
海外では、男性から女性へ
花を贈るフラワーバレンタインの方が
一般的で、日本でも認知されてきたと
お昼の情報番組で紹介されていた。
とはいえ、きっとこれからも日本では、
バレンタインデーに女性がチョコを贈り、
ホワイトデーに男性がお返しをするという
慣習が続いていくんだろう。
(花、か)
宵と暁へのホワイトデーのギフトは
チョコやマカロン、マドレーヌといった
スイーツばかりだったけれど、
花を贈るのもいいのかもしれない。
(花束……ああ、でも手入れが大変か。
それよりはインテリアとして飾って
長く楽しめるような……)
検索して見つけたのは、
キューブ型の透明なシリコン樹脂に
たくさんの花を閉じ込めたような
《クリスタルハーバリウム》。
キラキラ輝く立方体の中で、花の色が
あまりにも鮮やかで綺麗だった。
宵は青系の色が好きだから、
ブルーローズを基調としたものがいい。
暁はピンク……いや、それよりも
黄やオレンジ、白といった明るくて
元気が出そうな色の花の方が
いいかもしれない。
宵は表面上は控えめに。暁は手放しで。
2人とも、きっと喜んでくれるだろう。
両手いっぱいになるほどの大きな花束
それを見て
“綺麗”
“素敵”
“愛されてる”
“幸せね”
なんて言ってくるけど
大きな花束を貰ったからって幸せだと、愛されてるなんて思えない
大きさよりも
たった1本でもいいから
私の事を考えて選んでほしい
私の容姿、私の性格、私の雰囲気、私の話し方
何でもいいんだよ
ただ私を想って一生懸命選んでくれたその1本には、きっと誰も予想できないほど
大きな愛が、幸せが詰まってる気がするから
花束
君に笑顔の花束あげる
君に幸せの花束をあげる
お返したくさんありがとう