【突然の別れ】
いつも同じ挨拶の匿名メッセージが来ていた。いわゆるシャワー投稿というもので、自分がフォローしている人に、あなた達の作品を余さず見ています、でもこのような季節ですから、○○を楽しみながら、体調にお気をつけて、という文言だ。
私や相互フォローの友人達は、それを楽しみにしていた。ただ呼びかけても出てくることはなかったので、きっとシャイな人なんだろうと思っていた。毎月初週に必ず来るので、ひっそりと月刊さん、と呼んでいた。
それが二年ほど続いたあとの夏、ぱたっと、そのメッセージが来なくなった。私達は見えるところで「月刊さんが来ないね」「お元気かな」「体調崩されてるならどうかあなたこそ気を付けてね」と、示し合わせたでもなく呟いていた。
一月しても、二月しても、そのメッセージはもう来なかった。
春先頃、相互フォローの友人と会う機会があった。私はなんともなしに、「月刊さん、お元気かな」と問うてみた。
「えっ誰?」
という彼女の返事に、ああごめんね、あなたの相互さんじゃなかったかも、と誤魔化した。きっともう忘れてしまったのだ。
私は少し悲しいな、と思いながら、月刊さんのメッセージを見返した。個人に向けたものではないが、皆が楽しく活動することを祈ったものだ。
フォロワー数を見る。その中に彼女はまだ居るのだろうか。数が多く、探しきれる気がしない。
SNS上での別れは、こうして起きるのだな、と、初夏に差し掛かるカレンダーを眺めた。
5/20/2023, 6:19:33 AM