『流れ星に願いを』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
[流れ星に願いを]
世界平和
世界平和
世界平和
流れ星に願いを
そんなロマンティックなことをするような性格ではないが素敵だなと僕は思う
『流れ星に願いを』
【かっ…神様っ!仏様!流れ星さまぁ…!!
僕の願いを叶えて下さい!
僕の願いは、お姉ちゃんとお母さんと
仲良く笑って暮らすことです!
お兄ちゃんは、受験勉強で忙しいし、
お父さんは…お酒を飲んでばっかりです…
お姉ちゃんとお母さんと
暮らせるようにして下さい!
お願いします!! 隼人】
「うーん。お願いはまともな方なんだけどなぁ…」
流れ星様は言った。
「残念だけど、この子のお願いは無理かな」
だってこの子は、このお願いを言い切るまでに、
すごく時間がかかっちゃって、
流れ星がなくなるまでに、3回言うなんて
ぜーんぜんダメだったんだから。
ー大丈夫ー
前だけを見て進む君
でも、僕は気づいてるよ
その足が震えていること
立ち止まっても大丈夫
振り返っても大丈夫だよ
振り返ったら、今までの思い出たちが
君を励ましてくれるから
立ち止まっても大丈夫
振り返っても大丈夫
今までの君が、今の君を応援しているから
だから大丈夫
さあもう一度、
笑顔で前を向いて歩いていこう
題 流れ星に願いを
⋯⋯ ネガイマス⋯⋯ ネガイマス。私(ワタクシ)は閻魔様にも見放された身、夜空を流れる貴方様だけが、私の願いを聞いて下さるのです。
どうか、ムスメを助けてやってください。ムスメは今、暗い牢獄の中にいます。そして酷い仕打ちを受けています。
ムスメは悪行などしていませぬ。罪ならば、全て私が⋯⋯ 。
私は戦で親兄弟を亡くし、泥棒をして生きていました。百姓に足を掛け野菜を奪い、桂女を脅し魚を奪い、酒屋を騙して酒ダルを奪っておりました。どういうわけか、私にはその才があったのです。
ある時、私は金持ちになってみたくなりました。それまでの生活で、私は一度も銭を持ったことがなく、どういったものなのかも分からずに、ただの興味で銭を望んでおりました。どうせなら沢山奪ってやろうと、そう思った次第です。話に聞くには、銭というものは普通のニンゲンにとってタイセツなものだそうで、みなその保管場所を隠しているようです。
しかし私には才がありました。土倉の娘を奪い、代わりの銭を奪ってやろうと算段をたてました。私の才によればそのどちらも簡単なこと、屋敷に忍び込み娘を奪いました。しかし私は銭を手にすることはありませんでした。土倉にとって娘はタイセツではなかったのです。ヤーこいつはどうしたものか、と思い思い、生かすために置いておいた雑炊を食らう娘を見て、捨ててしまおうと決めました。娘の上等な着物を掴み、引きずって夜の山道に置いてきました。しかし娘は捨てても捨てても着いてきました。顔を真っ赤にして、むくれて、しかし泣き喚かずに、ただただ私のボロ布を引っつかむのです。
「離せ、離さんと殺すぞ」
と、言うと、娘はついに甲高い声を上げて、
「一緒に行く⋯⋯ 置いてったら承知しないわ、祟り殺してやる⋯⋯ 置いてかないで、承知しないわ」
と、他にも罵詈雑言を泣き叫ぶので、私は一寸愉快になって、やー祟られてはたまらん、と思い思い、娘の手を掴んで山小屋(ヒグマが出たとか云々言って奪ったもの)に戻りました。あの頃はよく、「歩くのが早い」と、叫ばれましたが、私は気にとめることなどありませんでした。
ムスメを連れるようになって随分経った頃、私はオタズネモノとして追われるようになっておりました。しかしムスメは美しく成長し、東の山には桜姫いる、と噂まで立っていようです。
ムスメは土倉の娘から、私の娘に生まれ変わっておりました。高飛車で偉そうなところは変わりませんでしたが、私の言うことをよく聞くいい子でした。
だと言うのに私は、いつまでもムスメの名前すら聞くことが出来ないのです(私はムスメを「ムスメ」と呼んでいました)。ムスメの信頼を、私は素直に返せないでいました。私は奪う才はあれど、奪われる才は持ち合わせていなかったのです。
そうして冬の頃、奉行所の役人どもが、ついに私たちの山小屋に踏み入ったのです。昔の私ならば、全てを捨てて、それこそ娘すら捨てて、逃げ果せたでしょう。しかし後悔などしておりませぬ。例え桜姫が見つかった原因だとしても、私はムスメを捨てるなどしなかったでしょう。
私はムスメをどうにか逃がしてやりたくて、
「逃げろ、逃げろ」
と叫びましたが、ムスメは言うことを聞かないのです。あんなにいい娘だったのに、どうしたことでしょう。
私は死に物狂いで抗いました。私には奪われる才などないのだと、信じていたのです。しかし大勢いる役人のひとりがムスメに手を伸ばした時、そいつを殺してやろうとした刹那、腹から刀剣が生えたのです。
いつか聞いた甲高い声を、最期の最後にまた聞くことになろうとは、思わないでしょう。
叶うなら、あの子の名前を呼んでみたかった。しかしそれは、叶わなくてもいい願いです。私の身勝手で屋敷から連れ出されたことを、あの子はどう思っていたのだろうかと、それを想像しては、臆病になっておりました。私のような罪人が、あの子の名を、本当の娘のように呼んでいいはずがないと思っていたのです。
ヒトにも閻魔様にも見放されるような私が死んで、悲しんでくれる子なのです。どうか助けてやって下さい。あの子はただ、私と一緒にいただけなのです。私のせいなのです。私はもう何もしてやれませぬ。しかし貴方様ならば、夜空を繋ぐ貴方様ならば、私の願いが此岸に繋がるやもしれません。罪ならば、全て私が⋯⋯ 。
#流れ星に願いを
わざわざ、流れ星を見ようと夜空を眺めている事は、今までしたことが無かった。
流れ星を見たことがない。
もし、たまたま流れ星を見つけたとしても、消えるまでに、願いを祈ることができないのではないか。
願いを叶えたいと強く願うなら、流星群の情報を掴み、見やすい所へ移動する。願いの文字数を少なくしておく。
流れ星に願いを
まずは流れ星を見かけなくてはいけないな
結局自分でチャンスを作るしかないんだよな
完
流れ星に願いを
あ〜 結構、寒いかも!
彼女が文句言いつつも笑顔で
空を見上げている
流れ星がみたい
彼女がそう言って この1泊2日の
キャンプを計画した
俺にとってはドキドキもんよ
彼女と初めての旅行 初めてのお泊まり
もちろん、キャンプだしさ
テントだから その… 初めての
キス以上…なんてのは無理だろうし
そこは諦めてるけど…けど、
彼女の寝顔を見る事が出来るはず!で…
「ね、流れ星って 流れ星が見えなくなるまでに、3回願いを、、だよね?」
少し寒そうに肘を抱き込む姿も
可愛く思う
『そうだね、3回だね
願い事 何すんの?』
「…言ったら 叶わないじゃん…笑」
クスクス笑いながら 2人並んで
ベンチに座る
俺の願いは、大それたもんじゃなく
ただ、彼女の寝顔みたい くらい
だけど、深夜2時になっても流れ星なんて
そうそう流れなくて…
右肩に重みを感じて 不意に見ると
俺の肩に彼女がもたれかかって
眠ってるみたいだ
流れ星は見られなかったし
願い事も言えなかったけど、
俺の願いは 叶ったからヨシとするかな
#流れ星に願いを
人間は、空に星が流れると願い事をするらしい。
それが叶えられるものでも、叶えられないものでも。そしていつかきっと叶うだろうと夢を見るのだそうだ。
たとえ願い事をしなくても、星が流れると綺麗だ、ロマンチック? だ、と盛り上がるという。
だから、そんなにも流れる星が好きなのならばと、たくさんの星を流してやった。それはもう、たくさんの。
きっと、喜んでくれると思ったのだ。あの味気ない似たような箱から出て、空を見上げて楽しんでくれると。
でもまさか、『あれは天変地異の前触れだ』『いいえ、神様の怒りよ』『世界、終わっちゃうの?』なんて言い出して、自滅して滅んでしまうとは思わなかった。
また、人間が生まれたら、もっとうまくやろうと思う。
『流れ星に願いを』
#79 自分勝手
眠るのを諦め
ベランダに出て
真夜中の空を見上げた
皆が眠りにつく
誰も知らない闇に
星々が流れては溶けて消えていた
こんな美しい空を独り占めできるなら
眠れない夜も悪くない...
....
もしも、
明日も私に夜が来なければ
またこうして付き合ってほしい
そんな願いを伝えが
自分勝手すぎたのか
星たちは素知らぬ顔をして
流れて消えてしまった___
お題「流れ星に願いを」
流れ星ってさー
ちょっと速すぎない?
3回も願い事言えないんだけど笑
あんだけ速いって事は
願い事がすぐに叶うってことかな?
それだったらがんばって3回言うんだけどなー笑
まぁ、そんなことないか。
結局、願い事が叶うって事は
自分の努力が報われたって事だよね。
だから、コツコツがんばろ。
「ヴェーダくんは今夜の流星群にどんなお願いをするの?」
雑多な一角の良好な日当たりを一身に受けるパン屋のお姉さんが、ガラス棚の向こうから問いかける無邪気な声で、ヴェーダ少年は今夜がそうだと久々に思い出した。
「流れ星って要するに燃えカスじゃん。興味ないよ」
「ロマンがないなぁ」
「ロマンじゃお腹は膨れないから」
「そうだねぇ」
のほほんと返してくれるお姉さんは、今日もブリオッシュのように柔らかい茶色の髪を肩の上で踊らせながらガラス棚の上から身を乗り出す。そうでないと、正面ではなく影になる曲がり角で廃棄されたものを無断で食べてるヴェーダが見えないのだ。お姉さんは優しいので告げ口しないでくれているし、ヴェーダの片腕に抱っこされたバケットはこのパン屋で購入したので大目に見てもらいたい。
「私は君くらいの時に見たことあるんだけどね」
固くなっている白パンをしっかり齧って飲み込み、また齧ったところで、お姉さんことクラリスが指し示すのが流星群だと気付く。
「たくさんの流れ星が夜空に広がるの。とっても綺麗だったのよ」
うっとりと伏せられた目の奥で、口にした光景を再生しているのだろう。クラリスの表情はほんのり柔らかくて、寂しそうで。
まなうらにいると思わしき兄貴分に小言の一つでも投げたくなったが、ヴェーダは両手に抱くのが正式な手段で購入したパンのみにしてから、ガラス棚の正面に立つ。
「願い事はしないけど、起きれたら見るよ」
「あっ、無理しないでいいのよ?」
「別に。無理じゃないし」
不貞腐れたような声になったけど、クラリスには気付かれたくなくて、ヴェーダは「じゃ。今度こそアニキ引っ張ってくるから」と早口で言い捨てる形で馴染みのパン屋を後にしてしまった。
なにかとじれったい誰かと誰かが結ばれるのであれば、星に願いも一興。
【流れ星に願いを/パン屋のお姉さんは訳アリ少年の保護者と何かと縁深い】
星に願うほど叶えたい
それほどに夢を心に添えていたい
人の道の切なる花々
それが願(ほし)
#流れ星にねがいを
流れ星に願いを
流れ星に願い事
早く唱えられるようにしないとね
幸せでいられますようにって
「あ、流れ星」
まだ、少し肌寒い季節、もう何年も見ていなかった、流れ星を見つけた。
「もし、願い事1つだけ叶うなら、霈ェ蟒サは何を願うかな?」
「君のことだから皆の幸せなんて愚かなで身勝手願い事をするんだろうね、」
少し冷たくなってきた体をさすりながら僕は言う、
「僕はね、来世は命が終わる時は霈ェ蟒、君が側にいることを願うよ」
「だって、1人で死ぬはこんなにも寂しく怖いからね。」
流れ星に願いを
「わぁ、流れ星だ!」
『流れ星には、願い事をすると叶うらしいよ』
「わかった!」
「むむむむむ…」
『私も』
『むむむ…」
「何を願ったの?」
『隣の人の願いが叶いますようにって』
「実は、私もそう願ったんだ」
「『あはははは』」
あいもやでー
子供の頃読んだ絵本に3つの願いを叶えるっていう童話があって、主人公夫婦は、ソーセージを出してもらい、喧嘩の中で鼻にソーセージがくっつく願いをし、それが取れるって3つの願いを使いきったって話。
子供の自分は、願いが増えますようにってお願いすればいいのにと思った。
流れ星に「もっといっぱいの流れ星がみれますように」ってお願いすれば、それを見たいっぱいの人達も願いが叶えてられるかもしれない。その中で俺だけソーセージ流星群だってニヤリしてみたい。
あ、アルマゲドンサイズの隕石がいっぱい落ちてきたら人類滅亡しそうだな。ソーセージ流星群で地球滅亡……やだな……
【流れ星に願いを?】
※作中の流星群はペルセウス座流星群です
「今年、一緒に星を見ようよ」と言い出したのは、あいつだった。
毎年八月になると、三大流星群とやらのひとつ、ペガサス……だっけ? 違うような気もするけどまあいいや、なんか「ペ」のつく流星群が来るんだって。
私とあいつはまあ、いわゆる腐れ縁で、幼稚園からいまの女子高まで、なんだかいつの間にかずるずると一緒にいるような間柄だった。
あいつはフットワークが軽くて、なにか面白いことを見つけるとすぐどっかに飛んでいくようなやつ。ここ最近は、星がきれいに見えるスポットを探すのにご執心。一方私は、家でごろごろゲームしてるのが好きなタイプ。星なんて、テスト前に一夜漬けした理科の知識がほんのり残ってる程度。
あいつと私じゃ、趣味も好みも興味の先もぜんぜん違うのに、なんでだろうね、人生の大半を一緒につるんで過ごしているのは。家が近いから、というのもあるかもしれないけれど。
まあ、目尻の下がったあいつの平和そうな顔を見ると、ちょっと安心するというか、今日も元気でなにより、ぐらいには思うし、空気や水みたいに、日常に欠かせない存在なのは事実。あいつは私のことをどう思ってるのか知らないけど。
約束の日の夜、家族に内緒で家を抜け出した。引きこもりゆえ、めったに味わえない冒険的シチュエーションだ。ドキドキうるさい鼓動をおさえつつ、事前に指定されていた場所に向かう。まったく、いくら星がきれいに見えるからって、ずいぶん辺鄙なところを指定してくれたよね。たどり着くまでに自転車でのぼらなきゃいけない坂道のことを考えただけで、もう息切れしそう。
星がきれいに見えるスポットと言ったって、こんな田舎じゃ、だいたいどこでも星は見える。それぐらい、周囲に明かりがない。大通りを外れれば、ほら、すぐに暗い空が迫ってくる。自転車のライトがなかったら、一寸先も見えないんじゃないかってぐらいの闇。思わず身がすくむ。気を緩めたら、体ごと闇の中に溶けてしまいそう。ときたますれ違う対向車のヘッドライトに照らされたときは、あ、私、ちゃんとここにいるんだ、見つけてもらえたんだ、ってほっとする。
私はふだん遠出をしないから、じつは自分の自転車を持ってない。今日はお母さんのママチャリをこっそり借りてきた。銀色のピカピカなフレームに、お母さんが増設した反射板がさらにピカピカしてて、ライトで照らされるとあまりにも目立つから恥ずかしいんだけど、まあ、夜道の安全のため、いたしかたなし。
夏でも夜はちょっと冷えるよ、とあいつに言われていたので、おろしたての夏ジャージを羽織り、お湯入りの水筒を前カゴに放り込んである。現地が真っ暗すぎたら困るから、蝋燭式のランタンと着火用のマッチも用意した。寝転がるための敷物も用意した。ずっと首を上げて空を見てたら、疲れるからね。私の準備、完璧じゃない? ジャージは途中で暑くなって脱いだけど。
完璧な私は、慣れない自転車でへろへろと坂道をのぼりきって、ようやくその場所にたどり着いた。足りない酸素にぜいぜいと喘ぎつつ、よれよれの手でマッチを擦ってランタンに着火し、あたりを見渡す。
高台を切り拓いた、新興住宅地だ。着工したばかりで、周囲にはまだなにも建っていない。夜は誰もいないし、よけいな光もない。たしかに、ふたりで寝転がってる星を見るには、うってつけ。私の後ろは高い山がそびえてて星が隠れちゃってるけど、「目の前の空が流星群のホウシャテンに向かってひらけてるから、ちょうどいい」んだって。さすが、星に詳しいあいつが選んだ場所。あいつは私以上に完璧なやつだ。
この工事現場は、今年限りのスポット。そして、今日は流星群のキョクダイキ。おまけに、新月。このチャンスを逃すのは、もったいないよね。私ひとりだったら、こんなビッグチャンスを知ることもなくぐうたらな夏休みを過ごしていただろうから、誘ってくれたあいつに感謝しなくちゃ。こんなお出かけも、今年で最後だろうし。
ランタンの明かりを頼りに、工事で固められた土の上へ、敷物を大きく広げる。ぴったり、ふたりが寝転がれるサイズ。うん、完璧。
喉がからからだったので、さっそく水筒のお湯に口をつけた。汗が引いて冷えてきた体には、人肌ぐらいのお湯がちょうどいい。水の足りなかった体に、沁みるように温もりが広がっていく。
ひと息ついてから、いよいよ星を見る会の始まりだ。ランタンを邪魔にならない場所に置いて、背中からばたっと敷物に倒れこむ。ジャージはブランケット代わり、お腹にかけておく。
目の前には、満点の星空。いや、「満天の」だっけ。満点と言ってもいいんじゃないかってぐらい、迫力のある星空だ。つい手を伸ばしちゃったのは、星を掴めそうな気がしたから。もちろん、指先にかすりもしなかったけど。
あっ、さっそく流れた!
流れ星への願いごとって、流れきる前に三回言わないといけないんだっけ? カネカネカネ、ぐらいしか間に合わないんじゃないかな。流れ星側は、ぜったい叶える気ないよね。まあ、私だって叶うとも思ってないけど。
もし、死んだ人を蘇らせてくれるっていうなら、そりゃ、必死で唱えるけどさ。
天に真っ直ぐ伸ばしたままだった手を、ようやく下ろす。
いくらフットワークが軽いからって、未知の場所を見つけたからって、私の手が届かないぐらい遠くまで、飛んでいかなくても、ねぇ。
完璧なあいつは、完璧な私の日常に欠かせない存在だったのにな。いまの私には、まるで、水も空気も、足りてない。どんなに喘いで息を整えても、人肌のお湯を飲んで喉を潤しても、絶対的に、あいつが足りてない。
たぶんこの場所に下見に来た帰りだろう、あいつは夜の道を真っ黒な自転車で走ってて、事故に遭った。昨日、煙になって、後ろの山よりも高く、きっと星と同じところまで、のぼっていった。
でも、今日は火を焚いたら死んだ人が馬に乗って帰ってくるとかいう日だし、そのために蝋燭のランタンを引っ張り出してきたんだからね。あいつ、もしかしたら、いまここにいるんじゃないかな。今日はペガサスの流星群だしさ、流れ星に乗ってさ。そりゃ、ここよりもあっちのほうが星はきれいだろうけど、私と一緒に眺めるほうが、きっときれいに見えるでしょ。思い出補正ってやつで。
そう思って、敷物の半分はあけてある。
あっ、また流れた。
「カナカナカナ」
とっさに、あいつの名前を三回言ってやった。これでなにが叶うというわけでもないけど。
「気の早い蝉みたい」
あいつの名前を呼んだ自分の勢いに、思わず笑ってしまった。
カナカナと鳴く蝉の季節は、もうすぐだ。その時期になれば、私もきっと、なくだろう。
流れる星に何を見る? 果てなき夢かな、誰かの命かな、もしくは降り掛かるかもしれない吉凶とか?
それは一秒にも満たない軌跡。だから人々は星にまぼろしを見る。いつの日かの願いを見る。けれど、流れる星は実在するもの。彗星からこぼれ落ちた塵、数千度にもおよぶプラズマの輝き。現実と幻想の間で瞬く光に人々は想いを託す。星はただ空に線を、描く。
流れる星に何を願う? 叶えたい夢かな、誰かの幸せかな、もしくは平穏な未来とか?
奇跡ではないぼくたちだけれど、それでもいいなら想いを聞かせて。そして瞬くプラズマの中、きみたちの眼差しを受けたぼくたちにも願わせてほしい。どうかその願いが叶いますように。この輝きが燃え尽きる瞬間を、きみたちが見届けてくれますように。
星に願いを込めて空に送る。知っている人でなくても良い。どうか下を向かないで強がらなくて良いんだよ。生きてて良いの一人じゃない。生まれた意味はあるんだよ。どうか一人でもこの思いが届きますように。どうか、私にも星が届きますように。