大蜜柑帝国

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8/2/2024, 10:38:42 AM

両手に選んで貰った花束を持って、僕は病院の廊下を歩いていた。
何故って?ここには僕の親友が入院している。
今から彼がいる病室へと向かうのだ。

数日前、親友は突然倒れた。

なんの前触れもなく、ただ突然に。
今まで誰も気が付かなかった。彼の異変に。
彼の弟も、僕も、他の仲間も。
彼が隠していたから。誰も気が付かなかった。

「入るよ」

病室の前に着いて、コンコンと1ノック。
そうすると

「あぁ。いいぜ」

と、彼から返事が返ってくる。
あぁ、良かった。

今日も彼は生きている。

「おはよう。見てみてプレゼント!」
「わぉ。いい花だな。そこに飾ってくれないか?」
「もちろん!」

真っ白な病室が少しだけ鮮やかになった気がする。
それでも僕は残るこの白が嫌いだ。
まるで彼を逃がさないかのように、病室から出られないようにしているようで。

僕はこの病室が嫌で嫌で仕方がなかった。