両手に選んで貰った花束を持って、僕は病院の廊下を歩いていた。
何故って?ここには僕の親友が入院している。
今から彼がいる病室へと向かうのだ。
数日前、親友は突然倒れた。
なんの前触れもなく、ただ突然に。
今まで誰も気が付かなかった。彼の異変に。
彼の弟も、僕も、他の仲間も。
彼が隠していたから。誰も気が付かなかった。
「入るよ」
病室の前に着いて、コンコンと1ノック。
そうすると
「あぁ。いいぜ」
と、彼から返事が返ってくる。
あぁ、良かった。
今日も彼は生きている。
「おはよう。見てみてプレゼント!」
「わぉ。いい花だな。そこに飾ってくれないか?」
「もちろん!」
真っ白な病室が少しだけ鮮やかになった気がする。
それでも僕は残るこの白が嫌いだ。
まるで彼を逃がさないかのように、病室から出られないようにしているようで。
僕はこの病室が嫌で嫌で仕方がなかった。
8/2/2024, 10:38:42 AM