『突然の別れ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
考えたくなかったよ
こんな風に消えてしまうなんて
どんな言葉を投げかければよかったの
どんな優しさを与えればよかったの
どうすれば君を引き留めることができたの
僕の傷になることが君の願いだったの
止まらない涙を望んでいたの
永遠に癒えることのない
傷痕として遺ることを願ったの
きっと違うと思いたくても
僕はもう思えないよ
#突然の別れ
家で過ごすときは常に一緒。
彼を呼べば彼女も一緒に連れてきて、寝るときも寄り添っている。
それなのに、彼女を連れて歩いているとき、彼女が何かに引っかかったことに気づかず彼が引っ張ってしまい、彼女が…。
何が起きたかわからない彼は、バラバラになった彼女をただ見つめる。
俺は、大好きなぬいぐるみの彼女と突然の別れをした彼、愛犬を慰めようと抱きしめた。
【突然の別れ】
いつも"なにか"に怯えて、悩んで、疲れている。
その"なにか"がなんなのか分からなくて怖い。
探してみようか。
嫌な人間なんて関わりやしないから違うし
恋するような人間もいない
友達がいない訳では無い
何に私は悩んでいる?
怯えている?
分からない…
心理テストか何かで調べてみようかな。
――――あぁ…そうか…
もうわかってたんだ。
周りが離れるのを恐れているんだ。
誰かがいないと不安だから
一人は怖いから
不安なんてあればあるほど無駄だから
心の奥底に隠したんだ。
もう1度忘れることはできるかな。
胸が冷たい…
―――――――なにかの正体。そして後悔
58〘 突然の別れ 〙
君は十年前、突然消えた。
まだ、君の体は見つかっていない。
なんでなんだろう。
なんで君だったんだろう。
どうして僕じゃなかったんだ。
なんで君を一人で待たせてしまったのだろう。
僕は彼氏失格だよ、。
君の捜査が打ち切りになってから八年ほど経ったよ?
君の服すらも、足跡すらも、小物すらも、髪の毛一本でさえも見つからない。
どこに行ったの?
なんで、君の異変に気付かなかったんだろう。
もう自分を問いつめても君は帰ってこない。
ならば、もう君のことを忘れる方が早いだろう。
なら、方法はたったひとつだ。
〖自分で自分を殺す〗。ただそれだけ。
もう、君と会えないのならば、僕は何をしたって君に会いに行く。
もう、君から離れたくないからさ。
きみはバイト中スマホ触れないから、私だけ返信を待ち続けてる。ゆるいバイトでラッキーとか思ってたけど、きみからの連絡待つの、結構しんどいかも。
"突然の別れ"
『じゃあまた明日ね』
この言葉を最後にあなたはいなくなった。
突然の別れ…
『愛してる』は普段から伝えといた方がいいんだなぁ
3000字超えてしまった。人が死ぬ話が出ます。
例えば愛したひとが。
「あなたに会えない間、幾夜となく枕を濡らしていた」
と独白したのなら。それか、そういう苦しく醜くぬるい心の隙を予測させるような、涙を見せるような振る舞いをしたのなら。
空想であっても甘ったるい気持ちの良さが身を包む。
それは、愛したひとが世では健気と呼ばれる性根をしていたのなら、とまで思考を融かす歌声だった。
ゆっくり瞼を持ち上げる。
酒の入ったグラス、ジョッキ、酒瓶たちは相変わらずガタついたテーブルの上で立っている。陽も落ちた薄暗い店内でステージからの光を受けてゆらめいていた。
鼓膜に触れては脳までじんと響くその歌詞が、というよりは、声が。
ふ、と笑って感想をこぼした。
「良い歌だ」
自分の横に座るひとが眉を寄せて腕を引く。野暮ったく俗っぽく、嫉妬とからかい笑ってやろうか迷ってすぐにやめた。その反撃に馬乗りになって襟元を手繰り寄せ、そのうえ凄んで「いまなんつった?」と怒気を滲ませるのが、己の愛するひとなので。
「お前の調子っ外れの子守唄も聞きてェな」
腕に触れていた指が今度は強くひねる。それでも恋人のふれあいを飛び出さない痛みに、今度は堪えきれない笑いが出てくる。
「ふ、ふふ、いや、悪ィ」
「悪ィって思ってないなら言うなよ」
「まさか。心から思ってるさ」
それから少しばかり酒は残っていたけれど心地の良いジャズミュージックをよそに連れの機嫌が悪くなるので、店の者に勘定を済ませて外に出る。
まだまだ宵っぱりには明るい。自分にとっては街灯も店灯も眠ってからが本番であった。
やがて目が慣れた空と街並みから視線を横に映す。
騒がしい夜が始まったばかりの街の中で、豊かな髪も怜悧な顔つきもいっとう好ましい。歳の数だけ嗜んだ遊びを肌に透かし見せつけるように成長している。なんて悪い人間に引っかかったもんだと呆れるには教え込んだ側に立ちすぎていた。とはいえ諸手をあげて「ようこそこちら側に」と迎えるにはかわいがりすぎた自覚もある。
店が見えなくなってもいまだ耳に残るほど良い歌だった。がなるように大きいわけでもないのにずっと昔に下した決断を揺すってくる、力強い歌声だった。たまらず、掻き乱された胸中のままに横の頭に手を伸ばす。
「うわっ、なに」
十や二十そこらのガキの頃からではなく、大人として数年の付き合いであるけれども。このある程度見守った存在を恋人と呼んでいいものか一時期はそれなりに悩んだものだった。
「いいや、なにもねェさ」
しかしまあ、二人は大人で自分の人生に自信と責任を持てるので、恋人と呼ぶことに決めたのだ。
ぐしゃぐしゃになった髪を少しずつ手櫛で直してやる。手のひらで隠れた奥から腑に落ちない文句が飛んでくるがなんてことはない。これも自分たちの間にあるコミュニケーションのひとつだ。
恋をするなら後腐れのない奴が良い。愛ならすでに出会った、そして幾度となく別れもした、気のいい奴らにも向けている。恋人、友人、仲間、相棒、色とりどりの中からどれがマシか選んだだけ。そこに師弟か兄弟のような何か言葉に押し込められない情があろうとも、その名前は都合が良いからという理由であろうとも、自由にやっていい身の上であることもあって。
それらの前置きを砕いて美しく重ね直した瓦礫の上に二人は立っている。
他には向けない言葉でぐるっと包み込む気持ちで、不満げにしつつも甘んじてこの手を受ける愛するひとを、恋人と呼ぶのだ。
もう一度店を訪れにゆく。
「酒を出すとこが朝からやってることなんてある?」
「飲み損ねたジンが惜しい」
「酒好きの奴らって意味わかんねェな……」
ぶつくさとうるさい恋人を引っ張って昨晩も登った坂を歩いていた。
「だいたい、それなら昨日残ってたら良かっただろ。こっちは一人で帰れたぞ」
その言葉がアルコールに強いことや飲みすぎない自制ができる意味だとしても、少し気に食わなかった。
からかいには敏感で怒鳴るような奴だがやり返し自体はすんなり通る奴でもある。だから握った腕に込める力を強めて振り返った。けれどやはりその痛みは恋人のふれあいの範疇になるように。
相変わらず眉間に皺があるが、その下の目はバツが悪そうに脇道のキジトラを追いゆく。自分が原因で酒が飲めなかったから今度は邪魔をしたくない、なんて心の隙は涙を見せずとも十分わかりきってしまった。
「悪いと思ってないなら言わなくていいぜ」
「……くそ」
「はは」
夜の吐息もない空気をさいて手を振り払われる。乾いた瞳がキッと睨みつけてくるのを心から可愛らしく思う。
恋人はもう一息の坂を駆け上がって一番上で青白い空を背に立った。
「ばーか!」
「はっ、ガキかよ」
でもこの街に来てから一番の笑顔だったから、ガキに戻ってしまった恋人に再び倣わせるのも、きっと脳を焼く喜びの予感に満たされるだろう。
清々しさとは裏腹に嗜めるために追いつくかと足を早める。どこに居たとしてもよそ者が目立つとすぐに要らぬやっかみを買うから。
現に酒場が見えた頃で道すがら幼い罵倒を耳にして出てきた住人の顔に、すかさず片手を振って問題ないことを告げる。
「痴話喧嘩かい」
「まあそんなところだ」
ほら、便利だ。
「仲が良いならそっちには行くんじゃねェぞ、楽しくねェ」
「なに?」
「真夜中に向こうの店で騒ぎが起きたんだ。警邏の連中がいるぜ。歌い子が死んじまった」
嫌な世の中だ。あんなに上手な子が。ああ、しみったれた通りに戻っちまう。
老人にさしかかった男はどんどん呟き落としてついには肩も曲げて「よそ者は出て行った方がいい」と言ったきり無言で軒先に戻っていった。
熱が冷めたわけではないのに楽しみが消えたように、二人は穏やかに日常に戻っていく。揃って静かに踵を返す。
「ジン、悪かった。ほんとうに」
もう一度捉えていた腕の先では同じように話を聞き拾っていた。
「いや、いいさ」
「歌も聞きたかったんだろ」
「別に」
誤魔化しや諦めではなかった。
長い旅路の中では別れはつきものだし、こうやって隣に立つ奴を選んだ以上、出会っただけの人間を強く惜しむ気持ちは湧いてこないままだ。
「ボトルの名前さえ聞けりゃあ良かった。そっちはもう飲めねェわけでもなし。歌もだ」
行きよりずっとゆったりと歩き、キジトラのいなくなったほかは変わらない路地も通り過ぎた。
「あの子の名前さえ聞けりゃあ良かった?」
そして愛しいひとも変わらず腕を触ってくるので本当に悪く思っているのかと疑問が頭をもたげてくる。しかしもうどうとでもなることだ。悋気もどきの相手が没したならやりようはいくらでもあった。
元々朝っぱらから酒が飲めるとは思ってない。多めに支払って釣りも要らないとしてきたなら、その恩でボトルやちょっとしたことくらいは教えてくれるだろうという算段だったのだが。
「歌のコツだけ聞けりゃあ良かった。お前の子守唄は寝るもんも寝れねェよ」
「……嘘だろ、そんなに?」
街の境を超える頃にはあくびを一つ。
のん気な街だと飽きてくるし、そこに名も知らぬ歌い子の悲劇が加わったとして自分たちには些事。突然の別れなんてものはありふれて、さらに言うなら悲劇ですらない。
次の街でも恋人として楽に過ごせたらいいと笑って肩を組む。のど元をくすぐる髪からは染みついた悪い人間の香りがした。
「だがまあ、恋ぐらいならしても良かったな」
「この誑しがよォ……そのうち痛い目に遭うぞ」
誑し込まれた被害者本人が恨めしく顎を狙うことであるし、まったくなんて信憑性のある言葉だろう。それからしばらく無言でお互いの脇腹をつつき合う。
すっかり姿を現しきった太陽を向いて、時々場違いなメロディを練習しながら二人は出立した。
―突然の別れ―
突然の別れ
絶望のどん底に突き落とされたような
自分の持つもの全てが手から零れたような
頭が空っぽになって何も考えられなくなる
そんな中、昔もこんなことがあったな
なんてぼんやりと思う
あのときは純粋で、心のどこかで
また会えるなんて思っていたから、
この絶望感は今より薄れたものだった
だが今は違う
あの頃よりずっと成長して
色々なことを知った今では
またいつかなんてことは恐らくない
そう感じる
その分衝撃は大きく
私の日常を灰色に塗り替え
視界に靄をかけていった
忘れることのできない突然の別れ。
人は幾つもの別れを経験して生きていく。
だけど最初の別れが幼い私に。
何事もなかった平凡で平和な日々に突然訪れた。
一生分の涙を流した、枯れ果てるまで流した。
もう涙は残ってないだろう。
幼い私だけどその時自分に誓ったの。
父と妹を一生守っていくって。
「突然の別れ」
私の友達は少し変だ
ある日彼女が虫を潰して笑っている姿を見た
鳥肌が立った
彼女が家で大事に飼っていた
私の手と同じくらいの大きさの虫だ
彼女はぶつぶつと何かをつぶやき笑いながら
両手の間にはさんでこするようにして潰した
鳥肌が立った
私は彼女とはもう関わらないことにした
彼女と話さなくなってから一ヶ月
彼女は突然学校に来なくなった
どうしたんだろ
少し心配したが嬉しい気持ちの方が強かった
もうビビらなくていい
学校が終わり家に帰った
リビングに入るといつもと同じ母の姿があった
「ただいまー」
「お帰りお友達きてるよ」
誰だろ
私はワクワクしながら自分の部屋に入った
入った瞬間私は動けなくなった
部屋の真ん中にぽつんと座り
こちらを向いてニヤけているのは彼女だった
私が動けずに部屋の入口で立っていると
彼女が近づいてきて耳元で囁いた
「突然別れることがあっても忘れないでね」
あれ なんか聞いたことあるな
私は倒れた 同時に思い出した
一度彼女の家に遊びに行った時に何度も言っていた
その時は「誰」に言っているのか分からなかった
だが今分かった
「人」ではなく「虫」に言っていたのだ
ぼやけた視界に映つりこんだ彼女の顔は
とても笑っていた
突然の別れ
この先もこの関係が続くと思っていた
昔からずっと変わらない君は
少しずつ僕の知らない所で変わっていて
変わっていく君を僕は気づけなかった
自分の鈍感さに驚いている
あんなに近くに居て
君の些細な合図に気づけなくて
愚かにも君を傷つけていた
君は次第に嘘をつくようになった
人の為に自分を偽って心を殺した
そんな君に僕はいつも通りに接して
君も相も変わらずいつも通りに接してくれた
多分君の心はもう限界だったんだ
次第に君は周りの人達を避け
連絡も段々取れなくなり
いつの間にか君は消えていた
最後の電話は君なりのけじめだったのかもしれない
あれからもう何十年と経つ
前に君が誰かと居たと言うのを風の噂で耳にした
それも何年も前の話だ
今君が何処に居て
誰と居て
どんな時を過ごしているか分からないけど
幸せでいて欲しい
そしてもし叶うならまた君に逢いたいです
あなたは通り雨のようにやってきて
そして 去っていった
何度聴いたかわからない
"Yesterday" の歌詞が
今はじめて鼓膜を突き破り
心に流れた
あんなに苛立ってばかりだったのに
どうして思い出すのは
あの日の散歩道
笑いあったこと、夢のはなし、
大きくあたたかい手
もう涙も自分でどうにかするしかないんだね
別れってものは、急にくる。
いつもそう。
逆に分かってたらすごくない?笑
まぁでも。人は別れから学ぶ生き物だから。
人生は別れからスタートだよ
よく産んだねえらかったね
2人も育ててえらいね
ベッドに寝転びほめてくれる
上から見下ろすのが
申し訳なくて座った
同じ高さでしわくちゃに笑う
祖母がいた
いつも味方でいてくれて
いつも大丈夫と言ってくれて
ありがとうございます
別れは突然だったけど
ツライときは思い出すのです
世の中の事は大体なんとかなるのよ
語ったあなたを
'別れは突然に,
友達が引っ越してしまう。
一週間後だそうだ。
友達と言っても友達だったという方がしっくりくる。
クラスが変わりお互い遊ばなくなった。
ただ、お別れだけは言いたかった。
でも、あの時も上手く言えなかった。
何て言えばいいのか分からないのがそのまま言葉になった。
友達だった人は困った顔をしていた。
今もきっと変わらない。
だから、お別れを言わずに別れるようになった。
【突然の別れ】
いつも同じ挨拶の匿名メッセージが来ていた。いわゆるシャワー投稿というもので、自分がフォローしている人に、あなた達の作品を余さず見ています、でもこのような季節ですから、○○を楽しみながら、体調にお気をつけて、という文言だ。
私や相互フォローの友人達は、それを楽しみにしていた。ただ呼びかけても出てくることはなかったので、きっとシャイな人なんだろうと思っていた。毎月初週に必ず来るので、ひっそりと月刊さん、と呼んでいた。
それが二年ほど続いたあとの夏、ぱたっと、そのメッセージが来なくなった。私達は見えるところで「月刊さんが来ないね」「お元気かな」「体調崩されてるならどうかあなたこそ気を付けてね」と、示し合わせたでもなく呟いていた。
一月しても、二月しても、そのメッセージはもう来なかった。
春先頃、相互フォローの友人と会う機会があった。私はなんともなしに、「月刊さん、お元気かな」と問うてみた。
「えっ誰?」
という彼女の返事に、ああごめんね、あなたの相互さんじゃなかったかも、と誤魔化した。きっともう忘れてしまったのだ。
私は少し悲しいな、と思いながら、月刊さんのメッセージを見返した。個人に向けたものではないが、皆が楽しく活動することを祈ったものだ。
フォロワー数を見る。その中に彼女はまだ居るのだろうか。数が多く、探しきれる気がしない。
SNS上での別れは、こうして起きるのだな、と、初夏に差し掛かるカレンダーを眺めた。
【突然の別れ】
恩人が亡くなった、と突然連絡がきた。本当に突然死だったらしい。ご夫婦2人暮らしで夜遅くなったのにテレビの音を高くしていたので、ご主人が奥さんに注意したら反応がなく救急車で運ばれたけれどダメだったと、体調があまり良くない、と言うので翌日は息子さんと病院に行く予定だったと息子さんから聞いた。あまりにも潔い最期を知り彼女らしいな、本当にそういうことがあるのだと思いながらも、もう一度会ってお礼を言いたかった、私の心を救ってくださってありがとうときちんと言いたかった。
姑との関係、言われたことが頭のなかでリフレインし忘れられず苦しくて胸の内を吐き出した私に、心療内科を紹介してくれて…
「でもあなたはこうやって誰かに話すだけでも大丈夫かもね」といつも私の話しに黙って頷きながら聞いてくれた。
子どもが幼い頃、姑のストレスを子どもに暴言を吐き、ぶつけてしまった自分のふがいなさに涙したとき「その時はそうしなければあなたが壊れてしまってただろうから仕方なかったのよ、それでもよい子に育ったんだから大丈夫!」と言ってくれた。
いつも気にかけてくれて季節の惣菜や食べ物も届けてくれて言葉やメールや手紙で私を支えてくれた。
こんな突然の別れは伝えたい言葉も思いもどうすれば良いのかわからない。さまよう言葉と思いを、これからもずっと抱えながら生きていくしかないのだろう。それが彼女を忘れずにいることの証しになるのかもしれない。
#8
なんか、ぱたっと話さなくなった。
もちろんその人が何をしてるか気になる。
何か不安なことがないか、苦しくないか、辛くないか心配だ。
辛いなら助けてあげたいとずっと思ってた。
1週間、1ヶ月とずっと気になる。ずっと心配してた。
あの人と話さなくなってから少したった。
ずっと意識して心配してたはず。
『そういえば、誰だけあれ』
意識の中で別れなんてすぐ訪れ
さっと簡単に消える。
家に帰ると彼はいなかった。彼だけではない。彼の痕跡全てが綺麗にまっさらに消えていた。洗面所から歯ブラシは消えキッチンから箸が消え、靴箱には私の靴しか入っておらず、彼の部屋に至ってはまるで引っ越してきたばかりかのように何一つ残っていなかった。家具すら、無かったのだ。
それらを確かめ、すっかり混乱してリビングにへたりこんだ私は、とりあえず連絡しようとして硬直する。彼の連絡先がひとつも残っていない。私は絶対に消していないのに、いくら目を凝らしても名前は見つからず困り果ててしまった。
意味がわからず目を泳がせると、写真立てが目に入る。中の写真はツーショットだったはずなのに、人影がひとつしかない。慌てて膝で歩いて近づくが、やはり私の姿しかないのだ。おかしい。絶対におかしい。
彼の何もかもが、無い。まるで彼自体が夢だったかのように、全て煙のように消えてしまった。存在さえも消えてしまったというのだろうか。もはや彼の存在を主張するのは私の記憶と、テーブルにただ一枚残された紙。彼の筆跡で書かれたただ四文字、『愛してる』という文字だけだった。
『突然の別れ』
別れは、時により突然だ。
恋人に突然別れを告げられる
慕っていた人が自殺で突然死ぬ
家族が事故で死ぬ
突然知らない人に刺され死ぬ
きっと他にもあるのだろうけど僕が思いつくのはここまでだ。
誰しも突然の別れを事前に回避することはできない。
結局は別れてすぐに気づくものなのだ。
自分がしてしまったこと
自分が殺ってしまったこと
突然の別れでやっと気づく
そして後悔をする。
だから、僕は思う。
突然がいつ来てもいいように現実をすぐに受け入れるように、準備をしておいたほうがいいと。
それが僕の思う突然の別れ。
だって人がいつ死ぬかなんて誰もわからないからね
# 7