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お題/桜散る

 花が、ちらちらと目の前を掠めていく。心の中に重くのしかかるのは、その花が散る様子に、何かを重ねたからか。
「……」
 伸ばした手に、淡い桃色の花びらが層を成す。しかしその花びらたちも、やがては手のひらからこぼれ落ちていく。
「ごめんね……、ごめん……」
 いくら謝っても届かない。
 許されることのない言葉。贖罪などと呼ぶことすら烏滸がましい。
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
 貴女を、嫌いになったわけじゃなかったのに。
 私は弱くて、どうしようもなく弱くて。一番失いたくなかったはずの貴女をいとも容易く失って。
「ごめ、……ん……ごめ、なさい……っ」
 ぼろぼろと流れる涙と、漏れ出す嗚咽の合間に口から自然に溢れる謝罪。
 赦さなくていいから。
 お願いだから。

 もういちどだけ、わたしとはなして。
 

4/17/2023, 2:32:50 PM