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誰にでも訪れる、特別な夜。
それは最期の夜。

虫にも、植物にも、もちろん人にも。

その命が尽きる、最期の夜。

ほとんどの者は、それが特別だと気が付かない。



仕事に疲れて倒れ込むように眠ったまま、目を覚まさないかもしれない。

修学旅行を楽しみにした学生の夜。次の朝、交通事故で亡くなるかもしれない。

妻と口喧嘩をして別々のベッドで眠り、翌日口を利かないまま外出して亡くなるかもしれない。

介護に疲れて夕飯を用意しなかった日の夜、祖父が亡くなるかもしれない。


今日が人生最期の、特別な夜だと思って、生きていこう。

生きている限り、いつかはその日が来るのだから。


そう思いながら生きると、好きな人に好きと、伝えられる。

やりたいことをやることができる。


自分を偽って、自分を誤魔化して、無為な人生を送らずに済むかもしれない。

少なくとも、死ぬときに後悔はしにくい。

「やらなきゃ良かった」より「やれば良かった」の後悔のほうが、死ぬときにはきっと、つらい。



そうして、自分の人生に真摯に生きていきながら、大事な人に「また明日」と言うのだ。

今日が最期だと思いながら言うから、その言葉は「当たり前」ではなく「奇跡を期待した心からの言葉」になる。


どうか、明日もまた、あなたも私も生きている、という奇跡が続きますように。

今日が特別な夜ではありませんように。

1/21/2024, 12:27:17 PM