『海へ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
他人の心情を理解しようとして
でも分からなくて
やっぱり私たちは他人だから分からないんだと
なぜか叫びたくなって
嗤いたくなって
言い訳したくなって
泣きたくなった
生きることが下手で不器用で自分勝手な私と
誰かの涙雨が過ぎた後を眺めて
それでもこの世界を渡っていく
海へ
(ワールドトリガー夢創作)
「海に行きたい」
そう君がぽつりと呟くので、手を引いて電車に乗り、海が見える駅まで来た。何故私を選んだのか、私でよかったのかは、分からない。特に会話のない逃避行。君相手に不安になるのはやめた。きっとこれでいい。
「潮風の匂いがするねぇ」
海からの風が強く、髪に細かい砂がへばりつく。太陽は水平線の向こうへ沈みかけているところ。雲が多くて、ちょっぴりどんよりしてる。
「視たかったもの、視れた?」
「……視えた通りのものだけど」
潮風の匂いとか、ベタつきとか。波の音とか砂を踏んだ感触とか。期待通りだっただろうか。視えるだけじゃ、知り得ないこと。
「次はもうちょっと早く来ようよ」
「うん」
元気のない迅の、背中を叩く。裸足になって、波打ち際に足を入れる。
「ーーーー」
背中で迅の声が聞こえて、振り返る。切なげに笑って佇むので、なんて言ったのか聞き返せなくなる。
「危ないよ」
迅が私の腕を引いて、海から引き離す。一番星が、輝き出していた。
海へ
「ねえみんな、夏休み海行く?」
「おれ行きたーい」
「僕も行きたいなー」
「俺……は行かないかも、です」
「あれ、野上くん泳ぐの苦手?」
「まああの、そもそも外に出たくないっていうか……」
「そっかー……仁くんが行かないなら僕も行かなくていい?コーギー」
「幻灯も行かないの?というかコーギーはやめて」
「仁くんがいなくて悲しいのはもちろん、姉も着いてきそうだしさー……厄介なんだよねー」
「いいと思うけどなあ。僕も弟連れて行こうと思ってるから。あと二人は蛍のこの顔を見ても行かないと言える?」
「ふたりは来ないのか、さみしい」
「うっ……ごめん……」
「汚いぞコーギー!?」
「やめろって言ったよね」
「仁、おれと海行きたくない?」
「そ、そんなことないけど……」
「じゃあ行こう。いっぱい遊びたいし」
「…分かった……行くから、泣かないでほしい……」
「やったー。仁も行くって」
「よしよし、ナイスだよ蛍」
「じゃあ僕も行くかあー」
「やったー幻灯も来てくれるー」
「うん、そろそろ日焼けしたいと思ってきたところだからねー!焼くぞーー」
「それ以上焼いたら魚の皮みたいになるねー食べ頃かな」
「コーギー?それ他の人に言っちゃだめだかんね。絶対」
〜海へ〜
ひろ〜い海
ずっと眺めていると癒されるな〜
海へ行こう
複雑に気持ちが入り交じっている心を
海に託して
心も広げて
腕も広げて
ひろ〜い海へ身を任せよ
海へ
海へ、行った。
友人と二人で連れ立って、嵐の後の、ぽっかりと月の浮かんだ、静かな海へ行った。
埠頭。
潮の香り。
灯台の灯り。
何か云いたかった。
何か云いたげだった。
けれどもずっと、黙っていた。
惟々二人で、海を眺めていた。
放射線治療も終わりいまわ暇や…何とかせい!
まあこれから始まる化学治療に備えて静養を取るか?
「先週15日あたりのお題が『夜の海』だった」
前回のお題もお題だったが、今回のお題も相変わらず、手強いわな。某所在住物書きは己の記憶を辿りながら、困り果てて頭をガリガリ掻いた。
これといって海の思い出が無いのである。
「『海へ行ってボーッとする』、『海へ行くより俺はインドア派』、『ゴミ拾いと環境整備で海へ恩返し』、『台風接近中は海へ行くな』、『ソシャゲの夏イベは大抵海へ行って水着』。他は……?」
そういや、海での海難事故より、川での水難事故の発生数が云々って聞いた気がするが、デマだったかな。
物書きはふと気になり、ネット検索を始めた。
――――――
まさかの前回投稿分からの続き物。最近最近の都内某所、対岸に高層ビルのLED照明溢れる海浜公園で、
エキノコックスも狂犬病もしっかり駆虫予防済みの子狐1匹にリードとハーネスをつけた若者、人間嫌いと寂しがり屋を併発した捻くれ者が、
親友ひとりと一緒に、夜の散歩をしておりました。
「こぎつね?!子狐って、おまえ、何がどうした」
「こいつが『黒歴史をこれ以上暴露されたくなければ海へ連れて行け』と」
「は?」
「信じる信じないは任せる」
「はぁ」
捻くれ者は名前を藤森といい、親友は宇曽野といいました。同じ職場の隣部署同士、時に笑い合い、時に語り合い、たまに冷蔵庫の中のプリンひとつでドッタンバッタン喧嘩したりして、
それはそれは、仲良くしておったのでした。
「ところで藤森」
くっくぅーくぅー、くっくぅーくぅーくぅ。
夜の海へ来て、散歩して、コンコン子狐はご機嫌。
鼻歌かわいらしく、尻尾もびたんびたん。前のめりになってトテトテ、ちてちて。
元気な子犬のそれと、ちっとも変わりません。
時折ピッタリ止まっては、砂浜スレスレに鼻を近づけ、何か匂いをかいでいます。
「先日無断欠勤した例の中途採用、進展があったぞ」
「『例の中途採用』、」
「突然『辞める』とダイレクトメッセージよこして、既読無視に通話不通のだんまりだった、例の」
「覚えている。何かの未遂でもしたか」
「総務課の尾壺根が動いた。持ち前のオツボネスキルで、根気強く『手続きだけはしに来い』と」
「それで?」
「終業時刻丁度に来て、離職のために必要な書類を尾壺根とふたりで整えて、課長の机に提出して帰った」
「オツボネの言うことは素直に聞くのか」
「なんだかんだ言って、中途に話しかけていたのはオツボネひとりだったからな。『こいつは味方だ』とでも思ったんだろうう」
あとは中途の部署で処理して、やることやって、中途が正式に辞めてそれで終わり。
何も特別なことは無い。いつも通り、ブラックに限りなく近いグレー企業の通常営業だ。
宇曽野はため息ひとつ吐き、ちょっと笑って、散歩を楽しむ子狐を見ました。
コンコン子狐はブラックだの、離職だのは全然知らない風に、浜辺で見つけたカニにちょっかいを出し、海へ帰ろうとする進路を塞いで鼻をくっつけ、
ぎゃぎゃぎゃっ!きゃんきゃん!
案の定鼻をハサミでバッチン。はさまれて十数秒、ドッタンバッタン暴れまわっておりました。
海へ行った人間ふたりと子狐1匹が、お散歩するだけのおはなしでした。
その後子狐は藤森に抱かれてヨシヨシされ、カニは無事、奇跡的に無傷で海に帰っていきましたとさ。
おしまい、おしまい。
海へ向かってみた。
夜空と溶けた海が美しかった。
いつまでも見ていたかった。
星が海に溢れているようだった。
車を止め、靴を脱いだ。
砂浜を走る。
潮風が心地よい。
午前零時になったころ。
足を海に沈める。
冷たさに身体は竦むが、私は止まらない。
奥へ奥へ奥へ奥へ奥へ奥へ奥へ。
顔が隠れるくらいまで。
身体の力を抜いて…
意識が途絶えるのを待っている。
私が海に来た理由。
…それは…
#海へ
海へ。
僕の実体験を少し話しますね。
僕は水がすごく苦手だったので
水泳を習って克服しようとしていたんです。
いつの日か水が大好きになっていまして
周りの大人みんなが手を叩いて喜んでくれました。
ある時、親が海に連れて行ってくれました。
僕は大はしゃぎで初めての海を楽しんでいました。
両親は、バカップルがよくやっている
「ちょ、まてよ〜笑」「きゃっきゃ♡」状態で
僕なんかそっちのけで楽しんでいました。
すると僕は目の前に大きな波がやってきた事に気づきます。
波を認識したと同時に、飲まれてしまいました。
両親が僕のことを思い出し、焦っていたそうです。
あの子は一体どこに行ったんだと。
母親は泣き始め、父親も僕の死を実感したのだとか。
すると、波がだんだん引いてきました。
僕は砂に捕まり大笑いしていたのです。
その後無事に助かり、僕は今でも元気に生きています。
「そうだ、海へ行こう」
唐突に君は言った。思いつきは彼のお箱。呆れながらも僕は答える。
「そうだね、海へ行こう」
どこがいいかな。青い海がいいな。白い雲と青い空と。
君はにこにこ笑いながらそう言って、大きく伸びをした。
「海に行ったら俺は真っ先にドブンと飛び込むんだ。君はそれをケタケタ笑うだろう。そうしたら俺は怒ったふりをして海の水を君にかけてやるんだ。その水はとても冷たかろうよ」
「そうだね、きっと冷たい。僕もきっと怒ったふりをするだろう。そしてケタケタ笑うだろう。いつだって君の、思う通りに」
その幸福な光景を思い浮かべて、そして僕らはケラケラと笑った。
決して行けない海を思って、ケラケラと笑ったのだった。
海へ行こう
「海へ」
どうして人は海に駆け出したり
何かを叫んだり 遠い世界を夢見たり
涙流したりと感情を揺さぶられるのか
人類が置いてきた遥か遠い昔の記憶が
そこにはあるんだろうか
海を眺めるといつも胸が苦しくなる。
波の揺れに吸い込まれそうになる感覚が気持ち悪い。
きっと、私を誘っているのだと思う。
「こっちにおいで」と言うかのように波が揺れる。
理性があるうちはまだいいだろう。
吸い込まれそうになっても、そっと離れることができる。
だが、私が誰かわからなくなるときは、きまって海は私を呼ぶ。
波を見て私は私だと気づく。
それが本能からなのか、理性からなのか、はたして海からなのかわからない。
海を見るとどろどろとした自分が吸い込まれている気がする。
気持ち悪い。
すっとなくなって消えて、心が空っぽになる。
いいのかわるいのかなんて私にはわからない。
ただ、私の中のいらないなにかが消えた気がする。
私が私でなくなったときはまた、海へ行こう。
『海へ』
ぬるい風が吹く
焼けるような砂浜の熱さを波が心地よく冷やしてくれる
こんな広い海も空も遠くまで続いているから
私は何処にでも行ける、その気になれば。
そんな事を想像しながら今日も明日もビルとビルの間を歩く。
その気になれば本当に海にだって行けるんだってば。
//海へ
ファンタスティック・アドベンチャー
HPもMPもほとんど0からスタート
特別なスキルなんて持ってやしない
みんな冒険者として勇ましく旅立つけど
怖くて仕方ないんだ、ワタシは弱虫
小さな鳥かごのような部屋の片隅で
自分の情けなさに涙が溢れた
だけど「変わりたい!」と思うなら
ドアを開けて外に出なきゃダメなの
ワタシは一人じゃないんだ
だってみんな同じように戦っている
武器も防具もまだ身につけてないけれど
ちっぽけな魂を燃やして進んでやる!
傷だらけになれば薬草を食べればいいんだし
世界は目まぐるしく移り変わっていくんだ
ワタシが生まれてきた意味、よく分からないけど
冒険が終わってクリアしたとき、何か分かるはず
大好きな人に会えるかもしれないし
掛け替えのないものを得られるかもしれない
この不思議な世界で、ワタシは戦う
海へ
母なる海へ帰りたいと願う。
水に入り目を閉じる。
水と、海と一体になった感覚がする。
そんな、自分が自分でなくなる
そんなことありませんか?
私はよくあります。
いっそのこと、このまま消えたいと思うことが、
水や、風のように自由に…
どこまでも行きたいと…
海で全てが生まれ、そして最後に流れ着く場所。
そんな海へ一刻も早く帰りたいと思うのは間違いなのだろうか?
そんなの答えはわかり切っているのに。
そんなことは自分でもよくわかっている。
けれど、人の社会に嫌気がさしかけている自分には、
勇逸自分を解放してくれる場所に思う。
いつも頭に響く。
「誰か、助けて」と
いつ自分で自分の時を止めてしまう前に、
周りの人たちを悲しませる前に…
母なる海へ帰る前にどうかと…
そんな声が、感情が溢れてくるんだ。
海は人を楽しませてくれる
時には海は平然と人を殺す
海はなんなんだろう
どこまで続いているんだろう
海へ行くと砂がダルい
友人は、大水槽を見るのが好きらしい。
大水槽の前に座って、じっと海の生き物が自由に泳ぐのを見るのが好き。何時間でも何日でも一ヶ月だろうと、飽きること無く見ていられる。とよく言っていた。
「海の中の生き物になれるとしたら、何になる?」
「唐突だな。」
友人と二人、大水槽の前に座りながら静かに会話をしていた。平日の朝早くから水族館に来たこともあり、周りには誰もいなく、小さく流れるbgmと話し声だけが聞こえてくる。
そんな中突然問いかけられたもしもの話、俺は水槽の中をぐるっと見回してから考えた。
水槽で生きる生き物達は、各々が自由に過ごしている。群れで回り続ける小さな魚や優雅に鰭を動かすエイ。ゆったりと泳ぐサメに、子供のようにそのサメについて回るコバンザメ、水の底で眠るウミガメや小さくも大きくもない自由に動く魚達。
この水槽の中には、平和という文字が似合うと思った。
「あのサメになりたい。」
水槽を見つめながら呟いた言葉に、友人はあれ?と指を指す。肯定の意味で首を縦に振ると、彼は何を思ったのか椅子から立ち上がって水槽に近づいた。
「ふーん。このサメね。この水槽の中のサメで間違いない?」
水槽の表面に触れて水槽の奥を泳ぐサメを見つめて友人は言う。その質問に微かな引っ掛かりを覚えながらも俺はそうだと返事をした。
「へー。」
後ろから彼の表情は伺う事ができず、俺はただ水槽に触れたままの友人の背を見ることしか出来ない。
「……解釈違いだな。」
「は?」
数分、数十分だろうか。時間が経ってから唐突に友人は振り返る。その表情は不満気で、つまらないと顔に書いてあった。
「こんな水槽の中で一生を過ごす訳?君が?無理だろう。このサメになるだなんて牙を抜かれたただの魚になるようなものだ。」
「サメに失礼だ。」
失礼で結構。ホントのことを言っただけ。と拗ねた表情で友人は再び水槽に目を向ける。何が不満なのか分からないが、友人は明らかに不機嫌になっていた。
「サメが不満か?それとも、この水槽で生きるサメが不満か。」
「この水槽で生きるサメだね。知ってた?水槽の中のサメはいつも満腹で余裕があるから周りの魚を襲わないんだ。それは平和でいいかもしれないけど、毎日がつまらないよ。毎日同じ景色を見て、同じものを食べて、人の見世物として泳ぎ続ける。そんな生活に君が耐えられる?そんなスリルのない毎日に、生きがいを見いだせる?そもそも、こんな小さな場所で君は満足できるわけ?」
ゆっくりと、友人の背後をサメが通り過ぎた。
じろりとこちらを睨むような目を向けるサメは今にも食い殺して来そうな圧があるが、友人は気づいていないのか不機嫌顔で俺を見つめたまま。
それにしても、友人は大水槽を見るのが好きという割に、この水槽を大きいとは思っていないのか。
「なら、お前は何になる。」
「シャチ。」
食いつくように即答した友人は、水槽の中のサメを威圧せんばかりの鋭い眼光で俺を見つめた。
「シャチは海の王者だよ。頭が良くて強くて、大きな海を自由に泳ぐことが出来る。サメだって喰らうほどだ。……君が水槽の中にいるなら、その水槽ぶっ壊してでも君を喰らってやるよ。」
「……似合わねぇ…それこそ解釈違いだろ。」
今度は俺が不快感から顔を歪める番だ。
こいつがシャチ?能天気で偉そうで図太い性格のコイツが?ありえないだろ。
「お前はアレだろ。あのでかいヤツ。……思い出した、ジンベイザメだ。」
「はぁ!?」
「ピッタリだろ?弱肉強食の世界で生きてるくせに危機感もなく悠々と海をおよぎ続ける魚だ。サメの仲間の癖に何にも攻撃しない温厚な阿呆。」
「阿呆ってなんだ!立派なサメだろ!デカくてカッコイイだろ!なら君はホオジロザメだね?水槽の中に入ったら自分の泳ぐ速度間違えてすぐに鼻頭を壁にぶつけるようなポンコツだ。シャチに喰われろ。」
「お前さっきから喰われろ喰われろうるせえよ殺す気満々じゃねえか!」
ギャーギャーと水族館で騒ぐなんて多大な迷惑。誰かがいたのなら注意されただろう。
けれど幸い今日は平日で、客が少ない真昼間。俺たちの言い争いを止めるような人はいなかった。
「あー埒が明かない!とりあえずあれだ。お前はこんな水槽よりでかい海で図太く生きろよ。」
「どんな締め方だよ。」
ゼーハーと呼吸を整えながら、お互い冷静になっていく。良く考えればなんでこんなことで騒いでいるのか分からなくなって、顔を見合せて吹き出した。
ほんと、こんなもしもの話なんかで馬鹿みたいに騒ぐなんて、文字通り馬鹿のすることだろう。
「とりあえず、水族館の外にある海でも行く?」
「いいなそれ。気分転換に行くか。」
「よし!じゃあ海へレッツゴー!」
【海へ】
海へ帰りたい
物言わぬ貝にでもなって
そっと
目を閉じていたい
【海へ】
海に対して明るい思い出はそんなに無いけど、ふらっと海が見たいと一人で電車に乗り込んだことがある。
海無し県だから隣県の海岸線へ。
他の観光客は水際で思い思いのレジャーを楽しんでいる。
水着なんてなかったし泳ぐつもりもなかったから岩肌を眺めたりかき氷を頬張っただけだけど、この世から解き放たれた膈世の世界のようだった。
今はめんどくさくて行けてないけど、暑い時期になると強烈に思い出す。
潮のしょっぱさと苦味が肺をうめつくより畳の匂いに囲まれていたい
きーんといたむ頭に悩まされるより麦の味を口にひろげたい
バシャバシャとはねる冷たさを心地よく感じるより冷やされた夏風をあびていたい
怖いのに 嫌いなのに 思い出すのに
それでもここにいるのは
喜びの影をおっていたいから
#海へ