『病室』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
#病室
毎日見るのは、白い壁、白い天井、温かみのない蛍光灯。
そして、時々買ってきてもらえる本達。
わたしは、この白い部屋から出られない。
そう知っていた。
だけど、部屋から出たいと毎日願っていた
ある日、願いが届き、手術を重ね出ることが出来た。
あとから聞いた話だと、毎日無理をしなかったから出ることが出来たそう。
もし少しでも無理をしたら帰らぬ人となっていたかもと思うと少しゾッとした。
そんなわたしは、今恋をして婚約して、今日が結婚式。
小さい頃のわたし!今頑張れば、こんな素敵な未来が待ってる!がんばって!
そんな私の願いを届けるかのように白いハトが
わたしの上を軽やかに飛び去った。
いつぐらいであったか、母が肋骨を折り入院していた時期があった。
母は非常に快活な人であったので、静まり返った部屋はとても彼女のものと思えず、わたしの隣に敷かれた布団も温める人がいなくなってしまったので、それはそれは寂しい思いをしながら眠った。
父が見舞いに行くと言うので、私はそれを必死で追いかけた。褪せたピンクの、ちいさな自転車を転がしながら。今の体感で言う1時間位を漕ぎ続けていた気がする。きっと距離はそこまで無かったのだろうが、そのときの私にはとにかくとにかく長い道のりだった。
病院独特のにおいの中を突き進んで、お目当ての病室を目指してずんずん歩く。真っ白な廊下のまっしろなドアを開いて、まっしろなベッドをいくつかとおりぬけて、まっしろなかーてんをあけて、ああ、おかあさん!!
何だか酷く久し振りに会えた気がした。それは本当に久し振りの再会だったのかもしれない。真っ白な病室に、ぽつりと母が黄昏れていた日。初めて病室というものを知りました。
このベッドも、白い天井も、出されるやたら健康的な食事も、もう何度も見ていてさすがに見慣れているけれど、この環境に身体が慣れることはない。
というか慣れたくない。
入院なんてもうしたくない。
早く帰りたい……。
薄くて固い布団で十分だ。タバコの煙で黒くなった天井の方が落ち着く。手料理なんて高望みはしないから。カップ麺でいいから。
だから、早く帰りたい……。
帰って、母さんに会いたい……。
出演:「サトルクエスチョン」より 仁吾未来(ジンゴミライ)
20240802.NO.10「病室」
両手に選んで貰った花束を持って、僕は病院の廊下を歩いていた。
何故って?ここには僕の親友が入院している。
今から彼がいる病室へと向かうのだ。
数日前、親友は突然倒れた。
なんの前触れもなく、ただ突然に。
今まで誰も気が付かなかった。彼の異変に。
彼の弟も、僕も、他の仲間も。
彼が隠していたから。誰も気が付かなかった。
「入るよ」
病室の前に着いて、コンコンと1ノック。
そうすると
「あぁ。いいぜ」
と、彼から返事が返ってくる。
あぁ、良かった。
今日も彼は生きている。
「おはよう。見てみてプレゼント!」
「わぉ。いい花だな。そこに飾ってくれないか?」
「もちろん!」
真っ白な病室が少しだけ鮮やかになった気がする。
それでも僕は残るこの白が嫌いだ。
まるで彼を逃がさないかのように、病室から出られないようにしているようで。
僕はこの病室が嫌で嫌で仕方がなかった。
病室
小さい頃よく見た風景
寝て起きたらお母さんがお父さんに変わっててびっくりした思い出
今考えてみると仕事で忙しい中、合間をぬって来てくれた両親に感謝を伝えたい
数年前、親族が緊急入院することになり、急遽着替えや日用品を届けることになった。
本人も徒歩で病院に行ってそのまま帰宅が許されず入院とは予想しておらず、スマホと財布くらいしか持っていないとの事。
必要なものリストを貰ったが、その中に「暇をつぶせそうなもの」というざっくりとしたオーダーがあった。
確かに病室には娯楽がない。テレビすら有料という世知辛い場所だ。
結果的に定番の小説とクロスワードという組み合わせを届ける。
結果、退院する頃にはクロスワードはほぼ全てやりきったらしい。
懸賞は恐らく当たらなかったのだろう。
何も言ってこなかったので
親族も昔よく懸賞パズル雑誌を買っては応募していた。
だが一度も当たったという話は聞かなかったので、
私の中では宝くじの1等くらい難易度が高いものとして認知している。
人生の最期の数日間、君は病室で過ごしたね。
絵本読んだり、前日にあった日のことたくさん話したけど、覚えてる?
ママはね、その時の事鮮明に覚えてて今も君のお世話してる感覚になる時があるんだよ。
声かけた時、ピクッと手が動いたのは反応してくれてたのかな。
最期にしっかり向き合う時間くれてありがとう。
頑張って偉かったね。
また会えたらママのことぎゅーってしてくれる?
一緒に手繋いでお散歩してくれる?
ママのわがままいっぱい聞いてくれると嬉しいな。
今までありがとう。ゆっくりしてね。
ずっとずっと大好きだよ。
今日のお題。病室。
生まれて数週間後に病院から退院した事以外、縁のない話だと思っていた。精神的には大怪我は何度も負ったが、
身体は全くもって大怪我したことがないからだろう。でもさっきまでいた。…どうやって来たんだったっけ。そうだ思い出した。
確か今人気の鬼と戦う大正バトル漫画が映画になってて、アニメが面白かったから見に行って…そして呼び出されたのか。
理由は…祖父が原因なのは明らかだが分からんな…しかしあの映画良かったな。いかに人が感動的になるかが考え作られている。
私はともかく家族含む周りの客全員泣いてたし、ストーリーの過程もキャラの最後の魅せ場をでそのキャラをしっかり魅せに来ていて…
「…グーちゃん」
「どした?」
姉がいつのまにか病室から出て来ていた。声が震えている。そう、あの映画で先輩を失った主人公達のような…
「…おじいちゃんがっ!」
「あっそ」
その先は言われずとも分かった。そしてそれに対して何も思わない自分はやはり世間一般から大きく外れているのだろうな、
と無表情で思った。
「病室」とかけまして
「なぜか敵方に情報が漏れている」と解きます。
その心はどちらも「かんじゃ(患者/間者)」がいるでしょう。
幸いなことに、これまでの人生では、あまり病室のお世話にならなかった。
ただ、1度だけ検査入院を経験したことがある。
いわゆる指定難病というやつの疑いが掛かり、5日程度、毎朝毎晩採血を受けなければいけなかった。
ところで私は、血管が異様に出づらい体質だ。
看護師泣かせの細っこい血管が、さらにタチの悪いことに、分厚い脂肪に守られて、すっかり見えない。この時の入院でも、当然それは変わらなかった。
運の悪い新人の看護師さんが、心底申し訳なさそうに何度も血管を探していたのを覚えている。刺してはうまく取れず、また刺し直しては取れずと繰り返す。救援に呼ばれた、ベテランの風格をした看護師さんも、1度間違えてからさらなる救援を呼んだ。
最終的に、私の血管に正確に針を刺せたのは、3人目の看護師さんだけであった。
ちょっとばかり誤解を招きそうな見た目になった腕を眺め、看護師とはかくも有難い仕事だと思った。
私の難攻不落の血管に挑んでくれた彼女たち。差し入れなんていうのは、このご時世じゃ中々できない。
せめてもの感謝の気持ちは、この立派に育った脂肪を減らすことでその代わりとしたい。
息が絶えようとしている
母の病室で
「90歳 何がめでたい」
というタイトルの本を
読んでいた。
すべて読み終えて、
自分は何をやっているんだと
激しい 自己嫌悪に
陥った。
90歳の母に会いたかった。
ごめんね、
母ちゃん。
もしかしてお題ひとつ飛ばした…?アイスの実のチョコ味うまうま!やっぱベルギー産チョコレート*は違うな〜。GABAも入ってるし睡眠の質も向上しちゃうな〜。
*製品中2.3%使用。
気がついたら
病室にいた
今回で2回目だ
家族も呆れている
死にたかったけど
死ねなかったわたしは
生きてると言えますか
高校生のわたしに言ってあげたい
必死にいきていたんだよ
病気にも障害にも気づかずに
気づいてもらえずに
苦しかったねって
そして
生きていてくれてありがとうって
『病室』
「ええと、初めまして。
お見舞いに来てくれてありがとう」
僕は今日も
君の好きだった花を飾り
昔一緒に歌った歌を口ずさむ
思い出の君が 色褪せないように。
病室で
もう動かない
君を見て
わかないこころ
灰色の空
病室
病室は誰も語り相手がいないからさみしい
誰も友達も来れない!
親だけ!
苦しい‥
でも生きているから大丈夫!
看護師さんも医者もいる!
ゆっくり休む時間もあるから大丈夫!
窓が開いた瞬間、心地よい風が病室に流れ込んでくる。
少し熱の篭った室内の空気が入れ替わって、肺を新鮮な空気を満たしていく。
横にいる彼女は眠そうに欠伸を零した。
私の視線に気付いた彼女は、慈愛に満ちた目で私を見つめた。
「早く外を冒険したいね」
この世に生を受けて間もない私には、今はこの建物の中が世界の全てだ。
流れ込んできた風は初めての外からの干渉である。
風とはこんなに心地良いものなのか。
外にはどんな世界が広がっているのか、楽しみだ。
続き※長い
「俺の両親、俺が物心を付いた時ぐらいに心中したんですよ。施設にそのまま預けられて、義理親に行ったんですけど。」
隣人さんは少しだけ悲しい目をしながらも、私にゆっくりと話してくれた。
「何で俺だけを生かしたのかは、わからないんですけどね。」
隣人さんはそう言って、肩の重荷を下ろしたかのように、地面に座り込んだ。
私も同じように地面に座り込んだ。
「義理親、どっちも問題なんですよ。母親は宗教にハマってたし、父親は金遣いが荒かったし。…救いようが無かったんです。不思議ですよね。そんな人達が子供を家に引き取るなんて。」
其処から隣人さんは淡々とした口調で話を続けた。
「俺が一人暮らしをするっていうのに、何故かあの義理親は着いてきたんですよね。もちろん、家賃代とかは二人が払ってました。」
気がついた時には、私は何も考えず、ただ単に隣人さんの話を聞いてしまっていた。
「これ、あの義理親から貰いました。」
隣人さんはそう言って、煙草を持っていない方の手に白い箱を持った。
「箱…?」
私がそう言うと、隣人さんの口元が少しだけ緩くなり、口角を上げた。
「俺が渡されたのが幼少期の時だったんですけど、何だか気味悪くて、開けてないんですよね。」
そのまま隣人さんの話し車に乗せられて、ずっと私は聞いてしまっていた。
そんな時に、話が終わった隣人さんは最後に、私にこう言った。
「俺も、いつか貴方に何かを渡してみたいです。この、義理の両親が俺にくれた"白い箱のように。"」
隣人さんはそう微笑んで、「ではまた何処かで。」と私に言い残し、颯爽と部屋に戻っていった。
私は隣人さんが言っていたあの言葉が、頭の中に変に残ってしまった。
何か意図があるのか、それとも単なる事なのか、頭がゴチャゴチャになってしまった。
病室では静かに過ごした
暴れると看護師さん達に迷惑をかけてしまうから
だからできるだけ大人しく静かに過ごしていた
たまに頭の中がごちゃごちゃすることがある
その時は深呼吸しながら数を数えていた
一 二 三
それを繰り返せば落ち着いた
私は一時的な症状で精神病棟に入院したことがある
でも他のところに比べたらそこは遥かにましだった
人として扱ってくれるからだ
人として生きるれるのだから
ましとしか言いようがなかった
「入院」
#病室
白い壁の中
揺れるカーテン
四角いフレームの向こうには
時の流れの中に蠢く
息遣いが…
置き去りにされてしまったのだろうか
それとも
無意識に逃げ込んだ世界に
閉じ込められてしまったのだろうか
病んだ身体と心に
風を入れよう
時を動かす風を…
まだまだ
いけるはず