『特別な夜』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
10日目【特別な夜】
あの夜から、流れが変わってしまった。
もう貴方と和気藹々と一緒に仕事をしていた頃には戻れない。
貴方にとって、私は目の上のたんこぶであり、目の前から消えて欲しい人になってしまった。
私と貴方の仕事に対するスタンスの違い、私の組織内の立場から、どんどんズレていき、私は追い詰められて、貴方の元を去ることになった。
あの夜は何が起こったのか、今もわからない。
だけど、貴方にとっても、私にとっても、特別な夜だったのだ。
家に帰ったら、食卓が物凄く豪華だった件。
そんなラノベのようなタイトルが頭を過ぎる程、視界の先に広がるのは美味しそうな料理ばかりで私の腹もきゅるると泣いた。
「おかえり。手洗っといで」
キッチンから顔を出した彼の表情はいつもより上機嫌な気がする。いつもとは違う彼の様子が気になったものの、私は鞄を一旦部屋に置いて手を洗いに行った。後で聞けば良いのだし。
「それじゃあ、食べようか」
「あ、うん。いただきます」
彼に促されるまま手を合わせて箸を進めたは良いものの、彼の思惑は未だに分からない。
「今日、凄く豪華だね?」と遠回しになにかあったのか聞いてみても、「うん、今日はトクベツだから」とはぐらかされるばかりで、モヤモヤしたままご飯を食べる。
あ、やっぱり嘘。彼が作ってくれるご飯はモヤモヤなんて吹っ飛ぶくらい最高に美味しい。疲労しきった体で家に帰ったら温かいご飯があるって最高。もうほんと彼なしで生きて行けないかもしれない。涙出そう。
「あったかいごはん、おいしい...」
「あは、また泣きそうになってる」
情けない私を見ても仕方ないなあ、と言いながら笑う彼は本当に優しい人だ。
社畜と化した私のせいでデートの頻度が減っても、遅刻しちゃっても、栄養失調で倒れかけても彼は怒らずに心配してくれた。
この今も続いてる同棲は、私が倒れかけた次の日に彼が家に荷物を持って押し掛けて来てくれたから始まったものだ。
「今日も美味しかった、ごちそうさまでした」
「ん、お粗末さまでした」
最後に彼が入れてくれた温かいお茶を啜れば、力が入った肩が抜けるようだった。ああ、本当...
「ずっとこんな日が続けばいいのに...」
ぽつりと呟いた言葉が無音の空間で嫌に響いて、ハッと我に返ると目の前には驚いた表情の彼が居る。
───あ、ダメだ、私何言ってんの。彼を困らせちゃダメなのに。
いつもより弱ってるのかもしれない。視界がぼやけて零れ落ちてしまいそうで、慌てて下を向く。
「あ、あは、ごめん!今のは冗だ」
「嬉しい」
「......へ、」
私の言葉を遮る彼の言葉に思わず間抜けな声が出る。顔を上げると顔を真っ赤にして震える彼。心做しか、目が潤んでいるように見える。
「き、みは凄い人だよ。俺は大学生だけど、きみは社会人になって働いてる。お金の事だって、きみの方が負担も大きい。俺がここに引っ越してくる前のきみは今にでも死にそうで...怖かったのを今でも覚えてる」
「そ、その説はご迷惑を...」
「違う!」
彼が勢いよく立ち上がった事で椅子がガタン!と倒れてしまったが、当の本人は全部無視して私の隣に座り込んで手を握り締めた。
「迷惑だなんて、一度も思った事ない。確かに、あんまりデートが出来なくなって寂しいとか思った時はあったよ。でも、俺は頑張って頑張って、もっと頑張っちゃうきみを知ってる。だからそんなきみの支えになれて凄く嬉しいって思うんだ」
するりと彼の手が離れた自分の手を見て、今度は私が驚く番だった。
「俺はずっとこんな日が続けばいいなって思ってた。きみにとっては冗談でも、俺はずっと本気だったから。...これからもこんな日、続けません、か」
「よろ、こんでぇぇ......」
冗談なんて言おうとしてごめんねぇぇ、と感極まって彼に飛び付いた私の左手の薬指には、涙のようにきらめくシルバーリングが飾られていた。
theme :特別な夜
欲に塗れた愚かしい大人達の勝手な都合に振り回され、いつしか現実に希望を抱くことを諦めたその子は目を閉じて、夢の中に逃げ込む。夢の中だけは自由だから、地獄のような一日を我慢すれば束の間の自由を手に入れられる。
頬を伝い落ちる涙を拭いながら、一体どうすればこの子をこのような暗い闇の中の檻から解放することができるのだろうか、と考える。
いつか、いつか…そう言って実行できたことは一度もなかった。だからこそ、この子のことは私が必ず助けるのだと決心する。いつか、ではなく。必ず。
私はそう思いながらその子の胸を優しく叩く。
そして寄り添い、やがて眠りについた
今宵の月は心做しか、いつもより明るいような気がした。
#特別な夜
この闇に貴方とひっそり息をしてささやきあっては特別な夜
Theme:特別な夜
今から思えば、あの夜は特別な夜だった。
なんのことはない、いつもの夜。
仕事を終えて同僚と飲みに行って、いつもの居酒屋でどうでもいい噂話で盛り上がって、飲み過ぎた後輩をタクシーに乗せてやって。
何ら変わりのないいつもの夜。
でも、それが最後の飲み会になるって誰が思う?
次の日から世界は変わってしまった。
俺は今、職務として市民を必死に警察署へ誘導している。
殺到する市民は皆着の身着のままで、我先へと安全であろう場所へ逃げ込もうとしている。俺の声も届いているのか怪しいものだ。
一緒に誘導していた同僚の姿は、いつの間にか見えなくなってしまった。
なぜ、どうしてこんなことになったんだろう?
パニックホラー映画じゃあるまいし、これが現実だなんて信じられない。
昨日の夜が特別な夜だったなんて信じたくない。
でも受け入れなければいけない。そうでないと、次は自分の番だろう。
今日から人間は食物連鎖の頂点から転落してしまったのだから。
君と話せるのは嬉しいけど
私の片思いで止まりそうだね
どんな方法でアプローチしたら
君は振り向いてくれるのかな
題 特別な夜
今日は父さんの誕生日。
僕は父さんが良く美味しいと言ってくれた
オムライスを作る
このオムライスも父さんが作り方を教えてくれた…妻も子ももう居ない僕は誰かに教える事も作る事もない
父さん,僕もう今では裁判官のトップだ
汚いお金であろうとも所有して…息子がそっちに行かないよう頑張った,でもダメだった
父さん,僕もう疲れたよ
独りはもう嫌だ 嫌われるのも嫌だ
これ,父さんが僕が生まれた年のワイン。
一緒に呑もうって約束だったよね。
〜翌日〜
反乱が起きた…もう駄目みたいだ
死ぬ時は思考がスッキリすると言うのは本当なんだね,息子に銃口を向けられても平然としていられる。
……ありがとう■■
今日のテーマ「特別な夜」、これも以前書いた。
似たようなテーマがちょくちょく出るなあと思っていたけど、そうか、いろんな人がいろんな時期に始めるもんな。
友達の通夜の話を書いた。ごめんねと謝った。
友達がテーマの時にも、彼女のことを書いたっけ。
うーん、欲を言ってしまえば、明日は初めてのテーマを書きたいな。
「特別な夜」について
その日の授業が全部おわって、
学校のエントランスで待ち合わせして、
バスでイオンモールへ移動して、
現地集合の奴らと合流して、
安いファミレスへ行ってご飯を食べて、
ゲーセンで遊んで、
お酒とケーキを買って、
友達の家にみんなで行って、
初めてのお酒を飲みながらケーキやお菓子を食べて、
マルチプレイのゲームをして、
気づいたらみんな寝ていた。酔っていたかすらわからない。
あぁ、なんて素敵な夜、
ロマンチックでもなんでもない、バカみたいな日常。
あぁ、なんて素敵な20歳の誕生日、
本当にかけがえのない、バカみたいな非日常。
特別な夜
今日は特別に早寝しちゃおう。
いつも疲れてるからたまには思いっきり寝よっと。
部活帰りの30分弱
一緒にシリウスを眺めて白息と笑い声
"好きだよ"
とは、恥ずかしくて言えず
歩いた青春
今思えば
はじめての『特別な夜』だった
#特別な夜
特別な夜は大晦日です。
何時まで起きてても怒られないからです。
「特別な夜」
今までで生きてきた中で一番特別な夜は、
2014年9月1日。
何があったかは、話したくないくらい特別。
最低で最高な特別な夜だった。
でも、もっと最高な夜がこれから
訪れるはず。私は信じてる。
#6 特別な夜
オシャレなグラスに
ちょっと背伸びしたシャンパン
食べ切れるか分からないホールケーキ
隣には君がいる
今日、私は24歳になる
【特別な夜】
インターホンが鳴り玄関に出ると、燕尾服とシルクハットの黒猫が立っていた。
帽子をとって優雅に一礼し、私を迎えに来たと言う。お迎えなら仕方がないので、私は黒猫に付いて行った。
黒猫は慣れた仕草で腕を差し出す。ならば、と私もその腕に手を添えた。
黒猫は、緑に輝く瞳を細めて笑った。燕尾服もシルクハットも黒い毛に同化し、夕闇に溶け込んでいる。
どこをどう歩いたのか、気が付けば、大きな洋館の前に立っていた。
「海猫軒」という札が出ている。
黒猫は私をエスコートしたまま扉に手を伸ばす。特別な夜の幕開けを知らせる音が、蝶番の軋む音として響いた。
特別な夜っていうのは、素敵な夜ってこと?
たとえば恋人と過ごす甘い夜とか
そういうのじゃなくても、何か特別なことがあった夜かな
そんな夜が過去にあったかどうか思い出そうとしてみたけど…
ここ数年は、日常的な夜しかないなあ
ああ、なんてつまらない人生!
※再投稿ですが、なんとなくテーマが似ているので、投稿させて頂きます。
「見ろよあれ‼︎」
「凄い‼︎」
ヘッドホンをしていても騒がしく聞こえる近所の人達の声。
何事かと思ってヘッドホンを外し、2階の窓から覗いてみる。
子供から年寄りまで、みんな上を見ていた。
なんとなくそれにつられて、自分も空を眺めてみた。
空には今までみたことがないくらい沢山の星たちがキラキラと輝いていた。
『綺麗…』
あまりの輝きに、あまりの美しさに、
思わず、独り言がもれる。
ふと、急に静かになった。
どうしたんだろうと思いまた下を覗くと
みんな、何かをお祈りしていた。
祈りなのか、願いなのか、望みなのかはわからない。
でも、確かにこんな奇跡が起こったのだから、
祈りも願いも望みも、全部叶っちゃいそうだ。
自分も外に出て、
星空の下で、
星たちに、感謝を込めて。
誰にでも訪れる、特別な夜。
それは最期の夜。
虫にも、植物にも、もちろん人にも。
その命が尽きる、最期の夜。
ほとんどの者は、それが特別だと気が付かない。
仕事に疲れて倒れ込むように眠ったまま、目を覚まさないかもしれない。
修学旅行を楽しみにした学生の夜。次の朝、交通事故で亡くなるかもしれない。
妻と口喧嘩をして別々のベッドで眠り、翌日口を利かないまま外出して亡くなるかもしれない。
介護に疲れて夕飯を用意しなかった日の夜、祖父が亡くなるかもしれない。
今日が人生最期の、特別な夜だと思って、生きていこう。
生きている限り、いつかはその日が来るのだから。
そう思いながら生きると、好きな人に好きと、伝えられる。
やりたいことをやることができる。
自分を偽って、自分を誤魔化して、無為な人生を送らずに済むかもしれない。
少なくとも、死ぬときに後悔はしにくい。
「やらなきゃ良かった」より「やれば良かった」の後悔のほうが、死ぬときにはきっと、つらい。
そうして、自分の人生に真摯に生きていきながら、大事な人に「また明日」と言うのだ。
今日が最期だと思いながら言うから、その言葉は「当たり前」ではなく「奇跡を期待した心からの言葉」になる。
どうか、明日もまた、あなたも私も生きている、という奇跡が続きますように。
今日が特別な夜ではありませんように。
君と星を見る夜は特別な夜。いつもよりも夜空が鮮やかで、全天の星々はひときわ明るく輝く。
あの光景は一人では見ることのできない特別なもの。君が私の世界に彩を与えてくれる。
だけど、星々の瞬きを映す君の瞳に勝るものはない。その小さな星空を少しでも長く見ていたい。
君と星空を見ていると、星々はいつもよりも速く動く。特別な夜は瞬く間に過ぎ去ってゆく。
遠い君へ
告白の
返事と連れられ
来た店は
調べてくれた
好物ばかり
「特別な夜」