『眠りにつく前に』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
水の上でプカプカ浮かんでみると、空が迫ってくるのがこわいので、どうにか目を閉じてそのまま眠ってしまいたいと願う。けれどそういう時に限って簡単に意識を手放すことはかなわず、苦しみながら真っ暗闇な脳みその中で暴れまわっている。
それでも耳の真横を水音がかすめていくのに集中していると、いつの間にか眠ることができた。
自分の身体はいまだ水に浮かんだままであった。
目を瞑って貴方の姿を思い出す
今日話したことや一緒に食べたもの
一つ一つが幸せな出来事で口元が緩む
眠る前にこうやって思い浮かべていれば
きっと夢の中でも会えるよね
『眠りにつく前に』
眠りにつく前に今日のことを思い出す。不安の空に描く明るい君の笑顔…君の笑顔の裏には、すごくお上品で、冷めている気持ちがある。ような気がして、いつも家に帰ってから僕は勝手に不安になる。
触ったら消えそうで、夏にも消えそうで、冬に笑いそうな君は、いつか天使の抱擁で死を覚悟するのだろうか。
眠りにつく前に
本を読んで、ストレッチをして、月を眺める。
暖かい布団に入ったら、心もぽかぽかいい気持ち。
「眠りにつく前に」
眠りにつく前に、読書をしよう。
また頑張れる気がするからと思い、私は本を読み始めた。
わたしは、眠りにつく前に本を開いた
文字を目が追っていく
心地好い描写と共に物語の世界を堪能して
眠りについた
一部分だけ触れたまま
それだけで幸せ
「眠りにつく前に」
眠りにつく前に
一日を思い返してみて良い気分で終えられた日はしあわせ
「眠りにつく前に」
悪夢で夜中に目が覚めたとき
眠気に任せてそのまま寝ると悪夢の続きを見てしまうので、一度しっかり覚醒してからもう一度眠る
この一手間が大事なのだが、正直大変遺憾である
『無駄のないように』
誰にも見られない、はずの、部屋で私は息をしている。
誰にも知られない、はずの、情報を思い浮かべている。
誰かが私を知っているなら、なるべく無駄なことを考えぬように生きたいと思う。
誰かと私の、対話、感情、感覚、匂い、気持ちを互いに理解し合ってしまったら、もう元には戻れないから。
眠りにつく前に
今日も1日有り難うございました、嫌なことは眠る事でリセットしあらたな気持ちで朝を迎える、これが私のポリシーです。
私は眠る前にいつも、貴方の事を考えている。
でも、夢には出てこない。
現実にも出てこない貴方は、永遠に二次元の存在だ。
お題『眠りにつく前に』
家に急に来た男が『●●家の繁栄に尽力いたします。なんでもお申し付けください』と言って、私の家の者を皆、手中におさめていった。
やさしいふりをして、家の権力を片っ端から握っていく。その異常性に気がついた私は、父や母、メイドにいたるまで彼の異常性を説いたが誰も信じてはくれない。
それどころか、皆、私の言葉を「信用できない」とし、家での立場がなくなっていった。
ある時、急に男から食事に誘われた。いぶかしみながらも応じ、美しい庭がある邸宅に連れて行かれた。
ワインが入ったグラスで乾杯し、それを一口、口にした瞬間、息ができなくなる感覚を味わう。
呼吸が、呼吸ができない。
私は、椅子から転げ落ち、その場でひざをつき、ついには横たわってしまう。
最後に耳にした言葉は、耳を疑うものだった。
「大丈夫。貴方はもう、なにもしなくていい。これは自殺として片付けます。今や誰も僕を探るものはいませんから」
私は、悔しさを感じる間もなく息を引き取った。
という記憶が私の脳裏に流れる。前世はある貴族の令嬢だが、どうやらいきなり来た父の秘書によってはめられたらしい。あれから二十年が経過しただろうか。
私が呪術を生業とする家に転生したのは、神のおぼしめしだろうか。彼女に報いるためにあの家に乗り込む必要がある。
あの男は、今や領主としておさめる土地一帯を独裁的に支配しているそうだ。私は、そこの家に乗り込むための準備に取り掛かり始めた。
眠りにつく前に
小さい頃、子ども向けの百科事典をよく読んでいた。数々のものが書かれている中で1番心惹かれたのは、今なお宇宙を漂っているボイジャー1号だった。
私が生まれるより遥か昔に生み出されたそれは、人類が到達したことのない場所の写真やデータを地球に向かって送り続けている。いつか会うかもしれない宇宙人へ聴かせるためのゴールデンレコードを携えながら。
眠る前、たまにボイジャーのことを考える。探査機だから感情がないことは重々承知しているが、もし心があったら何を考えているかなと思いを馳せる。
宇宙に散りばめられた無数の点の一つになった地球のことを想うことはあるのだろうか。最遠から地球の写真を撮った時に何を考えたのだろうか。宇宙人に会えたとしたらどう思うのだろう。
そういうことを考え続けていると、いつのまにか夢の世界へ旅立っている。ボイジャーが今の孤独な旅をいつか終えることを願って。
ー眠りにつく前にー
深夜2時。大量の残していた課題を終わらせ眠ろうとした時、私はひっそり反省会を行う。
もっと早く課題を進めていればこんな夜にはならなかった筈だ。
もっとしっかりしていれば、みんなに迷惑をかけなかった筈だ。
もっとちゃんとしていれば、こんなごみみたいな人生は歩まなかった筈だ。
私の道はもっと輝いて、煌めきを放っていた筈だ。
やがて反省会の結論は曲がっていく。
あいつらがしっかりしなかったからだ。
あいつがミスしたせいなんだ。
私のせいじゃない。悪いのは世界だ。
こんな世の中を作った大人が悪いんだ。
自分に対する怒りは、やがて誰かへの怒りと憎悪に変わっていった。
でも毎日、必ずこの結論にたどり着く。
「でも結局、悪いのは知っていながら行動しなかった私のせいか。」
「眠りにつく前に」
眠りにつく前にあなたを呪う。
私に惨めな思いをさせたあなたや、遠巻きに私を笑ったあなた。些細なこと、全部許してあげない。
苦しめ、死にたくなるまで、苦しめ、歪んで苦しみを求めるまで。幸せを求めるのが怖くなるまで。
呪いに正しさはいらない。
ただ、私があなたを見つめてさえいればそれでいいの。
「やっと書きやすいお題が回ってきた」
眠りにつく前に着るのがパジャマ、眠りにつく前に食うのが夜食、眠りにつく前に飲むのが晩酌。
考え方次第でいくつかネタは考えられそうである。
某所在住物書きは毛布に包まれながら、スマホを見て、時折記憶が飛び、かっくり、こっくり。
ベッドの上で完全に昼寝の体勢をとっている。
せっかくの日曜である。昼寝も良かろう。
「眠りにつく前に、ソシャゲやると、高確率で寝落ちてスマホが顔に落っこちてくるよな」
今日は、そういうこと、無いようにしねぇと。
物書きは己の思考が眠気で千切れてバラバラになるのを感じながら、結果的にスマホを額に落とした。
――――――
最近最近の都内某所、某アパートの一室、夜。
部屋の主を藤森といい、花咲き風吹く雪国の出身。
某アタタカイウォームで揃えたベッドの中で、完全な眠りにつく前に生じる例の独特な浮遊感を、
こっくり、こっくり。心地よく受け入れている。
時刻は気が付けば23時。日付が変わる頃合い。
明日は休日である。明後日は仕事である。
その仕事用に準備すべき書類は?有っただろうか?
(だめだ。あたまが、まわらない)
夢に落ちる直前は、思考が千切れて散らかって、
最終的に意識はフワフワ。静かに霧散していく。
突然、藤森の腹の横に潜っていた熱源が動いた。
のぼってくる。毛布の中から、藤森の視線の前まで、もぞもぞも、もぞもぞ。移動してくる。
「おとくいさん。おといれ」
ここココンコンコン。藤森の鼻先を舐めるその熱源は、近所の稲荷神社の狐、化け狐の子供。
「おといれ、ついてきて」
「化け狐の子供」??
「ひとりで、……1匹で、行けないのか」
己の部屋に狐が居るのに、日本語を発しているのに、
藤森は一切驚かない。慣れてしまったのだ。
細かいことを気にしてはいけない。
「こわい。ついてきて」
段々覚醒してきた藤森に、子狐コンコン。
夜の手洗いへの同行を、健気に求めてきた。
ため息ひとつ吐いて、着る毛布のミドル丈を羽織り、子狐を抱いて要望通りのドアまで運んでいくと、
「……」
毛布の暖かさと柔らかさに負けたらしく、藤森の優しい腕の中で、コンコン子狐は夢の中。
「こぎつね?」
二度目のため息。藤森はトントン、ぽんぽん。
子狐の背中を叩いて起こした。
――そもそもどうしてこうなったのか。
藤森の部屋に、藤森の実家からキノコと野菜のどっさりが届いたことを、感知したのだ。
1人では食いきれないので、親友家族と後輩と友人と、それから日頃得意先として世話になっている茶葉屋の女店主、合計4名+αに、
おすそ分けしようとナイロン袋にそれぞれゴソゴソ、田舎から届いた秋冬を詰めていたところ、
『こんばんは!』
「茶葉屋の店主の子供」がやってきた。
『キノコ、やさい、たべる!』
子狐である。 食べ盛りの食いしん坊である。
電子ロックも鍵もセキュリティーも、監視カメラの警備だって、稲荷の狐には意味を為さぬ。
もぐもぐもぐ、ちゃむちゃむちゃむ。
コンコン子狐は藤森に、稲荷のご利益の対価を支払い、キノコ鍋とキノコの味噌汁とキノコの天ぷらと、申し訳程度の動物性タンパク質であるところのししゃもを、もちろん白米も、ぺろりと完食。
それがいけなかった。
『えほん、よんで、読んで』
眠りにつく前に、子狐は藤森に、持参したお気に入りの絵本の読み聞かせをせがんだ。
冒頭が少し怖いタイプの絵本である。子狐の住まう稲荷神社の由緒にして、子狐の祖父母が活躍する、怖いおばけを退治するタイプの絵本である。
詳細は過去作6月16日投稿分参照だが、スワイプが酷く面倒なので、気にしてはいけない。
『昔々、あるところにあった大きな花畑を、』
藤森は絵本を読んだ。ユリによく似た形の白い花が、見開きいっぱいに描かれた美しいページから、
ぱらり1枚、厚紙のページをめくる。
『人間が壊して慣らして道をひいて、家とお店を建てて、欲望渦巻く街に変えてしまいました』
おどろおどろしい絵が現れた。
それも、いけなかった。
眠りにつく前に大量に汁物を摂取して、怖い本を浴びれば、そりゃあ子供はこうなるのだ。
――「稲荷の狐でも、オバケは怖いのか」
用を済ませ、おててを洗い、スッキリして御狐ドリルなどする子狐を、藤森が優しくドアまで運ぶ。
「えほんよんで。ねむりに、つく前に」
こやん、こやん。子狐が鳴いた。
「こわくないえほん、読んで」
一応、夜のオバケの本は懲りたようではあった。
「子狐。私の部屋の本棚に、絵本は無い」
「よんで。よんで」
「読み聞かせのための本が無いんだ」
「ある!絵がなくて、文字ばっかりで、むずかしくて、聞いてるとすぐ、ねむくなるえほん」
「それは専門書だ……」
どうしてっ、
僕に何も言わなかったのっ、
君に…伝えたかったのにっ……、
「眠りにつく前に」
眠りにつく前に感じた
辛いことも 悲しいことも
朝目が覚めたら
きっとなくなっているから
おやすみなさい
台風一過の、晴れ渡った、風のつよい日だ。
あの子と別れてからもう9ヶ月とかが過ぎて、でも心の片隅にはいつもあの子がいて、忘れたくて、現実から目を背けるために、マッチングアプリをやり込んで、女子大に足を運んでって、そういう生活ばかり送っていた。
今日も同じで、女子大に友達と顔を出して、でも心の片隅にいるあの子が邪魔をして、成果も出さずに帰る所だった。
友達は俺を置いて、ねんごろな女の子とダブルデートをするらしい。
必死に女の尻を追っかけてる自分がバカみたいだ。
邪魔をしないように、気を遣わせないように帰る、と言って、電話を取り出した。
台風一過の、晴れ間に霞んだ雲のかかる、風のつよい日だった。