『突然の別れ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ああ
押しつぶされる
胸が苦しい
空気が重くのしかかる
見えない寒天にかためられて
身動きがとれない
逃げだしたい
突然おさらばしたくなる
どこかに
どこに
目をつぶろう
(突然の別れ)
LINEが来なくなりました。
おはよう から おやすみ まで
数時間おきに 一日中来ていたLINE。
なんとなく 予感してたから
もう 私からはLINEできません。
最後のLINEは
立ち寄った飲食店の感想でした。
「美味しかったよ」
満足気なあなたの顔が浮かぶけど
別れの言葉には ちょっと 悲しすぎない?
#突然の分かれ
~突然の別れ~
何故です
何故一緒に連れていってはくれないのです
私達はあなたのために存在する者なのに
56文字の黒の史書
中途半端に手をつけなかったのがいけなかった。
手で触り、残ったパウダーもすべて舐めてしまうくらいの覚悟は必要だったんだ。
それは突然の別れだった。
グミをひとつコンクリートの上に落とした。
空腹を満たすために、いつも携帯していたパウダー多めのグミ。オレの大好物。
そりゃあ、一粒だって無駄にしたくないさ。
一体どこから間違ってたんだろう。
家にもうすぐ着くというのに赤信号の待ち時間を利用して食べようとしたせいか。
公共交通機関を利用したあとの手を妙に気にして、手で触れるのを避け、袋を傾けながら口に放り込もうとしたせいか。
思えば、前にもこのようなことがあったような、それで今度こそはミスらないと心に誓いを立てたような。
まあ、今さら考えたところで何も残らない。
オレにできるのは、せいぜい袋の中に取り残されたオレに食べられる哀れな運命を背負わされた烏合の衆に慈愛の念を抱いて食すぐらい。
「ねえ、聞いてる?」
そもそもとして、
「ねえ!」
耳を突き刺すような声に従って意識を向けると、彼女のほのかに上気した顔が目の前に迫っていた。
「あ、う、ごめん。聞いてなかった。えっとなんて?」
「っ! いつもそうだよね。わたしの話なんてそっちのけで、どっかにいっちゃう。もうこりごりだよ。あのさ、別れよう」
オレは食道にグミが詰まったかのように声が出なくなった。
いつもの調子で弁明などすべきなのに。
それは突然の別れだった。
〜突然の別れ〜
何も言わずになんてひどいよ
なんて言えるほど追いかけ続けていれたかな
失ってから気付くなんて往々に言うけど
手が届く間にどれだけ握りしめたか
「テーマ:突然の別れ」
それはおばあちゃんの家の壁に描かれていた。
色とりどりの絵の具が輝き、すももやあけびがいっぱいに実る楽園のような壁画の中に、私はある日、とぷん、と入ってしまったのだ。
羊や熊やカラス、いろんな動物たちがいて、そして私と同い年くらいの男の子と出会った。
「君、ひとり?」
「そうよ」
「じゃあ遊ぼうよ」
それからは、めくるめく月日を彼と過ごした。
お腹が空いたら甘い木苺を頬張って、川のせせらぎを2人でどこまでも追いかけた。緑色のそよ風は、いつもキラキラと光っていた。
虚弱体質で、一緒に遊ぶ友達もいなかった私にとって、そこは唯一の世界だった。
ある夏の午後、いつものように彼と草むらで寝転んでいると、彼がふいに立ち上がった。その横顔が少しだけさみしげにみえた。
「僕、もう帰らないと。」
それは別れを意味しているのだと直感した。
いつかは、そんな日が来るのだとは思っていた。でもあんまりに突然のことで、私は泣いた。今まで誰の前でも泣いたことがなかったけれど、小さな子どもみたいに泣きじゃくり続けた。
気づいたら私は壁の外だった。手を伸ばしても、冷たい壁に触れるばかりだ。私は泣きつづけ、悲しくて悲しくて、今までのことをすべて、おばあちゃんとお母さんに打ち明けた。
お母さんは私の頭をやさしく撫でた。
「来年の春に、あなたはお姉さんになるのよ。弟が生まれるの。」
おばあちゃんも私をそっと抱き締めてくれた。
「素敵な子ども時代を過ごしたのね。」
あれから、壁の絵には入れることは二度となかった。
友達が死んだ。
自殺だった。
昨日まで暖かく笑っていた
彼は冷たくなっていた。
信じられなかった。
2日前、彼は言った。
『今日の空は飛ぶのによさそうだなぁ』
その時の天気は快晴。
彼が好きな天気は雨。
俺はよく分からなかった。
俺は
『飛ぶって、羽でも生えるのかよ〜笑』
そう言って茶化した。
『俺に羽が生えたら意外と似合うと思わね?』
微笑んだ彼は美しかった。
なぜ俺にあんな話を…。
今日の天気は雨。大雨だった。
俺の涙か雨か分からないくらいだ。
彼が逝ってから3日が経った。
未だに信じられない。
確かに止まってしまったlineのトーク、
電話をかけても貯まるのは履歴のみ。
食が進まない。
実感してしまった。
今まで押し殺していた感情に。
俺は彼が好きだった。
あの笑顔、あの声すべてが好きだった。
あの感情に気づいてしまってからの
行動は早かった。
俺は走った。彼が空を飛んだあの場所に。
雨が冷たい。心だけが熱かった。
30分ほど走った。見つけた。
そこは薄暗い廃墟で人通りも少なく
俗に言うお化け屋敷のようだった。
屋上に行くために階段を登る。
ふと横を見ると、何か書いてある。
《愛してる。──》
彼の字。俺の名前。
心臓がドクドクと早く脈打つ。
何これ。こんなの、、。
「俺だってお前のこと愛してるよ。バカ。」
俺は早く彼に会いたい一心で階段を駆け上がる。
フェンスに足をかける。
屋上に立つ。
目を閉じると聞こえた彼の声
「ごめん。」
何がごめんだよ。
俺はもうお前無しじゃ生きていけない。
これからもずっと一緒。
自殺した理由ちゃんと教えろよな。
飛んだ。
あ、もう地面だ
そう思った頃には
バンッと鈍い音がした───────
⚠︎切爆
#突然の「別れろ」
ある日の出来事
爆豪からメールが来たかと思えばスマホの画面には「別れろ」という文字が表示されており俺の頭は理解が追いつかなかった。
そのまま放心状態でいると更にスマホから通知音が鳴り画面を見ると「好きな人ができた」という文字…。
な、なんで急に「別れろ」とか「好きな人ができた」とか…訳が分かンねぇ。俺達は付き合い始めた頃から丁度1年が経とうとしていたところで爆豪から今日この文章が送られて来た。
俺が何かやったか?まさか…知らずにバクゴーを傷つけちまったのか俺ァ!?でもなぁ…全くと言っていいほど思い当たる節はねぇし、でもやっぱり何か俺がしちまったのかよ…。
俺は頭の中で考えるが何一つ思い出せないし、記憶にない。
つーかよ…まず俺のせいなんか?もしかしたら爆豪には何らかの事情があって言ってきたのかもしんねぇしここはちょっくら本人に聞いてみた方が早ぇかもしんねぇな!!
おっしゃぁあ!!!ンなら一か八かで電話してみるか!!!!
prrrr___
prrrr___
ガチャッ
「…ンだよ」
爆豪に電話をかけると普段よりワントーン低い声でそう言われ俺はさらにバクゴーが心配になった。やっぱ何かあったんかな…。
「なぁバクゴー…何で急に俺に「別れろ」とか「好きな人ができた」とか言ったんだよ?」
「……テメェには関係ねぇよ」
「いやいや関係あんだろ!!!俺ァバクゴーの彼氏だぜ!?」
「うっせぇな!!!オレにも色々と事情がアンだよ!!!」
耳元で怒鳴られ耳がキーンと悲鳴を上げ痛くなるが今はそんな事に構う時間はなく俺は爆豪との話に戻った。
「ならよ爆豪…まだ、まだ俺の事好きか?」
俺は震える声と体を抑えられずに爆豪に聞く。なんて返ってくるかは分かンねぇ…。それでも、何と返ってこようが俺はその言葉を受け止めるしかねぇんだ。
俺が電話越しでバクゴーからの返事をまってから数分後、スマホから爆豪の声が聞こえたかと思えば…。
「…テメェは俺の事どう思っとんだ」
と何故か質問を質問で返された。マジかよバクゴー!!先に俺の質問に答えてくれよ!!!まぁバクゴーらしいっちゃらしいけどよ…。
「俺はもちろん!!バクゴー、おめぇの事が大大大好きだぜ!!!」
スマホ越しに爆豪に向けて俺はニカッと笑いかけた。
「そんで、バクゴーは俺の事どう思ってんだよ?」
「…オレもおめぇと同じだ。」
「…!!!」
普段からそういう「好き」とか「愛してる」だとかそういう事はだいたいは俺から伝える事が多く、爆豪からそう言われるのはなかなかレアだ。それに言葉にして伝えるのはもっとレアで俺も今まで聞いた中で言葉にして言われたのは1回だけだ。
「なぁ爆豪、言葉にはしてくんねぇの?」
「…!」
「………」
「……」
「…スキだ」
うおぉぉお!!!!バクゴー!!!!!!
電話越しでも爆豪に対しての愛おしさが更に募る。やっぱり爆豪も俺と同じ思いだったんだな!!それが分かって良かったぜ!!!
「オレも好きだぜバクゴー!!!」
「フッ…わーってる」
そのまま俺達は朝になるまで話し続けた。
それでも今まで通りの俺達の関係は戻らない。
まだまだ朝が肌寒い4月
ほんの少しだけ俺の頬に涙が伝った___
別れは突然に
「俺たち、別れよう」
今までそんなそぶりも見せず、あなたは一方的に別れを切り出した。
なんで?どうして?本当の理由はいつも闇の中
大好きだって言ってくれたあの時はどうしたの?
悲しみに暮れながら、一人ベッドに潜り込む。
「また明日ね」と言ってくれたあなたを思い出してまた涙が溢れる。
後悔しても、もう明日なんて来ないんだ。
ナイン・ミリ・パラベラム・カートリッジ
私はいわば炸薬である。
私は一人の兵士である。
己の任務を着実に遂行し、パトリオティズムの元、国家に代行し、引き金を引く。
私は戦士である。
私は国家の矛であり、盾である。
私は核弾頭であり、銃弾であり、この星の害悪そのものであり、悪意の権化であり、狼煙である。
戦争は人間が行う。
戦争は国家が行う。
銃は個人の盾となり、矛となる。
核弾頭は国家の盾となり、矛となる。
銃弾から核弾頭まで、あらゆる兵器が揃い、『敵』を牽制する。
平和を希求する者、戦争を望むもの。
私はただの銃弾に過ぎない。
突然の別れだった。
なんの前触れもなく、君は居なくなってしまった。
どうして、私の前から消えたりしたの?
貴女がいないと私はやっていけないって貴女が1番分かってたんじゃないの。
どうせ今は逢えないんだ。じゃあ、また逢えることを願おう。
「じゃあな」
いつものように冷静で、淡々とした声で告げる彼。
「うん、またね」
いつもよりもちょっぴり寂しさが混じってしまう私。
幼なじみである彼から言われた、唐突の引越し。
場所は、今いる辺鄙な田舎なんかじゃなくて、建物がいっぱいの都会の方。
簡単に会える距離では無い。
……今日は最後の日なのに。
「大好きだよ」って、彼に言えなかった。
〜突然の別れ〜
テーマ「突然の別れ」
「俺たち、別れよう」
2人きりの帰り道、彼が静かに告げた。
「分かった。今までありがとう」
突然言われたのにストンと自分の中で受け入れられた。
別に初めからこの人とは恋愛感情があって付き合った訳では無くただ友達付き合いからの延長線だった。
「じゃあ私、こっちだから。さよなら」
何事もないように告げて自宅に帰った。
その夜に好きな歌い手さんが配信していた。
2時間ほど雑談したりちょっと歌を歌ったり楽しい時間を過ごしていたその時、真剣な声で大切なお知らせがありますと言葉を切った。
「俺たちはこれからそれぞれ、やりたい事に集中する為にグループの活動を休止します。いつ再開するかについてはまだ分かりません。
ですが俺たちを大切に思ってくれているリスナーの為にパワーアップして戻ってくるので待っていてください」
好きな配信者さんの活動休止の知らせ。
話が突然過ぎて頭が追いつかない。なんで?という疑問しかなくてしばらく混乱して固まっていた。
正気に戻って青い鳥を見るとそこには既にトレンド入りしている〇〇グループ活動休止の文字。
ああ…あの言葉って夢じゃなかったんだな。
今日2度目の突然の別れ。
彼氏に告げられた時よりもずっと配信者さんから告げられた言葉の方が衝撃的で簡単に私の感情をぐちゃぐちゃにする。
「君まで…私から離れていかないでよ……っ」
溢れてくる涙を止められない。
私の声は嫌になるくらい静かな部屋の中で響いていた。
さよならをしなかった。また会いたいと思っていたから。けど、それが通用しなかった。ただそれだけのことだ。
わんわん
あの子が亡くなったお知らせ動画を見た
その後にここを見たら突然のお別れって…テーマ決めてる人もあの動画見てるんか?
悲しいね
自分と他人が死ぬことはどうでもいいけど、犬や猫や動物が死ぬのは悲しい
すごく悲しい
死にたいと死ねなくて、そうじゃないと早死にする生命の摂理どうにかならんかな
「明日、引っ越すんだ」
幼なじみのハルは『明日雨らしいよ』と同じくらいのテンションで、ユキにそう言った。だから一瞬、へえそうなんだ、と返そうとして、
「え?」
思わず足を止めた。数歩先を歩いたハルも、足を止めてこちらを振り返った。夕焼けのきれいな空をバックにしてハルはいつもと同じように笑った。茶色の髪がきらきらと夕日を反射していた。
「さみしくなるねぇ」
全然寂しそうではないセリフ。引越し?ハルが?
ユキとハルは17歳。0歳の頃から家が近所で、親が仲良くて、ずっと一緒だった。もう家族みたいなものだと思っていた。
それなのに、引越し。それも、前日に告げられた。親にも隠されていたし、ハルにも隠されていたことがショックでらたまらない。
「なんで黙ってたんだよ」
「だってユキ怒るじゃん」
「今怒ってるよ」
「ごめんて」
ハルはそのままくるりと前を向いて、勝手に歩き出した。昔からこういう奴なのだ。
「待てって」
「……待たないよ」
すたすたと歩いたままハルは、先程とは全然違うテンションでそう言った。
「待たない。私、彼氏と同棲するの。幸せになるの。だから、」
ハルは少しだけこちらを振り返ると、困ったようにちょっと笑って
「ユキも早く彼氏見つけなね」
先程より早い速度で歩いていった。もうこっちは振り向かなかった。
あいつは僕を置いてった。
僕はいつもあいつと蹴られて殴られて
暴言も吐かれてた。
あいつはいつも僕の隣で泣いてた。
僕は、痛いのも辛いのも苦しいのも全部、
全部我慢してるのに。
あいつはずっと泣いてた。
泣いてたから、
あいつは僕よりも殴られてた。
僕は殴られたくなんか無かった。
だから泣いたことは無かった。
あの日はいつもよりあいつが殴られてた。
あいつの顔は血と涙でぐしゃぐしゃだった。
そして、その次の日
あいつは死んだ。い
自殺したらしい。
あいつは死んで、いじめについて問題になった。
だから、もう殴られないと思ってた。
でも違った。
あいつが死んだから、その分
僕に矛先が向いたんだ。
#突然の別れ
私が幼い頃両親が交通事故に遭い、突然の別れとなった。
親戚もいない、兄弟もいないただ孤独な生きてきた。
そして、高校系の時初めて彼氏ができた。
だけどその人も帰らぬ人となった。
私が死神なのかと思い、心を閉ざした。
今私の傍にはとても大切な人がいて、やっと心を開けた。
剛輝は、音楽をしていて人気。
だからひっそり2人で暮らしている。
歌って居る時、ギターを持っている時の剛輝は力強く
歌詞ひとつひとつに魂が込められている。
嘘にぶたれる音は好きじゃない。と口癖なように言う。
何かを守るために愛を伏せるなんて不細工だ。
「置き換えるとな、自分を守るために今の愛を失くすなんて
俺不細工になるやろ?それが嫌やねん。」と言った。
別れは突然やって来るけど、突然にならないように
1日1日を積み重ねお互い尊敬尊重をし合い
2人で乗り越えよう。と言ってくれた剛輝に感謝しているよ。
[お題:突然の別れ]
[タイトル:ニョルニョン]
どうやら本当にニョルニョンは居なくなってしまったらしい。
どうして突然! もう五年も一緒に居たのに!
二時間かけてひっくり返した部屋の中で、千堂由梨は心の中で悪態をついた。確かに、思い返せばここ二、三日姿を見なかったのだが、まさか本当に居なくなっているとは思わなかった。
ここ数日の飲み会で頭がやられていたのだ。ニョルニョンのことに全く気が回っていなかった。そういえばニョルニョンにご飯あげてないなと、ようやく気づいたのが今朝のことである。
そこから二時間かけてニョルニョンを探した。必死だった。何十冊もの本を床に落とすと、ページの幾つかが折れた。布団を別の場所に移動させて下を確認し、しばらくしてまた移動させて下を確認した。冷蔵庫の中では缶ビールが生温くなっている。台所には輪切りのちくわが転がるばかり。箪笥の衣類は全て机の上だ。果たして、どこにもニョルニョンはいない。
不注意な自分が恨めしい。由梨の中にある喪失感は、次第に自身への怒りに変わっていた。
どうして二日前に家に帰らなかった? どうして昨日すぐに寝てしまった? どうして今さら気づいた? 全ては過去のことだ。進み続ける時間の矢は後ろには返らない。なので、必然仕事の時間もすぐそこに迫っている。
「あーもう、メイク・・・・・・服も、アイロンかけなきゃ」
と、そこまで喋って、自分が声を出していることに由梨はようやく気がついた。行動をいちいち口にする人はほとんどいない。特に部屋に一人きりであれば尚更だ。
明らかに普段じゃない。由梨の心はドーナツのように、あるいはコーヒーカップのように穴が空いていた。ちょうどニョルニョンがすっぽりとハマりそうな穴である。
それでも仕事は休めない。仕事を休めるかどうかはニョルニョンがいるかいないかではなく、カレンダーが土日祝日であるかである。
二十分ほどで身支度を済ませた。適当に済ませたメイクでは、いつもより血色が悪い。同僚からイジられそうで憂鬱だ。穴の空いた心には憂鬱がよく沁みる。
外に出るとふざけたような朝日が照っていた。馬鹿にしてんのか、と言いたくなるが、口には出さない。同じ失敗はしない。代わりに朝ごはんを食べていないお腹がグゥと鳴った。
途中でコンビニに寄ろう。確か地下鉄の近くにあったはずだ。
コンビニ、そう、コンビニだ。
ニョルニョンを拾ったのもコンビニだった。けれど地下鉄近くではなく、むしろ駅と真逆に一時間ほど歩かなければならない、病院内のコンビニである。
そんなことをつい思い出してしまう。これはミスだ。穴の空いた心じゃ理性がすり抜けてしまう。
果たして、由梨は地下鉄に背を向けた。もしかしたらと由梨は思う。もしかしたら、あのコンビニにニョルニョンはいるんじゃないか。
けれど、ニョルニョンはそこにいない。本当は由梨も知っているのだ。けれど、それを思い出すことを、由梨の心が許さない。
ニョルニョンとはドーナツであり、コーヒーカップであり、ちくわなのだ。
けれど由梨は気づかない。まずは牛を球と見れなくては。さもなくばニョルニョンはニョルニョンのままである。
#23 突然の別れ
今日まで続いていたことが、
明日も続くとは限らない。
そう言いながら、
また明日がくると信じてしまう。
無邪気に、もしくは絶望感を持って。
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私には突然でも、
彼にとっては、きっとそうじゃなかった。
「また明日ね」
「うん、また明日」
学校から分かれ道まで5分程度の道を、ゆっくり時間をかけて帰って来た。
ふとしたきっかけで仲良くなった私たち。
塾もあったりして一緒に帰れる日は少ないけど、
たわいも無い話に、お互いの悩みを交えながら、急速に心の距離を近づけていた。そう思っていた。
性別は違うけど、似ている悩み。
根っこの考え方も似ていて、
だけど、性別のせいじゃない何かが違う。
その何かが、些細で、そして決定的だった。
もういいんだ、ごめん。
そう言って、彼は突然転校していった。
裏切られたような、彼を責めたい気持ちと、
私では駄目だったんだ、と自分を責めたい気持ちがぐしゃぐしゃになって、
わかった、としか返事できなかった。
それからは、ずっと一人で帰った。
その間、私の何がいけなかったのか考えていたけど、分からなかった。
だけど、分からないからダメだったんだと思うようになった。
そのうち、彼が転校したことが余程ショックだったのか、その前の悩みがどうでも良くなっていたのに気づいた。
彼がいなくなって辛かったのに、
彼に何もしてあげられなかったことを悔やむ気持ちは無くならないくせに、
それでも時間が経つと勝手に立ち直るものらしい。
一人で帰るのも平気になった。
自分のしぶとさが少しだけ嫌になった。
こうして、ひと夏の恋のような、何かは終わった。