いず子。

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背を向けることをただ1人おぼえないぼく。全てがきらめいて、全てが楽しい。日差しはただあたたかい。日向ぼっこにさいてきだとおもう。みんなは目を細めてしかめっ面だ。


ぼく、なにかおかしなことをしたのかな。みんなが嫌な目でこっちを見るんだ。コソコソってしてないで、なにか言いたいことがあれば言えばいいのに。


じゃんぷじゃんぷするのがすきなだけだよ。くれよんでまるを描いてその上に線をかきたすと、くものす描いてるの?って言われる。たしかにそう見えるなあ。ぼくは何を書いてるんだろう。


ぼくはこの白い建物が嫌なところだって分かるよ。ちゅうしゃを打ってくる場所だろ?かーさんは「あなたはどこか悪いのよ」って、ひっしな顔してぼくを見上げる。かーさんについてったら、脳って字が見えてきた。


かーさんはしんぱいしすぎさ。だからかーさんが嫌いなのよ。おとうさんが言うにはひすてりっくになりやすい、って。もっとわかりやすく言っておくれよ。


あの白い建物からもらったおくすりなんてのみたくないよ。苦いやつだろ?こなの、アイスといっしょに食べるやつだ。あれ、なんだかラムネみたいだ。


おくすりをのむと、ぼくがぼくじゃないみたいになる。ぼくの両手がぶるぶるしてる。たいちょうは悪くなったりするけど、ぼんやりしてた頭がげんきになってくみたいだ。



僕は作り話が好きだ。前の僕が見えてた世界を、文字に書き起す。僕の理想郷を、まだ手離したくない。でも絶対に戻りたくはない。まだ時々、思い出しては手が震える。でも、もうぼくはだいじょうぶだよ。

<理想郷>(ユートピア)11.1
No.3

10/31/2022, 8:06:57 PM