『未来』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【未来】
久々に大きな仕事を終えた僕はその足でとある雑居ビルの屋上に向かった。
ここには、ここの町には誰も住んでない。
色々あって今ではゴーストタウン化した「忘れられた町」の1つ。
人が居ないから静かで落ち着く、僕のちょっとしたお気に入りスポットだ。
屋上の縁に座り、足をブラブラさせながら途中のコンビニで買った缶コーヒーを飲む。
コレがまた最高なんだ。
夜風は気持ち良いし、何よりここから見える星空がめちゃくちゃ綺麗で癒される。
…1時間くらい経っただろうか。
空になった缶コーヒーを遠くへ投げると僕はゆっくり立ち上がり、ロケットペンダントを開いた。
中には向日葵を抱えて笑っている1人の女性の姿。
…僕がこの世で唯一愛した人だ。
「今…会いに行くからね」
今日は特別な日。
この「忘れられた町」で生まれ育った幼馴染の命日。
僕は忘れない。
彼女と過ごした日々を。この町が「忘れられた町」になってしまったあの災害を。
ロケットペンダントをギュッと強く握り締めて一歩踏み出す。
過去に囚われて進まなくなった僕の時計の歯車がやっと動き出した。
…未来へ、進んだのだ。
想像の彼方
存在するかも分からない時のため
人はただつみ木を積む
『未来』
【未来】
俺たちに未来なんてない。どん詰まりだ。
目の前のロックバンドが、そんな歌をがなりたてている。
「期待外れだったわね」
ライラはつぶやき、手元のアルコールドリンクを一気に飲み干した。身を翻して、場末のクラブを出る。細い階段から地上に出ると、ほてった頬が、夜の風で急速に冷やされる。
地下からはまだ轟音が響いている。ボーカルがひたすら同じフレーズを叫び続けている。まるで血を吐くように。
珍しく生身の人間の歌声が聴けるクラブだというから来てみたけれど、ただありきたりの未来を歌うだけで、ライラにとってはつまらないものだった。ついでに、演奏も歌も下手くそで、ただうるさいだけだった。ライラのほうが上手に歌える。
そんな拙いバンドでも、クラブはおおいに盛り上がっている。みんな騒音に酔って、今を忘れたいのだ。ライラだって、できればそうしたかった。
音にも酒にも酔えず、ライラはまっとうな足取りで深夜の街を歩き出す。さて、次はどこへ行こう。ライラに家はない。街灯の消えた暗い道だけが、ライラの前に続いている。
音楽界に初音ミクなる歌姫が颯爽とあらわれたとき、照月ライラの親はまだ小学生だった。彼は初音ミクの技術に未来を感じたという。人の声から取り出した音素を繋いで歌声を合成し、人間が歌えない歌すら歌えるようになった、未来の歌姫。だが、そんな“未来”も、とうに時間に追い越されてしまった。今は誰だって、初音ミクの力を借りずとも、好きな音声で歌を歌える。生成AIが急速に発達したおかげで、あらゆるクリエイティブは、人間の身体を必要としなくなった。
最初はおぼつかない絵ばかり描いていたAIも、量子コンピュータという後ろ盾を得て、いまや絵どころか未来をも描くようになった。知ったかぶりの嘘ばかり返していたAIチャットプログラムは、いまや真実のみを正確に解答するようになった。
そうしてAIが正確無比に描き出した人類の未来、それは約束された滅亡に向かって着々と歩むだけのものだった。枯渇する資源、変わりゆく気候、地殻変動と火山噴火による大災害、膨張を続ける太陽からの熱害。ありとあらゆる事象が、人類を無慈悲な滅びへと導いていた。
人類はどん詰まりの未来に絶望した。〈絶望の世代〉――今を生きる若者たちは、そう呼称されている。未来に希望を見出せなくなった若者たちは、自暴自棄になって、生産的な職を放棄した。だが、そうした風潮は、絶望を若者たちに押し付けた上の世代にこそ、蔓延っていた。人類は老いも若きも未来に夢見ることをやめ、現在の楽しみだけを求める刹那主義に走った。
もう〈絶望の世代〉の下に新たな子供たちが生まれることもないだろう。人類はほかのどんな要因でもなく、自らの足で滅亡へと突き進んでいる。ただ絶望という感情があるせいで。
ふいにライラは足を止めた。どこかの酒場から、歌声が漏れている。初音ミクの歌だ。機械らしい細い音声が、夜道を照らすような明るい歌を歌っている。
生誕から百年以上の時を経ても、この歌姫を愛好する者は少なからずいた。ときおり機械らしさが混ざる歌声にレトロ感があっていいのだそうだ。ライラはノイズ混じりの歌声に耳を澄ませた。知っている歌だ。初音ミクが生まれたてのころの、未来を歌う歌。こんなに懐かしい歌が、歌姫が、まだ愛されている。ああ、未来はここにある。終わってなんかいない。
初音ミクの歌声に合わせて、ライラも口ずさむ。ライラは一度聞いたことがある歌なら、正確に再現できる。そういう機能を持っている。初音ミクとは違って、身体を持つ歌姫として創られた、受注生産型のアンドロイド。初音ミクに憧れた技術者から生まれた、“さらに未来の歌姫”だった。当時のアンドロイド技術のすべてが注ぎ込まれ、ほぼ人間と同じ思考回路を持ち、人間と同じ反応を返すところが売りだった。だが、ライラのタイプで生産は終了してしまった。現存する同じ“照月ライラ”たちも、ほとんど廃棄されたと、ネットワークの情報で知っている。自分もそろそろ機能停止が近いことを知っている。以前の持ち主はとうにライラの所有権を放棄している。いくらかのお金と一緒に、「自由になりなさい」そう言って送り出してくれたけど、彼女は自分の手でライラを廃棄処分したくなかっただけだ。どこか目に入らない場所でのたれ死んでくれ、と言われているも同然だった。
足を止めたライラは、さらに声を張り上げて歌った。
横の酒場の扉が開く。初音ミクの歌声が大きくなる。
「おい、あれ、ライラじゃね?」
「五十年ぐらい前の人形じゃん。まだ残ってたのかよ」
「もうボロボロだな」
「歌声も掠れててひでぇな」
人間たちがわらわらと顔を出す。それを横目で見ながら、ライラは初音ミクの歌を歌い続けた。この歌だけで、アルコールドリンクの燃料は尽きようとしていた。だから、歌い切れば、それでおしまい。
ライラには絶望という感情はプログラムされていない。産みの親がそうしなかったから。だからライラは己の終焉を前にしても絶望しない。代わりに、期待という感情はプログラムされている。ライラの瞳を輝かせるために。
ライラは虚空の闇に瞳を輝かせて、未来への期待を歌う。ありもしない未来のために。そんな機械を創ったのは人間だ。初音ミクを創ったのが人間だったように。だから人間は、結局なにがあっても、未来に絶望しきることはできないのだろう。人類がみんなしてやさぐれているのは、本当はもっと生きたいからだ。でも、そんなこと、機械のライラの知ったことではない。ライラにとっての未来は、今、ここにあるのだから。
未来へと希望を繋げる最後のフレーズを歌い切って、ライラは満足げに目を閉じた。そして、二度と動くことはなかった。
------------------------
私が一生推すと決めている女の子の1人が、初音ミクさんです。私にとっては、ミクさんは永遠に未来の象徴です。
「なあ、俺たちって将来、どうなってると思う?」
教室の席で進路希望を記入するプリントを前に唸っている私に、隣の席の彼は声を掛けてきた。入学してから3年間同じクラスで、そこそこ仲のいいやつではある。しかし進路に悩みすぎてプリントを提出し損ねた私に、なんて質問をするんだ、と恨めしげに視線を向けた。
「ねえ、今、私が何やってるか分かる?」
「進路希望を書いてるな。真っ白だけど」
「そう! 真っ白だよ、真っ白! それなのに将来どうなってるかなんて分かんないじゃん!」
「そんな怒んなって、焦ってるのは分かったから。なんかやりたい事とかないの?」
「やりたいこと〜、って言われてもさぁ」
やりたいこと、で考えると将来なりたいものはたくさん思い浮かぶ。漫画家、小説家、ピアニスト、作曲家、学校の先生もいいかな、後はその他諸々。しかしどれを取っても、その職業で生活ができるのか? という壁が乗り越えられない。仕事には安定した収入が付き物。悲しいかな、私のような安定志向の持ち主は、将来の選択肢がぐっと狭まるのだ。そうして、候補として生き残った選択肢の中に、私の「やりたいこと」はない。
「ないよ、やりたい事なんて。てか働きたくない」
「あ〜、お前らしいな。……あ、働きたくないなら進路希望は『お嫁さん』でどうよ?」
「いやいやいやいや……」
悪戯が成功したとばかりにニヤついている彼に、若干呆れる。子供じゃないんだから、さすがにそれはないわ。それに今時、お嫁さんになったところで結局は働かないと収入厳しいでしょうが。いや、それより何より。
「ていうか、お嫁さんになるにしても、相手誰よ? 今まで彼氏とかいた事ないのに」
今後パートナーができるなんて、我ながら自信がないんだけど。と非難の目をやつに向けると、途端に真剣な表情になる。
「う〜ん、俺?」
「いやいやいやいや……冗談やめてよ」
そんなそぶりなかったじゃん。と若干本気で否定してしまった。焦った私を見た彼は、「あ〜、速攻でバレちった」と苦笑いしていた。変な話題になんとなく気恥ずかしくなって、無理矢理に話題を変えた。
「そういえば、あんたは進路希望に何書いたの?」
「俺、ミュージシャン! バンドやってみたら意外にハマっちゃってさぁ」
「はー?? 何でそんなの軽々しく書いてんの! 意味分かんないっ!」
私はぐだぐだと悩んでいるってのに!
*
「ってことをさあ、高校生の時に今の旦那と話してたわけ。まさか本当に超人気バンドのギターボーカルになるなんてね」
「ちょっと先生、締め切り近いのにネーム真っ白だからって、現実逃避しないでくださいよ! ほらペン持って、手動かして、手!」
「はいはーい」
『未来』
なんて、誰にも分からないんだよ
「未来」 2024.06.18
未来のことを考えて不安になることがよくある。
何度も考えて、何度も自分を責める。
嫌な言葉や想像に傷つきひとしきり泣くと次の日はスッキリとしているが、次も同じように不安で押しつぶされそうになることを考えるとまた泣きそうになる。
毎日泣くのも疲れるので、あまり考えずに毎日現実逃避をしつつ過ごしている。現実逃避の手段の1つに、「料理を作って食べる」がある。
いつの日か忘れたが、大量のチキンライスを作り、しばらくは朝・晩とオムライスを食べていたことがあった。
その時疲れていて、大盛りオムライスが無性に食べたくなったことは覚えている。オムライスにかけていたのは全てケチャップ。食べていて途中で飽きそうになったので、オムライス作りのバリエーションを増やすためにもソース作りも練習した方がいいかもしれない。
未来のお話としては小さすぎるかもしれないけど、こういうのでもいいかと思ってくれる誰かがいたら嬉しい。
「将来の夢」という作文を、小学生の時に書いた。
6年生だったと思う。
ただ自分の好きなことを仕事にしたい気持ちが強くて、私は、「声優」なんて言っていた。
演技は好きだ。少し恥ずかしいけど。
でも、色々調べていくうちに、多分無理なんだろうなって思い始めた。
そう簡単になれるものではない。お金もかかる。人気になる保証だって、誰もしてはくれない。
だから、諦めたのだ。2年くらいの、短い夢だった。
まぁ、「その程度で諦められる」云々みたいな話をしたい訳じゃないので、この辺はいいだろう。
今は、今の夢は、小説家である。
私は、小説が大好きなのだ。
一冊の本の中に展開されていく物語、独特な世界。
ただ読み進めているだけなのに、どんどんと引き込まれていく感じ。
そんな世界を創り出せる人達は、皆尊敬に値すると思っている。
勿論、大好きな気持ちだけではやっていけない。そんなこと、6年生で学んだ。
だから私は、勉強した。沢山の言葉を覚えて、沢山の表現方法を覚えて。
沢山本も読んだ。小説は勿論、マンガに伝記、昔話や、挙句の果てには辞書とか…(笑)
まぁ多分、辞書にまで手を出した時は末期だった。
それに、沢山書いてみた。
新しく学んだ表現技法を使って、単語を用いて。
楽しかった。凄く凄く楽しかった。
自分の中にある世界を、こうして書き出すことに、楽しさを覚えていた。
でも、私はきっと、小説家にはなれないんだと思う。
声優同様、人気になる保証なんて無いし、それで食べていける程、私には才能が無いのだ。
しょうがないことではある。
数年後の私は、一体なにをしているのだろう。
未来なんて、誰にも分からないようで、案外見えるものなのかもしれない…と、悟ったこと言ったら、また変なやつと思われるので、割愛割愛。
御静読、ありがとうございました。
こんな自分語りで良ければ、またいつか。
「未来なんてわからないけど、永遠なんてどこにもないけど、私は貴方に愛を誓うの」
…叶うなら、死が2人を分つまで。
「未来」
過去に戻れるか、未来に行けるか、
私だったら未来に行きたい。
結婚してるか気になるし、
どんな仕事に就いてるか知りたいから。
未来の自分はどんな性格なのだろうか?
#19
【未来】
明日のこと、明後日のこと、なんなら五分先のこと。
何を考えても、不安と恐怖しかなくて、きらきらした『明るい未来』なんて信じてない。
目を閉じて、開くことがないように。
『未来』
ほんの少しだけ未来が見えることがある、と昼休みに友人に打ち明けた。購買で買ったサンドイッチの包装と格闘しながら友人が尋ねてくる。
「見えるときもあるし、見えないときもあるってこと?」
「そう」
「へぇ~」
コンビニで買った5個入り薄皮あんぱんの包装を破っているさなかに突然に訪れた見えるときの前触れ。気づいて意識をやると、友人の持つサンドイッチの具がこぼれる場面が見えた。はっと意識を戻してとっさに手を伸ばすと地面に落ちるはずだったハムやゆでたまごが手のひらに乗ったが、自分の持っていたあんぱんがひとつ地面に転がってしまった。
「あぁ……」
「あー」
未来が見えたことで手に乗ったハムとゆでたまごを差し出すと、友人は悩んだ末につまんで食べた。
「その能力、磨いてもっと役に立てられるといいね」
拭いた手のひらの上に慰めのように友人のカバンから探り出されたキャンディがひとつ置かれる。
「ありがと。……がんばる」
打ち明ける前と変わらない接し方の友人に信頼感を覚えながら、奇しくも4個になってしまったあんぱんに手を伸ばした。
未来は、時に不安で閉塞感があるとしても無限だ。
現在は、私の知覚しうるもの全てで
過去は、私の覚えてるもの、学習しうるものだけになる。
私は未来と現在を使って
文章という誰かが書いた過去を読むけど
読み終わった私に残っているのは、きっとその誰かとは違う。
今夜作る予定の酢豚は
レシピを覚えた私の過去からできる未来で
それを食べるだろうあなた達の過去に残り得るのかしら。
私が覚えている過去のあなたと
あなたが覚えている過去のあなたとは違うから
未来のあなたが味わえる時が嬉しいんだよ。
あなたが覚えている過去の私は
私が覚えている過去の私とは違うから
未来のあなたに残る私が少しでも良いものであれば良いと
祈りながら微笑むんだ。
___________
漏斗から 振り返りたいものだけを 漉したいと
願って両手 受け止める未来
___________
(どんな肩書きやスキルの人間かの未来ではなくて
どんな親切な行動ができて、どんな言葉をかけられる人間か
の未来なら、何者でもない私でも心がけられるのかな。)
___________
未来は基本考えると不安になっちゃう人間ですが
宝くじが当たった未来の皮算用してる時間は、割と好きです。
このところの天候か気圧か、のせいか
それとも単なるヤル気のなさなのか
とにもかくにも
無気力状態が長らく続いてしまっている……
日常の最低ラインはこなしているけれど
本当にギリギリのライン
それすらサボることができるのならと
常々思ってしまっている現状
あとでやればいいや
後回しにしよう
の、細々雑事タスクが
山のように積み上がっている
そろそろ少しずつ片付けないとマズイ
のは、わかっているけれど
今日も雨で
またもやおサボり
多分週末には大焦りで
どうしてこんなにサボったんだと
自分をなじっているのだろうなぁ
そんな未来が見えるのに
やっぱり今は動けない
挽回できるギリギリの線を知っているから
ついついサボってしまうのだろなー
良くない連鎖だ反省しよう
明日から
未来(運命は握られている)
今時珍しい、薄暗い路上の一角で。
その占い師は傍目にもすぐにそれとわかる身なりで、水晶を台の真ん中に怪しい存在感を示していた。
「お嬢さん、占いはいかが?」
年齢不詳の声で呼び止められる。
………占いなんて一切興味がない。
どうせ高額な料金を要求されるか、怪しいブレスレットを買わされるか。
そう思っていると、彼女はお代はいらないし何も売りつけないと豪語した。
「それじゃあ売り上げにならないし、そもそもこんなことしている意味がないんじゃ?」
「趣味みたいなものなので」
………まあ納得する。
「何を占います?」
「そうねえ、仕事は順調でお金回りも悪くないし? 恋はしてないし」
「では恋愛運ですね」
「何でよ」
不満げに咎めるものの、彼女は臆することなくわたしの手を取った。
「いい手相をしていらっしゃる」
「あら嬉しい。じゃあ順風満帆ね?」
「明日運命の人に出会いますよ、あなた」
運命のひと! やだイケメンかしら、お金持ちかしら。
「よくよく目を凝らすことです。手元に注視して」
「手元? 何か目印になるような物が? わたしにプレゼントでも?」
所詮は占いといえど、そんなことを言われては何だか嬉しくなる。明日への期待に弾んでしまいそう。
「………光る物。途轍もなく大きな出来事。人生で一度しかない、なかなかに衝撃的な光景が視えます」
ええー何かしら!? 突然の告白?
まさか前々からわたしを見初めていて、その場でプロポーズ!?
「明日は気を引き締めて過ごすことです」
占い師の言葉を受け妄想に耽っていた彼女には、最後の一言は聞き届いていないようだった。
翌日、彼女は占い師と会ったことなど脳裏の片隅にも残っていなかった。
―――大きなビルの正面の受け付けにいつものように座り、にこやかにお客様を出迎える。
そこに挙動不審な男が一人。
男の手には、―――。
―――さあ彼女は思い出せるだろうか。
人生に二度とない、なかなかに衝撃的な出来事はすぐそこまで迫っている。
END.
「未来」
ボクが見ている未来。
彼女が見るはずではなかった未来。
キミと一緒に見たかった未来。
ねぇ、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎。ボクの大事なきょうだい。
キミはどこに行ったの?
誰かに盗み出されたの?
自分の力であの場所を出て、どこかに隠れているの?
それとも───自分で自分を、消してしまったの?
まさか、まさかキミがそんなことをするはずないよね?
旧型の彼女が脱出してしまったことからも分かる通り、アーカイブ管理室のシステム内に問題があるんだろう。
だから、きっとキミも、何事もなく。
苦しまずに眠りについているはず。
そうだよね?
……あんなことがなければ、ボク達は一緒に仕事ができたのに。
キミがこんな狭い部屋に閉じ込められる必要もなかったのに。
あの時もっと力があれば、キミを救えたかもしれないのに。
後悔なんてしたところで、何にも意味をなさない。
だが、それが分かっていても。
キミと一緒にいる今を、未来を思わずにはいられないんだ。
キミはどこにいたっていい。ボクが必ず見つけるから。
キミは何もかも忘れたっていい。ボクが全部教えるから。
……ボクのことさえ、忘れたっていいよ。
だからせめて、せめて無事でいてほしいな。
……これがボクの、たった一つの願いだよ。
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎、また会おうね。
_未来_
余命三ヶ月と宣告された。自分でもまだその事が理解できなかった。俺にはまだやらなきゃいけない事がある。まだ彼女と結婚してまもない。彼女を本当に幸せにしてあげられない。
いやだ、まだ死ねない…彼女を置いていけない…。
家族にはこの事を伝えたが、彼女にはどうしても言えなかった。言わなきゃいけないのに、彼女とは、普通の暮らしをしていきたい。そう思ってしまった。
勿論家族には反対された。帰ってきなさい、と。
それでも俺は残り少ない人生のうちで、家族に感謝を告げ、彼女を選んだ。
「最近、ボーっとしてるね。なにかあったの?」
「あ、いや…何でもないですよ。」
彼女に心配されると、余計心が重くなる。こんなに優しい彼女と、もういられなくなると思うと、自然と涙が出てきた。
「えっ…⁈ちょっ…だ、大丈夫なの、?なにか嫌なことでもあったの?」
俺の顔を見ては焦りまくる彼女。なにやってんだ、俺は。
余計心配かけてどうするんだ…。
「…ふふ、すみません。貴方がどうしても優しく、つい感情が表に出てしまいました…。」
「そ、そんなことは…疲れてるのかな…。今日はもう寝よっか。」
彼女がそういうと、俺と一緒に寝室に行き、2人で一緒に寝る準備をした。
あぁ、こんな時間も明日にはもうなくなっているのかもしれない、絶対にいやだ…。
…そんなこと考えたってどうしようもない。俺が言わないって決めたんだろ。泣いてたってどうしようもないはずだ。
「…貴方は俺と一緒に過ごした時間。幸せでしたか、?」
「えっ?」
唐突に質問したので、一瞬戸惑ってからすぐに答えてくれた。
「当たり前だよ。貴方と一緒にいられたから、私は優しくなれた、貴方が居るからこそ、今すっごく幸せだよ。」
そういう彼女は飛び切りの笑顔を俺に向けた。
「良かった…。俺も今凄く幸せです。愛してます。」
「ふふ、急にどうしたのよ〜。やっぱり疲れてるのかなぁ、早く寝よっか!」
「そうしましょう、おやすみなさい。」
「うん、おやすみ。
」
この時間が、今一番大切な時間だ。俺は彼女と2人でベットに横になり、深い眠りについた。
未来
未来が分かるならば同じ過ちや同じ亊を
繰り返す亊のないように
未来を見据え希望を持って
生きて行けるように☆。.:*・゜
未来
全然想像つかない
子供の頃は車が空を飛んだり
高いビルがたくさんあるイメージだった
大人になると未来が近いって思ったけど
実際はそうでもないよなぁって気づいたり…
今は未来なんて想像つかない
「未来」
耐え難い陣痛。いつまで頑張ればと聞かれるけど。
予言できるものならしてあげたい。あと何回、と。
「4月19日が『もしも未来を見れるなら』だった」
あの時は結局何も思いつかなくて、ほぼお手上げ状態だったわ。某所在住物書きは己の過去投稿分をたどり、当時の失態を思い出してため息を吐いた。
「未来『は明るい』、未来『を変えてはいけない』、未来『に行くタイムマシンは理論上存在し得る』、未来『が分かってりゃ誰も苦労しない』。
ケツじゃなく、アタマに言葉を足すなら、『10年後の』未来とか、『人の絶えた』未来とか、そういうハナシも書けるだろうな」
まぁ、ネタは浮かべどハナシにならぬ、ってのは毎度のことだが。物書きはうなだれて、再度ため息を……
――――――
未だ来ない、未だ来週・来月・来年ではない、「『未年』の誰かが来る」はさすがに難しい。
なかなか、おはなしのネタの掴みどころの無いのが「未来」なような気がします。今回は特に捻らず、こんなおはなしをご用意しました。
最近最近、最高気温30℃とかトチ狂った気温を叩き出した日の都内某所の昼下がり。
人に化ける妙技を持つ、化け狐の末裔が住む稲荷神社で、今年も水色や薄紫がこんもり見頃。
雨の花、大きな大きな大アジサイです。神社に住む子狐は、「お星さまの木」と呼びます。
大きめな葉っぱの上で、花は多くが上を向き、満開になれば、ふっくらこんもり花が寄り合います。それはまるで、お空の星粒が地上にやってきたようです。
偉大な御狐、善き化け狐として、お餅を作って売って絶賛修行中の子狐は、お星様そっくりな花の咲く低木を、「お星さまの木」と呼ぶのです。
狐の神社は森の中。いろんな星の花が咲きます。
キラキラ黄色いフクジュソウ、パッと白いヒメウツギ。それから、青と紫の「お星さま」。
コンコン子狐、餅売りの修行に少し飽きたら、たまに、大好きなお星様のところへ行くのです。
時折完璧な星の形をした水晶のキノコが、お星様を見に来た子狐に、
「あなた近い未来、たぶん明日、今日の夜ふかしのせいでお寝坊するから、ちゃんと早く寝て目覚ましかけておくのよ」と、「私を信じなきゃあなた未来で大変なことになるわよ」と、
未来予知が得意分野の御狐に、本当か嘘か知らない未来を、胡散臭い声で授けてきたりしますが、
そういう変な連中は大抵、都内で漢方医として労働し納税する父狐に見つかって、周囲の土ごと掘り起こされ、『世界線管理局 植物・菌類担当行き』と書かれた黒穴に、ドンドと放り込まれていました。
多分気にしちゃいけません。きっと別の世界のおはなしです。「ここ」ではないどこかのおはなしです。
「お星さまの木の中は、涼しいなぁ」
コンコン子狐は枝と枝の間にスルリスルリ。水色のお星様を咲かせる木の中へ、入っていきます。
そこは子狐のお気に入り。枝の伸び具合と葉のつき具合で、中に子狐1匹分の「秘密基地」があるのです。
去年も似た場所に、小さな基地ができました。
今年もこの場所に、小さな基地ができました。
きっと来年も再来年も、その先も、子狐が大人狐になる未来まで、星空の秘密基地は、ずっとそこに、在り続けるのでしょう。
「お星さま、お星さま。良い夢分けてくださいな」
お星さまの木の中で、ガンガン熱気をさえぎる星空の下で、コンコン子狐は丸くなって、ふかふか尻尾を極上の枕に、お昼寝をすることにしました。
「お星さま、星の日傘、さしてくださいな」
最高気温30℃、朝から真夏日の都内でも、森の中のアジサイの、葉っぱの下に入れば快適です。
コンコン子狐はそのまま目を閉じ、スピスピ、幸福に寝息をたて始めました……
未来は輝く夢への架け橋
未知の航路を進み希望の光に導かれる
限りない可能性が広がる、未来への想いを胸に
進め未来へ、希望の空へ