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からりと開けた、窓の向こう。
日が暮れてきたというのもあるが、確かに空はだんだんと暗くなってきたと思う。
生暖かい風に混ざる、濡れた土とアスファルトの匂い。
ああ、雨が降る。

雨『空を見上げて心に浮かんだこと』がまず離れて暮らす、恋人のこと。
嫌いではないと言っていたが、どうしたって髪はふわふわと広がるし、頭痛がするのだと言っていた。
今はどうだろうか。
今頃あの子が住むところにも同じように雨が降り出しているのだろうか。
たとえ、近くにいたとしても器用に不調を隠してしまうから、気付くのに遅れてしまうしれない。
それでも気が紛れるのなら。
頭を撫でて、他愛のない話をいくらでもするのに。

雨足がすこしだけ緩んだ、空の向こう。

「あ」

ふたえに並んだ虹を愛しいあの子へ送る。

こっちは晴れたから、そっちも晴れるぞ、と。

7/16/2024, 2:40:32 PM