『泣かないよ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【泣かないよ】
友達は、いつも泣いてばかりいた。
逆上がりに失敗した時、発表でのセリフを間違えた時、食事に苦手な枝豆が出た時……どんな時も泣いていた。
そのたびに「弱虫」「泣き虫」「へなちょこ」と呼ばれる友達を泣き止ませることが、私の役目だった。
私は友達を励まし、笑いかけて、支えた。
私も、どんな時でも泣いてしまう友達のクセは、あまり好きではなかったけど、嫌いにもなれなかった。
今でこそ、身体も心も成長した友達は泣かなくなった。
逆上がりはできるし、発表でのセリフを間違えることもないし、食事に苦手な枝豆が出ても食べられる。
「もう、泣かないよ」
友達は笑顔で、私に力強く言った。
すでに「泣き虫」と呼ばれていた頃の面影はなかった。
そんな友達に「成長したね」と笑顔で返す。
なぜだろうか、少し寂しいよ。
あーあ。
おめめとれちゃった…。
公園ベンチに座ってクマちゃんを見つめる。
右目がころんと垂れ下がってクマちゃんも泣いているみたい。
よく見るとあちこちよごれていることにもきづく。
わたしも かなしくなってきた。
クマちゃん、ごめんね。こんなにだいじなのに…
涙がでてこないようにぎゅっとクマちゃんの手をにぎりしめた。
「どうしたの?大丈夫?」
やさしい声が上から聞こえた。
その姿を見て、気づけば ぽたぽた泣いていた。
「かわいいクマちゃんだね」
そう言って頭をなでてくれた。
「いいものがあるよ」
そういって1枚の紙をくれた。
“あなたのたいせつなもの、なんでもなおします”
「今度の日曜日、クマちゃんを持っておいで。」
ほんとうになおるの?ほんとうに?
わたしはぴかぴかになったクマちゃんをおもいうかべてみた。
たのしくなってきた。
クマちゃんをぎゅっと抱きしめて、
もう泣かないよ、ってクマちゃんに言った。
にちようびはもうすぐなんだから。
その日はどんよりとした雲が広がっていて、何となく心が重く感じられた。
泣かないというか泣けない。乾いた目で笑って強がる。振り向くと責められる目が前に付いてることを恨む。目薬で治らない萎えた目で闇を歩く。転ぶ。反射で手が前に出て体は何でも前に向かって後ろの為のもの何もなくて。起き上がる。擦りむいて勝手に血が出てる。そんな風に泣きたい。
横断歩道で困っていたおばあさんを助けたら、お礼に〝魔法の目薬〟を貰った。両目に一滴ずつ垂らすだけで、何でも好きなものが見られるらしい。
……いやいや、どう考えても怪しすぎる。あんな笑顔が素敵で気の良さそうな人を疑いたくは無いけれど、危ないクスリとかじゃない、よね?
机上に置いた薄青色の小瓶を見つめ、うんうんと考える。よし、決めた。一回だけ使ってみよう。少しでも痛くなったり変な気分になったら、直ぐに洗い流して病院に行けば良い。何事も経験だ。
実際、目薬の話を聞いて少なからず胸が高鳴っている。非現実的だとしても〝なんでも好きなものが見られる〟と言われたら期待してしまうのは仕方がないだろう。二十そこらの青年の欲を舐めないでほしい。自慢じゃないが見たいものなんて山ほどある。
思い立ったらすぐ行動だ。小瓶の蓋を外し首を傾け、天井を真っ直ぐ見つめる。先端から液体を垂らせば、右目にスッとした清涼感。今のところ痛みは来ないようだ。続けて左目に一滴垂らし、目頭を抑えて目を閉じる。依然痛みは無く、心地よい冷たさがあるだけだ。少なくとも劇薬では無いようでホッと息をついた。
さて、何が見られるだろうか。いつか行きたい旅先の風景? 好みの女優の秘蔵の姿? 暗闇の中であれやこれやと考える。あ、眼科休診日って水曜だったっけ。そんな今更どうでもいい事が頭を過ぎった辺りで徐に瞼を開けた。さあ、目の前に広がるのは――
「…………え」
そこは変わらない自室の光景。乱雑に置かれた雑誌にゴミ箱から零れたティッシュ玉、細かな家具の配置まで目を閉じる前と全く同じだ。一つだけ異なっているのは、そこに一人の女の子がいた事だ。
机を挟んで向かい側、肩ほどまで伸びた黒髪にブラウンのカチューシャを付けた少女が、俺に向かって微笑んでいる。見覚えのあるその姿に、思わず目頭が熱くなるのを感じた。目から雫が零れ落ちようとするその一瞬、少女がその小さな口を開いて何か言った。
「泣かないで――くん。強い子でしょ?」
頬を涙が伝い、一度瞬きをすると少女の姿は消えていた。傍らのティッシュでそれを拭いながら、再び目の前から消えてしまった彼女の事を思った。
小さい頃、二軒隣に住んでいたみどりお姉ちゃん。どんな字を書くかは分からない。分かる前に、みどりお姉ちゃんは俺の前からいなくなってしまったのだから。
俺より四つか五つ年上だったお姉ちゃんは俺の事を弟のように可愛がってくれた。当時は気も弱く泣き虫だった俺を気にかけてくれて、そして泣き出す度に頭を撫でて言ったのだ――強い子だから泣かないで、と。そうやって慰めて貰えるのが嬉しくて、でも少し心が傷んで。一緒に家路を手を繋いで帰る度に、みどりお姉ちゃんが言う通り〝の強い子〟になりたいと考えていた。強くなれば、今度は俺がみどりお姉ちゃんが辛い時慰められると思っていたから。
でもそれは叶わなかった。俺が泣き虫を克服する前に、強い子になる前に、みどりお姉ちゃんはいなくなってしまった。いつものように手を繋いで登校していた時。朝にしては眩しすぎる光と少しの衝撃の後、真っ白い天井と消毒液の匂いに目を覚ませば、みどりお姉ちゃんはいなくなっていた。詳しい事は覚えていないが両親は「不幸な事故だった」と言っていたので、きっとそういう事なのだろう。それ以来みどりお姉ちゃんの家族と会うことも無くなったし、どれだけ泣いても、もうみどりお姉ちゃんは俺の頭を撫でてくれなかった。
泣いて、泣いて、何十何百も泣いたあと俺は決心した。お姉ちゃんがいなくても大丈夫になろう。みどりお姉ちゃんみたいに誰かを助けられる人になろうと。その決心は俺の信念になり、今日まで続いてきた。おばあさんを助けたのもその信念の一環だ。誰かを助けられる〝強い子〟でありたかったから。
ああ、でも、やっぱり駄目だなあ。お姉ちゃんの顔を見ただけで泣いてしまうなんて、まだまだ俺は泣き虫のままだ。
机に置きっぱなしの目薬をハンカチで包み、そっと引き出しの奥に入れる。もっともっと誰かを助けて、もっともっと〝強い子〟になれるまでこの目薬は取っておこう。そしていつか、その日が来たならば、今度は笑って貴女に向き合いたい。
新たな決心を胸に引き出しを閉めれば、視界の端で誰かが笑った気がした。
【泣かないよ】
No.33『18歳』
散文/掌編小説
卒業証書の入った筒を大切そうに抱えた少女を見掛け、そういえばもうそんな時期なんだなと、まるで他人事のように思う。いや、他人事のようじゃなくて他人事そのものか。最終学歴である高校を卒業してから、気づけばかなりの時が経過しているから。
高校時代、遅刻ギリギリで自転車を走らせた通学路。徒歩通学らしい彼女は、時折、何かを懐かしむかのように空を見上げる。三寒四温の寒い日に当たってしまった今日。溜め息をついたのだろうか。彼女の口から白い息が立ち昇る。
思い出すのは自分の卒業式じゃなく、大好きだった先輩の卒業式。自分の時より、先輩の時のほうが悲しかった。都会に行ってしまう先輩には、もう会えない。そんな気がして、でも必死で涙をこらえて笑ったっけ。
不意に彼女は、真上を見やった。きゅっと唇を噛み締めて。そんな彼女は、まるで「泣かないよ」とでも言っているかのようだった。
お題:泣かないよ
泣かないよ。でも年取ると涙腺がもろくなってちょっとしたことで泣いちゃう。漫画とか読んでてもどうでもいいところで泣くことある。
これに関しては人生経験を積んだことによって共感してしまうことが増えたというのもあるけど、やっぱり一番の原因は肉体の劣化よね。
単純に体が古くなったことで簡単に涙が出ちゃうようになってしまった。年取ると体も心もぼろぼろだから仕方ないね。
あまりにも簡単に涙が出てしまうからいつ泣いたのか記憶にすら残らない。別に感動なんてしてないのに泣いちゃうからな。
話は少し変わるがこの季節は花粉症で目薬をさす。目薬をさすと当然涙が溢れてくるんだけどあれちょっと嫌なんだよな。
目薬を使った場合は目薬+涙だから目から溢れる液体の量が多い。だからどうしてもハンカチかなにかで目を拭う必要があるわけだ。
それで花粉症だから目薬を使うからその時は目がかゆい。だからつい目をこすってしまう。これ絶対目に悪いよな。
こう、目をハンカチで押さえる感じで涙を拭けばいいんだけどついでにこすっちゃうんだよ。あれだめだと思いながらやっちゃう。
泣かないよ
君が離れた
としても
泣かないよ
我慢するからさ
僕から離れない
でよ、寂しんだよ
悲しんだよ
だからお願いできれば
離れないで
泣かないから
「あ」
皿洗いの、洗剤が混じった水道水が顔まで跳ねる。二、三滴の水が肌を滑る。拭いたいけど、両手は洗剤まみれで顔を触れない。肩を回すようにして、強引に顔を腕で拭った。
ふと、脳裏に海の匂いがした。あの時も両手は海水まみれで跳ねた塩水を肩で拭った。バシャバシャと波を立てながら浅い水面を泳ぐ小魚を探した。顔にまた塩水がかかる。白い手でかけられた。手の持ち主の顔は逆光で見えなくて、キラキラと透ける髪の毛を風が弄んでいた。
口の中に塩水が入る。塩の味がする。今は一人分の皿を洗うので精一杯なのに。
お題 泣かないよ
走って
走って
走って
転んでも
何回転んでも
私は後悔しない
したくないのだ
この道が間違っているのか
正解なのかなんて
誰も分からないのだから
『泣かないよ』より
『泣かないよ』
君が複雑な想いを抱えて悩み、不安を断ち切って
前を向こうと自分を奮い立たせて毎日を過ごしていること。日々上手くいかなくて試行錯誤し必死にもがいていること。
成長した自分を見せたくて中途半端な自分を見せて幻滅されるかもと恐れていること。
出会いには別れが必然で出会った意味を考えて
離れて行く君は役割を終えたと私に成長を促しているんだね。
だから私は今は辛くても泣かないよ。
全てのことに感謝出来るように前を向いて行くね。
『泣かないよ』
そういえば卒業式シーズンだね。
卒業式って、「泣かないよ」と、思っていたのに、泣いてしまった記憶がある。
「泣く」という感情は、とても複雑らしい。
「笑う」より難しい感情なのだそうだ。
涙を流す感情は、脳のあらゆる箇所を使うから、ストレス発散になると、読んだ。
つまり、泣きたい時は泣いたほうがいい。
無理に泣く必要もないけど、泣きたい時は泣こう。
そして、脳内をスッキリさせよう。
泣かないよ
泣けよ、泣け。泣け泣け泣け。俺の事を怖いと言え。拒絶して、拒否して、嫌悪して、眉を顰めろ。品定めするみたいに目を細めて、俺から一歩距離を取って。
くもあげ
【泣かないよ】
「あっ」
あちこちからそんな声が聞こえた。派手に転んだ小さな体を、たくさんの目が見ている。親と思しき男女が二人、向き直ってしゃがむ。手は差し伸べていない。
ぐぐ、と小さな手がアスファルトを押した。うー、ううー、と小さな声が聞こえる。可愛いフリルの付いた帽子が揺れて、顔の方へぽすんと傾く。ぎゅっと上着の裾を握って、よろよろと二本の足で立ち上がある。そして瞬きした次の瞬間には、とてて、としゃがんだ二人に駆け寄った。
「大丈夫?」
「痛かったね」
と、声を掛けているのが耳に届いて、幾らかの人々の視線がなくなる。もう安心だ、大丈夫だ。
「うん」
頷く声は鼻声で、ずび、と小さくすする音。
「なかないよ、あき、つよいから」
半ば涙声で宣言。そう、と言って、大人二人が立ち上がる。その真ん中に入って、小さな手が大きな手を捉えた。
そうだね、もう大丈夫だ。私はその様子を気にして、うろうろ歩き回りながら、鼻で木の枝や砂を掴む我が子の、頭をゆっくり撫でていた。この子も昔はそうだった、雄にしては小さく生まれて、そのくせ鼻が長いので、足が取られて転んでばかりいた。先に生まれた姉さんたちにからかわれていたっけ。でももう大丈夫、いつの間にか鼻は強くなり、足取りも重くなった。
「泣かないよ」
と、息子は小さく呟いた。もうすぐ他の動物園に行く。成長してきた雄だから、他の群れに行かなきゃならない。
「私も泣かないよ」
そう答えると、のすりと寄り掛かられた。
あなたを困らせたいわけじゃない。それに、ずっと会えないって決まったわけじゃないもんね。
だから泣かない。笑顔で見送るんだ。
「まいったなぁ。見送られる僕のほうが情けないね、こんなに泣いちゃってさ」
びっくりした。あなたもわたしと同じように、別れたくないって思ってくれていたの?
声が詰まってただ首を振る私の頭を、優しく撫でてくれる。
「そうだよな、絶対会えなくなるわけじゃないもんな。よし、僕は頑張って笑ってみせるよ」
不器用な笑顔だった。でも、もっと私が泣きたくなってしまう、縋りたくなってしまう笑顔。
だめ。もっと笑おう。これ以上、お互い悲しい気持ちだけになりたくない。
「ふふ、二人してなにやってるんだろうな。……ありがとう」
最初、私の前にやってきてくれたのはあなただった。
今度は私の番。どんな場所でも絶対、会いに行くから。
お題:泣かないよ
泣かないよ
「もう泣かない。」
そう言った君は、どこか涼し気な顔をしている。
そのはっきり澄んだ声に、俺は微笑んだ。
もう吹っ切れたんだな、と、
君の大きな成長を嬉しく思う。
あの小心者の君が…なんて言っても、
今の君には一つの冗談に聞こえてくれるんだろうな。
「しょうがないでしょ!!」
と、否定する君がもういなくなっちゃうんだな。
あのふくれっ面を見るたびに、
俺は面白がって
「そうだよな。ごめんごめん」
と、さらに怒らせることを言って…。
でもそれももう終わり。
それに寂しさを感じるだろうけど、
やっぱり君の成長を近くで感じられる俺でいることに、
嬉しさを覚えるだろう。
「全然、泣いてくれてもいいんだよ?」
そう返すのは違う気がする。
泣かないって言ってる君に、泣いてって言ってるようなもんだよな。
今の君に贈る言葉はもっと違う…
俺もこの告白を聞いたら、応援するしかないよな。
「君の瞳に、乾杯」
「え?何それww」
意味も知らず、これだと思って出てきた言葉。
カッコつかねぇ~w、
俺が成長するのは、まだまだ先になりそうだな。
「俺が隣で、応援するよ。」
なんて、ぱっと言えるようになったら、
俺は成長できたって言えるんだろうな。
2023.3/18
「泣かないよ」
突然の雨が降り差しかけてくれる傘はないけど
しばらくはこのまま濡れていたい
遠くなるあなたの後ろ姿を見送って
別々の道を歩んでいく
振り返えらずに抱いた思い出のカケラを
集めて新しい未来に向かって
テディベア
泣かないよ。
悲しくないわけじゃないけど、前みたいに泣き虫なアタシじゃないから。
最後の別れの時まで、アンタの前では立派な女でいさせてよ。
「泣いて悔しさ晴らすなんて、勿体無いことしない!その悔しさは、自分鍛えるエネルギーだよ!大事に腹ン中ためときなさい!」(モモカン)
「涙にはストレス物質が含まれているというからね。泣くことでストレス発散してしまうんだ」(志賀先生)
『おおきく振りかぶって』(ひぐちアサ先生)の漫画の14巻で出てくるセリフです。
主人公達が所属する西浦高校が初の甲子園大会の予選に挑みますが、負けてしまいます。
涙ぐむ主人公達に、チームの百枝監督(モモカン)がとばした激励が上のセリフです。
その後に志賀先生の補足説明が下のセリフになりします。
確かに私も、野球ではありませんが
チームで大会に参加し日頃の成果を発揮する
習い事をしていたので、チームの目標が中々達成できなかったとき、思うように成果が出なかったときなど、よく悔し涙を流していたように思います。
習い事は難しい種目でしたが、長く続けられたこと、そういえば割とストレスを感じなかったことは(身体を動かす種目だった、というのもあるのかもしれませんが)、泣いてストレスを発散させていた、というのもあるのかもしれません(笑)。
『おおきく振りかぶって』の西浦ナイン達は
泣くのをグッと我慢して、敗北の余韻に浸る暇もなく、またすぐに練習の日々を始めます。
試合に負けて西浦ナイン達の夏の大会は終わってしまいましたが、すぐに秋の大会に向けて全員前向きになっている。
負けはしたものの得たものもまたおおきい。
『おおきく振りかぶって』、素敵な野球漫画です。
濃い一年だったはずなのにこんなにもあっさり次の年になっちゃうんだね。
ねぇ、君はこの一年私と仲良くしてくれたね。
私はずっとずっとこの日常が続けば良いのにって思ってるよ。
君はどう思ってる?
一年間ありがとう、だなんて言いたくないよ。
でも私のわがままを聞いてくれるなら、言ってあげても良いよ。
次の一年もまた、私と一緒にいてくれる?
そうしたら、私次も大丈夫。
#泣かないよ