『空を見上げて心に浮かんだこと』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
からりと開けた、窓の向こう。
日が暮れてきたというのもあるが、確かに空はだんだんと暗くなってきたと思う。
生暖かい風に混ざる、濡れた土とアスファルトの匂い。
ああ、雨が降る。
雨『空を見上げて心に浮かんだこと』がまず離れて暮らす、恋人のこと。
嫌いではないと言っていたが、どうしたって髪はふわふわと広がるし、頭痛がするのだと言っていた。
今はどうだろうか。
今頃あの子が住むところにも同じように雨が降り出しているのだろうか。
たとえ、近くにいたとしても器用に不調を隠してしまうから、気付くのに遅れてしまうしれない。
それでも気が紛れるのなら。
頭を撫でて、他愛のない話をいくらでもするのに。
雨足がすこしだけ緩んだ、空の向こう。
「あ」
ふたえに並んだ虹を愛しいあの子へ送る。
こっちは晴れたから、そっちも晴れるぞ、と。
信号待ち。青く、青く澄んだ空をフロントガラス越しに見上げて、どこか遠くに行きたい、と何度思っただろう。
異国の地じゃなくていい。透き通る海もいらない。
私の明日がない、場所。
目が離せない、吸い込まれそうになる、青。
鳴らされたクラクションに、アクセルを踏む。
喧騒にのまれて、思考が日常に溶けていく。
夜のとばりが降りた後、闇にぽかんと浮かぶ、頼りない月。
スピードを抑えず、それを目がけて飛び込んで、弧を描いて落ちていく様を何度想像しただろう。
ゆっくりとブレーキを踏み込む。今夜も届かない。
覗き込んだ月はずっとそこにいて、私を見てる。
澄んだ青すぎる空に、深い闇に鈍く光る月に。誘われて。
こっちだよ、と手招きされているようで。
強い衝動じゃない、
ただ、優しく、呼ばれている。
呼ばれつづけている。
〝アレ〟が白や金色の光を放ちながら空にある時、私の周りの小さな世界は温かくなり、視界が一気に広がる。〝アレ〟の名前を私は知らないけれど、あの光があることでこの小さな世界の住人は生きる力を得ている気がする。
〝アレ〟はいつも空にあるわけじゃない。空に昇り、一定の時間になると姿を消して、また顔を出す。
全く姿を見せない日もある。そんな時はこの小さな世界も少し寒くて、視界も薄暗いまま。それがこの世界の営みなのだと知ったのは、ずっと後のことだった。
〝アレ〟の名前を私は知らない。
けれど最近、〝アレ〟と同じ温かさを持つ存在がこの小さな世界を訪ねてくるようになった。
それは〝アレ〟と同じくらい輝いていて、〝アレ〟と同じくらい温かい。
私の視線に気付いたそれは、青い綺麗な瞳を輝かせてにこりと笑った。
「こんにちは」
「×××××」
柔らかな声だった。空にある〝アレ〟が言葉を話したらきっとこんな声だろう。青い瞳と〝アレ〟に似た綺麗な髪。私は一目で心を奪われた。
それは何度か〝アレ〟が空に昇り、姿を消すを繰り返す間この小さな世界にいて私と一緒に泳いだりしていたが、しばらくすると「また来年、来ますね」と言って去っていった。
空に向けて顔を上げる。
青い空の斜め上に、〝アレ〟が金色の光を放って浮かんでいる。
「また来年、来ますね」
柔らかな声が頭の中に響いた。
「×××××」
その時胸に浮かんだ感情の名前を、私はまだ知らずにいる。
END
「空を見上げて心に浮かんだこと」
『空を見上げて心に浮かんだこと』
朝は、よく澄んだ青空だったのに。
どんより、灰色の雲。
そしてポツポツと降ってくる雨。
気持ちは斜め右下がり。
──いつだったか
よく晴れているのに、雨が降る。
その水に、明るい太陽の光が乱反射して、虹が見えた。
研ぎ澄まされた空色と、少々の白い雲、
そして七色で構成された虹の、色の対比が
いつになっても忘れられない。
笑顔で、泣いているような気がした。
そんな気がして、私もそんな風に泣ける日が来るのだろうか。
なんて、そんなちっぽけなことを思いながら、
空を見上げる。
このまま、彗星でも落ちてくれば良いのに。
こちらは晴天。あちらは曇天。
つい有名作品の台詞を言ってしまった、と思ったらどしゃ降り。
天気予報士には向いていないらしい。
今日は、理沙ちゃんとイザベラおばあさんとイケメン猫の僕との3人で"鎌倉海の散歩道マリーナ"へおでかけしたよ。
そこのオーシャンビューカフェで、蒼い海と空を眺めながらマリンランチを楽しんだの。とってもおいしかった。
理沙ちゃんは将来の進路について悩んでいるようだったけど、僕たちと一緒に空を見ていたら、本当にやりたいことが見えてきたと言っていたんだ。
空を見つめると、自分自身と向き合える気がするよね。
みんなで美味しそうな雲を見てたら食後のデザートにバニラアイスを注文しちゃった。
「空を見上げて心に浮かんだこと」
空っぽの窓枠を赤に塗り潰す
明るい天井に荒い黒布を張る
縫いぐるみの綿を水色に染め
硝子の破片に七色を映した
綺麗なのだと語られた
あれだけ壮大に語られた
こんな紛い物がゴミになるくらい
美しいのだと語られた
あれだけ、あれだけ語られた
皆が夢に見た天上の景色が
こんなモノであるものか
‹空を見上げて心に浮かんだこと›
最近、空をじっくり見ることがないなぁ。
星って、今どのくらい見えるのかな。
年をとったから、前より見える数減ったのかな。それとも街が明るくなってみえないのかなぁ。
飛行機って、どのくらいの間隔で見えるのかな?
見えたら、ラッキーなのかな?
雲って、いつもどんな形かな?季節ごとの雲ってどう違うのかな?
いつでも見れる空なのに、空のことって結構見てないし、知らない。
今日は、雨なので、明日はしっかりと空を見てみようかな
作品No.107【2024/07/16 テーマ:空を見上げて心に浮かんだこと】
夜に包まれようとする、夕暮れの空がすき。
オレンジと青のグラデーションが、とても美しいと思う。
あの色を見ると、つい写真に収めたくなって、スマートフォンのカメラを向けるのだけれど、どうにもうまくいかない。満足できない。
実物に勝る色は無いのだと、あの空を見る度に思い知る。
空を見上げて心に浮かんだこと
月って
食べたらおいしそう
星は痛そう
"空を見上げて心に浮かんだこと"
「いい天気だな」
「雨よりはいいが、暑い」
なんでほぼ無風なんだよ、と続ける。
中庭のベンチで横並びになって、お互い空を見上げながら言葉を交わす。
「あ」
空に浮かぶ一つの雲に目が止まり、思わず声が漏れる。
「なんだ?」
反応して、不思議そうに聞いてきた。
「いや、その……なんでも──」
ねぇ、と続けようとしたが、向けてくる回答を待つ純粋な目に声が詰まり、言葉が途切れる。
この目は答えるまで離してくれない目だ。
観念して、口を開く。
「……あの雲。湯船に浸かってる時のハナのだらけた格好にそっくりな形してんなって」
雲を指しながら説明する。
恥ずかしさで僅かに声が震えた。説明を終えた後、みるみる顔が熱くなってくる。
ちらりと横を見るとすぐ近くに綺麗な横顔があり、俺が指した雲を見つけると「あれか」と至近距離で呟いた。心臓が、トクン、と跳ねる。
「お前はあの雲の形で、入浴している時のハナの姿が浮かんだのか」
「……だからなんだよ」
「確か、形状から何を連想したかで心理を分析する性格診断法があると、前に聞いた事があったのを思い出してな」
「ふーん」そんなものがあるのか、と思いながら相槌を打つ。
「ただ『そんな方法がある』と聞いた事があるだけで、どのような診断法かまでは知らない」
「だろうな」
自分の専門外のものには殆ど興味を持たない。今はだいぶマシになったが昔はもっと極端だったから、存在だけ聞いて具体的な事までは耳に入れていないのは当然だと思った。それが言葉となって唇の隙間から漏れた。
言ってしまった、と咄嗟に片手で口を覆う。だが苦笑しながらこちらを向き「当然の感想だ。なんとも思わん」と、まるで昔の自分に呆れた表情を見せるように言ってきた。
「そろそろ時間だ。行くか」
腕を持ち上げ、その手首に巻かれた腕時計を覗き込みながら立ち上がった。
「ん、あぁ。もうこんな時間か」
俺も自分のスマホの時計を見ながら呟き立ち上がり、どちらからともなく歩き出した。
空を見上げて心に浮かんだこと
あぁなんも思いつかん、おやすみ
#15『空を見上げて心に浮かんだこと』
晴れの日の空はなんだか穏やかな気持ちになる。
雨の日の空はなんだか寂しい気持ちになる。
曇りの日の空はなんだか不安な気持ちになる。
私は思った。人間の気持ちと空って捉え方によればなんだか似てるなって。
今日の朝
家を出て見上げた空がキレイだと感じた。
朝日は雲に隠れていたけど、雲の端から見える陽の光は虹色で 今日は良い日になる様な気がした。
そして、いま
多幸感を感じながら晩酌を楽しんでる。
空の向こうに消えていきたい。
お前はいつの日か、そんなことを言った。
「…あ、うみさん」
消えそうな背中の隣に腰を下ろす。
無意識なのかぽろりと零れたらしい、何かを待っていたかのような、沈んだなかから水面にゆっくりと出てくるような、そんな声色に安心した。
すぐ目の前には透き通る青が広がっている、この岬。
空の向こうに行きたいと思えば簡単にできてしまう、この岬。
世界が通ずるのは、どうやらこの岬だけらしい。
「こんなに晴れてると自分が浮き出ちゃうから俺は曇りが好き、です。自分が霞んでうまく溶け込めるのって曇りだけじゃないですか。…って、何言いたいんだろ俺───…えっ、うみさん…?」
「眠い。ちょっと肩借りる」
「……ちょっとは俺のこういう話も聞いてくれればいいのに。どこまで自由人なんですかうみさん」
掴もうとしてもこの手をすり抜けていく温もりを引き寄せるようにして肩にからだを預けた。
泣いた跡があったから。
声が震えていたから。
話して楽になるんだったらそれでいい。けれど、話して、それが自分を余計に苦しめるくらいならなにも話さなくていい。
こいつが高校一年生。俺が大学生。
五歳の差でこんなにも変わるのだと思うとすごく不思議な感覚だった。
「お前はまだましな段階だろ。俺なんかお前に会う前が一番やばかった」
「…起きてた」
「空見上げるだろ?そのときの俺が無意識のうちに心に浮かべてたこと絶対当たんないから当ててみ?」
「…当てさせる気ないじゃないですか」
うみさん、というのはこいつが勝手につけた俺の呼び名だ。
俺はこいつの名前を知っているが、こいつは俺の名前を知らない。
「大雨になって、世界が吹き飛んじゃえばいいのに、とか」
「ふは、はずれ。俺が思ったのは、“この空を飛ぶための翼がないんだったら、空を降らせろ”」
「……ほえ」
ずり落ちそうになったからだを持ち直して、果てしなく続く青に目を細める。くらくらするほどの潔い青だった。
「で?さっきなんでお前は雨がいい、じゃなくて曇りが好き、って言ったの?」
「えっ、ちょ、普通にそこ戻るんですか。てかそれ聞いてたんですか。さっきの、意味分かんないんですけど、どういう」
「雨のほうが暗くて自分が目立たなくなるだろ。なんで?」
「えぇ…」
そのうち分かるよ。お前は。
最初は自殺するつもりでこの岬に来たのに、“うみさん”のせいで毎日ここに来て他愛もない話をして結局生きている。
大学生になってまたうまくいかなくなって、この岬に来たら“過去の自分”のせいで結局生きている。
すぐ分かるだろうよ。
「“雨に洗い流されて忘れてはいけない過去も綺麗に流されるのが怖い”、だろ?」
「…なんで、俺が言おうとしたこと分かったんですか」
「同じ、だからかな」
─空を見上げて心に浮かんだこと─ #4
もう死んでもいいんじゃないかな。
….それだけだよ。
【空を見上げて心に浮かんだこと】
そっと瞼を開けてきみと描いてきた空を今日も見上げる
過ごしてきた日々の中できみが僕を照らしてくれた光が
宙一面に広がって今ではこんなに明るい場所に変わった
初めてきみの声を聴いた時に視界に広がっていった
あの星空をどうしても描きたくて
きみが僕に与えてくれた全てを
表現できる力があればいいのに
きみと僕で創り出したこの場所の塵になる前に
まだあの時のままで微笑む
手が届かない場所に居るきみに届けられる何かを
2024-07-16
「空を見上げて心に浮かんだこと」
ウユニ塩湖のたくさんの星が散りばめられた空
イエローナイフのオーロラがたなびく空
ハワイ島の2重の虹がかかる空
飛行機から見た夜から朝に変わる広い空
ビニール傘越しの雨粒のついた暗い空
蝉の鳴き声に囲まれた白い入道雲が立ちはだかる空
電車の窓から見た雲に埋め尽くされた四角い空
家から眺めるあっという間に色が移りゆく時間の空
空を見るは好きだ。
様々な表情を見せてくれる。
特別な空も、いつもの空も。
今日は空を見た?
どのくらい見た?
どんな空だった?
覚えてる?
おやすみ。
また明日。
部屋の窓から見える、鮮やかな夕焼け
“逢いたい”
叶わない願いだけど、確かな願い
今どこにいるのだろう
怪我や病気をしてはいないだろうか
気になることはたくさんあって
でも、今の自分には知る術がない
ただ、無事を願うばかり
鮮やかな夕焼けは、あの人を思い出す
「─……」
小さく、誰にも聞こえない声で名前を呼ぶ
もう1度、空を見上げる
わたしは、こんなにも、あなたに…あいたい
─空を見上げて心に浮かんだこと
・1『空を見上げて心に浮かんだこと』
朝の通勤で自転車を漕いでいたら
後ろから来た自転車に追い抜きざまに後輪あたりを蹴られた。
ギョッとして見るとまだ小学生くらいの男の子だった。
声も出せずバランスを崩して自転車ごと倒れてしまった。
少年はどんどん遠ざかっていくし
自転車の下敷きになった足は痛いし
今日はもう仕事行くのやめよう、となった。
なんでこんな目に?
空を見上げながら少年に天罰が下ることを願った。
会社に電話するのも億劫だなと思いながら。
【続く】