『美しい』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
今日のお題は「美しい」だ。語尾が「い」で終わっているから形容詞だ。つまり、今日は「美しい」何かについて書けばいいということだ。だが、私には「美しさ」が何なのかがよくわからなかった。
「美しさ」について考えるために、まず「美しい」に修飾される単語を具体的にイメージしてみた。「美しい景色」、「美しい顔」、「美しい音色」などを思い浮かべた。これらの単語から推測するに、美しさとは視覚や聴覚を通して感じられるものなのだろう。
次に、「美しさ」をより具体的に定義するため、「美しくないもの」について考えた。ここでは、「美しい」の対義語である「醜い」や「汚い」から連想されるものを思い浮かべた。「汚物」、「ドブ」、「醜女」あたりだろう。
…………眠くなってきた
……続きはまた明日…zzzz
Liebe Fern
冬の早朝。積もった雪の表面を朝日が照らしてキラキラと輝いているのが美しかった。早起きして得した気分。
美しい
夜麻登波 久尒能麻本呂婆
多多那豆久 阿袁加岐 夜麻碁母礼流
夜麻登志宇流波斯
倭は 国の真秀(まほ)ろば
畳(たたな)づく 青垣 山籠れる
倭し美(うるわ)し
大和は 真に秀でた国だ
たたみかさなる 青々とした垣根のような山々に囲まれる
大和こそ本当に美しい
古事記
倭建命
(日本武尊ヤマトタケルノミコト、
大和武命) 読めるうた
大和は奈良南部or日本全体?!
大和政権は畿内、大阪、京都等も含む?
昔の大和は、さぞかし美しいかったんだろな! 徳博🥺
通算84作目
もっと読みたい♡887記念号
人は皆、必要以上に「美しい」に拘る
無論「美しい」の対となる言葉は『醜い』だが、
何故人は皆この「美しい」に拘るのたろうか…?
そもそも、「美しい」や『醜い』なんて
所詮は概念でしか無い。
それにも関わらず皆「美しい」に執着する。
美しいものは美しいものを「美しい」といい
時には醜いものにも『美しい』と言う
けれど醜いものは醜いものを『醜い』といい
美しいものを『美しい』と言う。
そう、決して醜いものは醜いものを
『美しい』と言わないのだ。
醜いものはどれ程足掻いても『醜い』からだ。
「美しい」と『醜い』は対である
「光」と『闇』の様に。
美醜とは表裏一体なのだ。
ならば「美しい」に拘っている者は
「美しい」に拘ると同時に
『醜い』にも拘っているのでは無いか
題名:美しい
『フレンチクルーラー』
僕らはいつも冷蔵庫の前に立って ほどよい甘さを求めてる ポケットに手を入れて 退屈のふりをする
フレンチクルーラーのくるくる タイヤみたいできれいだな でも食べたらもうない ほんのりした寂しさが コーヒーを淹れなきゃと慌てて沸かしたお湯みたい
「わたし、『美しい』って言葉が、大っっっ嫌いなの」
午前6時。
まだ夜の闇が続いている。
キャンプに来た僕らは、湖畔のほとりにキャンピングカーを停めて、ベンチに座りコーヒー片手に語らっていた。
「へぇ、それはどうして?」
「だって、『美しい』があるなら、その対には必ず『醜い』があるじゃない。
わたしは、どちらかというと『醜い』側の人間だったから……」
「そんなことないよ」
「……あなたは私の味方でいてくれるからそう言ってくれるだけ。……とにかく、そんな対比がどうしても生まれてしまう『美しい』って言葉が、どうしてもだめなの」
「そっか」
空が、白みはじめた。
湖畔の水平線から、朝日が顔を出さんとしている。
水平線近くの空は燃えるような曙色に光って、その曙色を溶かすように、天に向かって空色とのグラデーションが広がっている。
「……わぁ」
彼女は、その壮大な光景に見惚れていた。
もちろん僕もそうだ。
『美しい』
#4 美しい
人間は、美しいものに惹かれると思う。
かくいう私もそんな人間だ。
初めて貴方を目にした時のことを
今でも覚えている。
ある夏の教室で、
斜陽に照らされた貴方の横顔があまりにも美しくて
戸惑うことを知らず、声をかけた。
貴方は見ず知らずの私に
優しく微笑み返してくれたのよね。
恋に落ちるのは、必然だったのかもしれない。
なんて。
美しい宇宙
沢山の惑星が散りばめられた空間である宇宙は
絶妙なバランスで存在している
その中の一つ
わたし達のいる地球🌏
地球もまた
沢山の動植物が
絶妙なバランスで存在している
この絶妙なバランスは
美しくて不思議なエネルギーによって保たれている
バランスが乱れると
元に戻そうとするエネルギーが働く
人の精神バランスが乱れると
経済が乱れる
経済バランスがみだれると
人口がみだれる
人口バランスが乱れると
人間達はお互いに戦い始める
これが自然の法則なのかもしれない
美しくて不思議な
未だかつて解明されていないエネルギーの
バランスは
善良な精神をもって整えると
決意しよう
未来を輝かせるために
綾
辛くて眠れない夜、窓から見える月が、なんとも美しく見える。
【美しい】
自然のものは美しい
人間と違って争わず醜さを知らない
人間と違って世界を汚さない
だがその自然さえも人間は汚してしまう
人間という生き物は醜すぎる
自然とは正反対だ
だが人間は美しくあろうとする
美しく着飾る
人間の努力や姿勢は美しく素晴らしい
自然には真似できないことだ
人間は知恵を使って
これからも美しくあろうとするだろう
だから人間は醜くも美しい
∮美しい
みんな思い浮かべてるって信じてる。
「生きろ、そなたは美しい」
"美しい"
「ここだ」
久々の休日、午前の殆どをボールペンやクリップ、付箋等文房具の買い足しに使い、あと数分で約束の十一時を回る頃に大我の元へ行くと「行きたい所がある」と医院近くの真新しい外装のカフェに連れ出された。
大我がカフェの扉を開けると、カランカラン、というベルの音と共に、店内から紅茶の良い香りが漂ってきた。
「いらっしゃいませ」
と、エプロンを身に付けた男性がカウンターから声をかけてきた。胸元の名札を見ると、この人が店主らしい。
見た目は、大我より数個上くらいだろうか。落ち着いた声色や口調から、精神年齢が実年齢より十歳程高い事が伺えた。
店内を見渡すと、装飾品が少なめで統一感があり間接照明で柔らかな雰囲気が醸し出されている。
店内を軽く観察していると「空いている席へどうぞ」と促され、カウンターから少し離れた二人席のテーブルに向かい合わせで座る。着席すると、大我が口を開いた。
「去年の十月にできたカフェでよ、本当は去年の内に連れて来たかったんだけど、タイミングがなくてだいぶ遅れた」
「そうだったのか。済まなかった」
よく周辺を散歩している真面目なこの人の事だ。きっと開店から数日後辺りに来ていただろう。そうでなければ「去年の内に連れて来たかった」なんて言葉は出てこない。
それなのに去年の秋頃から一週間程前までできる限りオペの予定を入れて、去年の後半は共に居る時間が極端に少なかった。自身への憤りと、スケジュールと照らし合わせて今日を選んでくれた大我への申し訳なさが押し寄せてくる。
「そう思ってんなら、今日一日でこれまでの埋め合わせをしろ」
そう言いながらメニュー表を渡される。開くと、豊富な紅茶の茶葉に紅茶以外の飲み物、数種のケーキに隅の方にクッキーが書かれていた。表に書かれているメニューの半分程だろうと思っていたので驚いた。
それとメニュー表の三分の二程が紅茶で、扉が開かれた時に紅茶の香りが漂ってきた理由が、紅茶をメインにしているからだと分かった。
「決まったか?」
「ダージリンとスポンジケーキにしようと」
「俺はカモミールとクッキー。因みにここのクッキー凄ぇ美味い」
ダージリンに合うか分かんねぇけど、と付け足す。
ダージリンとクッキーの組み合わせは聞いた事ない。だが、大我が絶賛する程だ。どのような味か気になる。
「ならスポンジケーキを止めて、クッキーにしよう」
「は?いいのかよ」
驚いた声色で聞いてくる。
「貴方がおすすめだと言っているものだ。気になるのは道理だ」
大我の口振りから察するに、恐らく何度も訪れているのだろう。何度も来た事のある者のおすすめに外れは無い。
「分かった」
すみません、とカウンターの方を向いて片手を上げて店主を呼び、各々の紅茶と二人分のプレーンクッキーを注文する。
「レジ横にケーキとかクッキーの持ち帰りあっから」
そう言ってレジの方を親指で差す。本当にこの人は。
「……んだよニヤニヤしやがって。んな顔でこっち見んな」
「済まない」
等と雑談をしている内に、頼んでいた二人分のクッキーと双方の紅茶が運ばれてきた。とても良い香りが鼻腔をくすぐる。
蒸らす為に、先にクッキーを食べる。
「どうだ?」
「……あぁ。貴方の言う通り、とても美味しい」
サクサクとしているが、バターの種類や分量に拘って作っているのだろう、しっとりともしていて口の中の水分が持っていかれない。その上甘さ控えめで、クッキー単体でもいける。やはりこの人のおすすめに従って正解だった。
「そ。気に入ったみてぇでなにより」
視線を落とすと、テーブルの上に置かれた二つの砂時計の内、大我の近くに置かれている方の砂時計の上の砂が無くなった。
「じゃ、お先に」
ダージリンはカモミールより蒸らしの時間が長い。カップに注ぐと、口元に持っていきカモミールティーを一口。
「……」
カモミールティーをカップに注ぐ仕草と飲む所作が──こう言うのは失礼だが率直に言って──いつもの大我とは違って美しく、思わず息を飲んで見惚れてしまう。
「……い。…おい」
怒気のこもった大我の声に、はっ、と我に返る。
「ん」
テーブルの上を指す。指先を辿ると、俺の近くに置かれていた、もう片方の砂時計の上の砂も無くなっていた。慌ててポットを両手に持ってカップに注ぐ。礼を言うと、再びカップに口を付けてカモミールティーを口に含み「ふん」と鼻を鳴らした。
患者相手の時のように素直に受け取れば良いものを。そういうところは全く変わらないな。
そう思いながら、ダージリンを一口含む。特徴である蜜のような香りが口の中に広がり、鼻に抜ける。数秒ダージリンの風味を楽しむと、クッキーを一枚手に取って一口食べる。
ダージリンにクッキー、意外と合うな。
なるべくお店で出す紅茶全てに合う味になるように試作を繰り返したのだろう。店内や紅茶の淹れ方だけでなく、クッキーにも相当な拘りを感じた。店主は自分が思った以上に拘りを持った人だと脱帽する。
「どうだ、気に入ったか?」
「あぁ、とても。近い内にまた来たい」
「てめぇなら気に入ると思った」
は、と鼻を鳴らして得意げに言う。その顔から、どこかほっとした表情が見て取れた。
そうは言っても、俺が本当に気に入るか心配だったのだろう。
するとまた、むすっとした顔でこちらを見てくる。
「てめぇ、何考えてやがった」
「別に、何も」
「本当か?」
「ただの思い出し笑いだ」
そう言って誤魔化すと「あっそ」と不貞腐れた声色で言ってクッキーを手に取って食べ始めた。
心の中で微笑みの声を漏らしながら、俺もクッキーを一枚手に取り食べた。
「みてよ、今日の空!」
バルコニーに出ていた彼女が、室内にいる俺を見るべく、くるりと振り返る。
風呂も終わって飯も食った俺は、室内のカウチソファにゆったりと座り、リラックスしながらバルコニーではしゃぐ彼女を見守る。
「ねえねえ、一緒に見ようよ、とっても綺麗なんだから!」
ガラス窓越しでも分かるほど、満面の笑みを浮かべた彼女は天にむかって指をさす。
最近、どうも曇りの日が続いて星が見れない状態だったたから、今日みたいに澄みきった夜空に輝く星が見れて嬉しいんだろう。
「いや、俺は遠慮しとくよ。仕事で疲れてるから。」
「そっか…うん、わかったよ!」
野外と屋内の壁を経て聞こえてきた彼女の声は籠っていた。彼女は再び、バルコニーに手を乗せて星空を眺める。
月明かりに照らされる彼女の長い髪と、部屋明かりにうっすら照らされた艶やかな背中は形容しがたい美しさを感じる。
「…綺麗だ」
「えっ?外からだと何を言ってるのか聞こえないよー!」
今宵は月も星も綺麗だが、月も星も美しい彼女を引き立てる添え物にしかみえない。
こんな俺は、きっと彼女のぞっこんなのだろう。
きみの首筋にアンタレスが光っている。
アンタレスとはさそり座の心臓にあたる赤い星。きみの白く美しい首筋に隠れているホクロのことを、僕は勝手にそう呼んでいる。
いつも髪を下ろしているから、ここにホクロがあることを知る人は少ないだろう。
でも後ろの席の僕は知っている。髪をかきあげるその時に垣間見えるその一等星を。
「ちょっと」
気がつけば、きみは怪訝な顔でこちらを向いている。
「何?」
「今見てたでしょ」
「何が?」
「私のこと」
「見てないよ」
「うそつき」
きみはまた前を向いてしまった。
……うん?
なんで真後ろにいる僕が見ていることに気づいたんだ?
きみの机の上で何かがキラッと光る。手鏡だ。
僕は知らなかった。その手鏡で、きみが僕の様子を見ていたことを。
【お題:美しい】
日常会話の中で少し冗談めかして美しいと言う以外、感嘆して心の底から美しいと口にしたことはないかもしれない。本来そういう言葉の気がする。
《美しい》
「——なあ、人はどうして醜いんだろうな」
「急になに言い出すんだ」
頭でも打ったか、とシエルはキャンバスへと向けていた手を止めた。代わりに怪訝な視線を横にずらす。
言い出した本人は、キャンバスから視線すら外さず描き続けている。
「お前もそうは思わないか? シエル」
「急にどうしたんだってオレは聞いたんだけどな、ブライトさんよォ」
そう言い、シエルはまた手を動かした。
話している時間も惜しいのだ。
「ほら、窓の外。月が見えるだろ? あれが本当に美しいなと思って……」
「それに対して人は醜いなってか? 比べるもんが可笑しいだろ、そりゃ」
「というと?」
今の言葉のどこに惹かれたのか、ブライトはなにやら楽しそうだ。
先程まで数時間、無言だったからか。
ブライトを楽しませるのは本意ではないが、口が暇なのはシエルもまた同様だ。
渋々と口を開く。
「お前の言う、月が美しいってのは、視覚的な話だ。月という物を見て、美しいと感じてるんだろ。けど、人の心の美醜はそうじゃねェ、内面的な話だ。比べるなら、月の美しさと人の容姿の美醜でも比べてろ」
「まぁ、それもそうなんだよなぁ……」
「人に分かり切ったこと言わせといて、薄い反応見せてんじゃねェよ」
「はいはい、悪い悪い。……でも、そうだとしても、人は醜いだろ?」
「おい、さっきからなにが言いてェんだ」
一拍、キャンバスを滑る筆の音が場を支配する。
「……俺は、最期くらいは、綺麗に終わりたいなって思ってさ」
ブライトがややあってそう言うと、シエルは間髪入れずに溜息を吐いた。
「あのなぁ、十分世間様から見れば綺麗に生きてるだろお前……!」
「シエル、そういうことじゃなくてだな」
「そういうことだっての! だってな、他所からすりゃお前みたいな順風満帆な人生送ってる奴は、大層お綺麗に見えるだろ」
元は平民の生まれであるブライトは、幼少の頃から絵を描くことが好きだった。道端で拾った石と水で街中に落書きしたところ、怒られるどころかその才を見込まれ地方貴族の養子となった。
そして数年経ち、ブライトは『天才画家』と呼ばれるようになった。
若くして売れた画家の人生が、順風満帆でなければなんなのだろう。
こうしてシエルが、ブライトの為のアトリエで共に絵を描いて居られるのも彼のお陰である。
意地でも、絶対に言わないが。
「……ま、オレはお前のこと、結構醜い生き方してんなって思うぜ」
「へぇ……?」
意外だったのか、今度はブライトが手を止めてシエルを見つめる。
「天才だなんだって言われてるけど、実際はただの努力の成果でしかない。どっちかっつーと才能だけならオレの方がある」
「なんだ、自慢か?」
「茶化すな。……だからお前は秀才だよ、紛れもなくな。それこそ、人には話せねェくらいの泥水啜って生きてる時だってあった。手の付けようがねェくらい暴れてた時もあった。ただ、そんなお前を知ってるのがオレくらいなんだよ。だから他人様から見りゃお前は綺麗でも、オレから見りゃお前は醜いのさ」
「そうか……そう、だな……」
ぼんやりと返事をしたかと思うと、ブライトは筆を動かし始めた。
シエルはまだ吹っ切れていない様子のブライトに呆れるが、話を続ける。
「だから、死ぬ時も孤独に死んでけ。誰とも結ばれないまま寂しく独りで死んで、五日経って、腐乱した死体でもオレが見に行ってやるさ」
「見に来てはくれるのか」
苦笑しつつもブライトは、心が軽くなったように感じた。
「腐れ縁が繋がってれば、な。そん時にゃあ切れてるかもしんねェけどな」
「……なあ、シエル。お前に頼みたいことがあるんだがいいか?」
「内容による。……なんて冗談だ。なんだよ」
腐れ縁であるブライトに妙に改まってお願いされると、シエルは居心地が悪く感じた。
「俺と一生友達で居てくれないか」
「なんだ、そんなことでいいのかよ」
拍子抜けした表情で筆を進めるシエルに、
「あ、もちろん友達なんだから、最期は看取ってくれるよな?」
「おう……あ、でもオレは独身貫く気ねェからな! 勝手に独りで逝ってろ、オレは絶対に誰かと幸せになってやる」
全くもって、潔い宣言である。
「……わかった、それでいいよ」
「い、いいのか」
「いいけどその代わり、これだけは譲らない」
なんだ、と言いかけたシエルの頬に手を添えてブライトは微笑む。
「お前のこの、綺麗な目だけは俺にくれ。一生、俺だけを見ろ」
「…………こ、告白みたいなこと言うなよなぁっ!」
「ある意味間違ってないな」
「……っ!?」
動揺するシエルを置いて、ブライトは筆を取った。そのまま絵を描き始める。
「お前は——シエルだけは俺を色眼鏡で見たりしないだろ? だから、くれって言ったんだ」
「……っ、あぁ、そういう……変な言い方すんなよ、馬鹿」
「なにと誤解したんだか……くくく」
「笑ってんじゃねェ! るせェ!!」
「夜中にうるさいのはそっちだろ?」
「ぐぅっ……!」
ブライトの言ったことは正論で、シエルは無言になって止まっていた手を動かす。
「……あー、くそ、まあいいけどな? 腐れ縁が切れてなきゃな!」
「切れてないことを祈るさ、切にね」
なんだかんだ言って承諾したシエルに、ブライトは笑みを隠し切れなかった。
ブライトにとってシエルだけは、『天才』と言って自分を遠ざけたりしない唯一の存在なのだから。
やがて彼らはは歴史に名を残す。
『天才画家』と呼ばれた画家、ブライトと。
そのブライトと交流のあった画家、シエルとして。
ブライトは生涯独身を貫き、シエルに看取られて病で命を落とした。
70年来の腐れ縁であるシエルもまた、生涯独身を貫き、ブライトの後を追うように二年後老衰で亡くなった。
シエルが弟に託したという日記が、彼の実家で過ごす子孫から博物館に寄贈された。
その内容は、ブライトがどれほど努力を重ねて来たのかを、シエルの感情を交えて書いたものが多く、生涯書き続けたのか百冊以上のノートが日記であった。
かくして、この日記を元に歴史は正された。
かつて『天才画家』と呼ばれた秀才、ブライトと。
彼と共に在り続けた親友の画家、シエルと。
彼らの一生を描いた作品は、世界中で劇として広められた。
有名な、最後の一節がある。
「美しさを求めた彼らの作品は、決して完成することはなかった」
完成を、生きている内に感じればそれで画家として終わりだ。
だからこそ、彼らは求め続けた。
彼らの人生は、世界で最も美しい友情の物語として、今も語り継がれている。
「美しい」
その言葉は人生で何回、使うだろうか。
かわいい、かっこいい、すてき、すごい、きれい。
世界には、たくさんの言葉がある。
私はかわいい、かっこいい、すてき、すごい、きれい今挙げたのは日常の中でも、
使っている言葉だ。
だけど「美しい」は、
あまり使わない。
だから、「美しい」は、心の底から感動したとき
そう言うのではないか。
「美しい」
美しい
美しいとは相対評価ではなく絶対評価こそが相応しい。何かと比較して使うものじゃないってことだな。
自分の感性が感じたまま褒め称え、その虜にされちまった時に思わず出てしまうような、修飾語よりは感嘆符に思う。
とにかく、最近美しいものに出会えているだろうか。あるいは自分が醜くなっていってはいないだろうか。ルッキズムが染み付いているわけじゃないが、見た目の衰え方が不健康を連想させてしまうようなら、美しくあるべきと言い切ってしまっていいだろう。
死ぬまで若々しいのがきっと良い歳の取り方でしょ。病気で急激に痩せる姿を見すぎてツラいんだよ最近。反面教師って言うと悪意が感じられるだろうが、死ぬまで杖のいらない足腰や自分の歯で物を噛み続けたい願望が俺にはある。
死にたくても、生き足掻いて、自分を磨く。最後まで生き抜く姿はきっと美しいものだと信じてるから。
あんなにも気難しいミルフィーユをまるで洗いたてのお皿のように食べ終えたあなたは、今日もどこかで凛と生きていることでしょう。
#美しい
電車で騒ぐ人がいて、誰も咎めないその意識の拮抗
反り返った花びらの群れは、穢れでしょうか。
例えばそれを正す人がいて、その瞬間にふっと糸がほつれていく。
ほんの少しそれが勿体ないような気がするのは、気狂いでしょうか。
誰も知らない互いが一瞬だけ一体となったあの瞬間が、
とても社会じみていて。