『涙の理由』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
オレンジ色がぼんやり滲む。表面張力で何とか潤いを保っていた瞳は今にも限界を迎えそうで。
嗚呼、どうして夕方というのは人をこんなにもセンチメンタルにさせるのか。
ベランダで一人、柵にもたれかかっていた男は気だるそうに煙を吐いた。
何だか煙草が目に染みるなあ。ボタボタっと大粒の涙が落っこちるも構わずに空をゆっくり見上げ続ける。
失敗した大きな商談、突然別れを切り出してきた元カノ、自ら命を絶った親友、脳裏に浮かぶのはこんなことばかり。
人生というのはおしなべて何かを失ってゆくものなのだろうか。
分からない、何も。
それでも煙草の苦味が今はとても心地良い。
全てダメなような気がする。
行動も、話した事も、表情も。
間違った気がする。
相手を不快にした気がする。
自分だけ駄目な気がする。
自分だけ何も出来てない気がする。
自分だけ取り残されてる気がする。
昨日まで大丈夫だったのに。
しんど過ぎて涙が出る。
意識して考えないようにする。
きにしない〜 きにしない〜
だいじょうぶ だいじょうぶ
自分自身に言い聞かせる。
周期的にPMSだなぁとぼんやり思う。
某タレントさんが自死を選んだというニュースに
女ホルやり始めてたって書いてあって妙に納得してしまったもんね。
自分はその道は選ばないけれど。
とりあえず命の母ホワイト飲んで寝よう。
起きたらきっと、少し軽くなるはず。
いつか見たあの日の涙の理由を知りたくて
僕は静かに彼女を探す。
─────『涙の理由』
夕暮れの教室で1人涙をこぼす君
どうしても放っておけなくて
「どうしたの?」
声をかけてみた
君を泣いてほしくなくて
彼氏から酷い扱いを受けていると話す君
僕なら君を泣かせたりなんかしないのに
そんな気持ちを悟られないように
そっと話を聞く
「もう別れようかな」
ポツリと話す
「その方がいいと思うよ」
なんて白々しく同意する
君に似合うのは嬉し涙だけ
「涙の理由」
「涙の理由」
君は泣いていた。
少し落ち着いてから涙の理由を聞くと、
今日見たアニメがとても感動したからと言っていた。
「君も見てみるといいよ。すごくおすすめだよ」と君が言うので、僕もアニメを見てみた。
すごく感動して、涙が出た。
君に、おすすめされなかったら、見る事がなかっただろう。見て良かったと思った。
「涙の理由」
2024年10月11日午前8時30分
私の目からはふと涙がこぼれ落ちる。
中学2年生の春、あなたは私に告白した。声も手も見苦しいほどに震えていたけれど、私の目をしっかりと見て、心の底から愛していると伝えてくれた。涙脆かったあなたは私の返事を聞いた途端、泣き崩れていたね。そんなあなたに告白されたことが嬉しくて、私も少し泣いてしまった。
それからは毎日が幸せだった。あなたは優しくて、頼りがいがあって、でも少し不器用で、小心者で。そんなところが格好良かったし、可愛かった。中学3年生、高校受験に向けてお互い頑張ろうと言って始まった受験勉強。家に集まって、毎日向かい合って勉強をした。初めは良い関係を保てていたのに、受験が近づくほど私たちの仲は悪くなった。どちらが悪いなんて無い。お互いが緊張感を持ち、言うこと全てが頭にくる。そんな時期だった。
そんなある日、私たちは大喧嘩をした。きっかけは些細なものだったのに、お互いが日頃の不満を言い合って、歯止めが効かなくなった。本当は謝りたいのに、ダメだってわかっているのに。そんな状態で数日が過ぎた。もう家に集まることはやめて、口を聞くことも少なくなっていた。
その日は、1日中暴風と大雨で最悪な日だった。あなたは私に1週間ぶりに声をかけた。今までの喧嘩なんて嘘のように、悲しそうな顔をしていたけれど、私にはそんな彼に気づく余裕なんてなかった。何度も声をかけられて、振り払って、その日が終わった。
それからは本当に、彼とは疎遠になった。そうなってしまってから、私はやっと悲しいと思った。私たちはこのまま別れてしまうのだろうか、という不安が常に頭をよぎり、遠くから彼を目で追う日々が続いた。自分の幼稚さで彼に声をかけられないもどかしさに腹が立った。
2020年10月11日午前8時30分
朝の会。あなたのいない教室。担任から放たれる言葉に耳を疑う。
あなたは自殺した。
今日はあなたの死んだ日。私があなたを殺した日。
黒い服に身を包んで、花束を買って行こう。
私は昔から泣き虫だった。
今ならわかるけど、少し前までなんで涙が出てくるのかわからなかった。
子供の頃から、自分の想いや色んな言葉などを飲み込んできた。
それが詰まりに詰まって、自分の感情や言葉を出せなくなり、それが涙として出てくる(発散してる…とも言えるかな…)んだ…と最近、ようやくわかった。
人の体って不思議だな〜
ちゃんと溜め込まないように、何かしらの形で出してくれてるんだな〜
まぁ、普通に泣き虫ってのもあるけど(笑)
私はあなたに失恋をした
あなたには好きな人がいるの
それは私じゃない
知ってた
知ってたんだけど
どこかで自分かと期待をしている私がいた
それなのになぜあなたは私に優しくするの
諦められなくなるじゃん
あなたはなぜこう言うの?
その『涙の理由』を教えてと
なんで優しくするの?
なんでなんでなの?
やめて痛いから
心が痛むから
どうか
どうか
これ以上期待させないで
どうかお願い
聞かないで
この『涙の理由』を
3行日記
上司も人間だということに気づき力になりたいという貢献心が芽生えた
ありのままでいいんだと気づけた
緊急時の対策を体験し成長した
感情移入しても涙なんかでやしない
から。わからんないや
誰かに理由を話したって解決しない。わかってもらえない。
諦めてるって言われるかもしれないけど、実際そうだと思う。
#28 涙の理由
「もうやめよう…」
一瞬彼が何を言っているのか分からなかった。
「もう、会うことも話すこともやめよう。きっと今じゃないんだと思う。というか君と僕は釣り合わないんだと思う」
彼とは友人の紹介で出会った。
しばらく彼氏を作らない私に呆れた友人に
「いい人いるから」と彼を紹介された。
初見はタイプじゃないし、オドオドしてるし何考えてるかわかったもんじゃない。でも、自分の好きな物には真っ直ぐで素直で時々見せるその笑顔と優しさにいつしか心を奪われていた。
そんなある日勢い余って私から告白してしまった。
彼は一瞬戸惑ったが、決心したように
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
と何故か堅苦しい返事で返してきた。
それからというものの旅行に行ったり食事に行ったり、休みがあった日には一緒に出かけるようになって早1年。
記念日はお互い仕事で忙しくて会えなかったけど、
日程を少しずらして会うことが出来た。
そんな日の出来事だ。
「別れる…ってこと?」
きっとそうだろう。聞くまでもない言葉。
「そう」
彼は小声でそう言った。
「え、なんで?記念日だよ?
ちょっと待ってよ、今じゃなくない?理由は?」
彼の言葉はいつも含みがあり、遠回りだ。
だけど必ず答えはあるし自分の考えは持っている。
「そういう所!そう、今じゃないんだよ。理由はさっきも言ったよね。何回も聞き返さないでよ。
自分が少し上に立った気分になって、人の事バカにして…耐えられなかったんだ…じゃあね。
僕よりいい人はいっぱいいるでしょ」
そう言って席を立った彼はお金だけ置いて店を出ていった。
「僕よりいい人って…何よ…」
窓の外を歩く彼を見て目から水が溢れ出した。
自分のこれまでの行動が許せなくて…。
彼との別れが悲しくて…。
心の炎が吹き消され、なにも感じなくなった。
しぐれ
『涙の理由』
日々、たくさんの喜びに出会う
その中でも子供達が成長する喜びほど
深い喜びはなくって
たまに出会えた時
感謝の念と共に 温かい涙が溢れ出てくる
涙の理由
それは、これといって理由はなくて
多分…
あのときの君の言葉
涙の理由
涙もろくなった
もともと泣く人ではあったけど
でもよくよく考えると
悲しくて泣くことはあっても
しんどくて泣くことってほとんどない
心がすごくしんどい時は
大抵涙を流すエネルギーすらない
涙を流す理由も
涙を流せる理由も
人によって変わるのだろうな
心を込めて紡ぎ出した想いを、
そんなの大したことじゃないよ、と
鼻で笑われる。
踏みにじられたこの想いの、
行き場はもうない。
〜涙の理由〜
なんで泣いてるんだろう
そんなの分からないけど
とにかく悲しい
世界を恨みたくなる
抱えきれない悲しみが
胸を締め付ける
泣くなとか
吐くなとか
暴力では無いだろうか
苦しめられた心が
なんとか自分を解放するために
泣いているのではないだろうか
たっくさん泣いて
たっくさん吐いて
そんな自分を抱きしめよ
理由なんて関係ない
泣きたい時は泣いていいのだ
涙の理由
彼がなぜか泣きだした
理解が追いつかなかったが
話を聞いた
全然教えてくれなかった
でも一つだけ分かったことがある
私のせいだということ
後日、彼の友達に話を聞いた
早く帰るって伝えてたのに
遅くなってしまったことで
私が怒ってると思ったかららしい
よくわかんないけど、
そんなことくらいで怒らないわ!
って思ってしまった笑
『涙の理由』
君とは長いことすれ違っていた。
お互い好きだと言い合っていたのに、
ずっと一緒にいたのに、
かみ合うタイミングがなかった。
運命の人だと思っていた君に
友達でいようと言われた。
だけど、僕は諦めきれずもう一度告白してしまった。
電話越しに聞こえる押し殺した泣き声。
その意味を知ることはなく、
離れ離れになってしまった。
涙の理由
これまでの想い出も。
今日というこの日も。
この瞬間さえも。
何時までも忘れないよ。
俺はそう言って、
微笑んでみせた。
いつもみたいに、
『さよなら』の代わりに、
口吻を交わして。
またね、と言い掛けた時。
不意に溢れた君の涙を、
俺は、拭えかったんだ。
その涙の理由が。
俺には、分からなくて。
分かりたくなくて。
何時かはこんな日が来ると、
感じてはいたけれど。
時が過ぎてしまえば。
どんなに鮮やかな想いも。
どんなに大切な思い出も。
黄昏の空に溶ける様に、
やがて消えてしまうのだから。
君は、そう言いながら、
泣き顔のまま微笑んだ。
涙の理由。
聞かせてよ。
俺はその言葉を飲み込んだ。
涙の理由。
そう、それはきっと。
蜂蜜色と薄浅葱。