小絲さなこ

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「この冬最後の雪の日 喫茶店 女友達と」



「あんな男のことなんかで泣いたりしない」と、貴女は窓の外に顔を向けた。

眉を吊り上げ、口を一文字に結んでいる。
雪降る街を眺めているように見えるけど、外の景色を貴女は見ていない。


「あんな男のことなんて忘れてやる」
「貴重な時間を無駄にした」
本当はそんなこと思ってないでしょ。思いたいだけ。


忘れられないと泣いてもいいんだよ。
涙は辛いことも苦しいことも、前を向くために流してくれる。
私が言うんだから、間違いないよ。
泣き虫だけど、ポジティブでしょう?


「説得力ありすぎ」
貴女は笑う。

その頬に、一筋の涙が流れた。


────泣かないよ

3/17/2024, 2:43:30 PM