『泣かないよ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
悩み事があった。でも強がりのフリをしたがったわたしは、誰にも明かさなかった。自分が弱いことを認めたくなかった。
色々なことから逃げ続けた。できないから、才能がないから、時間の無駄だから。そうやって日々言い訳をして逃げた。本当は、やっていないことがどうしてできないのか分からなくて、苦しんでいたくせに。
誰かに愛されたくて、誰かに振り向いてほしくて、何かを与えたかった。けれど、誰にも何も与えることができなくて、与えないと与えてもらえないと思い込んで。そうやって1人になりたがった。
本当は、手に入れようとするその瞬間に惹かれて、人は助けを差し出すのに。
もうわたしは逃げない。
#泣かないよ
泣くとか泣かないとか正直よく分からない。泣かなかったら、「強いね」って言われるし、泣いたら泣いたで励まされる。私はとっても強がりだから、人前で泣くのは嫌。
辛くてもしんどくても私は泣かないよ。
《泣かないよ》
母親は毒親だった
自尊心ズタズタのまま成長し
駄目の刻印を押された人間になった
母親は
私が死んだらお前は不幸になる
と いつも言っていたが
亡くなっても何も変わらなかった
お世辞にも会いたいとは思わない
『泣かないよ』
泣き虫の私は、お姉ちゃんに頼りきりだった
勉強、人間関係、時間、マナー、感情、視線。
少しでも嫌なことを考えれば、勝手に涙が溢れ、お姉ちゃんに泣きついた
でも、私より、お姉ちゃんが一番泣きたかったんだ。
だから、私は、泣かない。
…お姉ちゃんを支えれたのは、私だけだったから
もう
昔のこと
だけど
まだまだ
人には
話せない。
だから
この場所で
あの時の
どうしようもない
この悲しい気持ちを
書き連ねる。
見えない
あなたに
わたしの
この気持ちを
知ってほしくて。
それだけで
たとえ
あのことを
思い出したって
もう
涙は出なくなる
そんな気がするから。
#泣かないよ
泣かないよ
「ごめんね。」
もう終わり、だから呟いた。
足先は震えている。
鼓動は変に落ち着き始めた。
そのまま進むだけだ。
私は私の思うまま。
好きなように、私のしたいように。
もう、泣かないよ。
君の前ではね。
《逆さまの彼女の日記》
『泣かないよ』
『泣かないよ。』泣き虫な俺に掛けてくれた母の言葉。小さい頃は、大きく感じた母の手は皺が増えて、少し弱々しい。
桜の季節になると、いつも思い出す。
桜の花弁を帽子に集めて、母にプレゼントしたっけなぁ。母は、キャンドルを作りが好きだったから、その桜をめいいっぱいキャンドルに入れて保管してくれていた。
そのキャンドルを、俺は今撫でている。
桜の季節。出会いの季節。別れの季節。
俺の今年の桜は、別れの季節らしい。
母は言った。『男の子が泣いて良いのは、失恋をした時とお財布を落とした時。』だと。
では、大切な人を亡くした俺は泣いてはいけないのか。
『あぁ、泣かないよ。泣かない。泣かない。』
泣かない。泣かない。泣かない。
母のキャンドルに、火を付ける。
けれど、消えてしまった。
母に買って貰ったゲームでの、知識だが水は炎に勝つらしい。それは、目から溢れた涙も同じらしいな。
『泣かないよッ…、泣かないッ…、』
もう一度火を付けると、次は茶色くなった桜が出てきた。お前は、植物だから炎に負けたのか。
それとも、時間の流れに負けたのか。
人が枯れてしまうのも、時間の流れに負けてしまったのか。
俺は何度も、『泣かないよ。』と声を溢した。
母に届くだろうか。
24.3.17
【泣かないよ】
泣かないよ…
僕はもう逃げない
だって僕はもう、あの時とは違う
目の前の脅威から逃げる様な奴じゃない
だから、立ち向かって倒さないと…
どんなに強くても
絶対に無理だと言われても
越えて先に進まなければならない
これからはそんな風に
生きて行くって決めたから!
「泣かないよ」って、何か我慢でもしているの?
いいんだよ、胸の内吐き出しても。
どんなに辛かろうが泣かないよ
でも泣くのを我慢すると
目や鼻の奥がつーんとしたり
涙が鼻から出てくるんだよね
どんなに悲しかろうが泣かないよ
でも笑いすぎたりあくびをすると
目から涙が出てくるんだよね
どんなに辛かろうが泣かないよ
でも花粉症で目がやられてるから
このときくらいは泣きたいよね
#泣かないよ
部活で先生に叱られた。
バイトで店長に怒鳴られた。
仕事で上司に注意された。
泣く事は負けだと思っていた。
それでも自分の感情が言葉にできなくて、堪えきれずに
どうしても涙が溢れる事があった。
でも涙は誰かに見せたくなかった。
慌ててトイレに駆け込んだり、
誰もいない空間に逃げ込んだりしていた。
泣いた事が分かる顔で家に帰る事も嫌だった。
薬局でメイク道具を買って必死に誤魔化していた。
大丈夫、私はできるから。
ちょっと感情が抑えられなくなっただけだから。
自分に嘘の言い訳をしながら涙を拭っていた。
「ねえ、君って泣き顔見せてくれないよね」
最近同棲を始めた彼に、言われた。
「え?喧嘩とかしてないからね笑」
「そうじゃなくて、仕事とかで嫌な事があった時とか。
隠しているんだなと思っていたから言わなかった
けれど、気づいているよ」
「…、ごめん」
「ああ、ごめん。怒っている訳じゃなくて、
そういう姿を見せる事が苦手なんだろうけど
少しは頼ってくれると嬉しいなと思って…」
「そうだね…。ありがとう」
「だって俺ばっか泣いている姿見せてるのも
恥ずかしい…笑」
「確かに、そうかも笑」
彼は驚く程、私の前で泣いている。
嬉しい時、悲しい時。結構涙脆いらしい。
「俺との事では泣かせないよ。でも君が知らない所で
1人で泣いているのは悲しいから」
「ふふ、ありがとう」
久しぶりに上司から叱られた。
あまりにも理不尽で、返す言葉も上手く見つからず
涙が溢れそうになる。
あんたの前では絶対泣かないよ。
何で私が泣かないといけないの。
怒りと悲しみを抱えて、玄関を開けた。
「おかえり!…、なんかあった…?お疲れ様」
優しい彼の笑顔を見て、1日抱えていた物が
溢れ出してくる。
「…ごめん、」
「んーん、やっと頼ってくれるようになったね、」
「…ん」
「寒いからシチュー作ったよ。一緒に食べよっか」
彼の優しさにもっと涙が溢れてくる。
「え!ごめん、なんか嫌だった…?」
「んーん、違うよ。ありがと…」
あなたの優しさのせいだよって言ったら何て言うかな笑
きっと困ったみたいに笑うんだろうな。
大丈夫。泣かないよ。
優しく受け止めてくれるあなた以外の前ではね。
足がもつれて自分で自分の足を蹴っちゃった(結構痛かった)けど泣かないよ。
卒業式
号泣する僕の隣で、
君は、嫌になるくらい爽やかだった。
「泣かないの?
もう会えないんだよ?」
そう問いかけると、
君は
「分かってる。
でも、泣かないって決めたの。
だから、泣かないよ」
そう、答えた。
言葉と裏腹に、
彼女の目には
だんだんと涙が浮かんでいた。
あぁ、
今までも沢山泣いたんだろうな
そう思った僕は、
何も言わず
ただ彼女の手を
そっと握った。
-2024/3/17
お題「泣かないよ」
゛泣かない ゛ではなく
゛泣けない ゛
本当は
゛泣きたい ゛
でも泣いてるところは見せられない
見せたくない
何かに怒り、惨めに泣いてるところを見せられない
私が我慢すれば…
私が怒らなければ…
いっその事私に感情がなければ…
どこかで日々の我慢を
「誰もいない」
と安心できるところで思う存分
泣き叫びたい。
泣かないよ
そんな事、云わないでよ…
そう云って、あなたが上目遣いで見ている…まるで、僕の心の中の奥底を覗き込む様に…
それは、きみに、無理させてしまうから…
きっと、あなたは、いつもの様に、強がって、心を擦り減らしてしまうのが、目に見えるから…
厭だよ、それっぽっちの事で、さよならなんて…私の気持ち、ずっと変わらないよ…だって、あなた以外の人なんて、考えられない…それに、あの約束…
そう云って、きみは、一層強い眼差しになった…
私、もう泣いたりなんかしないよ…
僕は、
本当は、きみと、ずっと一緒に居たいんだ…ただ、いつになるか解らない未来まで、きみを束縛するのは…
言いかけた時に、君の唇で塞がれ…
泣くな。
泣いたら、負けだ。
泣くのは弱いからだ。
精神の強さ=泣かないこと。
そんな方程式あるわけない。
辛いときは泣いてもいいんだって。
教える教育だったら。
今、こんなに生きづらくない。
無意識に「泣かない」って意地で我慢している。
もう疲れたでしょう。
泣きたいときは泣いてもいい。
ずっと走り続けることなんて出来ないんだから。
たまには自分の感情に蓋をせず、正直に生きろ。
診察室を出て、一礼する。
扉が閉まる一瞬、
会釈を返した主治医の能面が焼き付く。
ふっと嘆息が漏れる。
だが、まだマシな方ではないか。
このクリニックにたどり着くまでは、
果たして相性だけの問題なのかと、
担当する医師が合わなさすぎて
己のくじ運の悪さを嘆かない日はなかった。
門前払いされないだけ
ぞんざいに扱われないだけ
まだマシなのだ。
待合室の椅子に座り、スマホに触れる。
カレンダーを開き、明日の予定に目を留めた。
●出社日
最後の、出社日だ。
デスク周りとロッカーの荷物をまとめ、掃除をする。それを3時間で終えなくてはならない。
時間がたっぷりあるように見えて、管理職との面談時間も込みであろうことを予想すると、ギリギリかもしれない。
持ち帰り用のエコバッグ、提出する書類や返却物を一通り頭に思い浮かべていると、
受付窓口上の液晶画面に新たな番号が通知音と共に点滅した。
このクリニックでは、患者は受付順に番号札をもらい、その番号が液晶画面に掲示されてはじめて、診察や検査を受けることができる仕組みになっている。顔見知りでない限り、周りに名前を知られることはない。
名も知らない老若男女が、通知音に一斉に反応して液晶画面を食い入るように見る姿は、役所での徒労感を思い起こさせた。
今回の診察では、意を決して、診断書を作成してもらうことにした。
眠れない日が続き、やっと眠れても悪夢に苛まされ、終いには叫び声を上げた。
不安や焦燥感が強くなり、肌を搔きむしって血が滲み、目立つ傷が増えた。
心配する家族の言葉を笑い飛ばし、周りも自分も騙し騙しで何とか凌いできたが、いよいよ生活が壊れ始めていた。
「これで何度目だ」
分かってる。
此れは、自分の声だ。
自分こそ、また繰り返すなんて思いもしなかった。
劣等感が呪いとなって、自分をがんじからめにしているのは分かる。
だが、現状を理解できることと、現状を打破できることは似て異なる。
少なくともいまの自分には、職を辞することが最善としか思えない。考えつかない。
それくらい、追い込まれてしまったのだ。
己の不甲斐なさに、先輩上司の前で散々泣いた。悔し涙だった。
それで何かが変わるわけはなかったが、自分が此処を去ることは必然だったのだと思えるようにはなった。
私は悲劇の主人公じゃない。
ここから、第二幕が始まるんだ。
悲劇にするのか、喜劇にするのか、それは自分次第だ。
新しい番号が通知音と共に点滅する。
私は立ち上がり、番号を見つめながら真っ直ぐに歩き出した。
同じ苦しみを繰り返し味わうのは、もう、懲り懲りだ。
あんな泣き方はするものか。
『泣かないよ』
微笑んでいるようで、次の瞬間には泣き出しそうな瞳で笑う。
少し見すぎたのかどうしたのと笑う。
「雨降りそうだなって」
「そうだね。曇ってきたしなんか肌寒いね」
そう足早に事務所を目指す。
「泣いていいですよ」
すると驚いた顔で振り向く。
なにそれと笑った口はやはり歪だった。
「泣かないよ」
泣かないよ
「この冬最後の雪の日 喫茶店 女友達と」
「あんな男のことなんかで泣いたりしない」と、貴女は窓の外に顔を向けた。
眉を吊り上げ、口を一文字に結んでいる。
雪降る街を眺めているように見えるけど、外の景色を貴女は見ていない。
「あんな男のことなんて忘れてやる」
「貴重な時間を無駄にした」
本当はそんなこと思ってないでしょ。思いたいだけ。
忘れられないと泣いてもいいんだよ。
涙は辛いことも苦しいことも、前を向くために流してくれる。
私が言うんだから、間違いないよ。
泣き虫だけど、ポジティブでしょう?
「説得力ありすぎ」
貴女は笑う。
その頬に、一筋の涙が流れた。
────泣かないよ
昔からなんでも視えていた。それこそ、視えてはいけないようなものもあったし、他人の未来も過去も視えた。私は本当にそれが嫌だった。その度に傷ついて苦しくなるのは自分なのに、どこにも逃げ道がなくてどうしようもなかった。
それでも、ずっと私のそばにいて大丈夫だと言い続けてくれた人がいた。私はその言葉を信じることはできなかった。それでも、なにがあっても近くにいてくれる彼に安心していた。
そんなある時、家族が旅行に出かけた。体調が悪かった私は行けなかったから、行ってらっしゃいと見送った。そうして、部屋に戻って勉強をしようとした瞬間。視えてしまった。家族が車で事故を起こすところを。玉突き事故で前後からぺしゃんこにされる映像を。一瞬で、死んでしまうのだと察した。今から電話すれば間に合うかもしれないと思って、電話をかけたが誰も出てくれなかった。
それからしばらくしてまた視えたのは、家の固定電話が鳴り響く音と、病院に運ばれたボロボロの家族の体だった。なにか行動を起こす暇もなく、電話は本当に鳴った。出られるはずもなかった。出なくたって、その電話の内容もわかってしまっていたから。
なんでついて行かなかったのだろう。ついて行けば一緒に死ぬことだってできたのに。思わず、カッターを手に取って、自分の腕に刺した。そのまま力いっぱいに引きずりおろす。不思議と身体的な痛みはなくて心だけが痛んだ。
そこに彼がやってきた。記憶ははっきりしていないけど、何度も大丈夫だと言い続けてくれた。
それからしばらくして私たちは結婚した。結婚してすぐに私は「もう泣かないよ」と約束をした。もうなにが視えたって、彼は私より先に死なないと約束してくれた。常に怯えてばかりだったけど、それでも幸せだった。
長い長い時間を共に過ごしたのち、約束はちゃんと果たされた。寿命を使い切った私は「君といれて意外と幸せだったかもしれない」と伝えてから、目を閉じた。