華やかな時は、あっという間に過ぎた。木々は新芽をつけ始め、道端には花弁の山ができている。人はそれを気にもとめない。容赦もなく花弁を踏みつけ、新芽を見て終わってしまったと落胆する。人は単純で身勝手だ。儚いものほど価値を見出し、終わった物には悲しいほど薄情だ。そんな事を考えながら、地面に広がる桃色を踏みつけた。踏まれた色はただ醜かった。【桜散る】
4/17/2023, 2:36:12 PM