『木枯らし』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
祖父が死んだ。
つい三日前の事だ。
最期は「腹が減った」なんて事を話していたらしい。祖父はどこまで行っても祖父なのだ。葬式を済ませ祖父の遺体を火葬する。祖父のことを何やかんや愛していた祖母だったが、認知症が少し入っていた所為かすんなりと火葬のボタンを押していた。合唱、礼拝。その繰り返し。祖父が完全に骨と灰になったのは凡そ二時間後の事だった。
「納骨の御時間となりましたので会場までお願いいたします。」
淡々と告げられたあられもない姿の祖父との対面は、なんとなく、呆気無くて。誰も実感が無いような、そんな感じだった。納骨室まで歩く。焼けたばかりなのか空気そのものが熱い。そして、形容し難いにおい。鼻腔をじくじくと蝕むようなそのにおいは私の頭をあっという間に痛くさせた。太い箸で骨を取る。医療系の専門学校へと通う従姉妹が
「これ大腿骨っちば!」
なんて話していた。先程までは可愛らしい顔が台無しになる程涙を溢れさせていたというのに。納骨室、あまりのにおいに耐え切れず一言ことわってから室外へと出る。線香の匂い、赤ん坊の匂い。母親の乳しか飲めない赤子を連れていた従姉妹の一人が何やら冷たい視線を向けられていたな。かく言う従姉妹はガンを飛ばしてやったなんて軽快に笑っていた。田舎の人間は強い、つくづくそう思う。車で祖母の家へと帰る。うねる坂道と頭痛のダブルコンボを食らっていた私は勿論酔い、家に着いてからは部屋にも入れず目の前にある公園の椅子にただ一人座り、こうして小説を書いている。ああ、今日も寒い。ひゅるりと吹く木枯らしは私のことを嘲笑っているようで少し苛立ったが、執筆すればその気も消え失せた。
木枯らし(こがらし)とは
『晩秋から初冬にかけて吹く北よりの強く冷たい風』のことを指す。冬の季語である。
ひゅうっと冷たく強い風が吹いた。メインストリートにある木々の葉を落としてしまうほどの風に「ああ、なるほど。これが“木枯らし”か。早いな」と呟いた。
隣に居る友人は「コガラシ?なんだそれ」と不思議そうに俺の方を見る。
どうやら『四季』という概念の無いこの世界では、冬の始まりを告げる存在に名前があるということを知らないらしい。
木枯らしのような風が吹き、冬のような時期がやって来るというのにそれを言い表す言葉が無いとは。
なんとも不思議なものだ。
#木枯らし
〝木枯らし〟
張り詰めた空気の中、風が吹き荒れている。
身体の水分を奪い、通り過ぎる。
まさに木枯らしだ。
思わず視界に捉えた彼女に手を伸ばす。刹那びゅうと木枯らしが吹く。
吹かれた葉に乗せられたようにそこにいたはずの彼女は消えていた。
未だに僕は幻想に囚われてしまっているようだ。
「からっ風なら分かるが、この真冬の時期に、『木枯らし』と言われてもなぁ……」
わぁ。高難度がやってきた。某所在住物書きは相変わらず途方に暮れて、ポンポン、今回投稿分の文章を打ち続けている。
「木枯らし」の意味は目を通した。タイトルに木枯らしがつく小説と、小説を原作とするドラマも調べた。
ショパン作曲の「Winter Wind」は日本で「木枯らし」と訳されているという。
「気象学は専門外だし、モンジローは世代じゃねぇし、音楽も知らねぇよ……」
何を、どう書けってよ、これ。
物書きは大きなため息を吐き、天井を見上げた。
――――――
こがらし【木枯らし・凩】
日本の太平洋側地域において、晩秋から初冬の間に吹く、強く冷たい北寄りの風のこと。
地域によって、期間や定義に僅かな差があるものの、
おおむね10月半ばから11月末の頃、西高東低の気圧配置の日に、北寄りかつ最大風速8m/s以上で吹く風をさして言う。
なお、似たものに「からっ風」がある。
こちらは関東地方などで、冬から春先にかけて、山を越えて吹いてくる風であり、冷たく乾燥している。
「じゃあ、今日吹いてるのは、木枯らしじゃなくてからっ風ってこと?」
「風の吹く向きによるがな」
職場で長い付き合いの先輩が、レンタルで借りてるロッカールームに本を置きに行くって言うから、私もついてってみた。
先輩のロッカールームは最近まで図書館だった。
去年の9月10月頃、それこそ木枯らしが吹く季節のあたりまで、本専用倉庫だった。
ものの2〜3ヶ月の間だけ、過去形だった。
雪国出身で東京に十数年住んでる先輩が、理想押しつけ厨な元恋人に、バチクソ酷く粘着されて、
Uターンを本気で考えて、一旦ここの倉庫の中身を全部実家に送っちゃったのだ。
しかも木枯らしが吹いてる間に、この理想押しつけ厨な元恋人との恋愛トラブルが、キッパリバッサリ、解決しちゃったのだ。
木枯らしからからっ風に変わる頃、Uターンの必要が無くなった先輩は、実家から、自分が送った大量の本を数回に分けて着払いで送り返してもらっていて、
で、今日、最後の本の段ボールが届いたから、レンタルで借りてるロッカールームに本を置きに行くと。
「からっ風と木枯らしって、地域限定だったんだ」
「なんなら木枯らし一号は、記憶が正しければ、もっと地域が狭かった筈だぞ。……東北と北海道で未発表だったかな?」
「それ『春一番』だって。春一番が北海道と東北除く全国で発表されてて、木枯らし一号は、東京と大阪だけって書いてる」
最後の本の段ボールには、「450〜499」って黒い太文字ペンで書いてて、
最初に目に入ったのが、『気象学豆知識辞典』っていう、カラー刷りで写真付きの本。
パッと開いたページの、右上に書かれてたのが、「木枯らし」の説明。
木枯らしって、日本海側では吹かないんだ。へー。
「……あ!」
「どうした」
「突発的に気になっちゃった、ことわざ!『ナントカとからっ風がどーとかこーとか』!」
「スマホで調べれば良いだろう」
「ことわざの本無い?天気の言葉だけ集めたやつ?」
「買った記憶が無い。辞書なら8類の棚だ」
「ハチルイ……?」
ハチルイって、なんぞ。
「450〜499」って書かれた段ボールからパッパさっさと、「4類」って目印が付いてる棚に本を突っ込んでる先輩は、
特にハチルイの説明をしてくれるでもなく、私をハチルイの棚に連れてってくれる様子もない。
「はちるい……8類?」
ここかな、って棚を見つけて、ザッと見たけど、その棚の本は4類に比べて、冊数が6分の1も無い。
少し退屈した私は、他の棚を行ったり来たりして、
5類の棚の、新品っぽい本を手に取った。
「『調理科学でみるズボラお菓子の作り方』?」
「なっ、おま、辞書は8類だ、何故5類にいる?」
「『心に寄り添うほっこりお茶菓子レシピ50』と、『料理下手でも作れる低糖質スイーツ』?」
「やめろ!いちいち読み上げなくていい!」
「先輩は別に料理下手じゃないと思う」
「そりゃどうも!」
木枯らし
寒い。
北風は辛い。
言葉通り、冬の木の葉を飛ばしまくってる。
そして気がつくと、春風になってる。
あと何回で木枯らしから春風になるのかな。
paki
「おはよう」
そう言いながら、妻の朝食を用意する音を聴きながら挨拶を交わす。
妻は料理中でも鼻歌を奏でる。それは、機嫌のいい合図だ。
今日はふたりつれだって、近くの公園にピクニックへ行くのだ。
お互い忙しくて、ゆっくりとした時間は、本当に久々だった。
ピクニックには少しだけ季節外れで、木枯らしの音がする。寒いね。と言い合いながら2人は、笑いあって、弁当の中身を食べ合うのだった。
『モンスーン』
届かない想い。
閉じ込めていたんだ、ずっと。
何かに、むちゅになればきっともう振り向かなくていいんだ。
私がジュリエットなら、君は、会いに来てくれますか??
君は、いいえと頭を振るでしょう。
私はサヨナラが関心するぐらい下手だな〜🤔
サイン会に行った時に、学生さんのお姉さんは、外れだったみたいでザッとイスから立ち上がり何事もナ゙ったような顔をして踵を返された。
私は、心の中で、お姉さんカッコイイ〜(*´∀`*)✨
私もそんな風になりたいと強く想う(。>﹏<。)
鏡の中の私は、何時まで夢をみているの( ´Д`)=3辟易していることでしょう。
現実は、もう決まっているんだかから。
しっかりとしなくちゃな〜(。>﹏<。)
何時もの私なら、上手くいかないことがあっても『楽しもう(*^^*)🎶』と、状況を打破して来たよネ。
十二単着た時も、係員さんに、『ピースサイン✌は、してはいけないと、怒られたっけかなwww
それも、私なんだよな~(*^^*)V
モンスーンなんだ。早春を私らしく楽しもう(*^^*)🎶💙(*˘︶˘*).。.:*♡
終わり
ある秋の夜
一人の男が、冷たい風の吹く公園を一人歩いていた。
どこか、感情が抜けたような男。
どこに向かっているのか、何の目的で今歩いているのか、なにも分からない。
寂しさ、どこかで不気味さを感じられる雰囲気だった。
砂を歩く音が、静かな公園に響く。
すると、男が立ち止まった。
砂を歩く音が消え、公園には静寂が戻った。
何をするのか。
何を目的に立ち止まったのか。
なにも、分からない。
すると、おもむろに隣にあった小さな噴水に向かった。
ゆっくりと、近づいていく。
砂音も聞こえないほど、ゆっくり、ゆっくり。
そして、ぽちゃんと音がしたと思うと
男の姿はもうなかった。
すると、後ろから草が擦れる音が聞こえたかと思うと
一連の流れを見ていた私は、静かな森の中に消えていった。
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木枯らしで思い出すのは、甘栗屋さんだ。
なぜなら、木枯らしが吹くとても寒い冬の日に母と街に出かけたからである。
甘栗屋さんはデパートの横にあった。
大黒くテカテカした甘栗が鍋の中をグルグルまわっていた。
急にその甘栗がたべたくなり、母にねだった。
母はびっくりした表情となり、『いいよ』と買ってくれた。
大きい紙袋に入った甘栗を受け取ると、手袋をはめた手にも暖かさが伝わった。
1つ食べていいかと母に聞くと『いいよ。お母さんも食べたいな。』と言った。
2人で手袋を外し立ったまま甘栗を食べることにした。
栗の平べったい部分に爪を立て殻を剥いた。殻の中にはシワシワの小さい栗が入っており、口の中で砕け甘さが広がった。
母と見合わせて『美味しね』と言った。
寒い寒い木枯らしが吹く日に母と甘栗を食べた思い出を思い出した。
夕食中にテレビでクイズ番組をやっていた。
難読問題
「凩」の読みを答えなさいとの司会者の言葉に即
「あ、分かった!なぎ!!」と自信満々に答えて不正解。
ありゃ、ハハハ…
なぎは中が止まるだった。
木枯らしと凩。
日本語は簡単な漢字と難読漢字を用意してる言葉って結構あるけど
なんでだろ。ま、嫌いじゃないけどね、難読漢字。
間違えたけど…
(木枯らし)
10月半ばの晩秋、冬の季節風の先陣をきる北よりの寒風が刺すように吹き付ける。
『今日、風強くない?せっかくヘアスプレーをかけたのに、こんなに風強いんじゃ意味ないよ!前髪、終わりじゃん!』
『ウチ、目の乾燥がちょー酷いんだけどぉ!まじで何とかしてくんないかな、神様〜っ!』
学校に近付くにつれて、ちらほらそんな声が聞こえてくる。
僕は朝に弱いので、登校中もぼーっとしながら、特に考え事もせず目的地に向かって歩く。
イヤホンを装着して、恐らく音楽を聴きながら登校する生徒をちらほら見かけるが、もしかしたら、英語のリスニング音源を聴いているのかもしれない。
まあ、うちの学校はそんな意識の高いヤツなんていないだろう。所詮、公立の荒れた中学だからな。将来の自分のために―…だなんて、微塵も考えてないはずだ。強いて言うなら、受験一歩手前になって、ようやく焦るぐらいだろうか?
まあ、いずれにしろ、リュックのチャックを開けてイヤホンを探し出すのが既に面倒だ。それに、聴いている音に夢中で、後ろから来た自転車に衝突することを想定したらどうするのか。そんなの、より展開が面倒なのである。
そんな訳で、僕は毎朝、意思もなく学校に向かっていた……のだが。
「さすがに風が強いな……。」
見えないぐらいの小さく細かい氷柱が、僕の頬をかすってるんじゃなかろうかとすら思える強風が僕を襲う。
昨日までは眠い目をこすって、特に何も考えず歩いていたのに、この空っ風のせいですっかり目が覚めてしまった。おかげさまで、この通り意識もはっきりしている。
きっと、いよいよ秋が終わるぞ、寒い寒い冬がやってくるぞ、用心したまえ―という、神様がサインを出しているんだろう。
ふと、下がっていた頭を上げ、目線を上にしてみる。ここは、地元じゃちょっと有名なイチョウ並木の道だ。
しかし、この間は道路も空も一面イチョウ色に染まっていたというのに、気がつけば黄色の道も空も消えていた。辺り一面、空は秋の寂しい紺碧の空になり、道路は消えかかった白線と、空っ風で乾燥しきったアスファルトに変わっていた。
(なんだ。毎朝、僕が無意識に眺めている景色じゃないか。)
だが、安堵して胸をなで下ろしたのもつかの間のことだった。
(いや、ちょっと待てよ。僕は通学路の景色なんて、さっぱり見ていなかった。だから、イチョウ並木から、時間をかけていつもの通学路の景色へと戻っていても、あんまり違和感を感じなかった。)
僕はてっきり、神様が『いよいよ秋が終わるぞ、寒い寒い冬がやってくるぞ、用心したまえ―』と、サインを出しているんだろうと思っていた。
しかし、本当は、神様が『何も考えず時間を過ごすよりも、もっと視点を増やして周囲を見てみたまえ』とサインを出しているのではなかろうか。
『ぎゃーっ!ついに私の無敵の前髪が吹っ飛んだんだけど!これが世にいう木枯らし、ってやつなわけー!?』
『うっわー、これってあれじゃん!"外出た瞬間 終わったわ"ーってやつ!』
"神様のサイン"なんて嘘くさい言葉も、『もしかしたら本当に神様がくれたサイン―チャンスなのかも』って思ってみると、いつもは聞いてすらいない同校の女子生徒の会話がスラスラ耳に入ってくる。
「うわっ!」
籠ったごうごうと音を立てる風が再び吹く。
『いやーっ、私の前髪がぁー!』
『やーいやーい、あんたの前髪、ひじきから飛び出たチンアナゴみたいになってやーんの!』
『はあー!?それ、どういう意味よっ!』
「…………。」
…でも、ごめんなさい、神様。
もし本当に"もっと視点を増やして周囲を見てみたまえ"というのなら、まずは僕の目の前にいるこの女子をなんとかしてもらっても、いいでしょうか。
『あはははっ、風強すぎて今にも死にそうなんですけどー!』
『でも、あんたの前髪はとっくに死んでるけどねー』
『逆になんであんたの前髪は死なないわけ!?』
耳元でごうごうと鳴る風の音よりも、刺すような痛みの伴う寒さよりも、この強風に負けない鋼のような前髪の方が正直気になるな、と思いつつ。
「早く学校に着きたいから、早歩きで歩くとするか!」
以前はぼーっと歩くだけの通学路が、神様が作ってくれた木枯らしというチャンスのおかげで鮮やかに変化していく―そんな日々がはじまると考えると、ほんの少しだけ楽しみである。
『あんたの前髪、外出た瞬間オールバック状態だったけどね』
『わーっ、言ったな、おまえー!』
カカオ豆をすり鉢で擦って擦って擦りまくるとチョコレートが出来るんだよ。
仕事から帰ってくるとダイニングテーブルにすりこぎで一心不乱に茶色い物をゴリゴリと擦っていた。
ゴリゴリゴリゴリ。
いつからやっていたのか、冬だというのに額から汗をダラダラ滴らせて、爛々とした目を向けてくる君。笑顔がちょっとだけ怖い。
そうかそうか、と適当な相槌を打って自室に一時撤退。
ドアの外から微かに聞こえるゴリゴリ音に、どうしようかと頭を抱えた。
伝えるべき?
チョコレートじゃなくてカカオマスが出来るよ、って。
テーマ「木枯らし」
カラカラと乾いた落ち葉が、木枯らしに巻き上げられてゆく。
曇天の下、僕はコーヒーを一口。
「無」
何もネタが浮かばないそんなときは
何もないことを書いてみようとアプリ開きました(笑)
ども♪ボクです!
たまに思うんですよね
ボーっとしてる時の自分てどんな顔してるんだろって
そんなときってわざわざ鏡見ようなんて思わないじゃないですか
よく自分のことは自分が一番分かってるって言うけど
意外と分かってないこと多いですよね♪
例えば朝起きて最初に自分の顔を見るのは家族だよね
逆も然りで、おはようの挨拶交すときに先ず自分じゃなく
誰かの顔を見るものだし♪
悩んでるとき、どうかした?とか、大丈夫?とか
声掛けするのも周りが最初に気付いてるからで
そのときの自分てかなり切羽詰まってる
顔してるんだろうなぁて思う(笑)
そういうときに思い浮かぶ言葉がよく言う名言
「人は一人じゃ生きていけない」だよね
なぁ〜んかホント周りに支えられて生きてんだなって
つくづく思っちゃいましたよ♪
もぉー世界の中心で
ありがとうを叫びたい(笑)
あと、世界の中心で
なんか色々とご心配お掛けして
大変申し訳なく思っています
本当にいつもお世話になってます
もし何かお困りなことがあれば
次はこちらが助けになれるようにと
思っていますのでいつでも頼ってくださいね
を、叫びたい(←なげぇーよ)笑
今回のカキカキはこんな感じですね(←どんな感じだよ)
いやぁ~書いた書いた♪
ホント書き始めはなんも浮かばなかったけど
書いてると意外とイケるもんすね♪
楽しかったぁ〜♪
それでは!
いや!ちょっと待って!聞きたいことある!
え、なに?
カキカキってなに?
……
それでは
またねン(^^)ノシ
オーーい!
完(笑)
急に突風が起こり丸裸の木々の枝を揺らしだした。
上側に辛うじて枝にしがみついていた枯葉が、引っ張ってくる風に耐えかねて飛ばされる。
宙を舞う枯葉を目で追い、湿ったアスファルトに落ちていく様を見届けた。
そんな変哲もない光景を可哀想だなとか、辛かったねなどの感情移入をすることはなく、ただ散ったなと思うことしかない。
散歩道に散らばる色をなくした枯葉を踏みつけるとパリッと薄いチップスが割れるような音がした。
木枯らし…。
冬の訪れを感じる。
静かに目を閉じ冷たくなった風を感じながら我が身を振り返る。
そして再び前に進む。
その時、私は何を思ったのだろう…。
冷たく。力強く。
一体どこにそんな力があるのか。
何もかもお構いなしで吹き荒れる。
冬の便り。
凍える季節を演出する風は
いやでも私たちに寒さを知らせる。
–木枯らし–
【木枯らし】
木枯らし1号 吹いたらば
銀杏が金の葉を散らす
木枯らし2号 吹いたらば
錦の紅葉 川流る
木枯らし3号 吹いたらば
さざんか さらさら葉を揺らす
木枯らし4号 吹いたらば
読んでる本の頁捲れる
木枯らし5号 吹いたらば
ごろごろ猫が喉鳴らす
木枯らし6号 吹いたらば
六角形の雪の降る
木枯らし7号 吹いたらば
秋の七草 忘れてしまう
木枯らし8号 吹いたらば
初霜が降り始む
木枯らし9号 吹いたらば
首元寒くマフラーを
木枯らし10号 吹いたらば
とうとう冬のお出ましだ
木枯らしに向かって歩く。
それはさながら、困難に立ち向かっていくように。
ひとりだとつぶれそうになるが、誰かと一緒なら勇気を持って立ち向かえるような気がする。