『桜散る』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
華やかな時は、
あっという間に過ぎた。
木々は新芽をつけ始め、
道端には花弁の山ができている。
人はそれを気にもとめない。
容赦もなく花弁を踏みつけ、
新芽を見て終わってしまったと落胆する。
人は単純で身勝手だ。
儚いものほど価値を見出し、
終わった物には悲しいほど薄情だ。
そんな事を考えながら、
地面に広がる桃色を踏みつけた。
踏まれた色はただ醜かった。
【桜散る】
春、桜の花が咲き乱れ風がその瓣を攫い地面に散らす。
桜の瓣がヒラヒラと宙を舞い散る姿は、とても儚くてまた尊く美しい。
一枚、また一枚と桜の瓣を攫う風はやがては渦を巻き春の匂いと共に何処かへ消えて夏を連れてくる。
今年の春も、もう直ぐ終わる。
お題/桜散る
花が、ちらちらと目の前を掠めていく。心の中に重くのしかかるのは、その花が散る様子に、何かを重ねたからか。
「……」
伸ばした手に、淡い桃色の花びらが層を成す。しかしその花びらたちも、やがては手のひらからこぼれ落ちていく。
「ごめんね……、ごめん……」
いくら謝っても届かない。
許されることのない言葉。贖罪などと呼ぶことすら烏滸がましい。
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
貴女を、嫌いになったわけじゃなかったのに。
私は弱くて、どうしようもなく弱くて。一番失いたくなかったはずの貴女をいとも容易く失って。
「ごめ、……ん……ごめ、なさい……っ」
ぼろぼろと流れる涙と、漏れ出す嗚咽の合間に口から自然に溢れる謝罪。
赦さなくていいから。
お願いだから。
もういちどだけ、わたしとはなして。
桜散る
チリンッ
小娘。そなた何故ここにおる。さくらぁ?このような小さな花ごときになんの意味がある。すぐに散って消えてしまうこの花など。
良いか?ここはそなたのような者が来るものではない。ここはな、そなたが毎夜恐れ母に縋りつくほど嫌悪する、妖共がそこらにひそんでおるのだぞ。怖いのならば今すぐに立ち去れ。……帰り方が分からぬと?はぁ、近くの道まで送ってやる。もう二度とここには来るなよ。
ここに来るなと言われて翌日来るやつがいるか、この阿呆め。何の用だ。桜はほとんどが散ってしまったぞ。それにここよりもそなたのいく村に咲く梅のほうが綺麗だろうに。そなたは何故ここにくる。……答えぬのか?つまらんの。そなたでもないのに、考えることなど分かるわけがなかろう。さぁ、妖が活動し始める。はやく帰ることだな
知っておるか?ななつまでは神の子と。あれは間違いだ。ヒトの子が勝手に愛らしいそなたたちをそう呼ぶだけだ。そもそもヒトから生まれたというのに何故神が生まれるという勘違いをしたのか甚だ疑問だ。……違う?ほ、本当にただ愛らしいだけを比喩したと?ははは、そうなのか。ふふ、確かに拝んでいるところは見たことがないな。そうか、ふふふ、人間とは面白いな。
なぁ、そなたはいくつになる。そうか。もうすぐ、ななつだったな。なら、もうここには来られないな。安心しろ。記憶は消える。覚えていなくて不安になる必要もないさ。ここにいられるのはななつまでだ。そなたもヒトの子として生きることになるだけだ。ななつまではかみのうち。神からの祝福でできたそなたがいつまでも幸せであれるように心から願おう。そしていつか、……いや、なんでもない。ではな。
これがあやつの思い出か。ああ、美しいな。まるで満開の桜だ。せめて、この記憶が美しいまま散っていけ。さよなら、愛しい我が子。
桜散る。
最近良いことはあった?
良い夢は見た?
ちゃんとご飯食べてる?
睡眠は?とれてるかな。
あなたに罪はないのよ、これっぽっちも。
直接伝えることが出来ないから、今年もあなたの好きだった桜を咲かせることにしました。
桜の花びらと一緒に後悔を散らしてくれますように。
桜散る
今年も愛犬と桜を見た。
愛犬はちっとも桜に興味ない。
来年も一緒に見ようね。
桜の木の下には屍体が埋まっているから美しい。らしい。
青白く光って見える夜桜を見上げると、まだ半分には満たないがちらほらと葉が混ざり始めているため、近いうちに全ての花が落ちてしまうだろう。確かにこうして儚く散っていく光景には風情がある。魂を少しずつ成仏させるかのように、一枚一枚花びらが落ちていくのだ。
なるほど、と感嘆しながら根元に寝転がる。この下には君が埋まっている。君を覆う土だと思うと、ただの地面が愛おしく思えた。屍体が埋まっているから美しいと教えてくれたのは君だったね。
埋めるときすら美しかったのだから君が咲かす桜はさぞかし美しいだろうと思っていたが、期待以上だ。君の光り輝く魂が、枝葉の末端や花びらに宿っているんだろう。
全て散ってしまったら、君には会えなくなってしまうのは、寂しいな。また君を埋めなきゃ。
私が初めて中学の校門を通った時
校庭に植えられているたった一本の木には
淡いピンクの花びらが木いっぱいに広がっていた
満開の桜の下でクラス発表で親友となったことが
嬉しいあまりその場で飛び跳ねたことを覚えている
そんな桜の木はいつの間にか
ピンク色から鮮やかな緑色へと変化を告げ私たちも新しい環境に慣れつつあった。
桜は散ってしまったけど
私の桜はここからだ!!
お題[桜散る]
No.28
桜散る
今日は風が強いなぁ。そんなことを思ったのは、窓から見える空を横切る雲たちがいつもよりも速いスピードで形を変えながら通っていくからだ。
せっかく満開になった桜もこの風じゃほとんど散ってしまうだろう。
儚いねぇ、そう呟きながらコーヒーを啜る。
別にお花見がしたいわけでも、桜を見たいわけでもない。
ただ、もう少しこの季節を味わっていたいのだ。
『桜散る』
夢を見た空色の水彩
梢と囁く新緑の若葉
忘れないから
安心してお眠り
ほら
梅のお姉様だ
手を繋いで
一緒にお上がり
足元に花びらを見つけた。
少し茶色くて萎れていた。
数日前、数週間まで美しく咲いていた桜はあっという間に落ちて、緑になっている。
桜散る、とは受験などで失敗した時に使う言葉だ。
散った桜の花びらは地面に横たわってる。
でも、桜自身は変わらず美しいままだ。
花びらから葉に。
鮮やかな緑色は、穏やかなピンク色と同じくらい眩しくて美しい。
だからきっと大丈夫だと思う。
失敗してもそれはきっと次に自分を輝かせるための糧になるから。
散った桜が姿を変えてまた美しくなるように。
【桜散る】
やっとの春、心の芽吹き
あなたを見つけて桜咲く
遅めの春、心が色づく
気付いてほしくて桜舞う
心は春、突然の雨が降る
打たれ流れて桜散る
#2
気がついたら私は車の中で眠っていた。
その時外から歌声が聞こえた。
歌声が聞こえる方へ自然と足が向かう。
その歌声はスーッと私の耳へ入ってくる。
(あ、、、助けてくれた人だ。)
「起きたか?」と優しい声。
『ごめんなさい、迷惑かけて。』と伝え
「もうあんなことをするな。生きてればいい事はある」
その言葉に涙が止まらなくなってしまった。
「また泣いてんのか?目が腫れるぞ。
家まで送る、どこに住んでるんだ?」
と言われ、自宅まで送ってもらった。
『あ、ありがとうございました。』
「早くお風呂に入れ、風邪ひくぞ。じゃーな」
『あの!名前!!!』
名前を聞く前に、去って行ってしまった。
自宅に戻り、シャワーに入った時
(あの人の歌ってた曲ってなんだろ、、、)
と頭の中でリピートされる。
その歌声は優しく人を包むような声だった。
気がつくとその歌を鼻歌で歌ったりしていた。
時が過ぎ、季節は春に移り変わり桜も散り始めた。
「 みんなにはまだ内緒な 」
「 …うん。」
そう言って嬉しそうに微笑む彼
シーッと立てた右手の薬指には
指輪がはめてあった。
「 ___卒業おめでとう。」
頭には桜が乗っていた。
「 先生、頭に桜が、…」
言葉を呑み込んだ。
「 ううん、なんでもない 」
「 そういえば、まだ言えてなかったことがあって。 」
下を向いて涙を誤魔化した。
「 ___結婚、おめでとう。」
桜散る
草木の緑が一段と濃くなって
だんだんと眩しくなって
日替わりの山の色と
真新しい生活が
次から次へ、押し寄せる
暖かい師走のよう
雲が低く見えた
私はまた
夏の入り口を探している
桜散る
あ、花がもう散ってる
早いなぁ
今年こそ学校、もっとちゃんと行かなきゃな
季節なんて一瞬で過ぎていくのに
俺は引きこもっているせいでなーんにも変われてない
桜の花がくるくる回ってる
追いかけっこ見てるだけでも楽しいな
桜散る
今年の桜ももうすぐ散る
今日は風が強かったから一気に散っちゃったかも
寂しいけど仕方ない
すぐに散ってしまうからみんなお花見を全力で楽しむのかな?
桜は散る瞬間も綺麗だったりする
最後まで楽しませてくれてありがとう
『桜散る』
受験に失敗したり失恋したりした時にも使う
その時は人生最悪ってくらい落ち込む
落ち込んだっていい
散っても翌年には必ず咲くから
桜散る
さくらの花びら散ってくね。
くるまの中からみる景色
ランチタイムに会えたのに
ちっともこっちを見てくれない。
隣にいるのに遠い人。
ルームミラーで後ろをみると
さくら並木が遠ざかる。
花びらたちが、踊るよに。
くやしいけれど離れられない。
桜のようになれなくて。
らくに考えられたらな。桜みたいに潔く。
ちょうど信号赤になり
横断歩道を花びらが
キャッキャと渡る 右から左。
ルームミラーからごあいさつ
さよなら、ありがと また来年
さてさて桜は上から下へ
くるりと廻っておちてゆく
らせんを描いておちてゆく
ちょっと不思議にきづいたかしら
「る」って言ったらわかるかな?
たてによんでね。
さ
く
ら
ち
る
桜のように美しく咲いて
散る姿までも美しい…
そんな終幕でありたいと願うことがある。
しかし現実は残酷だから…
美しく、散りゆく様すら遠くあるのだろう。
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