『泣かないよ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
君とはもうかれこれ
20年近くの付き合いになる
いつも明朗で優しい君が
はらはらと泣いている姿を僕は見たことはないけれど
一度だけ君の目が赤く潤んでいた時の事は
未だに脳裏に焼きついている
それは部活終わりの放課後
何故か僕らは昔の話をしていた
その昔僕は虐められていて
君はそれを傍観していた
子供の小さな世界の中で
強者に逆らう事がどれほどの意味を持つか
想像には難くない
もうそれは仕方なかったと
僕が君に言った時
君はぽつりと「ごめんね」と溢した
気にしないでと返そうと君の方を向いた時
僕は目を見張った
君の目に涙が浮かんでいるのを
その時初めて見たからだ
虐められていた当時の事を
誰かに謝られたのはそれが最初で最後だった
復讐心も憎悪も特段持ってはいなかったが
その時確かに僕は何かに区切りをつけた
区切りをつける事ができたのだ
「振ったくせに」
自分から振ったくせになんで泣いているのだろう
何を気にして泣いているのだろう
過去に置いてきた後悔か
それとも今目の前にある失望かな。
暗い世界を見上げて、思う。
逝ってしまったなぁ、と。
あまりにも唐突で、どうしてなのかと考えもするけれど、それに意味はないし、答えもありはしないのだろう。
君の笑った顔が好きだった。
そこに花が咲き乱れるような、そんな笑顔だった。
君を中心に誰もが笑っていて、そんな君と家族になれたのがとても嬉しかった。
君が咲かせる花を、君と一緒に守り続けて行きたかった。
約束を違えはしない、僕は、泣かないよ。
どれだけ悲しくても、苦しくても、辛くても、泣かないと誓う。
だから、君ももう泣かないでほしい。
君には笑顔が似合うし、君の周りにはまだまだたくさん、君を支えてくれる人がいる。
だから、君はどうか笑ってほしい、いつか笑える日が来たらで構わないから。
また、その花を咲かせてほしい。
君を置いて逝ってしまう、僕からの最後の願いだ。
だからどうかもう、僕のために泣かないでおくれ。
僕に会えて良かったと、笑っておくれ。
……ごめんね。
泣かないよ、私。
転けても痛くないもん。
泣かないよ、私。
だってお姉ちゃんなるんだもん。
泣いちゃうよ、私。
私が泣いたらママとパパ、来てくれるの。
泣かないよ、私。
もう少し我慢するもん。
泣かないよ、私。
もっと辛い人、いるもん。
泣かないよ、私。
我慢するのが1番だもん。
泣かないよ、私。
迷惑かけちゃうもん。
泣かないよ、私。
大人になってから人前で泣くなんて、甘えって言われちゃうもん。
まだその時じゃないから
まだ君の笑顔が見ていたいから
また君に泣いて欲しくないから
まだ心の準備が出来てないのに
もう泣きたくないから
#泣かないよ
泣けないよ。
自分のした過ちに決着 。
問いただしたかな?
誰も傷つかない方法で。
やった人、謝れたかな。
素晴らしい人生後悔なく過ごせてますか?
人を傷つけてしまった人。
多いよ。
自分もそう。
でも、逃げずに生きろ!
助けろ!
お前泣く価値ないから。
なく価値つけろ。
泣かないよ
だって泣いたら悲しくなるもん。色んな感情溢れてきてさ、堪えられなくなるときもある。だけど泣いたらなんか負けな気がする。
泣かないよ
僕は泣かないよ
だって泣きたいのは君だから、
僕は泣かない、泣いてしまえば
君が消えてしまいそうな気がするから…
「生きて」小さな灯火がゆらゆらと
暖かく僕を照らしてくれた。
どんな結果になっても、泣かないから
君の気持ちを聞かせて。
泣いたら、全部、零れちゃうから
泣かないよ。
張っていた糸が切れてしまったら
強さを維持出来ないような気がしていた。
泣く場面じゃないのに
責められてるように感じて
すぐ熱くなる目頭や、込み上げてくる感情を
抑えられず、それを見せてしまうのが
見られてしまうのが
恥ずかしかった。
#__泣かないよ__
都内某所、夜の某アパート。茶香炉焚いた一室で、人間嫌いと寂しがり屋を併発した捻くれ者が、ぼっちで職場の後輩のアフターフォローをしていた。
アプリを通して、グループチャットと通話を両方しながら、こちらは明日の仕事準備、後輩は泣いてたまにしゃっくり。
何度も何度も確認したと、後輩は嘆く。
係長にチェックも貰ったし、最後コレで良いって言ったもんと、後輩は訴える。
しかし後輩が任された仕事は、課長決裁で重大ミスが発覚。以前も確か同じことがと、捻くれ者が気付いたタイミングでは既に遅く。
保守に回った係長は全責任を後輩に回し、後輩ひとりに始末書の提出を命じた。
上が良ければそれでヨシ。下は使い潰せば宜しい。
これが捻くれ者とその後輩の勤務先の、昔々からの悪しき慣習と体質であった。
世の中は、敵かまだ敵じゃないかの2種ばかり。
そもそも自己中をデフォルトに持つ人間を信用した方がマズい。
それが持論の捻くれ者ではあるが、後輩に自論をぶつける気には、なれなかった。
「明日。どうするつもりだ」
トントントン。確認用に印刷した紙束の、端をデスクで揃えながら、捻くれ者が尋ねると、
『わかんない』
ぐすぐす鼻をすすりながら、後輩が答える。
『行かなきゃだけど、行きたくないけど、そもそも行ける気がしない』
わかんない。どうしよう。
後輩は2言3言付け足すと、どうやら土砂降りだの集中豪雨だのが来てしまったらしく、通話から少し離れてしまった。
大丈夫だよ。
無責任な楽観視など、言える筈もなく。
泣かないで。心を強く持って。
励ましなど、完全に役立たずなのは明白で。
かける言葉をあちこち探し続けた捻くれ者は、最終的に満腹中枢とエンドルフィンで物理的にコンディションを底上げさせようとして、
「今、私のアパートに来れるか」
ケトルの電源を入れ、茶香炉の葉を入れ替えた。
「丁度、魔法の餅を仕入れてある。たまに不思議な子狐が売りに来る不思議な餅でな。食べると、何故か元気になる。どうだ」
『狐って。なにそれ。絵本じゃなし』
突然の妙な申し出に、後輩は少し笑った風であった。
『そっち行く。泣いて、おなか空いたし。甘いの食べたくなってきたし』
お酒も用意しといてよね。
精いっぱいの強がりの後、いくつか言葉を交わして、それから、通話は途切れた。
「泣きっ面で大丈夫か?迎えは」
『大丈夫ですもう泣きませーん。
じゃ。近くに来たらメッセ送るから』
中学生の頃、人並みに人間関係に悩んだ。
家に帰って、亡き母の写真を見る。
百合の花の隣で幼い私と手を繋ぐ笑顔の写真…
母が生きたかった今を、自分は生きている。
誰かが失った今日を、自分は生きている。
泣くわけにいかない。
そんな決まりを勝手に作ったのは14の頃…
大人になって思う。
泣くのも悪いものではない。
気持ちのリカバリーにもなる。
案外良いのかもしれない
けれどやっぱり、私は泣きたくない。
テーマ「泣かないよ」
「泣かないで。何度言ったら分かるの?本当に役立たず」
その言葉、何度かけられたことか。
「泣いていいんだよ。気が済むまでいっぱい泣いてもいい。ずっとそばにいるからね」
その言葉、何度かけられたいと思ったことか。
悪い人ばっかりいるから泣くんだ。
いい人だらけなら、泣かないよ。
〜泣かないよ〜
「きちんと、笑顔でお別れするんだ。
でなくば、あの人も不安で残ってしまうだろう」
「……分かりました」
「本当に、大丈夫だね」
「はい。大丈夫です」
「なら、花を。
花束からひとつ抜き取って、あの人のそばに置いてあげるんだ」
「……はい」
大丈夫だとも、笑顔で出来るに決まっている、
これはただの儀式だ、あの人に必要なもの、
ただそれだけだ。
「……」
花を、一つ、純白の花を一つ。
手に取って、あの人のもとへ。
「…………」
大丈夫だ、きちんと笑顔が作れている、大丈夫だ。
あの人の場所が近付く、あの人が見えてくる。
「っ……」
だいじょうぶだ、この人はただねむっているだけなんだ、だいじょうぶだ、
花を、この人のそばへ、
そばへ、おかなきゃ、
おわかれを、おわかれを、しなきゃ、
花を、花を、
花を、持つ、手が、ふるえた、
——————
泣かないよ
泣かないよ
あなたに頼られるわたしでいたいから
泣かないよ
あなたと別れなきゃいけなくなったとしても
泣かないよ
そんな簡単には泣かない
弱みを見せたくないから
人前では泣くことはない
でもTVを観ててほろっと
泣いてしまう時はある
人前では泣きたくないと
思っていても
涙を流す機会はあった方が
いいんだろうなとは思ってしまう
ずっと、守られてばかりだったから。
だから、守りたいって、思ったんだ。
ズキズキと痛む眼を、君に気づかれないようにそっと庇う。
もうずっと痛くて、煩わしくて仕方ないけど、こうなったことに後悔はしていないんだ。
だって、君がこうなってたら、もっと痛くて、辛かっただろうから。
でも、その辛さを君に味わわせることになるなんて思わなかった。
それだけが、唯一の後悔、かな。
そうでなくても、優しい君はきっと泣いているのかもしれない。
僕が、怪我をしてしまったことに。
僕から光を奪ってしまったことに。
弱虫な僕が、君を庇って奮起したことに。
ずっとずっと、後悔して、自分を責めているのかもしれないね。
ーーーだから、僕は”泣かないよ”。
痛くて、見えなくて、迷惑ばかりかけてるけど。
これは僕が選んだ結果だら、君のせいじゃないって伝えたくて。
痛む眼を君から隠して、今日も僕は笑うんだ。
泣かないよ
泣かないよ
何てことない一日でした。社会の歯車として働いて、帰る頃にはくたくたで、すぐにソファに倒れ込んだ私にその人は優しくおかえりを言ってくれました。
ただいまぁ、と気の抜けた声で返事をすれば、遠くの方でくすくすと笑う声がします。それと料理を作る音も。
今すぐにでも立ち上がって、その手伝いに行きたいのに、体は言うことをきいてはくれません。次第に落ちてくるまぶたにあらがうことすらできず、私はそのまま寝てしまいました。
かくん、と首が大きく揺れて、目を覚まします。壁に掛けられた時計を見れば、帰って来た時間から一時間ほど経っていました。
寝すぎた、やばい、と慌てて立ち上がると、机の上にはちょっぴり豪華な料理が並んでいました。
美味しそう、と目を輝かせれば、作ったその人は嬉しそうに、照れくさそうに笑いました。何かの日だったかな、と思いつつ、食卓につこうと近づくと、手を洗ってきなさい、と母親のように言われました。
はーい、とキッチンに移動して、さあ、手を洗おうとしたそのときでした。私はようやく気づいたのです。寝る前まではたしかになかった、左手の薬指に指輪がはまっていることに。
え、とその人を見ると、同じような指輪が左手の薬指にはまっているのがわかりました。嬉しいのと驚いたのと、寝起きだから、かもしれません。頭がバグを起こしたみたいに、笑顔なのに泣きたくなって、うまく言葉が出てきませんでした。
泣いてるの、と優しく問いかけられて、首を振って答えます。泣かないよ、ばか。嬉しいだけだよ。そう思いながら、抱きつけば、強い力で返ってきました。結婚してください、と告げられて、はい、と歓喜に震えながらそう言いました。
何てことない日でした。だけど、こんな素敵な記念日になりました。
式の途中は泣かないよ
テレビに出ちゃうんだから
式後も泣かないよ
皆にみられちゃうから
泣かないよ
悲しくなっちゃうから
泣かないでよ
また会えるんだから
#泣かないよ
『泣かないよ』
楽しい時間は続かない
わらった日々もいい思い出
楽しい時間は続かない
君との写真、ただの紙切れ
君との時間が続くなら
今すぐにでも時を止める
君の姿、僕の背に
悲しみの涙は見せられない