『涙の理由』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
なんとなく気付いてた
こんな結末になること
なのに何故?
涙が止まらない
涙の理由なんて言わないわ
だって重い女だと思われたくないもの
あなたの前ではいつもいい女でいたつもり
あなたの思い出の中でもいい女でいたいの
バカよね私…
ずっと泣いてたこと
あなたは知らないまま…
【涙の理由】
看護師という職種は怒りの沸点が低い、それに涙する。
涙の理由
「もうっ!ふざけんなよ!」
声にならない泣き声をあげながら、手近なものを次々と投げては感情を爆発させていた。そこそこの年齢の大人が物を投げながら、暴れまわっているなんて見苦しいにも程があるが、こうでもしないとやっていられないのだ。
ひとしきり暴れたあと、倒れていた椅子を直しそこに座った。乱れた呼吸を無様に整えながら床を見つめていた。静かになると、いろんな考えや羞恥や罪悪感が沈黙を埋めるように、押し寄せてきて思わず頭を抱えたくなるが、やめた。もうすっかり疲れきっていたので、寝ることにした。これじゃ子供だと言われても仕方ないだろう。
もうどうにもならない事だと分かっているのに、いつも泣いてしまう。本当にもう取り返しがつかないのに。
『狂人』
『涙の理由』
声でしか会った事がないあの人は、タバコをよく吸う。
電話越しにキューってタバコを吸う音にドキドキした。
日本人なのに海外で一人暮らし。経験人数50人。
私とはタイプが全然違っていて、
ぶっきらぼうなのに何だか口調が可愛くて
声がとても甘かった。
「俺、貴方ちゃんの事、結構 好きよ。」
「俺、貴方ちゃんの事、まだ ちょっとだけ好きだよ。
前ほど好きじゃないけど。」
「貴方ちゃんと話すと、メンタル削られるっていうか…」
本気で惚れたわけじゃない。
でも、あの人のタバコの臭い、知ってみたかった。
Winston。青と白の箱だって。
私、タバコ嫌いだけど、
吸ってみたいと思ったのは初めてだったよ。
「涙の理由」
綺麗な雫のようなものが目の前で落ちていった。
私の目からも雫が......
その理由は分からない、
誰も教えてくれない...
止める方法がない、どうしたらいいだろうか。
負け犬が髭剃り損じ血と涙排水口へ共に流れる
イモムシが一生懸命に道を這うそれが健気でなんだか泣けた
「涙の理由」
ー涙の理由ー
今、キッチンに立っている。いつも料理を作ってくれる妻がいないので自分で作る事にした。自慢ではないが、料理をするのは人生初である。今世紀最大のピンチだ。何を作ればいいのか分からないので取り敢えず冷蔵庫を覗いて見たが、見事に野菜しかないようだ。仕方ないので野菜炒めを作る事にした。見様見真似に猫の手を作って野菜達を切り刻む。人参、もやし、キャベツ、玉ねぎ、赤ピーマンをフライパンにぶち込み油で炒める。特に赤ピーマンが結構余っていたのを全部入れた結果、赤一色になったが(まぁいっか)と思い、最後に塩コショウを掛けて完成させる。初めて作った自分の料理に感動を覚えつつ、いざ、実食。
死ぬほど涙が出た。
数日後経ったある日妻が突然、「冷蔵庫に入れてたハバネロ知らない」と聞いてきた。何かの冗談だと思い知らないと答えた。
涙の理由
(本稿を下書きとして保管)
2024.10.10 藍
泣きたいわけじゃないんだ。
ただ自分の気持ちを、考えを、
伝えようとしただけなのに、
勝手に出てきちゃうんだよ。
泣きたくないのに。
これじゃまるで子供みたいじゃないか。
僕は大丈夫。
大丈夫だから。
ごめんね。
今はそっとしておいて。
ー涙の理由
大丈夫
大丈夫だから
もういいよ
もういいって
うるさい
ほっといてよ
関わるなよ
もういいから
「良いわけないだろ、そんな顔して言われても説得力皆無だよ」
どうして
「お前が泣いていたから」
「どうして……」
「その理由を聞くまで、俺はここを離れない」
「も……うざいよ……」
「ははっ、悪かったな」
涙の理由(わけ)
『もう疲れちゃった』
何も始まってないのに
あなたの知らないところで
私は泣いたり落ち込んだり
もう疲れちゃった
#涙の理由
わからなくなってきた。
全てが、溶けるように失っていくから、この苦しい気持ちも痛いと思う心も同じように溶けて落ちて仕舞えばいいのに……言いようのない喪失感が心を呑み込もうとする。
あの日から私は、ずっと神を怨んだ。
大事な人との明日が失われてしまった
もう笑いかけてもくれない、もう慰めてもくれない。
私の唯一の大事な人
今も覚えている。
あなたは幸せな顔をして亡くなったよね
あの日の夜神様に祈ったんだ。
あなたがなくなったことが嘘でありますようにと、あなたは涙が嫌いと言うから頑張ってこらえたんだ。
あなたに笑顔で会いに行くと決めたから、でも結局はなんだったんだろう。
貴方はもう居ない
あの日から私は夜の雨がポツっと降る高速道路が嫌いになった。
後悔してるのに
それすら、残して、泣きわめきたいほどの喪失感だけが残った
今もこれからも
涙の理由
何故だろう…涙が止まらない…ずっと我慢していたのに、一度出てしまうと止まらない事に気付いた…
こんなに、涙流すなんて、何年振りだろう…大人になって、だいぶ経つのに、子供みたいで、恥ずかしい…でも、急な理由で、あなたと会えなくなった…別に、さよならでも、長く会えない訳でも無いけれど…
会えない時間が、少しでも延びることが、こんなに辛いなんて、思ってもみなくて…あなたと逢いたい…あなたに、触れていたい…あなたと、少しでも長く、同じ時間を過ごしたい…
″涙の理由″
「おい泣くなよ」
「無理ぃ…今泣かないでいつ泣くのよぉ…」
「いや別にいつでも泣けるだろ」
「情緒のねぇやつだぁ…」
「今更だろ」
「それはそう」
「急にスンってなったな」
「今までの行いを思い出してきたらこういうやつだったって思ってさ」
「分かった上でOKしたんだろ」
「んふふ、まぁね」
【それでは、新郎新婦。誓いのキスを】
「幸せにしてね、ダーリン❤️」
「当たり前だろHoney」
「ノってきた!!!!」
「うるせぇ」
涙の理由を聞いても
訳の分からないことを言って逃げないで
涙の理由?これはこの世界に疲れたから。綺麗事しか言わない世界。ヒーローしか好かれない世界。その綺麗事で誰かにプレッシャーをかけたり殺したりしてるの気づかないの?貴方はきっとその綺麗事だけで生きてきたんでしょ。だからそんな事言えるの。これ以上私を殺さないで。
『愛してる。』
昔、言われた言葉。誰が言ったんだっけ?
「…もう、朝か。」
カーテンから差し込む光に、少し苛立ちながら体を上げる。そして、ノロノロと洗面所に向かう。鏡に映る俺は、泣いていた。またか、と呟く。俺は昔から時々、目覚めると泣いている事があった。哀しい夢を観たせいかもしれない。涙と夢について一度、占ってもらった事がある。その時の占い師は、少し微笑んで
『もうすぐです。もう少しで、理由は明かされます。』
とだけ、告げた。結局俺は、涙の理由を知らない。
俺が観る夢は、まるで実際に体験した事のあるように感じた。ストーリー自体は、有名な〝ロミオとジュリエット〟のようなもの。そこで俺は、一人の女性に恋をする。お互いを知る内に、二人は恋に落ちる。しかし、不運な事故のせいで、彼女は亡くなった。俺は、後を追うように自殺した。家柄の問題はなくとも、待っているのは死。そんな在り来りなストーリー。その中で俺が一番覚えているのは、花畑の真ん中で彼女が、俺に愛を伝える場面。彼女の顔はぼやけていて、よく見えない。それでも、笑いかけているようで、優しくて、心地が良かった。
ある晴れた日の朝。俺は、用もなく道を歩いていた。何だか、誰かに呼ばれている気がした。真っ直ぐに続く道を、ゆっくりと歩いていると、何かにぶつかった。ぶつかったものの正体は、同い年くらいの女性だった。俺は、慌てて謝ると、彼女は目を大きくした。
「大丈夫ですか!?」
そう言って、彼女はハンカチを俺に手渡した。俺は理由も分からず、それを受け取った。
「泣いてますよ。これ、使ってください。」
そう言われて、俺は自分が泣いている事に気が付いた。そんな、俺を見て、彼女は小さく笑った。
「昔から、変わらないね。泣き虫のままだ。」
俺は、涙の理由を知った。
26.涙の理由
涙ってストレス発散のために流れるそうです。
ようは身体がストレス溜まってんなあ、発散させなきゃなと思って涙を流させるんですって。
そう思うと、「泣くこと」ってそこまで悪いことでもないと感じませんか?
身体とか、心の健康のために、涙を流しているんですから。
そして、ストレスをあなたはきちんと感じられてるってことになります。
泣くことのできるあなたは、大丈夫。
泣けないあなたも、無理に泣く必要はありません。
生きているんですから、問題なしです。
2024.10.10
《 涙の理由 》
まだまだかわいい盛りの娘が
私の手を離れて神様の元に行ってしまった
やさしく抱きしめながら
心音が少しずつ弱まっていくのを感じても
何もできないのがもどかしく、悔しかった
あれから何度季節が巡っても
容体が急変した日が近づいてくると
胸がきゅっとなって涙が溢れてくる
シャーデンフロイデという言葉を発明したやつを、俺は心底、尊敬している。
目の前で膝から崩れ落ちた友人を眺めながら、今日も俺は、ぬるくなった水道水を、甘露のように味わって飲み干す。
液晶モニターの中のAI機械音声が、冷淡に、今日の株価の暴落を告げていた。
「なんでだ…俺の人生、全て賭けてたんだぞ!!俺の貯金……俺の人生、めちゃくちゃだ!」
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、友人は喚き散らしていた。
俺は、右手に持った季節外れの棒付きアイスを齧りながら、それを黙って聞き流している。
「俺の人生、めちゃくちゃだ!」
彼のこの言葉を何回聞いただろうか。
この後はいつも、彼は決まって、ふしくれだった腕で俺の胸ぐらを掴み、浅ましい目をギラギラさせて、こう続けるのだ。
「これも何もかも、お前のせいだ!あの時、お前が俺を止めてくれてれば…!」
彼は、俺の元同期で友人で、俺ん家の居候だ。
同大卒で同僚だったのだが、インフルエンサーに影響されたのか、急に投資を始めて億万長者になるだのと言い放ち、職場を去っていったのだ。
彼が、着のみ着のまま、俺の家に肩を窄めてやって来たのは、それから僅か一ヶ月後のことだった。
曰く、投資に失敗し、金を騙し取られ、グレーゾーンまで引き摺り込まれて、洋服以外すっかり剥ぎ取られて、命からがらここまで来た、どうにか金が工面できるまで、住まわしてはくれないか…そんなことを涙交じりの面で訴えた。
俺は大して驚かなかった。
そうなるだろうな、と前々から思っていたからだ。
彼はお世辞でも賢いとは言えないほどの奴だったからだ。
お調子者で、行き当たりばったりで、時間や信頼にもルーズ。
優先順位や計画、理論的という言葉は、きっと彼の辞書にはないのだろうと影で噂されるくらいの、無計画お花畑男だったからだ。
そして、その欠点の責任を環境と他人に押し付けて、怠惰を貪り、自分の非を受け入れて改めようとしない奴だったからだ。
彼は学生時代から今までずっと、少なくとも俺が知る範囲ではそういう、どうしようもない人間だった。
だから、俺は彼のそんな突飛で身勝手なSOSにも応えることができた。
俺は彼を家に招き入れた。
ダメ人間を飼うことにした。
彼はダメ人間だったが、俺は彼が結構、気に入っていた。
言動はいちいち予想の斜め下で面白かったし、口が重く表情を表に出すのが苦手な俺にとって、表情をクルクル変えて常に騒ぎ続ける彼の存在は、なかなか興味深かったからだ。
それに、彼の存在は、俺にとっても有益だった。
彼の枚挙にいとまのない失敗たちは、ある時は俺を慰めた。「俺の下にはまだコイツがいる」と。
またある時は、俺を戒めた。「怠惰に身を任せて、考えることをやめれば、彼みたいになるぞ」と。
だから俺は、何度約束を破られても彼の友人であり続けた。
彼は、俺にとっての反面教師で、興味の塊で、観賞用生物で、かけがえのない友人だった。
彼がいるだけで、俺の日常は楽しかった。
彼の涙を眺め、涙の理由を解析し、それを肯定し、手を差し伸べながら、内心で失笑し、論い、彼を貶めるのが、俺にはアニメやマンガや本よりも、何よりの娯楽だった。
俺は悪魔なのだ、きっと。
友人の涙の理由を甘い露か、美味い酒肴のように味わう俺は。
自分の生活を切り詰めてでも、彼の自業自得な悲劇と涙の理由を手放せない俺は。
不幸を喰らう悪魔なのだ。
そして、そんな悪魔は存外、ありふれた存在なのだろう、と思う。
友人は、俺の胸ぐらを掴み、しばらく慟哭を上げながら強請っていたが、まもなく息が切れて、咳き込みながら座り込む。
泣き疲れた子供のような、くちゃくちゃな顔で、へたり込み、呆然と床を眺めている。
頬を、涙が一粒、光りながら流れていく。
俺は彼の背をそっとさすってやる。
彼がしゃくりあげる。
「心配すんな、金ができるまで追い出さないから」
俺の猫撫で声に、彼がまた一筋の涙を、くちゃくちゃの頰につたらせる。
「…ああ」
彼が掠れた声を上げる。
彼はとっくに、感謝の言葉を忘れている。
そんなダメさに、甘い満足感を噛み締める。
シャーデンフロイデという言葉を発明したやつを、俺は心底尊敬している。