友達が死んだ。
自殺だった。
昨日まで暖かく笑っていた
彼は冷たくなっていた。
信じられなかった。
2日前、彼は言った。
『今日の空は飛ぶのによさそうだなぁ』
その時の天気は快晴。
彼が好きな天気は雨。
俺はよく分からなかった。
俺は
『飛ぶって、羽でも生えるのかよ〜笑』
そう言って茶化した。
『俺に羽が生えたら意外と似合うと思わね?』
微笑んだ彼は美しかった。
なぜ俺にあんな話を…。
今日の天気は雨。大雨だった。
俺の涙か雨か分からないくらいだ。
彼が逝ってから3日が経った。
未だに信じられない。
確かに止まってしまったlineのトーク、
電話をかけても貯まるのは履歴のみ。
食が進まない。
実感してしまった。
今まで押し殺していた感情に。
俺は彼が好きだった。
あの笑顔、あの声すべてが好きだった。
あの感情に気づいてしまってからの
行動は早かった。
俺は走った。彼が空を飛んだあの場所に。
雨が冷たい。心だけが熱かった。
30分ほど走った。見つけた。
そこは薄暗い廃墟で人通りも少なく
俗に言うお化け屋敷のようだった。
屋上に行くために階段を登る。
ふと横を見ると、何か書いてある。
《愛してる。──》
彼の字。俺の名前。
心臓がドクドクと早く脈打つ。
何これ。こんなの、、。
「俺だってお前のこと愛してるよ。バカ。」
俺は早く彼に会いたい一心で階段を駆け上がる。
フェンスに足をかける。
屋上に立つ。
目を閉じると聞こえた彼の声
「ごめん。」
何がごめんだよ。
俺はもうお前無しじゃ生きていけない。
これからもずっと一緒。
自殺した理由ちゃんと教えろよな。
飛んだ。
あ、もう地面だ
そう思った頃には
バンッと鈍い音がした───────
5/19/2023, 10:56:25 PM