りんご飴

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病室

病室の窓からさしこむ朝日で、私は目を覚ました。白い天井と、風で揺れるカーテンをぼーっと眺める。もう何日ここにいるのだろうか。角に置いてあるテレビも、外の景色も、もう見飽きた。私の同居人の彼女は、毎日お見舞いに来てくれているのだと看護師さんに聞いた。でも、私はだいたい寝ているので気づかない。もうずっと彼女と会えていないようで寂しい。もし今日も来てくれたら、今度こそ眠らずに、彼女と話したい。
しかし、そんな私の意思に反して、瞼はどんどん重くなる。眠い。今日こそは起きていようと思ったのに。意識が遠のいていく。もう嫌だ。彼女に会いたい。でも体は言うことを聞かなくて、目の前が真っ暗になった。


『__の、ひなの、』


私を呼ぶ優しい声で目を覚ました。心地よいまどろみの中で、彼女の声だ、と思った。少しトーンを抑えた低めの声。
また優しく名前を呼ばれる。私はうっすらと瞼を開けた。明るい光がさしこんでいる。
ふと、彼女の手が私の頬に触れた。温かい、人肌の感触。ああ、やっと会えた。私は彼女の温もりに身を任せて、再び眠りについた。

8/3/2024, 2:45:03 AM