『花咲いて』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「花咲いて」
揺らぐ水面に花びら落ちて
季節が景色を彩っていく
悲しい時間は
新しいことが少しずつ変えていく
涙池 いま花咲いて 水面春
花の美しさは花が咲いた時にわかる
つぼみの時が綺麗でも
花が咲いたら思ったより
綺麗では無いかもしれない
つぼみの時が綺麗でなくても
その花が咲いた時
その花の美しさに気づく
花は自分の力で
綺麗な花を
咲かす
誰の手も借りずに
その自然の美しさに
思わず引き込まれてしまう
自分がいた
お題[花が咲いて]
No.47
ある日、学校から帰る途中で虹色の不思議な花を見つけた。
赤、青、黄色…とそれぞれの花びらの色が違うんじゃない。
まるで七色の絵の具をパレットに出して、適当に混ぜたような、そんな柄をしていた。
確か、マーブル模様って言うんだっけ?
最初は誰かが色水にでも浸けて、そんな花を作り出したのかとも思ったけど、それは道端に咲くたんぽぽみたいに、アスファルトの上に普通に生えていた。
……もしかしてこれ、新種の花なんじゃ?
そう思って僕は、その花を手折って走って家に持ち帰った。
「お母さん! 見て、この花! 虹色なんだよ!」
僕は乱暴に玄関のドアを開けて、お母さんの元へ駆け寄った。
「虹色の花? ……お花なんてどこにあるの?」
「え? ほらここに……ってあれ?」
しっかりと掴んでいたはずの花は、もう影も形もなかった。
つつじの花が咲いている。昔通った通学路には、ユスラウメも豊富に実っていた。
つつじの花の蜜もユスラウメも、長い通学路の空腹を満たしてくれるおやつだった。
酸っぱいイタドリや道に垂れ下がっている枇杷も、子どもには格好の獲物だ。私は何だって食べた。
喉が渇いたときに、水道水を飲ませてもらっていた鍛冶屋を覚えている。
中学生になると、自転車を使うことを覚え、道端の植物をむさぼることはなくなってしまった。
さらに高校生になると、小遣いを握りしめてお好み焼き屋や安いケーキ屋に出入りするようになる。
しかしお金のいらない道端のおやつの思い出は、今でも私の気持ちを豊かにさせる。
【花咲いて】
花咲いて(2023.7.23)
記憶の中のあの子は、いつも校舎裏の花壇にいた。
「ねぇ、何してるの?」
初めはただ遠くから見つめるだけだったけれど、ある日、ふと声をかけてみた。すると、今まで作業に夢中になっていたのか、顔を上げたその子は、はっと目を丸くさせていた。
「……花の世話」
長いこと話していなかったような、か細い声だった。
「ふーん…何の花?」
私は花というよりその子自身に興味があったけれど、そんな素振りを見せないように話を続けた。
「…咲いたら、わかる。多分、来年の夏には、きっと咲いてる」
「へぇ…」
結局何の花なのかわからなくて残念な気持ちと、思っていたよりも長くかかるんだなという驚きから声が出た。
それきり私が何も言わないので、彼女はそろそろと作業に戻って、つとめて私の方を見ないようにしているようだった。私も、その後しばらくしてその場を去った。
次の年の7月、あの子が死んだ。自殺だったらしい。
私はあの子に近しいわけではなく、たまに花壇で見かける程度の関係性だったから、人伝にそのことを知った。去年から、クラスで孤立して、いじめを受けていたらしい。まぁ、よくある話か…。
もう花壇であの子を見ることはないんだな、と思うと寂しくなって、ふと、あの子の言葉を思い出した。ちょうど、今頃に、あの子が育てていた花が咲く頃じゃないだろうか。
私は校舎裏の花壇へと急いだ。
花壇に近づくにつれて、ふぅわりと、花の香りが漂っていた。白い、白い百合の花だった。
そのとき、あの子はきっと、全てわかっていたんだなと悟った。
風の中で、白百合が寂しげに、けれど頷くように、ゆらりと揺れた。
きみに言いそびれたこと、口のなかでこじれて、もうずっと、わたしの喉にはひまわりが咲いている、きみになら毟られてもいい花びらががきいろく弱弱しくひらいている
花が咲く
その瞬間この暗い世界を色付けてくれる。
花の色、匂い、形、汚れたこの世界の中でピュア(自然に)咲いている。
時々この世界を自分がキャンパスに書くなら何色で表現をするだろうかと考えると白黒
でも、花にだけは自然と色をつけたくなる
小さくて日常で見向きもされないけど、そこにだって生命力はある、私のキャンパスを輝かせてくれる。
花咲いて、花散る
ディアスポラのおかげだろうか。
この地にも、やっと花が咲く。
土、水、とっておきの陽光を注がれて。
咲く、咲く、花が咲く。
花が咲いて、花が散る。
丸っこい、ちっちゃな種を残して。
私はお花が大好き
でも、育ててたお花が🌸 枯れちゃった…
お花咲いてくれないかな
時期が来ると花が咲く。そこで終わりだと誰しもが思っている。
そうだろう?期が熟してここだと思って花開く。だがその経験を元に実を結ぶのだ。
期を待ち続けよ。
実が落ちるのはまだまだ先だ。
重くのしかかってくるような暑さから逃げるように、玄関のドアを開けて素早く内に入ると大急ぎでドアを閉めた。
ムン……、とした短い廊下を抜けてリビングの扉を開けると、ヒンヤリとした空気が抜けていく。
いきかえるー。
はあ、とひと息ついていると「おかえりー」とキッチンから君の声。
「ただいま」と返しながら君の手元を覗くと、真っ赤なスイカを切っている最中だった。
近所の人と半分こにしたらしく、他にも特売品が流しにところ狭しと並べられている。
今日あったことを楽しそうに話す君に時折、相槌を打ちながら、シャクりとスイカを頬張った。
テーマ「花咲いて」
【花咲いて】
私を情報通だと言うけど、それはあなたを知りたいから。
いろんな人と関わって、たくさんの噂に耳を澄ませる。
そうして集めた中に、あなたの想い人の話があった。
私とは似ても似つかない、もの静かできれいな人。
真実を確かめるまでもなく、あなたに打ち明けられた。
喉の奥からせり上がる嫉妬が声に出そうで、口をつぐむ。
その一線を越えなければ、私は友人でいられる。
悪魔が嘲笑うように、失恋の瞬間は目の前で訪れた。
放課後、廊下で話していたらあなたの言葉が止まる。
窓の外を見て固まっているから、私も目を向けた。
校門付近で輝く笑顔を浮かべ、噂の想い人が駆けていく。
他校の生徒と手を繋いで歩く背中をあなたは見ていた。
近すぎたのかもしれない。何を伝えても届かなくて。
冗談だと決めつけて、ありがとなって笑うのが憎い。
誰が同情とか励ましでこんなこと、言うと思うの。
大暴れするこの鼓動を聞かせてあげたい。
小さな芽生えを自覚したときに摘んでおくべきだった。
ふいにあなたに手折られて、花瓶の用意なんてない。
それでも尊く思ってしまう。馬鹿みたいでしょう。
逆さに吊るせば、少しだけ長く色を残してくれる。
自覚していた以上に、あなたへの想いは根強かった。
手折られてもなお、茎は生きていて伸びようとしている。
暇そうに揺れる手を見つめ、頭の中では妄想ばかり。
まさか、今まで通りに話せることで胸が痛むとは。
第三者から伝わる言葉は、本人のより力を持つらしい。
お節介な友人が私を哀れんで、想いを届けてしまった。
「気づかなくて」と謝らないで。もう傷つけないで。
あなたが軽く握るだけで粉々に砕け散るのだから。
いいんだよ。と一言背にかけられて
もう、いいんだ。と泣きかけて
ひたすら待ちわびて
ただ静かに
色とりどりに
遠くさざめき 花咲いて
夜空一面に花咲いて
ドカーンと響く夏の音
綻んだ顔にときめいた
『このドキドキがバレないように』
ぎゅっと握った手離さぬように
今日のテーマ
《花咲いて》
夏休みでも学校にはちらほら生徒の姿がある。
試験の点数や出席日数の不足を補うための補習授業だったり、受験対策のための夏期講習だったり、部活動のためだったり。
それでもやっぱり普段に比べると格段に人の数は少なく、校内はやけに静かだ。
僕はいつもと違うその静けさに落ち着かない気分を味わいながら、足早に廊下を進んでいく。
目的地は図書室。
夏休み前に借りた本を返しにきたのだ。
終業式の日に返却しようと思ってたのに部屋に置き忘れてしまったため、夏休み早々登校するためになったのである。
補習や講習や部活ならともかく、暑い最中、これだけのために制服を着て学校に来るというのは正直言えば億劫だった。
しらばっくれて登校日にでも返却しようかという悪い考えがチラリと頭の片隅を過ぎらなかったといえば嘘になる。
だけど学校から家に電話があったりしたら困るし……などと考えてしまい、結局小心者の僕はこうして返却しに来てるというわけだ。
幸い夏休み中でも図書室は開いていた。
これを『幸い』と分かったのは、毎日開いているわけではないとドア前の張り紙で知ったからだ。
昨日や明日来ていたら無駄足になるところだった。
図書室を開けるには当番の図書委員が在室していなければならないのだから、考えてみたら当然である。
本の返却手続きにかかったのはものの1分。
このためだけにわざわざ来たのかと思うとげんなりするが、おかげで残りの夏休みはすっきりした気分で過ごせるだろう。
そもそもは、終業式に本を忘れた自業自得である。
目的を果たせばもう学校に用はない。
家に帰ったらエアコンの効いた涼しい部屋で動画でも見て過ごそうか。
それとも午後からどこかに遊びに出かけようか。
ぼんやり考えながら駐輪場へ向かっていると、後ろからパタパタと走ってくる足音がして、ポンッと肩を叩かれた。
振り返って見ると、そこには去年同じクラスだった女子の姿。
微かに日焼けしている肌は健康的な印象だけど、彼女は運動部じゃなかったよな?
「休みなのに学校きてるなんて珍しいね。夏期講習? それとも忘れ物?」
「図書室の本、返しそびれてて、その返却。そっちは? 部活……じゃないよな?」
「美化委員の当番で花壇の水やり」
「え、そういうのって用務員さんの仕事じゃないの?」
「植木とかはそうだけど、花壇は美化委員の管轄なんだって。こんなことなら別の委員にしとけば良かった」
ミニタオルで汗を拭いながら彼女が苦笑する。
でも、口で言うほど嫌々とか渋々というような雰囲気ではないのは彼女自身が花好きなのもあるんだろう。
去年、たまたま下校時に一緒になった時、いくつかの花の名前を教えてくれたことを思い出す。
「暑い中、ご苦労さん。でも、この日差しじゃ水やってもすぐに乾いて枯れそうだな」
「そうならないよう日除けしてあげたり当番決めて水あげたりしてるんだ」
「そうなんだ」
「もし時間あるならちょっと見ていかない? 向こう側にわたしの背より大きい向日葵があるんだ。昨日咲いたばっかりですごく大きいの」
「へえ、それはちょっと興味あるな」
特に予定があるわけでもないし、僕は興味を引かれて頷いた。
いや、正直に白状するなら、向日葵自体には実はそれほど興味があるわけじゃない。
僕が本当に興味があるのは、その向日葵を思わせる笑顔を浮かべる彼女の方で。
ついさっきまで「なんで休みの日に学校になんか」って思ってたのに、今は「来て良かった」と思うんだから我ながら単純だと思う。
でも、クラスが離れて接点がすっかり減ってしまってた「ちょっといいな」と思ってた子とばったり遭遇して、偶然とはいえ2人きりで過ごせるとなれば、きっと誰だって手の平をくるっとさせるに違いない。
連れて行かれた花壇には僕と同じかそれ以上に育った向日葵がいくつもあって、その光景はなかなか壮観だ。
思わず「へえ」と声を漏らすと、彼女が得意げに頬を上気させ、キラキラの笑顔を見せてくれる。
その笑顔は、並んだ向日葵に負けないくらい輝いてて。
それが決定打になり、僕の心にあったぼんやりした好意という蕾は、鮮やかな恋の花を咲かせたのだった。
「花咲いて🌸」
花は桜が好き
家族で花見にいって 3色だんご。
職場で夜桜みながら あつあつおでん。
子供の時に家の庭の桜満開で、お隣のまこちゃん近所のじゅんちゃんと妹と写真撮影した。
当時はケムケムと呼んでいた黒い毛虫が発生するからと桜の木は切られて株になっちゃったけど。
そうそう、じゅんちゃんは変わっていたからそのケムケムを家で飼っていたわ。黒い小さなフンをしてたのが印象に残ってる。
私の小学校 中学校 高校 看護学校の入学式 卒業式の桜。
子供たちの入学式 卒業式の桜。
桜の花は
楽しい 懐かしい 不安な 新鮮な気持ちと一緒に思い出します。
最近は年老いた母と桜道を散歩した。
今度は誰と楽しもうかなぁ…。
「花咲いて」
「一向に芽が出ないなぁ」
「何を言ってるの?綺麗な花じゃない」
二人でひっそりと育て始めた。種は長い月日をかけて花が咲いた。
「俺のことだよ。漫画家目指すっていったものの、箸にも棒にも掛からない」
「貴方がヒモなのは今にはじまったことじゃないでしょ?今更貴方にサラリーマンになってなんて言わないわよ」
「俺、お前と結婚して良かった」
「私が高給取りで良かったわね」
「本当にな」
いつか芽が出るときまで、そしてそのあとも二人でいれたらいいなって思った。
「花咲いて」
午前8時30分。今日は休日なので早起きをする必要はなかったのに、なんとなく目が覚めてしまった。
カーテンを開け日光を浴び、お湯を沸かし、ストレッチをする。
普段しないことをするってだけでとても気持ちがいいもんだ。
散歩でも行こうかしら。
普段の自分では絶対出てこないようなことを思いついた。
そういえば、撮りもしないくせにデザインに惹かれてカメラを買ったんだっけ。
そう思い出し、カメラを手に家を出た。
カメラを持っているといつもより周りの景色によく目がいく。
せっかく持ってきたんだから1枚くらいは撮らないとね。
白い一輪の小さな花を見つけ、パシャリと写真を撮った。
朝の何気ない思い出に…。
「花咲いて」
私が好きな人は花が好きだった。
だから、私は園芸をするのが好きになった。
ある日、一輪の花が咲こうとしていた。
その日、好きな人が私が育てている花を見てこう言った。
「花咲いて」
と。
8(花咲いて)
「飽き性なのに、花買ったの?」
鉢を大事そうに抱える女の手元を覗き込み男は問う。つい最近始めたと言っていた趣味をここ数日やっている様子は無い。そういった事は今まで何度かあったので女を見る彼の目は胡乱げだった。
生き物でないだけマシかもしれないが、とはいえ植物も世話をしなければ枯れてしまうもの。ハマっては飽きるを繰り返す女がちゃんと世話を出来るのか不安以外のなにものでもない。
「大丈夫よ。お水は毎日でなくてもいいみたいだし、これなら私でもお花咲かせられるかなって」
「そう?サボテンの花って咲かせるの難しいんじゃないっけ?」
「みたいだけど、お水あげなきゃだからちょくちょく貴方の家に来る口実になるじゃない?」
そう言った女は男の部屋の、日当たりのいい窓の所に鉢を置き振り向いて笑みを男に向ける。女の言葉に不安そうに見ていた男の表情が途端に眉を下げニヤけそうになる口元を手のひらで覆う。
不意打ちで言われた事に不安要素は吹っ飛んでしまった。彼女の笑顔とストレートな言葉はいつも男にとっては魅力的で刺激的だ。
「もう……また調子いい事言って……」
「ふふ、本当にそう思ってるわよ?」
女が手を伸ばして男の首に腕を回した。女の温もりを感じながら男は女を抱き締め返し日の匂いと女の匂いを感じながら、ほっと息を吐いた。
「花、咲いたよ……」
男は呟く。水を与えたサボテンが陽の光を浴びてキラキラと雫が反射して綺麗だ。男のこまめな世話のお陰か、緑もつやつやとしていて小ぶりで可愛らしい花が咲いた。
陽の香りを纏った、飽きっぽい彼女はもうこの部屋に来る事はなく……。日当たりばかりが良い部屋には、残された男と、綺麗な花咲くサボテン。一人と一本ぼっち。