『梅雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
雨はあまり好きでは無い。雨が降ると何故か暗い気持ちになるからだ。だから私はあまり梅雨が好きでは無い。
【梅雨】
ひと雨ごとに
緑濃く艶やかになっていく
ひと雨ごとに
夏へと近づいていく
ひと雨ごとに
世界は灌がれ
美しさを増していく
『無垢』
「見ろよ、生まれるぞ」
目の前の卵が小さく揺れ始める。
その揺れは次第に大きくなり、やがて殻にヒビが出来始め、殻が少しずつ剥がれていく。
そしてその中から、うろこに覆われたトカゲの体を持ち、背中には小さな翼が生えた生物が出てくる。
ドラゴン――の子供である。
「おおー、ちっちゃい! 可愛い!」
ドラゴンの誕生を、俺の隣で見ていたクレアが感嘆の声を上げる。
普段の聖人じみた態度から想像も出来ないほどはしゃいでいでいるクレアを灰めてみた。
世間から聖女として崇められる彼女だが、人間らしい部分もあるという事か。
少しだけ人間らしいところを見れて、安堵する。
「見てください、バン様。
この可愛らしい瞳、小さい手、
くう、可愛すぎます」
クレアが、目のまえの子供のドラゴンを前にして、子供のような笑顔を見せる。
この小さなドラゴンの目では、クレアは
正直、ここまでテンションが高くなるとは少しだけ嬉しくもあり、そして少しだけ腹が立つ。
このドラゴンの卵、実は俺がダンジョンの奥で拾ったもので、そしてクレアはそのことに最後まで反対していた。
拾ってから毎日小言を言われる日々。
なのにこの有様はどうだ?
「あ、歩きましたよ。 すごい、えらい」
ここまで掌返し、そうそう見れるものではない。
「チビ太、こっちですよ」
「え?」
「名前ですよ。
ほら、チビ太。
あなたの名前はチビ太ですよ」
「……違う名前にしよう」
「なぜですか!」
クレアがすごい剣幕で迫ってくる。
なんでここまで入れ込んでるんだ。
お前、さっきまで興味なさそうにしてただろ?
「こいつはドラゴンだ。 すぐに大きくなるからチビ太は駄目だろ」
「あ、確かに……
いい名前だと思ったのですが……」
「てことで俺が名前を考えているから――」
「龍太、こっちにいらっしゃい」
俺の言葉にかぶせるように、クレアが次なる命名案を出してくる。
「ほら、龍太、龍太、龍太」
あいつ、なんども繰り返して刷り込もうとしてやがる。
どうしても自分で名前を付けたいらしい。
まあいいさ。
名前はそこまで重要じゃない。
命名権はくれてやる。
だが、教育方針は俺が決める。
俺はこいつをトレーニングさせる。
そして世界一強いドラゴンに育てるのだ。
今、冒険者たちの仲で、ひそかに広がっているドラゴンバトルというものがある。
育てたドラゴンを互いに戦わせ、優劣を決める熱いスポーツ。
俺たちはそこで王になる。
そして勝つためには、幼いころからのトレーニングが欠かせない。
幸いにしてこのドラゴンは健康状態が良い。
この調子ならば、今日からでもトレーニングを……
ドラゴン、もとい龍太を見ていると、視界の端でクレアが俺の顔を覗き込んでいることに気づく。
「どうした?」
「どうしたではありません」
クレアは龍太を、俺の視線から庇うように移動する。
「なにか、邪なことを考えていませんか?」
「邪な事?
馬鹿を言え」
「では何を考えていたか、言葉に出来ますか」
クレアが俺の目をまっすぐ見る。
俺が嘘をつこうものなら、糾弾するつもりなのだろう。
だが俺は嘘をつくつもりはない。
邪なことなど一切ないからだ。
「そいつに戦いを教えて――」
「天罰!」
「ぐは!」
クレアがすぐ側にあった分厚い本で俺を殴る。
クレアのバカ力と本の重量の相乗効果によって、俺に少なくないダメージが入る。
つまりめっちゃ痛い。
「いって、何も本気で殴ることは無いだろうが」
「いいえ、こんなかわいい龍太を、悪い道に引き込もうとする人は天罰が下って当然です」
「どこが悪い道だ。
ドラゴンは戦ってなんぼだろうが!
逆に、他の道があるのか?」
俺は痛む頭をさすりながら、クレアを睨む。
「この子には戦いに無縁の生を送ってもらいます。
平穏に暮らして、家族を作り、やがて私に孫の顔を見せてもらうのです」
「さすがに人間と一緒にするな
ドラゴンは闘争本能が強いから、戦わないと逆にストレスになる」
「詳しいですね」
「当たり前だ。
ドラゴンバトルのために、色々調べたからな」
「ドラゴンバトル……
そういえば、そんなことも言ってましたね」
そう言うと、クレアは目をつむる
クレアが何か考えるときの癖だ。
しばらくのあと、結論が出たのかゆっくりと目を開ける。
「あなたの言い分は分かりました。
闘争本能を発散させるのが、この子のためになるならそうしましょう。
ですが――」
クレアは目を大きく見開く。
「ドラゴンバトルとやらには、絶対に参加させません!
龍太は、私と一緒に愛と平和を世界に伝えるのです」
「ドラゴンが仰せつかるような使命じゃないだろ
与えるのは恐怖だ」
「なんてこと言うんですか!
こんなに可愛いのに!」
「いやいやいや、今の時点で人殺せるくらいには強いからな」
生後一日でも、なんの訓練も受けていない一般人が手も足も出ないほど強い。
そんな危険生物の前で言い争いが出来るのは、俺たちがレベルの高い冒険者だからであり、いざとなれば抑え込む自信があるからだ。
決して、普通の人と俺たちを同列にしてはいけない。
「だからこいつは戦いに身に置いた方が幸せ――」
「させません!」
二度目の分厚い本によるチョップが繰り出される。
そのチョップは、一回目と同じ軌道を描き、そして同じ場所に命中する。
「やめろ、とりあえず暴力に訴えるな。
お前聖女だろうが!」
「我が子のためなら悪魔にもなります」
「手に負えねえ」
コイツは駄目だ。
普通の説得では聞き入れまい。
それにこれ以上は俺の体が持たん。
次やられたら、病院送りだ。
「分かった、こうしよう。
龍太のことは龍太でに決めさせる」
「いいでしょう」
クレアは少し離れたところに龍太を置く。
「よし、龍太。俺のほうに来い。
世界一強いドラゴンを目指そう」
「龍太、こっちですよ。
あなたも平和に過ごせるほうがいいですよね」
龍太は不思議そうに、俺たちを見比べる。
正直どこまで理解しているか分からない。
だがあのまま言い合っても俺が負けるだけ。
しかしこういう勝負ならば、俺でも半々で勝てる。
こい龍太。
一緒に世界を目指そう。
俺の想いが通じたのか、龍太は俺の方を見る。
やったか?
だが見たのは一瞬だけだった。
非情なことに龍太はクレアに向かい、クレアの足にじゃれつく。
やはり母性か……
「これ決まりましたね」
クレアは勝ち誇った顔で俺を見る。
「龍太、私はあなたの事を信じていましたよ」
クレアは、龍太を抱き上げる。
「愛と平和を世界に伝えましょうね」
無理だと思うけどなあ。
だけど勝負に負けた以上、俺に口出しする権利は無い。
とはいえ、ストレス発散のバトルは許可が下りている。
その間だけ、ドラゴントレーナーの気分を味わおう。
それくらいは許してくれるはずだ。
「ほら、高い高い」
俺が打ちひしがれている間も、クレアは龍太と遊んでいた。
眩しくてほほえましい光景。
こういうのもいいな、と柄にもなく思う。
これが子を持つって事か……
それに気づくと無性に龍太と遊びたくなってきた。
とりあえず高い高いしたい。
後で変わってもらおう。
俺の夢は破れたが、こういうのも楽しいだろう。
意外とイクメンパパ路線も悪くなさそうだ。
ジメジメとした梅雨の時期が来た。
風が生ぬるくて、ちっとも好きじゃない。
小さな雨具を着て
水たまりに飛び込んで
てるてる坊主をつりさげて
梅雨は毎年来るのに、
いつから大人になったんだっけ。
梅雨 6/2 2:00
私の住む地域には梅雨がないって言われてる。
少しは降る時期あるんだけどさ。
私はあまり雨が好きじゃない。
というか、雨の日の体調と、傘が好きじゃない。
頭は痛くなるし、荷物は増えるし、靴は濡れるし。
でも。ちょっとだけ、ずっと好きなことがあって。
もう何も予定がない!ってなったら、雨に濡れて帰ること。
帰って、玄関入ったら全部服を脱ぐ。
全部洗濯機に入れてすぐ回す。
そのうちにシャワーを浴びる。そんなルーティーンが、小学生の頃から好き。親に怒られちゃったりして。
あと雨上がりも好きかな。地面がキラキラして見える。
土の匂いがよくわかる。心が晴れた感じ。
たまに虹とかでてたら、もうその日頑張ってよかったって思えてくるよね。
それに、雨の音を聞いて寝るのも悪くないよね。
そう。さっきも言ったとおり、雨は好きじゃないんだよ。
でもね、好きじゃない中でも好きになれることがあったりしてさ。
マイナスなことばかりに目が行きがちだけど、考え方によっては好きになれるのかもね。
ちょっとだけ雨が恋しくなった。そんな夜になりました。
おやすみ。
梅雨
梅雨の名前の由来を、ご存知ですか?
そう尋ねたら、貴方からは、
…黴がよく生える時期だから、
『黴雨(ばいう)』と呼んだんだろ。
と、云う答えが返ってきて。
私は、梅雨の名の由来は、
…梅の実が熟す頃が雨期なので、
「梅」の字を使うようになった。
だと、思っていたのですが。
古い言葉の由来なんて、
諸説あっても、
何ら不思議ではないのですが。
それでも。
黴と梅では、
余りにもイメージが違い過ぎて。
それが、貴方と私の、
違いである気がして。
でも、それが、
決して嫌ではなく。
二人の小さな違いを見付ける度、
何処か楽しくて。
梅雨。
故郷では、梅仕事の季節。
今年は、遠い故郷を思い、
梅干し作りでもしましょうか?
…梅仕事って言えば、梅酒だろ?
きっと貴方なら、
そう言うのでしょうね。
「たまには雨が降ってほしいものだね」
演奏者くんが空を見上げながらそういった。
「雨⋯⋯?」
「雨、知らないかい?」
「いやさすがに⋯⋯」
「じゃあなんでそんな反応を⋯⋯?」
「ほら、雨ってやな事ばっかだから」
ボクがそうぼやくと彼は笑った。
「確かに『人間』にとっては雨というものはけして心地いいものとは言えない。でもね、他のものにとってはそんなことはないんだよ」
「例えば?」
「最たる例は植物だろ。手作業で水をかけるのもいいかもしれないがやはり限度がある。やはり広範囲にかかる雨の方が有難いんだよ」
「ふーん」
「興味無さそうだね」
降らない雨の話をして興味がある方がおかしいんじゃない? なんて言わずにボクは曖昧に微笑んだ。
「梅雨はね、いいよ」
「なんで」
「雨が沢山降る、夏の準備をする⋯⋯⋯⋯いい事だらけだ」
「そんなに言うなら人間界に住んだら?」
「あはは、冗談だよ」
「何が?」
彼は答えなかった。
明るく笑った彼はなんだか晴天というよりも、雲から覗いた一筋の光をもたらすそんな時の太陽のような顔をしていた。
白いノイズ 脳を焼いたらいいのに
思ったより風情でもない窓際
湿気た項 雨間なんて要らない
喧しさも人の聲より静謐
縁の終り 触っただけの感情
鳴らないなら無言もただの挨拶
「いつも此処は暖かいのに どうして」
不思議そうに毛並みを捩る猫達
――――
(梅雨)
【梅雨】
雨の匂いがする。
空気の匂いがする。
梅雨の匂いがする。
そしたら外に出よう。
世界の中に
ひとりぼっちの
三角の空間を
楽しもう。
みんな雨を嫌う。でも私は雨の日は嫌いでは無い。
でもまあせっかく整えた髪も湿気で広がるし、傘で荷物はかさばるし、何より寒いから好きだとは言い難い。でも晴れた日の空は明るすぎるし、みんな楽しそうでこんな自分が劣って見えてしまう。
だからこそこんな自分を味方してくれる梅雨を愛してみようと思う。
梅雨
毎日のようにシトシト降って、
これからの暑さに拍車をかける
梅雨の足音が聞こえてまいりました。
貴方との約束の季節。
人目を憚りひとつ傘の下で秘密の逢瀬。
嗚呼、次の雨の日も必ず逢いにくると言ってくださったのに。
梅雨は、雨空でしか触れ合うことのできない私達の唯一でしたのに。
ごめなさい、許してほしいなどとは言いません。
貴方をおいて行ってしまう。
もうこの腕は貴方を抱きしめることはできない。
もうこの眼は貴方を映すことはできない。
もうこの耳は貴方の声を聞くことができない。
もうこの鼻は貴方の香を嗅ぐことはできない。
もうこの口は貴方と口付けをすることができない。
嗚呼、熱い。まるで此処が地獄。
燃え盛る屋敷、倒れた柱がわたくしの脚を貫きました。
嗚呼、熱い、痛い、苦しい、怖い、だれか、だれか!
わたくしを貴方のもとへ!!
梅雨
「雨が始まったわ、日本はこの時期に雨が増えるわね」
「あー、まあ日本は四季の中に梅雨があるからね。」
「ツユ?....あっ!私この前教えてもらったよ、雨が降らなくなるとツユが明けたって言うよね!
私、日本の季節や物事に対しての表現の豊かさだいすきよ!」
外国育ちの彼女は何かと日本のことを教えると楽しそうに報告をしてくれる。
ふむ、じゃあオノマトペでも教えてあげようかな。
「雨が降っている時には、『しとしと』とか『ポツポツ』って表現するんだよ」
「シトシト!ポツポツ!雨に可愛らしさを感じるわ!」
梅雨なんてジメジメーっとして、ずっと雨が降るのが憂鬱だ、なんて思うことの方が多かったけれど、
異国から来た彼女のその感想のおかげか、日本人としての情緒というのか、趣というのかを感じる。
そういえば恵みの雨って言うんだったなあ。
そうか、言葉一つで雨も可愛くなるのか。
「ま、ぼくは現代人だからね。間違いなく梅雨明けが恋しくなるけどね。
....ただ、梅雨入りは去年よりかは憂鬱ではないかもね。」
何処かぼんやりしていた
何か哀しい様な寂しい様な
書き始める指を止めて
外を観ていたのは君が居たから
激しくなる雨風の音
酷くなる胸の鼓動に
聴き入れる余裕すら奪われた。
頭痛。鈍痛。倦怠感。
低気圧に押し潰されて小さくなった感覚と、
溶けてゆく感覚に身を任せ、夢の中では雲の上。
前線突っ込み急降下。
#梅雨
#梅雨 (2024/06/02/Sun)
ジメジメした天気は嫌いだ
それでもアカシアが花を咲かせる頃ならば、何かしらの思いがよぎる時がなくも無い
風の無い夜に、雨の気配がある湿った大気が花の香りを地面近くに留める時がある
辺り一帯に甘酸っぱい花の香りが漂う
不思議な空間にいるような気持ちになる
梅雨はなぜ、うめの雨とかくのだろう。梅のなる時期なのか?よく知らない。調べて見よう。
ザー
「今日の天気予報は雨です。とても強く、、、」
朝から雨
あー、頭が痛い…
梅雨は辛い。
何がって、頭痛やら、何やら。
色々と暗いテンションになる。
だが、それが嫌ってだけで、雨は嫌いではない。
何より眩しくない。
晴れもいいけど、眩しいのだ。
私は眩しいのが苦手だ。
車を乗っている時は、前の車が反射で眩しかったり。
道路を歩いてたって、下を向いてもコンクリートが反射で眩しいのだ。
コンクリートの反射でさえ辛い。
それぞれ天気の良いところ悪いところがある。
私は梅雨が好きだ。頭痛で辛くたって、眩しくないのでいいのだ。
他の人はどの天候が好きだろうか。
是非聴きたいところだ。
#梅雨
雨が降り湿気も多く
気分も憂鬱になる。
そんな梅雨が僕は嫌いだ。
でも彼女は違うらしい。
「なんで梅雨が好きなの?ジメジメして嫌じゃない」
僕がそう言うと彼女は
『君が傘を忘れた日に1つ傘を持っていって、相合傘が出来るから。私は梅雨が1番好き。』
彼女があまりにも笑顔でそう言うから
僕も少し梅雨を好きになれた気がした。