『柔らかい雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『柔らかい雨』
ヒトケのない公園
裸足で
踊り出す彼女
神様
もし 本当にいるなら
お願い
少しの間
彼女の涙を隠すための
雨を降らせて
ここから
見守ることしか出来ない
弱虫な僕の代わりに
彼女の心の傷を癒す
優しく柔らかい雨を降らせて
ずっと学校に行けなかった
行くのが怖かった
みんなはどんな目をして見るだろう
どんなことを言われるのだろう
冷たい雨を想像すると
身がすくんで外には出られなかった
だけどある日
そうっと行ってみた
みんなが体育の授業をしている時に
体育館の小さな窓から覗いてみたんだ
見つからないように
そうしたら 見つかっちゃった
背筋が凍るようだった
でも
その子はものすごく嬉しそうな顔で
窓に駆け寄って来てくれたんだ
気づいた他の子も次々と
みんなあったかい笑顔で
久しぶりに会ったぼくを取り巻いて
凍っていた心がとけだした
あんなに怖かったのに
いまは照れくさいや
「柔らかい雨」
#241
柔らかい雨
静かに、しかし確かに地面が濡れ始めていた
長い干ばつに見舞われた大地は
貪るように雨粒を吸収していく
いつの間にか衣服がしっとりとしていた
だけど、帰ろうという気は起きなかった
久しぶりの雨は柔らかく、心地よかったから
先程まで萎れていた畑も
みずみずしさを取り戻していて
それはとても美しい光景だった
恵みの雨は全てを優しく満たしていく
柔らかい雨
前は雨が強くて外の世界に出られなかったのに最近は雨が弱くなってきて柔らかい雨が降るようになったんだ
きっと外の世界に1つでも好きになれるものに出会えたから雨も柔らかくなったのかも
小学生の僕と幼馴染の女の子。
秋の雨空それそれふれふれ。
公園の砂を長靴で削りダムを作って遊ぶ。
青い傘とピンクの傘。
あの淡い記憶を持って俺はオッサンになった。
アレは柔らかい雨だったのかもしれない。
懐かしい記憶。初々しい記憶。
ハッと思う。少女の顔を思い出そうとすると。
アレは妹だったのかもしれないと。
おっさんは青ざめた。
雨が降ったら涙に気づかれない。
なんで泣いているのかわからない。
泣いている理由を説明できないから涙を見せたくない。
雨なんて嫌い
そう思っていた
だけどこの雨は違う
まるで彼が励ましてくれているみたいに
この雨は私を優しく包み込んでくれる
柔らかくて暖かい雨
彼が飴をくれているようだ
私の喪服は飴の雨に濡れ
手に持っている花は雨で柔らかくなっていく
私の心は段々と和らいでいき
一歩 また一歩と 私の道を歩いていく
彼が居ないこの道を 新しい覚悟と共に
お題『柔らかい雨』
「今日も雨か…」
「兄貴、今日は何の雨?」
「今日はな、"柔らかい雨"だ。」
小学生の弟は、柔らかい雨と聞きぱあっと明るい顔になる。
「おっしゃ!よーし家にあるバケツ、全部外に出そ。」
「全く、そんなん貯めてどーすんだよ。」
呑気なものだ。全く…普通の雨が良かった。
「慈雨とか、涙雨とかだったらまだマシだったのにな。」
俺は傘を持ち、外に出る。
「こんなん傘でどうしろって言うんだ。」
家の外では、数え切れないほどのマシュマロが降り注いでいた。
暗い部屋で布団に籠って一日を終えればいい気がしていた。
そんな何も考えたくない日だった。
1階の電話が鳴った。今日は父も母もいない。別に出る必要は無いだろう。どうせ保険の営業だろうし。
しばらく無視していると、電話は鳴り止んで……。また鳴った。
……仕方ない。
布団を身にまといながら、俺は受話器を手にとった。
「もしもし、雨後(あめあと)です。坂月(さかつき)さんのご自宅で間違いありませんか? 」
電話の主はクラスメイトの雨後だった。
「雨後か」
「坂月さんでしたか! 」
「あぁ」
同じ部活に所属しているが、昨日の一件は知らないだろう。
「寝起きですか?」
「いや」
「そうでしたか……。いつもと調子が違う気がして。……疲れてるみたいですけど、大丈夫ですか?」
「あぁ」
「……そうですか」
雨後の声には重たい息が混じっていた。
「それでですね、えっと、その。……ダメですね。緊張してしまって」
雨後が緊張するとは珍しい。普段は好奇心の赴くままに俺を振り回すのだが。
「なんだ。とりあえず言ってみろ」
「あ、はい。……その、コーヒーを飲んでみたいと思ってまして……」
「そうか」
「そのなんですけど……」
雨後はいつもと打って変わって、申し訳なさそうに世間話を始めた。ならしなきゃいいだろ。と思わなくもない。
適当に相槌を打ちながら、俺は窓から空を見た。
空は暗く、重たい。いつ晴れるか知れない雲に覆われている。どうしようもない閉塞感が空をいっぱいにしていた。
受話器から雷の音が聞こえた。
「きゃっっっ」
雨後の悲鳴が聞こえた。
「大丈夫か」
「えっ? 」
「大丈夫か、って聞いたんだ」
「えっ、あっ、そ、その……。はい……」
雨後は黙り込んでしまった。
雷に当たった、ということは無いだろうが。
雨後の家の方を見る。雷が落ちたからか分からないが、青空が雲間から見えていた。
「雨後」
「は、はい。なんでしょう」
「で、今日は何してたんだっけ? 」
「そ、そうですね。……えっと、そうだ。グッピーに餌をあげました! 」
「グッピー?」
「はい。グッピーです」
……。
「いま笑いました?」
「あぁ。間抜けな響きだなって」
「グッピーが、ですか」
「あぁ」
「酷いですよ! 」
「そんな名前をつけたやつに言ってやれ」
受話器から雨後の抗議の声が聞こえた。適当に受け流して、時計を見る。長針は12時を指している。
「雨後」
「何ですか?」
「今から空いてるか」
「空いてますよ」
「コーヒー飲まないか」
「えっ……! いいんですか!」
雨後は大きな声で言った。
駅前でコーヒー飲むだけなのに、そんなに喜ぶのか。全く。
「駅前13時な」
「はい! ……その、ありがとうございます! 」
いい、いい。と呟いて俺は受話器を置く。
雨後のお礼は長い。聞いているとそれはもうこちらが申し訳なくなりそうな程に。
それに、この格好のままでは駅前などいけない。
布団をリビングに投げ捨てる。パジャマのまま会う訳にはいかない。寝癖もついたままだ。どれもこれも直して、外行の服に着替えた。
ポケットに適当な文庫本と財布を詰める。携帯を持たないいつものスタイル。
よし、行くか。
俺は玄関を開けた。
いくらか雨は降っているものの、雲間から青空が覗いている。通り雨だったのかもしれない。この調子なら、駅前に着く頃にはすっかり晴れているだろう。
傘はまぁ……、いいか。
荷物は好きじゃない。まして用の無くなりそうな傘なんて、尚更。
家の軒先から垂れ落ちる水の音がよく聞こえる雨の中、俺は駅に向かった。
「なんでアナタはそんなに優しくしてくれるんですか?」
素朴な疑問を控えめに聞くと、貴方は
嬉しそうだった顔を歪ませる。
そんな顔をさせたかった訳じゃないのに…。
「泣かっ…ないで…?」
あぁ、なんで言葉が詰まるんだろう。
拙い言葉でも伝わったのか彼はゆっくり止めを瞬かせた。
そして、今度は悲痛を訴えるものでは無いとわかる柔らかい雨をそっと流した。
目を閉じて
今この瞬間に耳を澄ます
窓の外
優しい雨音が聞こえる
雨は冷たくて
さみしいイメージだった
でもそれは
ただの思い込みだったみたい
今日の雨はやさしい
窓を開け手を差し出す
手のひらに落ちる雨は
あたたかく柔らかい
#柔らかい雨
#22
柔らかい雨╱11月6日 月曜日
私は晴れよりも雨が好きだ。
雨は、何もかも流してくれるから。
私の涙も見えなくしてくれるから。
ある時、私が泣いていると、雨が降ってきた。
その時、私の涙を隠してくれた雨が柔らかくて、心地よく感じた。
その日から、悲しくて泣きそうな時、雨が降って欲しい。と考えるようになってしまった。
もし、今後私が何かに打ちのめされてボロボロになってしまった時、雨が降って欲しい。
その雨で、私もどこかへ流し去ってほしい。
それが私にとっての救いで、柔らかい雨だから。
柔らかい雨
悲しみに包まれたこの世界で
たった一人で過ごす日々
何もない場所で、ただ朽ちていく世界を見つめる。
冷たい空気が頬を抜け、奈落に落とされるような感覚に襲われる。でも、少しあなたの優しさに近づけた気がしたんだ。
少し前まで孤独を感じされる雨が
柔らかい雨に変わっている気がする。
どれだけ奈落に落とされた心も、あなたの優しさに
触れるだけで、こんなにもあたたかくなるのか。
柔らかい雨が、世界の終わりを告げた。
もう何もかもが嫌になってしまった。
優しい気持ちでいれば、優しい気持ちになってくれる。
そんな世界なんて無かった。
途中で降り出した雨。
傘を差す気力も無い。
雨だけが私を優しく包み込んでくれた。
(柔らかい雨)
日焼けしそうなくらい晴れてる方が好き
心は弾むし 洗濯物も乾く
でも たまには雨もいいよね?!
寄り添ってくれているような ”柔らかい雨”
なんにもできない1日でも 罪悪感がない
〚柔らかい雨〛
辛い時、雨は心にまで刺さってくるように鋭い
でも君の傘が雨を、私の心を、柔らかくしてくれた
柔らかい雨
孤独を1人で感じていた時
いつも通りの雨なのに
その日だけ何故か
雨の音でとても暖かい気持ちになれた
何故だろう
雨が降った。泣きながら、柔らかい、優しい雨に当たった。天を見上げ、私は崩れ落ちた。そして、泣き叫んだ。
アイツらが、憎い。なんで、自分から逝ってしまったの・・・話なら、なんでも聞いてあげるって、言ったのに・・・私も、今、そっちに、逝くから・・・
【制作者の独り言】
アイツらに何されてたんでしょうねぇ・・・
意味もなく立ち寄った店で流れていた音楽に心を撫でられて、今日まで生きている。
冷えた風が湿る
ただ外に遊びに出るだけの予定だった
友達と公園に行って
一緒に遊んで
暗くなる前に帰る
季節のせいで早く落ちる日に拗ねて
少しだけなら大丈夫だと友達と笑って
それが悪い事なのは分かってたけど
でも変質者に襲われる程の事じゃない
そうでしょ?
物心ついた頃から可愛い可愛いと褒められた
自分でもそう思える程に自惚れた
だから襲われた
無理やり服を裂かれて口を抑えられて
汚いモノを見せつけられて
殺されてしまうと思った
『レディの扱いがなってないわね』
街灯も遮る路地裏に舞う蝶
指通りの良さそうな濡羽色の髪は艶を帯びながら風を受ける
透き通るような白い柔肌に黒いマニキュア
潤いのある唇には薔薇のような紅
『女は襲うんじゃなくて堕とすのよ、覚えておきなさい坊や』
女でありながら
子供でありながら
彼女の妖艶さに当てられて頬を染めてしまう
彼女と自分以外に誰かが居る事も忘れてしまう
それ程に彼女の生奪の動きが美しかった
『そんなに見つめても何も出ないわよ?』
先程まで助けを求めて泣き叫んでいた自分の頬をソッと撫でられる
ワインレッドの瞳に映る自分は醜かった
涙に鼻水と液体まみれ…彼女とは月とすっぽん
『お嬢ちゃん、貴女はとても聡明な子だと思ってるわ』
恐怖とは全く違う胸の高鳴りが煩い
それなのに彼女の艶のある声は全て聞き取れる
唇の動きも舌の動きも口角の動きも
一つ一つを目に焼き付けるように見てしまう
『だから此処で起きた事は忘れられる、そうでしょう?』
彼女の問い掛けに魂が抜かれるように“はい”と答える
彼女のクスリと微笑む姿も麗しい
“良い子ね”と言葉を最後に置いて彼女は自分に背中を向けた
彼女の姿が見えなくなるのを待つようにパラパラと空が泣く
もしかしたら全て夢だったのかもしれないと思う程の美しさだった
でも自分のお気に入りの服は破かれたままだ
抑えられていた口元はヒリヒリするし
溢れていた涙で頬はキシキシとした違和感を産む
襲われていた事も薄まる程に彼女が美しかった
それだけで全て夢だったのではと考えるなんておかしいのかもしれない
でもそれくらいの美しさが彼女にあったのだ
彼女にもう一度会えるなら恐怖をも受け入れたいと思える
所謂一目惚れに近いものなのだろうか
お題:柔らかい雨
作者:M氏
出演:オンディーヌ
【あとがき】
お題あんま使わなかったけども書きました
柔らかな雨って暖かそうですよね
寒そうなのに暖かそうと言う不思議なイメージです
なのでとある子の複雑な感じのなんかよく分からない何かを書きました
すみません、M氏今凄く眠いんです
脳死で書いてます
もしかしたら書き直します