『病室』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
病室にはカルキの匂いがあたりに充満していた。
廊下を抜けて、キミの病室にたどり着く。
キミはベッドの上でただひとり、窓の外を眺めていた。
すぐに僕の姿に気づいて振り返ったけども、その横顔が今でも忘れられないんだ。
病室
毎日通ったところ
今はどんな風に過ごしてるのかな
時々考える
隣の病室の老人
毎日のように聞こえた咳が
忽然と消えた。
病室
入院って一度もしたことないんだよな。病院もほとんどいったことがない。
でもじゃあ健康体かっていうと違う。年を取るにつれて体のあちこちに不調が発生してきてる。
やっぱり原因はあれだな。太りすぎ。肥満は万病の元だ。痩せないとやばいと思いつつこの年まできてしまった。
一時期は順調に痩せてったんだけど冬に食べ過ぎてリバウンド。そっからずるずる体重をキープしてる感じ。
とにかく太ってるとなにもかもにデバフがかかる感じあるし実際にそうだと思う。だから痩せたいんだけどこれが中々ね。
本気を出せば痩せられるんだけどその本気を出せない。メンタルが弱いんだ俺は。
前と同じであすけんやって食事制限。これだけで痩せられるのにこれだけのことができない。辛いぜ。
病室。
病室で過ごす時間は気が病む。自分自身は入院したことないが、人のお見舞いで何度か行ったことがある程度だ。
病室は独特の雰囲気がある。暗く、じめっとした雰囲気がしている。そんな雰囲気になるのもしょうがないのだろうが、なかなか居心地がいいものではない。
家族・友達の弱った姿を見るのもなんだか辛い。弱った姿はなかなか簡単に受け入れることができないからだ。
人は老いるし、いつか死ぬ。それは何十年も先かもしれないし、少し先かもしれない。それを分かっているつもりではあるが、いざその場面に直面すると、かなりキツイものがある。
キツイが、それには向き合わなければならない。そこで向き合うことから逃げるというのは、病室にいる当の本人からしたらもっとキツイだろう。
そう思うと、簡単に向き合うことをやめたりはできない。自分も辛いような気がしていたが、当の本人が1番キツイ。そこの気持ちには寄り添ってあげたい。
「多分病院ネタ書こうとしたら、実際に医療に携わってたり、入院・手術等々したことがあったりっつー『リアル』を知ってる人には、多分勝てねぇのよ」
『見てきたように嘘を書き』が理想の俺だけど、やっぱ実際に「それ」に触れた・「それ」を経験したことのあるメリットは、バチクソにデカいよな。
某所在住物書きは19時着の題目を見て、どうしたものかと天井を見上げた。
「病院じゃない場所に病室を持ってくれば、『これは医療ネタではありません』って逃げ道が確保できる気がするんよ。問題はどうやって病室を病院から引っ剥がすかよな……」
何故病院ネタを回避したいかって?そりゃ医療についての無知がバレるからよ。物書きは弁明し、どうにかこうにか物語を組んで……
――――――
去年の今頃のハナシ。 今日も今日で東京は最高37℃予報だけど、当時も相当に酷く暑かった。
雪国出身の先輩が、通勤途中に倒れた。
熱失神。Ⅰ度の熱中症。
比較的軽度な部類であり、症状もだいぶ落ち着いているため、現在稲荷神社敷地内の一軒家の、エアコンがちゃんと効いてる部屋で、安静にしている。
っていうカンジのメッセが、先輩のスマホから私のスマホに、「倒れたひとの発見者です」って前文と一緒に送られてきた。
軽度、失神が軽度?
軽度って頭痛とか喉乾いてくるとか、そういうことを言うんじゃないの?
失神と軽度の2単語が、私にはショック過ぎた。
居ても立ってもいられなくなった私は、メッセ読んですぐに時間休とって、その稲荷神社に駆け込んだ。
そこは思い出の神社だった。
去年の6月28日に、同年7月9日。
今年も色々あった。
ホタル見に行ったり、不思議なおみくじ引きに行ったり、そこの飼い犬ならぬ飼い子狐に、先輩が顔面アタックされたり。
不思議な、とっても不思議な神社だった。
神職さんっぽい服の女のひとにスマホの画面見せて、事情話したら、「それを送ったのが私です」って。「毎度お世話になっています」って。
よくよく顔見たら、先輩が贔屓にしてるお茶っ葉屋さんの店主さんだった。ここが自宅なんだってさ。
「先輩、大丈夫?」
ザ・古民家な一軒家の廊下を案内されて進んでくと、奥の部屋のふすまに、白い画用紙がペッタリ貼られてて、そこには桔梗色のクレヨンで
『びょうしつ
ねっちゅうしょう てあてちゅう』
って、多分書きたかったんだろうな、と思われるサムシングが、ぐりぐりされてた。
「先輩……?」
ふすまを開けてすぐ見えたのは、フカフカしてそうな白い敷布団と、涼しい薄水色のタオルケット。
何かを一生懸命ペロペロ舐めてる子狐と、舐めてるあたりに丁度首振りで風のあたる扇風機。
それからようやく、その子狐が舐めてるのが、すぅすぅ静かに寝息をたてる先輩の首筋だって気付いた。
気化熱。 頸動脈。 太い血管を冷やす。
その3個が頭をよぎった。
子狐がそこまで考えてるかは分からない。
先輩の汗の塩分が欲しかっただけなのかも。
「睡眠不足が原因のひとつ、かもしれませんね」
ぎゃぎゃぎゃっ!ぎゃっぎゃっ!
イヤイヤの抗議みたいに鳴いて暴れる子狐を、両手で抱いて、先輩から引き剥がす神職さん兼店主さん。
「体調のバランスが崩れて、熱中症のリスクが上がる場合があるそうですよ」
塩分補給の食べ物と、水分補給の飲み物ご用意しますから、ゆっくり召し上がっていってくださいね。
ジタジタバタバタの子狐と一緒に、私を案内してくれたそのひとは部屋から出てった。
私は、熱中症と体調不良のことをスマホで調べながら、久しぶりにちゃんと、しっかり眠れてるんだろう先輩が起きるのを、その部屋で待ってた。
病室
ほんわか白い光が何もかも透き通す白いカーテンを照らす。
機械音が一定的に鳴り続ける。
すぐ側に目をやるとひまわりが太陽の方向を向いて咲いていて、1枚1枚の花弁が真っ直ぐと伸びている。
機械音がすこし早くなる。
ひまわりの花弁が1枚落ちる。
機械音がまた早くなる。
また
また
また
最期は計り知れないほどに早くなる。
ひまわりの花弁が顔に落ちる。
最期はひまわりのように真っ直ぐ誰かを見つめていたかった。
#15
:病室
「どうしたら赦してくれる、どうしたら償える、どうすれば良い」
虫が良いことを言ってるのは自覚している。むしろ殴られるか詰られることを覚悟していた。なのにお前はそんなことすらしなかった。
「いじめた奴を抱きしめるなんて神経がイカれてる」
そう言ったらもっと強く抱きしめて笑ったんだ。やっぱりずっとお前のことなんか分からなかった。どうしようもなく 自分の感情が理解できなかった。お前に対して何を感じてどういう思いを抱いたのか分からなくて暴力になった。一番最初、始まり、優しくされたのに腹が立ったことを思い出した。今は腹が立つ思いなんて微塵も湧いてこなかった。
■
抱きしめたとき「イカれてる」って言われた。そんなにイカれてるかな。だって泣いてたんだ。助けてあげなきゃって思った。君の名誉に関わることだろうから言っておかなきゃいけないと思うんだけど、可哀想だから抱きしめたんじゃないよ。ただ少しでも楽になってほしかった。痛みを一人で抱えるのは辛いから、ここにいるよって。君に一人になってほしくなかったんだ。
心から後悔して謝罪したとしても過去が消えるわけじゃない。「殴ってごめん、暴言吐いてごめん、いじめてごめん」と言っても過ちが無くなるわけでもないし相殺されるわけでもない。それでも君がぐっちゃぐちゃな顔して「ごめん」って言ったんだ。どうしようもない感情に駆られてぐちゃぐちゃになって苦しんだんだと思う。されたことを忘れることはないし、されたことを「良いことだった」とは言えない。でも苦しんでるなら君を抱きしめたいと思った。
「自分が赦されて楽になりたいがために『ごめん』って言ってるんだ、謝罪するなんて卑怯者だ」と言う人もいる。その意見も間違ってはいないと思うし、実際そんな思いで「ごめん」と言う人だって沢山いるだろう。でも「ごめん」って言葉がないと相手がどんな風に考えているかなんてこちらには分からない。伝わってこない。君がちゃんと口にしてくれたから、君が過去を考えていることを知れた。誰だって赦されたいよ。苦しんでるならそれが償いだと思う。
こっちだって君が「ごめん」って言ったから赦してもらえたような気持ちになった。何かしでかしたから君を怒らせたんじゃないかって思ってたんだ。例え第三者から見てこちらに落ち度がなかったとしても、君が傷ついたなら傷つけたってことだから謝りたかった。でもこんなこと言ったら君はより苦しんだ。「なんでお前が謝るんだ」って言て泣いた。まるでお腹からナイフが飛び出していて、抱きしめれば抱きしめるほど君を刺しているみたいだと思った。傷つけたくないよ。でも、その痛みが君の償いになるんだろうから、安易にやめてなんてあげられない。「赦してあげる」なんて簡単には言わない。楽をさせることもしない。ちゃんと「ごめん」に痛みを伴わせて、ちゃんと苦しんだ方がこういうのは良いんだと思う。
嫌われてると思ってたんだ。でも嫌われてなかった。なら戻れるって……もう一度やり直しができるって言うのかな。一緒に遊んでた頃みたいになれるならなりたいよ。いがみ合って憎んでるよりそっちのほうがずっと良い。それをするのが「イカれてる」って言うなら、イカれててよかったって思うよ。
病室
病室の窓からさしこむ朝日で、私は目を覚ました。白い天井と、風で揺れるカーテンをぼーっと眺める。もう何日ここにいるのだろうか。角に置いてあるテレビも、外の景色も、もう見飽きた。私の同居人の彼女は、毎日お見舞いに来てくれているのだと看護師さんに聞いた。でも、私はだいたい寝ているので気づかない。もうずっと彼女と会えていないようで寂しい。もし今日も来てくれたら、今度こそ眠らずに、彼女と話したい。
しかし、そんな私の意思に反して、瞼はどんどん重くなる。眠い。今日こそは起きていようと思ったのに。意識が遠のいていく。もう嫌だ。彼女に会いたい。でも体は言うことを聞かなくて、目の前が真っ暗になった。
『__の、ひなの、』
私を呼ぶ優しい声で目を覚ました。心地よいまどろみの中で、彼女の声だ、と思った。少しトーンを抑えた低めの声。
また優しく名前を呼ばれる。私はうっすらと瞼を開けた。明るい光がさしこんでいる。
ふと、彼女の手が私の頬に触れた。温かい、人肌の感触。ああ、やっと会えた。私は彼女の温もりに身を任せて、再び眠りについた。
お題『病室』
全身麻酔を受けてから手術した後の話。
手術してから二十四時間は本当に地獄だ。なにせずっと寝ていないといけないから。
手術終わって目が覚めて、看護師が部屋を暗くしてくれているので実はいくらでも眠れる。かたわらに暇つぶし用の本とか、スマホとか置いてあるけど、それを手に取るのすら実は億劫だったりする。
体を起こしてはいけなくて、寝続けているのもしんどいが一番しんどいのはトイレにもいけないこと。
トイレに行けない代わりに尿管に管がささってて、まぁそれの感覚が痛いというよりも気持ち悪い。看護師が感覚を調整してくれるがそれもマシになった程度だ。
だから、全身麻酔をした日は早く二十四時間経ってくれないかなと、ボーッとした頭で病室の無機質な天井を見つめながら思うのである。
病室
病室から見える風景は海が見えて景色のいい場所だ。
だから飽きない。季節で風景が変わっていくから。
自分の部屋
休みの日は病室になる
私だけの安らぎの場所
病室
にいる。気付いたら白いベッドで寝ていた。
自分の名前を覚えてない。
しばらくして大人の人が二人来た。
「嘘、覚えてないの?」
って、なんの事か分からない。
病室の時間はとてつもなく長い
もったりした何かが張り付いている
この痛みは術後よくあるものなのか
とんでもない致命的なものなのか
自分のことなのに分からない
誰か大丈夫だと言って
大丈夫だと信じられない限り
もったりした時間から抜け出せない
病室の中から見る空と
部屋の中から見る空と
心持ちが違うように
君の視点から見る私と
私の視点から見る君は
違うんだろうな
病室
いてて...怪我をするって事は痛みを感じるって事だよね。痛みを感じるって事は生きているって事さ。
でも痛みを感じるのは痛いから嫌だよね。
それなら不老不死になればいいんだ!
てことでここに不老不死になれる薬があるから飲んでみよう!
ゴクゴク...
うん!なったか分からないけどこれで僕は不老不死になれたってことだよね!
それなら早速試してみよう!
不老不死になったらやりたいことって言ったら腕を片方誰かに送り付けて自分はミキサーに突っ込んでテレポートをする事だよね!
それなら早速試してみよう!
ウィィィィイイイ!!!
機械からすごい音がするね!
なんだかワクワクしてきたよ。
それじゃあみんなまた後で会おうね!
ウィィィィイイイィィィィィィィィア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛
機械生命体に知識を
病室は静かに休む場所である。
なぜならば、具合の悪い人がほとんどだからです。
幼少期に1度だけ、大病を患った。
1部屋にベッドが4台程だろうか、ベッドの間にはトイレが用意されていた。
植物状態になる予定だった。
目が覚めた。後遺症も残らなかった。
卒業して今年26歳をむかえる。
あの部屋に居た子供達はまだ生きているのだろうか。
名前も顔も覚えていない。
あの部屋からは毎日泣き声と嗚咽が聞こえていた。
天国のように真っ白い空間から地獄の声が聞こえていた。
それから病室とは無縁の人生を送ったが、
出産で、病室をこれから利用する予定だ。
新しい命を世代をこれから支える。
病室で終わるはずだった人生は、新しい人生を病室で迎え入れるという人生の分岐が病室という不思議な体験をしている。
何か使命を与えられたのだろうか。
日々考えている。
ありがとう。
彼は、灼熱の中を全力で駆け抜けた。
たちまち眩暈が襲ってきた。
まるで自分の中から夕暮れが消えていくような気がした。
意識が遠のき、氷の博物館を彷徨う夢を見ていた。
気づくとエアコンの効いた薄暗い病室でぐったりと横たわっていた。
「病室」
病室の窓の外を眺めて
楽しそうに駆け回る子達を
少し羨ましく思って