『理想郷』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
薄桃色の空。
そよ吹く風。
色とりどりに咲く花たち。
どこからか漂う甘美な香り。
羽ばたいていく鳥の群れ。
サファイアブルーの水辺に降り立つ一羽の鳥。
虹色の翼と長い尾羽。
こちらをじっと見つめた後
水面をくちばしでつつくと
波紋が幾重にも広がって
私と鳥はひとつになった。
-理想郷-
僕の頭の中に理想郷がある
誰もそこにはたどり着けない
僕もだ
きのう出会った人の頭の中にも
理想郷があった
だけど僕はそこにたどり着けない
その人もだ
みんな現実世界に生きていて
両足で歩いて、肺で呼吸していた
何かの救いのようにコーヒーを飲んで
横書きの知識を自分の中に詰め込んで
半月の夜を快走する電車に乗って
帰っていく
どこへ向かおうとも必ず
発車のベルが鳴る
平等だ
今や総理は根なし草
どれ程の理想郷を掲げられるのか
期待する気が起きぬほど
総理は何をしようとしてるのか
国民には見えてこない
総理は何をしたいの?
志しは何処へ消えたの?
総理は理想すら語ろうとしない…
今や総理は根なし草
支持率や世論ばかり気にして
あっちにふらり こっちにふらり
この国は何処へ向かっているのか
国民は皆 迷える子羊だ
総理 そろそろ変えよっか
次も きっと 駄目かもな
国民は理想すら語れずにいる
#理想郷
あなたが居て 私が居る
ただそれだけで
静かな穏やかな時が流れる
誰もいない島。
ただ腐敗した建物だけが並ぶ、緑に生い茂る殺風景な景色
数年前はたくさんの人が住んでいたニッポン。
一夜にして空から降ってきた矢に殺された島。
酷く残酷で無惨であった。
しかしそれはひどく美しかった。
人の死というものは生よりも美しいのだ。
全てを失ったニッポンこそ、
最も美しいと言えよう。
私はこの島を愛している。
私にはお気に入りの桜の木がありました。
とても美しい木で、私は花が咲いていない時も
毎日、その木に会いに行っていました。
ある日、いつものように角を曲がって
すっかりと変わってしまった風景に
愕然としたのを覚えています。
駆け寄ってみると
あの桜の木は丸太にされて横たわっていました。
昨日までの光景とは全く別のものに
なってしまった事を受け入れる事は
できませんでした。
私は、伐られてしまった事
そこに桜の木が存在しない事を
認めないために、その近くに行くのをやめました。
今でも春になるとまた花を咲かせていると
そう思っています。
多分、そこが私の理想郷なんだと思います。
綺麗な風景がひとつひとつなくなっていくと
またそこに行ってしまったのだと
思うようにしているのですが
現実のこの世界はなんてつまらないのだろうと
思うのです。
元は現実に存在していたのに
何時の間にか理想郷へ行ってしまうのは
おかしな話しだなと思います…
「カフェ 理想郷」という店に入った。
理想郷ってなんだろうなと思いながら、一つしかないメニューのコーヒーを頼んだ。
一つしかないということは、さぞスペシャルなコーヒーなのかと思ったが、味はいたって普通と感じた。それにしてもやたらと落ち着く。ロッジ風のお洒落な作りではあるが、似たような内装はよくある。カフェライターのわたしとしては今の所、書くべきことはないと思っている。
やたらと落ち着くこと以外は。
ふとお店のパンフレットに目がとまり、手に取る。
コーヒーの写真と、キャッチコピーのような言葉が書いてある。
ここは、私にとっての理想郷。あなたにとってはわかりませんが。
やたらと落ち着くのはそのせいか。
店主と結婚する数年前の話である。
理想郷を求めてるわけではないが、今だけは、今のこの時だけは求めさせてくれ。
「理想郷」
私の頭の中には、
私の理想郷が詰まっている。
でもそれは、
私がして欲しいことが詰まってる世界でもあって、
なんて強欲なんだと思いながらも、
私は今日も理想郷へダイブする。
珍しく、時計よりも早く起きた朝は、
いつもよりちょっとだけ、
贅沢な朝食を食べたくなるものだ。
休日ならば尚のこと、
ミルを回して珈琲を淹れたり、
読みかけの本を開いたりと、
不思議なくらいにワクワクする。
ただ残念な事にそのワクワクは、
私がこの温い悪魔を跳ね除ける前に、
再び瞼を閉じてしまう。
だから今だって、
1人で騒ぐ時計にも、
夢にまで見た理想郷にも、
手が届かないのだ。
-理想郷は夢の中-
「ユートピアって現実には存在しない、理想の場所、理想郷って意味らしいよ」
「えー、ユートピアって、どこにでもある名前だよね、スーパー銭湯とか、パチンコ屋とかにありそうじゃん」
「理想郷ってどんなイメージ」
「春に花咲いてる、見渡す限り続く桃畑のイメージかな?山梨県笛吹市あたりの」
「それって、桃源郷っぽくない?しかも、桃しか合ってない」
「桃源郷も理想郷でも、いっしょでしょ」
「イヤイヤ、反対の意味らしいよ。しかも郷しか合ってないよ」
「えー、じゃあ、あなたの理想郷は?」
「働かなくても、みんなが自由に安心して、幸せに暮らしてる世界かな」
「あー、ホントだ、ユートピアの意味あってるね『現実には存在しない場所』って」
『理想郷』
「おはよう」に「おはよう」が返ってきてくれる場所
帰りたいって思える場所
それが「家」だというなら、私の家はどこにあるのか
理想郷を捨て、旅に出た。
荷物は背嚢一つとパンパイプだけだ。ロバのテゥーの丈夫な背中に身を預け、川に沿って国を出ていったのだ。
最初の頃は幅も広く、気迫に満ちた流れの川だったのだが、故郷から遠くなればなるほど弱く、狭いものになっていった。近くにあって当たり前だと思っていた針葉樹林も徐々に斑模様となり、やがて完全に草原に変わった。木が一本も立っていない地には、人間も生息しないようだ。
夜は焚き火をみながら国の音楽を奏で、テゥーに聞かせた。二ヶ月間、毎晩違うところで野営をし、娘のことと、生まれ故郷のことを思いながら寝入っていた。
旅を続けている内に大草原が砂漠になり、川もいつの間にか蒸発してなくなっていたが、代わりに先方に薄く小さく、一つだけの尖った山が現れた。それを目指して砂山の中を進行した。
食料も少なくなった頃に、テゥーが足を痛めた。歩けなくはないが、人を乗せて運ぶのは無理だ。ゆっくりと、ロバと並んで歩くことにした。
尖った山が段々と大きくなり、くっきりと見えるようになった。もう、食べ物がないものの、その眺めを栄養にして一歩一歩進んでいった。山の方に近づくと砂漠が途絶え叢が広がる地域、そして見たことのない樹木が見えてきた。そこでテゥーが倒れ、息絶えたので、安眠できるように広々としたお墓を掘ってやった。
山の麓に小さな、こぢんまりとした集落を見つけた。震える足とやつれた顔の私を見ると村人が助けてくれた。彼らが勧めてくれる食べ物と柔らかい寝床を丁寧に拒み、道案内をお願いした。
集落から少し離れたところ、小さな川の隣に娘たちの家が立っていた。ヤギや鶏が自由に歩き回っている。その家のドアを叩くと、娘の旦那が迎えてくれた。
彼の腕の中から、碧い布に包まれた、小さな赤い顔が覗いていた。私は、玄関に立ちながら孫を抱き、涙を流した。
理想郷を捨て、再び母になった。
ー理想郷ー
皆が笑顔で
ゆるゆる生きて
豊かな所
『理想郷』
あったら住んでみたいけど
あるのは頭の中だけ
もし頭の中の理想郷に住んでるとしても
日常になれば不満が出て
また違う理想郷を模索しはじめる
人間とは欲深いもの
背を向けることをただ1人おぼえないぼく。全てがきらめいて、全てが楽しい。日差しはただあたたかい。日向ぼっこにさいてきだとおもう。みんなは目を細めてしかめっ面だ。
ぼく、なにかおかしなことをしたのかな。みんなが嫌な目でこっちを見るんだ。コソコソってしてないで、なにか言いたいことがあれば言えばいいのに。
じゃんぷじゃんぷするのがすきなだけだよ。くれよんでまるを描いてその上に線をかきたすと、くものす描いてるの?って言われる。たしかにそう見えるなあ。ぼくは何を書いてるんだろう。
ぼくはこの白い建物が嫌なところだって分かるよ。ちゅうしゃを打ってくる場所だろ?かーさんは「あなたはどこか悪いのよ」って、ひっしな顔してぼくを見上げる。かーさんについてったら、脳って字が見えてきた。
かーさんはしんぱいしすぎさ。だからかーさんが嫌いなのよ。おとうさんが言うにはひすてりっくになりやすい、って。もっとわかりやすく言っておくれよ。
あの白い建物からもらったおくすりなんてのみたくないよ。苦いやつだろ?こなの、アイスといっしょに食べるやつだ。あれ、なんだかラムネみたいだ。
おくすりをのむと、ぼくがぼくじゃないみたいになる。ぼくの両手がぶるぶるしてる。たいちょうは悪くなったりするけど、ぼんやりしてた頭がげんきになってくみたいだ。
僕は作り話が好きだ。前の僕が見えてた世界を、文字に書き起す。僕の理想郷を、まだ手離したくない。でも絶対に戻りたくはない。まだ時々、思い出しては手が震える。でも、もうぼくはだいじょうぶだよ。
<理想郷>(ユートピア)11.1
No.3
へぇ、ここが君の理想郷。ふんふん、好きなものに囲まれた部屋ね。
いろんな趣味があるんだね。結構集めているんだね。
うん?俺?
自分の部屋ねぇ。あまり何も無いよ。ものは置かない。それが、理想郷かって?
悪いね、君をいじめてるわけじゃないよ。
理想郷ってなんか、成長の停滞を感じるのよ。
理想というより、怠惰かな。
思いやりと自己犠牲の境界って
どこなんですかね
───お題『理想郷』
誰も傷つかず、死なず、孤立せず、泣かず、飢えず、迷わず、病まず、叫ばず、失わず、消えず、乱れず、失わず痛まず嗤わず嫌わず嘆かず去らず止まらず能わず動かず眠らず歌わず探さず醒まさず動かず起きず食べず進まず覚めず作らず壊さず産まず踊らず聞かず言わず見ず咲かず枯れず生まれず死ねず
それならはじめから
争いも病もない平和な世界。
何の不安もない自由な世界。
死すらもこない幸せな世界。
皮肉なものでしょう。
誰しもが一度は描いたこんな世界のことを
どこにも存在しない場所『理想郷』と呼ぶんですよ。
お題 『理想郷』