窓が開いた瞬間、心地よい風が病室に流れ込んでくる。 少し熱の篭った室内の空気が入れ替わって、肺を新鮮な空気を満たしていく。 横にいる彼女は眠そうに欠伸を零した。 私の視線に気付いた彼女は、慈愛に満ちた目で私を見つめた。「早く外を冒険したいね」 この世に生を受けて間もない私には、今はこの建物の中が世界の全てだ。流れ込んできた風は初めての外からの干渉である。風とはこんなに心地良いものなのか。外にはどんな世界が広がっているのか、楽しみだ。
8/2/2024, 10:25:27 AM