『物憂げな空』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
哀しげに水を湛えたあなたの眼から落ちない雫がいま雨になる
題-物憂げな空
暗くて重い空
僕の上に落ちてくる空
今日よりも明日の方が
落ちてくる空
暗い空は僕を包み込む
包み込まれた後には
光りが見えた
俺は五条英雄
私立探偵をやってる。
といっても漫画によくあるような『殺人事件の犯人を言い当てる』なんてことはしない。
もちろん『やれ』と言われれば出来る自信はあるが、この平和な日本では出番が無いらしい。
複雑な気持ちだが、ここは素直に日本が平和であることを喜ぼうじゃないか。
では探偵はどんなことをしているかと言うと、浮気調査やペットの捜索、あとは草刈りなど。
いわゆるなんでも屋ってやつだ。
そして今日の仕事はペット探し。
近所の子供が飼っている猫が脱走したらしい。
もちろん子供とはいえ、依頼料はしっかりもらってる。
もらわないと、明日食べるものが無い。
ちなみにこの猫、俺の知る限り脱走を十回以上している。
なかなかにガッツのある猫で、出来るならスカウトしたいと思っている。
だがウチには既に手のかかる大きい猫がいる。
残念ながらそいつの世話で手一杯さ。
おっとお喋りが過ぎたな。
そろそろ仕事に行くとしよう。
事務所から外を見ると、空はあいにくの曇りだった。
こちらまで気がめいっていまいそうなほど、物憂げな空だった。
こういうのは良くない。
空模様と仕事は関係が無いが、空につられてこちらも塞ぎ込んでしまっては、成功する仕事も失敗してしまう。
こういう時はコーヒーを飲むに限る。
舌が火傷しそうなほど、熱いコーヒーがいい。
気づけば助手が横に立っているではないか。
彼女に淹れてもらうことにしよう
「君、コーヒーを入れてくれたまえ。熱い奴だ」
俺は助手に完結明瞭に指示するが、助手は動こうとはしなかった。
それどころか呆れたような顔をしている。
「あの、先生。コーヒー飲んでないで、早く仕事行きましょう。そして依頼料もらって給料下さい」
「君は俺の助手になって何年目だ?こういうのは雰囲気から入るものだ」
「アンニュイな雰囲気を出すのが?」
「アンニュイじゃない。ハードボイルド!」
「はいはい、分かりましたから。今晩、固ゆで玉子作ってあげますから。さあ行きますよ」
「何も分かってない。いいか、今日と言う今日は――」
「ほら猫を待ち伏せするときに聞きますから、先に行きますね」
そう言って助手は事務所を飛び出していく。
まったく、まるで猫みたいなやつだ。
あいつは、いつの間にかやって来て、当たり前のように居付いた。
しかも毎日事務所に来るわけではなく、猫の様に気が向いたときだけ。
役に立たないから金を食うだけなのだが、俺のハードボイルドの話をよく聞いてくれるから、追い出せずにいる。
いつ話しても面白そうに聞いてくれる助手は、いつしか俺の理想とするハードボイルドな探偵像の助手になってもらうのも悪くないと思い始めた。
金は大事だが、金より大事なことはあるのだ。
そして本日、捕まえた猫を抱えながらハードボイルドについて語ると、ようやく理解しもらえたことは喜ばしいことである。
これからのハードボイルド人生に潤いが出る事であろう。
ハードボイルドな探偵には、ハードボイルドな助手が必要だ。
これからもハードボイルドに磨きをかけていきたいものである。
と思っていたら、夕飯は本当に固ゆで玉子が出た。
やっぱり分かってなかった。
俺の理想のハードボイルドはまだ遠いようだった。
物憂げな空
買い物帰りの夕焼け空。
空を見上げると綺麗な赤い空で、そこに灰色の雲が混ざっている。
そんなふうにぼーっとしていたら雨が降って来てしまった。
空が悲しそうに泣いている。
自分を嫌いになれるって、凄いことなんだよ。
今日もそうやって、青空が笑っている気がする。
昼間見る
物憂げな空
鮮明で
例え夜なら
曇りで済むも
お題☆物憂げな空
憂鬱な雨と月曜日
月曜日は定休日 休みの日 自由な日 誰にも邪魔されない日
朝からノーメイクでパンチェッタを食べに珈琲店へ向かう
珈琲店は駅から5分も歩かない場所にある
大型スーパーと複合しているビルの2階にある
私は休みの日に朝からガッツリと御飯を食べる
それが仕事への力の源でして…恥ずかしいけど…
とある日に…珈琲店が設備の故障で臨時休館日…
仕方なく近くの珈琲店を検索して…
歩いて30分で素敵な店を…
見つけた!ピザ窯で焼いたピザです最高です…♪
私は小躍りして歩き出したんです…♪
しかし…雨がパラパラしてきて…
コンビニで傘を買うか?タクシーに手を上げるか?
バスロータリーは仕事に向かう列が…
うーん…
どうしようか?
ビルの隅のエレベーターホール横で考えてたら…
珈琲の微かな匂いがしてきた
焙煎する音も…
これは面白い…
私は今日の休みを…
聴こえてくる焙煎の音と匂いへの好奇心に
気持ちを寄せてみた
ビルの壁にかかる螺旋階段を登ると珈琲の薫りがしてきた
四階?こんな場所に珈琲店?
珈琲豆だけの焙煎屋さん?
とりあえず薫りが誘う方へ奥へ奥へと…
そこには B型作業所 近ちゃんの店と…
へ…作業所?…福祉?施設?…
営業中だ…でもね…福祉の……美味しいの?……
帰ろ!…
そう思いエレベーターの方へ歩き出したら…
さらにパワーアップして薫りが…
うーん……お腹も空いてるし…
まぁ話のネタにねぇ…
引き返して店の扉を…開けた…
いらっしゃいませ!
どうぞ!
私はびっくりした…
ジャズが静かに流れていて、マイルデービス?
今は…朝だよね…?
夜のニューヨーク?マンハッタン?
私はキンガムチェックのクロスが可愛い席に座った
カウンターには古めかしいステレオと…
あれはオープンリール?懐かしい…
父が生前こよなく愛してたtechnicsのステレオと
JBLの古めかしいスピーカー…♪
壁には多数のレコードジャケットが飾られていて…
父の好きなスピーカーから私の好きな曲…
オサリバンのアローンアゲインが流れはじめた…
雨の朝には…♪いい選曲してる…朝…♪
先ほど…いらっしゃいませと言ってた声が
厨房の奥から近付いてきた…
あれ…この人も福祉の?……
マジにカッコいいけど…?
彼は短めの黒髪に顎髭で
ムーンライダーと背中に描いてある
ワイン色のアロハシャツと
黒いデニムを履いて…♪
彼は言った…
まだ時間が早いので珈琲と瓜の漬物しかなくて…
漬物?……瓜の?……
珈琲と漬物?……
思わず、笑ってしまった……
そして彼は言った…
ここは作業所なんです
福祉の作業所なんです
でもね…
何処とも勝負できる珈琲を焙煎しています
世の中の福祉に対する考え方は人それぞれですが
けして良い方へ向いておりません
作業所と知ると店を出てくお客さんもいます
それが福祉の日々ある現実です
ここにきて共に働く仲間はイイヤツばかりで…
障害って…言葉の意味を感じ考えます…
害って…何で?
文字を変える福祉の方もおりますが…
先ずは人改革しないと文字だけでは…
そう思い思考続けてます…
頭を回して回して…
朝から珈琲とぶぶ漬けなんですが(笑)
そして彼は優しく笑った…
こんな雨の日も素敵だと思える休みの日
雨の木曜日 朝から思考して珈琲 優しい笑顔
福祉の作業所…
今の私…
…朝
レイニースマイル レイニーハート レイニーマンデー
ギルバートオサリバン アローンアゲイン
日曜日の夜の 学生の心。
だって、学校があるから。
『 物憂げな空』
何となく気持ちが曇る
太陽も出ず一日中灰色の空に包まれている
朧気な目で窓の外を見ている君の
頬に一滴の雫が滴った
今日はなんとなく嫌な日だった
ほんとに小さな些細な事だけど
それがどんどん心の中で溜まっていった
友達の輪の中に入れてもらえないとか
ありがとうの言葉がなかったりだとか
私が気にしすぎなだけなのかもしれないけど
それがなんとなく今日は多かった
周りが悪いとかそういうことでもない
私が駄目だったとかそういうことでもない
だからこそ困る
この感情をぶつけれるところがないから
今日の空は
私の心を表したかのような天気
こんな日は天気のせいにしてしまおう
2.『物憂げな空』
空の写真を撮るのは趣味だ。
物憂げと言われたら、、、、
雨でどんよりしたような空や
これから雨が降るようなそんな空
そういう日は
気分も下がるし
頭痛が酷くなります。
そしてイライラしてしまう。
『物憂げな空』
悲しくても
辛くても
空は変化していく
そう、いつまでも同じ空は無い
心も 空のように
物憂げなままじゃない。
少しでもポジティブになれるよう
自分の気持ちを奮い立たせて
青い空を眺めていたい。。。
黒猫はな
【物憂げな空】
空を見上げて、ため息をひとつ。
「降りそうだなぁ。」
洗濯物は、また部屋干しか。
仕方ない事とは言え、少しだけ青空が恋しくもなる。
「ゆっくり、休むかぁ。」
家の中で出来る事だってあるのだ。
『毎日、良い天気が続いたら、何も育たないよ。たまには、雨も降らないと。』
大好きなあなたが言う事に、嘘はない。
嘘だったとしても、自分は信じている。
「…か、ずま。さむ、い。」
体温が高めの自分に抱きつくように伸びてくる腕が、思うよりも冷たくて焦る。
「冷たっ!何で!?」
少し離れただけで、こんなに?と思う程の冷たさに、急いであなたを布団に納める。
「トイレ行ってきたの?」
布団の中で抱き締めて、背中を擦る。
「急に、布団、剥ぐから。」
奥歯がカタカタと鳴っている様な音がして、枕元に常備してある体温計を引っ掴む。
「奥歯ガタついてんね。風邪引いたかな?」
天気が悪い日は、体調を崩しやすいあなた。
「…うん、ちょっと低いね。暖かくして過ごそう。」
いつもより低い体温を示す体温計。
「お腹は、空いてる?」
エアコンを点けて、部屋を暖める。
「温かい、雑炊でも作るかな!」
2枚程、多めに毛布と布団をかけて、昨夜入れた湯たんぽを、あなたの腕の中に抱き締めさせる。
「美味しいの作るから、待っててね?」
久し振りに、あなたの全てをお世話出来ると、不謹慎にも思ってしまう。
「今日は、ふたりで、のんびりしようね。」
鼻歌混じりで、朝食を用意する。
何を思い悩むのかは存じ上げませんが
その日は
もう既に夜明け前から、物憂げなことでございました。
空を見上げ
深く溜息をつきなさること
もはや数えきれずな状態です
太陽は昇り
月は沈む
日に二度の
太陽と月の逢瀬
皆既日食で体を重ねても
地上から人々が眺めるので
そっと触れ合うだけだとか申しております
人々は個人情報とか言っているくせに
我々にはないのかと憤慨しています
ほらほら
そんな顔をしていると
さみしがり屋の月が欠けてしまいますよ
満月の夜には
あなたのために光り輝くのですから
わたしは
いつでもあなたたちを見守っていますよ
あなたにいちばん近い惑星より。
僕は今日もこの空を見上げている。
僕はあまり人と関わるのは得意では無い。でも、ひとりが好きなわけじゃない。小学生の頃は友達も多かったのに、成長するにつれて友達の作り方を忘れてしまった。どう話し始めて友達になっていったのか、今ではもう思い出せない。周りは休み時間ではしゃいでいるのに、僕だけ一人だ。
だから、教室の自分の席に座って窓から空を見上げている。そこから見えるのは、いつもと変わらない物憂げな空だった。
太陽が沈む前の物憂がな空。
何かが消えて行きそうな、、
また新しく何かが起きるような不思議な気分。
仕事もあってもうどのくらい見てないだろうか。
その感情は冬の空にだけ現れる。
夜は嫌いだった。
特に冬の夜。怖い感じがして。
今、神秘的な感じるのは大人になったからだろうか。
物憂げな空
音が耳を刺す
カラ。ドンドン。スーッ、トントン、ザラザラ、シュッ、
「っ」と「は」が混ざり合い音は完成する
その音は「過」呼吸となりより不安へと導く
乱れた呼吸と反響する音
頭を抱えた時に触れる肌の質感と産毛が更に麻痺させる
そうなった原因はありふれた普通のことだった
だがどう頑張っても普通のことだとは思えなかった
人は悪びれもせずやるのだから余計怖く見えてくる
テレビドラマを楽しむ食卓は感情が渦巻いていた
テレビに支配されたように音量を上げる
音は更に殺傷能力を増す
主人公がフラッシュバックして目に涙を溜めている
感極まり音量を上げ続けている人影が見える
音量を上げ続ける母を見た
母の輪郭がぼやけて
母として認識する機能が消え失せる
人はこれを失望と呼ぶ
周りの風景がぼやけたようになりその人影しか見えなくなった
音量を上げていた
音は余計に威力を増す
ドラマに感情移入している食卓はいい雰囲気ではない
一言で言ってしまうと、ただひたすらに重い
高らかに笑うヒール役
そして震え「っ」と息遣いをし感情を表す善人
食卓の空気が重くなる
皆、テレビに食いつき見ている
なんとか視界に入れないようにと別方向を見ていると
音が刺してくる
震えた息遣いが耳を刺す
ティッシュを丸め耳に入れたが
音は変わらず刺してくる
呼吸は荒くなり
部屋はそれなりにあるはずなのに部屋に追い詰められていくように思える
胃がキリキリと痛んだ
呼吸は「過」呼吸のままだ
我慢ができなくなり小さく机を叩き続けた
コッコッ。と机が鳴っている
そんな密かな嫌悪と苦しみを含んだ音は
感情と水っぽい装飾の苦しみが描かれた作品は
人の同情を誘う雰囲気はますます重くなっていくばかりだ
この人達も全て偽物だと頭の中で唱える
これは僕が使える唯一の魔法だった
最初から期待もせず信じないこと。
これは僕の魔法であったが、その代償として人への不信
感に体が侵食されていく
代償付きの魔法であった
この人達も全て偽物だ。偽物だ。本当なんてないんだ。
心から泣いてなどない。どうせ金のためだ。承認欲求だ。
そう思う事で感情から逃げている
人の感情に呑まれないように肩の力を入れ続けた
地球のどこか片隅で考えた
いつもと変わらない家の台所なのだが
まるで地球の片隅で身を丸め孤独に考えているように思えた
実際、地球の片隅なのだが、いやに孤独で世の不条理さを思い知らされたかのように思えたのだ
全てが偽物でダミーだと思えてくる
好意もちらつかすだけのようなテスター品で
人間関係だって使い捨ての品だ
消費される関係。
被害者になろうとしている自分が気持ち悪い
傷ついた事を話せば被害者になってしまうのは何故だろうか
僕が全て悪いという終点になった
被害者ぶってだとか私の方が辛いと言われてもどうしたらいい?
僕が全て悪い。それなら割りきれる
加害者意識となったならば簡単だ
自己否定し堕ちるとこまで堕ちるただそれだけだ
僕が悪いんだと思った
誰も何も悪くない。ただ僕が悪かっただけだ
僕という失敗作が息をしてしまった。ただそれだけだ
産んだ親は悪くない勝手に生まれた僕が悪いのだ
僕がいるだけで皆が傷つく
僕がいるだけで皆、悪口しか言わない
悪口を言わせていた他人に
そんな過去が頭にストンと一直線に落ちてくる
加害者意識は自己否定を繰り返した
僕のせいで僕のせいで僕のせいで
呼吸は荒くなる
何も見れなくなる
健常と異常の境目は滲んで見えなくなる
ただひとつ僕が悪いんだということを思いながら
コツコツ、と机を鳴らす
それで気を紛らわそうとしたが机の音が鳴るたび
僕は追い込まれていく
自己否定と時だけが流れ過ぎていく
けれどまだ終わらない
音は威力を増し突き殺そうとしてくる
鍋じきの上に置かれた野菜炒めのフライパンを皿に開けようとしている人影ひとつ
シュッ。カンカン。シュッ。シュッ。カンカン。
と底が見えたフライパンを擦すっている人影は
生活音と言い訳された音で耳を突き刺してくる
階段を上り避難する
これは心の避難である
階段を上る時も耳を塞いだ
もう音は来ないのに
夜風に当てられた冷たい階段を上る
耳を塞いでいる僕を白い目で見るように階段の冷たさが足に伝わる
「っ」「は」という音が空虚に響き渡るが
夜風の冷たさに「過」呼吸が呑まれていく
「苦」「し」「い」という音が頭の中で止めなく流れる
そう認識した瞬間、より「苦」しくなる
階段を必死で上る
その現場を見られ白い目で見られるかもしれないという妄想をした
余計に恐怖は湧き立ち苦しみの釜は煮える
苦しみの釜が煮えた合図に「過」呼吸が酷くなる
エアコンがついた部屋に扇風機が回っている
「過」呼吸が鳴り響く部屋
「過」呼吸のリズムに合わせた音が頭に主張してくる
ファン。ファン。ファン。ファン。と永遠に思える数十回が僕を殺す
苦しいという文字だけが頭に浮かび上がる
頬に水が寝転んだ
視界は滲む
音は反響し続けている
頭の中で無機質な生活音が流れ
無造作な音が絶え間なく流れている
カン。カンカン。シュッ。ファン。ファン。シュッ。
僕を殺そうと今日も音は生まれる
耳塞ぐ僕を物憂げな空が見上げていた
人を見上げる空を僕は怨んだ
けれど怨んだ結果が怖くて僕は目を閉じた
頬は濡れそぼっている
物憂げな空
300字小説
三寒四温
春先の三寒四温。物憂げな空の下、傘を手に散歩に出る。
寒風のなか、人気のない公園に白い着物の女性と若草色の着物の女性が仲良く手を繋いで歩いているのを見かけた。
「この気候の不順ななか、後を頼みましたよ」
「私の季節は短く、すぐに夏の姉様にお渡しするかもしれませんが確かに」
ごうと強い南風が吹く。思わず、目をつむり、まぶたを開けると二人の女性の姿は消え、沈丁花の澄んだ香りが微かに鼻に届いた。
『今日、北陸地方に『春一番』が吹きました』
地方局のニュース番組のアナウンサーが画面の向こう側から告げる。
カーテンの向こう、目の端に夕刻の庭をすぅっと通る若草色の着物の女性の姿が映る。庭の白梅の蕾がまあるくほころんだ。
お題「物憂げな空」
物憂げな空
もう、何度目の墓参りだろう
ここに眠るあいつのおかげで
めぐり逢った君と僕
示し合わせた訳でもないのに
毎年並んで手を合わせる
人は土に還るのに
人はなぜ空を仰ぐのだろう
淀んだ曇り空は
未だあいつに囚われたままの
君の心そのものなのだろう
これからどうする?
真っ直ぐ帰るか
君の寂しそうな
申し訳無さそうな表情に
僕のほうが申し訳ない気持ちになる
お互い気持ちがすれ違う君と僕を
あいつは物憂げに見つめているのかもしれない
あと何日君と一緒に過ごせるだろう
春という季節に考えさせられる
夢を叶えるために頑張る君は
もっと遠くの場所へ
自分の足で歩いていくから
見守ることしかできないけど
祈ることしか出来ないけど
最後まで君の幸せの形を見届けるよ
寂しいといったら側にいてくれる君だから
今日は寂しいといってみた
嫌な顔せず側にいてくれた
いつまでも甘えてられないな
もう寝る時間だからおやすみをした
今日は曇っていて物憂げな空だ
まるでわたしの心模様だ