『物憂げな空』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
物憂げな空
彼女が、死んだ。人身事故で。
綺麗な夜景の下で。品川駅の線路に飛び込んだ。
最後まで、綺麗な姿だった。
ライトに照らされ、黒く反射した彼女の身体。
その後、世界は真っ赤に染まった。
その日の空は、物憂げな空だった。
彼女と品川に行く時に、見た朝日。
写真撮って、自撮りして、
自分のインスタのストーリーズにあげた。
ああ、こんなに寂しい空はあっただろうか
「海に行かない?」
昼休み。
一つの机を二人で挟んで、弁当を食べていると
君は突然そう言った。
「私は良いけど、いいの?サボったことないじゃん」
彼女は私とは違ってとても優れた人だった。
男女問わず楽しそうに話すし、成績も良い。
規則もよく守り、所謂優等生というに相応しい人だった。
「いいって言ったね。じゃあ行こ。今から」
君が急かすようにそう言うものだから
私たちはそそくさと荷物を片付け
先生の目を縫いながら、昼の校舎を抜け出した。
「寒いね」
暖かくなったとはいえ、まだ春と言うには早かった。
黒ずんでいるような、白くくすんでいるよな海は
周囲の音をかき消し、その広大な存在感を示した。
彼女は何も発しなかった。
「……曇ってると、空と海の境目って曖昧になるよね」
だからなんだ、と言われれば返す言葉がないが
とりあえず話してみた。
だってちょっと不気味になる程、君は何も喋らない。
「……疲れた?」
「……うん」
口角だけ上がった顔を崩さないまま
君は少し頷いた。
太陽が見える訳でも、雨が降るわけでもない空は
静かに波の音を聞いていた。
物憂げな空
窓を開けると、重い雨をはらんだ雨雲が見えた。
それはまるで、
人々の憂鬱な心を映しているようで嫌になった。
嫌になったから、カーテンを閉めて、
私はまた、横になった。
この物憂げな気持ちを、
忘れられるよう、
祈りながら。
生きている意味?
ああ、それはきっと「顔面の整い具合と清潔感の市場価値を測定するための実験体として存在すること」だろう。少なくともこの世界のルールブックは、そう書いてあるらしい。
朝、鏡を見る。そこに映るのは魂ではなく評価額だ。目の大きさ、鼻の高さ、肌の透明度。人格?努力?そんなものは参考資料の最後のページに小さく「※個人差があります」と書かれているだけだ。メインは顔面偏差値。清潔感という名の曖昧な宗教指標。信者は多いが、定義は誰も説明できない。
「見た目じゃないよ」と言いながら、第一印象という名の即決裁判で人を分類する社会。
「中身が大事」と説きつつ、容姿の整った人の“中身”はなぜか最初から高評価スタート。努力は美しい人がすると“向上心”。そうでない人がすると“必死”。同じ行為でも、ラベルの印刷が違うだけで価値が変わる。なんて効率的な世界だろう。
清潔感という魔法の言葉も素晴らしい。
それは具体性を持たないからこそ万能だ。
「なんとなく違う」「ちょっと違和感」
その曖昧さで、いくらでも人を弾ける。科学的根拠ゼロ、でも破壊力は核並み。便利だ。とても便利だ。
生きている意味?
もしかすると、この滑稽な審美主義の舞台で、採点され続けることなのかもしれない。歩けばスコア、笑えば評価、黙れば減点。存在そのものが公開オーディション。しかも審査員は全員匿名で、責任も取らない。
でも皮肉なことに、その審査員たちもまた別の舞台で採点されている。完璧な人間など一人もいないのに、全員が誰かの減点係をしている。世界は巨大な採点マシーン。カタカタと冷たい音を立てながら、今日も人を数値化する。
それでも私は生きている。
なぜだろう。
もしかすると、顔面偏差値では測れない何かが、確かにどこかで脈打っているからかもしれない。市場価値とは別の軸で、静かに光る何かが。
それは流行らないし、バズらないし、映えない。けれど確かに存在する。
この世界が理不尽なのは事実だ。
美醜で態度が変わるのも事実だ。
清潔感という曖昧な神が君臨しているのも事実だ。
だが、そんな安っぽい基準でしか価値を測れない世界のほうが、案外ずっと浅いのかもしれない。
だから今日も私は、生きている。
評価額ゼロ円のまま。
それでも呼吸して、歩いて、考えている。
もしこれが実験なら、せめて最後にこう記録してほしい。
「被験者は最後まで、自分の意味を他人の採点に委ねなかった」と。
家族が
私が
誰が誰やらわからない
もうぐっちゃぐちゃ
道後は守りたい
『物憂げな空』
「おい、起きろ!今日は空を畳むぞ」
朝、そんな親方のぶっきらぼうな声で目が覚めた。
ひどく項垂れた空。
おばあちゃん家の物置の、古びたカーテンみたいな、お世辞にも良いとは言えないくすんだ色。
「……これ、だいぶ溜まってますね」
僕は寝ぼけ眼で空を指さした。
南の窓から向かってやや東、高度はだいたい40m。オレンジ色の屋根の家の上あたりに、黒いもやが淀んでいる。
「あれ、多分ルーカスさんのかな。まだ馴染んでない。きっと、昨夜のうちに『吸い上げられた』んでしょうね」
空は、人々の憂鬱を吸い込む。
ぽつりと沈んだ重く暗い心を、空が引き受けてくれるのだ。おかげで、人々はみんな穏やかで、いつも微笑みに溢れてる。
「そうだな。……にしても、今回は短かった。前回の『洗濯』から、たった4ヶ月しか持たなかったぞ」
けれども、空にだって限界がある。僕らの言う「空」とは、せいぜい大気圏までのことだ。デカルトって学者が言ってたんだけど、その先にある宇宙は「エーテル」という気体で満ち満ちていて、どうやらそれは僕らの心とひどく相性が悪いらしい。「明るいもの」しか吸い込まないんだってさ。……まあ、全部親方の受け売りだけどね。
「明日にもなれば、きっとエーテルが垂れてくる。エーテルに機嫌を吸い取られる前に、さっさと行くぞ」
エーテルに晒されれば、僕らの幸せは吸い奪われる。「空」というフィルターは、僕らの憂鬱を吸い込むだけでなく、僕らの幸せをも守ってくれているのだ。
「はーい、親方」
僕らは仕事道具——といっても、木製の梯子と手のひらサイズの有線通信機、その他いくつかの細々とした道具だけだけれど——を入れた革製リュックを背負って、街へ出かけた。3食分の薄いパンを持って。
—————————
「よっ、と……。危ない、馬糞かあ。掃除屋は……あそこで話してるのか」
街には、人々のため息がこれでもかというほどに澱み、蔓延っていた。
「まったく、もうやってらんねえぜ。いつも見られるのは道ばかりだ。だーれも、俺のことなんて見ちゃいねえさ」
いつもなら「やあ、今日は大漁大漁!」なんて笑っている痩せこけた掃除屋も、地べたに座り込んで悪態をついていた。手垢の染みた愛用の箒を乱雑に投げ出していて、あんなに愉快な人でも、やっぱり「空」がダメになるとダメになってしまうようだ。
「こら、よそ見をするな。あんな言葉にいちいち耳を貸すんじゃない。こっちまで気が重くなっちまうだろ」
親方の叱声に、僕は慌てて前を向いた。
「すみません、親方」
—————————
日が落ち、街から色が失われていくのと競争するようにして、僕らは街の東端にある高台の時計塔を目指した。ようやく辿り着いた時には、もうすっかり夜は更けていて、パンも1枚になっていた。ここは、街で一番「空」が低い場所だ。
道中、ルーカスさんの家を通りかかったけど、案の定ルーカスさんは愚痴を吐いていた。夫が洗濯物の一つも畳まないー、とか何とか。
「俺は準備をするから、お前は向こうで空の『ヒビ割れ』がないか確認しておけ」
「わかりました」
いつも通り、方位磁針と照らし合わせながら空を見る。僕らは訓練を受けているから夜目が効くけど、みんなは見えないだろうな。人々の住まいはやや南に偏っているから、やっぱりそのあたりには一層重いモヤのダマが溜まっている。
「星は……東に5個、北東に3個、北に1個だけか。8割方なくなってるね」
モヤは不透明だ。溜まりすぎれば、星の光さえ遮断してしまう。僕が好きな蠍座の心臓も、今は厚い憂鬱の向こう側に隠されていた。
「……真っ暗だな」
エーテルは「明るいもの」を吸い取ると言ったけれど、それは精神的な輝きだけでなく、物理的な光をも含んでいる。僕らが夜目に頼るのもそれが理由だ。
この「洗濯」が行われる夜には、誰もが午後のうちに入浴を済ませ、夕暮れと共に深い眠りにつく。エーテルに餌を撒かないように。大切な幸せを、奪われないように。
「静かだなあ」
今、この街に灯る明かりは一つもない。
幼いころ、親方が読んでくれた本にこんな一節があった。
『真っ暗な闇の中に、ぽつんぽつんと灯っている明かりの一つ一つに、誰かの人生があり、誰かの夢がある』
——だったら、一つの灯りも許されないこの夜には、一つの夢もありはしないのかな、なんて思う。
「……って、ダメだダメだ。エーテルに引っ張られちゃダメだ」
そんな感傷を振り払うように、冷たい夜気を肺いっぱいに吸い込んだ。
そうだ。あの本には続きがあったはずだ。
『本当に大切なものは、目に見えない』
ああ、そうだ。そうなんだ。
見えないからって、無くなったわけじゃないんだ。
空がこんなに濁って、街の灯りが消えたって、僕らの幸せはたしかにそこにある。ただ、今は空が代わりに引き受けてくれているだけなんだ。
幸せか不幸せか。それは、きっと見方が違うだけなんだ。きっと、気づけていないだけなんだ。……うん、きっと。
「よし、梯子を空にかけろ!」
親方の声が、凍てついた静寂を切り裂いた。
「は、はいっ!」
僕は急いで木製の梯子を塔の壁面に立てかけた。リュックから有線通信機を取り出し、長いコードを親方の腰に繋ぐ。かつて無線の方が便利ではないかと尋ねたが、磁場が乱れるこの場所では、有線の細い糸だけが、僕らを繋ぎ止める唯一の命綱なのだという。
「親方、気をつけて!エーテルが漏れ出してるかもしれません。ほら、あれ」
示した空には、夜の闇よりもさらに深い黒が、濡れたコンクリートのような光沢を持って滲んでいた。雨の日のカラスの羽の色。すべてを無に帰す、無限の黒だ。
「ああ、急ぐぞ!」
親方は慣れた足取りで梯子を登り、雲のすぐ下、空の「継ぎ目」に手をかけた。
見上げれば、空はもう限界だった。ルーカスさんの憂鬱も、掃除屋の投げやりな言葉も、すべてが作り途中のかさぶたのように、空にへばりついている。
【一時的に飽きちゃいました。また後で続き書きます!絶対!】
『物憂げな空』
雨上がり。天気予報は十分な晴れを歌っていた1日だった。
なのに今は夕方17時。
結局一日雨が降っていた。
今から何をするかも間に合わないだろう。
いつもなら綺麗な夕焼け空も残念ながら
灰色の雲に覆われて真っ黒な空が
足早に夜を迎える準備をしている。
あー...今日はもうやめ。
やりたかったこと全部諦め。
一日を終える準備を迎えるには十分すぎるだろう。
さて...とりあえずご飯とお風呂の準備をしよう。
どんよりした気分も少しは晴れるだろう。
天気予報はまだ晴れを謳っている。
少なくとも今日は信じないようにしよう。
語り部シルヴァ
久方ぶりに顔を、
己の意志を持ってあげたような気がする。
辺り一面に見える灰色に満ちたその場所は、
まるで今のボクを嘲笑っているようにも
感じさせてくる。
ムカつくなぁ。
その言葉が喧騒に紛れることなく、
ボクの喉奥に絡みついて離れない。
あぁ、気持ち悪いよ。
鼻で笑ったその相手は誰なのか。
それはボクのみぞ知る。
……なぁんてね。
物憂げな空
春先の青空…青く続く空は、少し霞んでいて、何処か物憂げ…
春の気怠さなのか、モヤモヤした気配が、身体に纏わりつき、心もスッキリしない…
真冬よりは、和らぐ青空なのに、何処か何かが足りないような、もっと何か見えない予兆を孕んでいる気がする…
この季節の移ろいの時期は、これから始まることへの期待と、ぼんやりした不安が、渾沌として、気怠さが払えない…
なにこれ。何この天気。ここまで曇らなくてもよくね?
天気=機嫌の人間には、このような空模様はきつい。太陽が出ていないと飢えた花のようになり、水中にいるように体が重くなり、だんだん古傷をえぐったりしはじめて、しまいには体にカビが生える。
よし。今日は好きなことをしよう。
といって1日を終えるに至るが、なんだかいつもより気分的に疲れていない。むしろ超元気。こんな天気なのに。
そこで気づいた。
楽しくできるかは自分次第ってよく言うけれど、こういうことか、と。
「物憂げな空」
「物憂げな空」 #289
どうしたの?
落ち込んでる?
私は晴れた笑顔のあなたが好きだよ
遠い空には
そんな言葉たちは
頑張っても届かないみたい
空がかなしく見えるのは
私のこころが
さみしいのかもしれない。
だけどその空のかなしさが、
空が代わりに背負ってくれたさみしさが、
私のこころを洗い流してくれる。
物憂げな空
夕焼けが終わってピンクや紫が空に浮かぶ時。
この後に続くのは真っ黒。
不安を感じたその瞬間が1番怖い。
黒がしばらく続いた後星を見つける。
たくさん。
星を見つけられるようになったこと。
成長したと言えるだろうか。
地味な凡ミスなんだけれど、特に注意していたことをミスってしまい地味に凹んでいた。
「はあ……」
のんびり外に出ると、曇天が広がっていた。
物憂げな空が今の俺の気持ちとダブってより気が重い。
身体を絞めて来るような重さが、怠さを増して気分がより気落ちしてしまう。
「あれ、どうしたんですかー?」
気になる彼女が視界に入り、華やかな笑顔を俺に向けてくれて胸が高鳴る。
「あ……」
俺の顔を見た彼女はカバンから炭酸飲料を差し出した。
「さっき見つけたんです、クリームソーダ味!」
差し出された炭酸飲料を軽く受け取る。
重さを感じず変に力んでいた身体の力が抜けていく気がした。
「ありがとう」
安心したように微笑んでくれる彼女を見て空は変わらないのに、心が晴れていくのを感じた。
おわり
六五〇、物憂げな空
物憂げな空
ハァ、ホント、今日はなんだって言うのよ
朝寝坊しちゃうし、お昼は売り切れてるし、仕事ではミスするし
挙句の果てには傘を忘れちゃうなんて
げ、しかも結構雨振ってる…
あーぁ、こんなにも空が暗いとどんよりしちゃう
いやまあ朝からミスが続いたからってのもあるけど
…こんな日は早く帰って寝るに限る!
さっさと帰ろう
とある頭の両端に向日葵の髪飾りをつけたバーチャル歌い手さんは曲に余白を持たせることを意識しているんだなぁと歌ってみたでもオリ曲でも思った。
余白を演出として使いこなすこなすことが上手だなと思った。
仕事で人にたくさん迷惑をかけた。
信頼も落ちたと思う。
心は物憂げな空のようにどんよりだ。
だから甘い物をヤケ食いした。お風呂にも入った。水分もいっぱい摂った。
この後はあったかくして寝るつもり。
明日は明日の風が吹く。今日のことを引きずってくよくよしてもしょうがない。
明日も私らしくいよう。
物憂げな空
教室にはいると先輩がいた
窓辺で空を眺めていた
話しかけようと思ったけれど
体がやめとけって自分を止めた
いや、見ていたいと脳が思ったのかも
儚げな先輩の横顔はただ一点空を見つめていて
先輩の気持ちを鏡のように映した空は
繊細で物憂げな空だった
【物憂げな空】
ふと空を見上げると
物憂げな空だった
こういう時はなぜか
何もやる気が出なくなる
その時は家で
家族や恋人、友達と一緒に
ごろごろしてるほうがいい
こういう時たまにあるよね
物憂げな空
空に笑われました。私がバスケの試合に負けた時も、初めてできた彼氏に振られた時も、高校の第一志望に落ちた時も、いつだって空は青く輝いていました。それとは対照的に母はいつだって嘆いていました、私の挫折を。笑う空と失望を嘆く母の温度さに眩暈がして、どうにもすっきりしません。ずっと笑い続けない空と、たまには慰めてくれる母にいつかなってくれないかな