たまき

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#23 突然の別れ


今日まで続いていたことが、
明日も続くとは限らない。

そう言いながら、
また明日がくると信じてしまう。

無邪気に、もしくは絶望感を持って。


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私には突然でも、
彼にとっては、きっとそうじゃなかった。

「また明日ね」

「うん、また明日」

学校から分かれ道まで5分程度の道を、ゆっくり時間をかけて帰って来た。
ふとしたきっかけで仲良くなった私たち。
塾もあったりして一緒に帰れる日は少ないけど、
たわいも無い話に、お互いの悩みを交えながら、急速に心の距離を近づけていた。そう思っていた。

性別は違うけど、似ている悩み。
根っこの考え方も似ていて、
だけど、性別のせいじゃない何かが違う。

その何かが、些細で、そして決定的だった。


もういいんだ、ごめん。
そう言って、彼は突然転校していった。

裏切られたような、彼を責めたい気持ちと、
私では駄目だったんだ、と自分を責めたい気持ちがぐしゃぐしゃになって、

わかった、としか返事できなかった。


それからは、ずっと一人で帰った。
その間、私の何がいけなかったのか考えていたけど、分からなかった。
だけど、分からないからダメだったんだと思うようになった。


そのうち、彼が転校したことが余程ショックだったのか、その前の悩みがどうでも良くなっていたのに気づいた。

彼がいなくなって辛かったのに、
彼に何もしてあげられなかったことを悔やむ気持ちは無くならないくせに、
それでも時間が経つと勝手に立ち直るものらしい。

一人で帰るのも平気になった。

自分のしぶとさが少しだけ嫌になった。


こうして、ひと夏の恋のような、何かは終わった。

5/19/2023, 5:37:18 PM