文才がない『ままま』

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木枯らしで思い出すのは、甘栗屋さんだ。

なぜなら、木枯らしが吹くとても寒い冬の日に母と街に出かけたからである。
甘栗屋さんはデパートの横にあった。
大黒くテカテカした甘栗が鍋の中をグルグルまわっていた。

急にその甘栗がたべたくなり、母にねだった。
母はびっくりした表情となり、『いいよ』と買ってくれた。

大きい紙袋に入った甘栗を受け取ると、手袋をはめた手にも暖かさが伝わった。
1つ食べていいかと母に聞くと『いいよ。お母さんも食べたいな。』と言った。
2人で手袋を外し立ったまま甘栗を食べることにした。

栗の平べったい部分に爪を立て殻を剥いた。殻の中にはシワシワの小さい栗が入っており、口の中で砕け甘さが広がった。
母と見合わせて『美味しね』と言った。

寒い寒い木枯らしが吹く日に母と甘栗を食べた思い出を思い出した。

1/18/2024, 7:20:02 AM