『木枯らし』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『木枯らし』
生きるのしんどい
仕事辞めたい
あいつムカつく
胸の中に吹き荒ぶ木枯らしに眉根を寄せながら、今日も家路を急ぐ。
でも、体に吹きつける氷のような木枯らしの中を駆け抜け暖房の効いた部屋に帰ると、体が暖まるとともに胸の中に吹き荒んだ木枯らしも凪いでゆく。
「よし、今日もよく頑張った、私」
晩御飯が美味しいぞー🍚
年が明けるまでそう長くはない
それはもう、狡猾に
友達とはいつか疎遠になり得る
それはもう、颯爽に
家族もいつか燃えて骨になる
それはもう、天命に
木枯らしは私を老いさせる
それはもう、円満に
私の世界では、あなたに逢えない
あなたに逢えないまま、私はまた一年分の年輪を重ねる
ぬるっとした、だらっとした寒さを乗りこなして
私はこの季節を生きていく
「−木枯らし−」
今日あったことを振り返りながら帰るのが私の日課。
今日は災難だったとため息を漏らした。
今日は珍しく朝は寝坊して
最低限のメイクヘアセットをして家を飛び出した。
会社へ遅刻してしまう電話を掛けよう。
そう思ってカバンの中を探す。
「最悪」
誰にも聞こえないように呟いて家に引き返した。
朝も木枯らしが吹きつけてきた。
コートの襟を立てて家路を急いだ。
仕事ではミスをしてしまって怒られた。
同僚には笑われたけど
そのあとは特にないかな。
それとも多くて覚えてないのかも?
今日も私は冷たく風吹く道を早足で帰る。
家帰ったら沢山癒しをもらおうかな
─────『木枯らし』
髪がなびく朝。あの日を思い出す。
あの日、僕という人はこの世から消えた。
人間と話して夢を語り合う。
生きるためには必要なコミュニケーション。
一つの目標のために達成感しかないのに努力する彼ら。
なんでこんなにも必死になれたんだろう。
今思えばそんな気持ちになる。
人って単純だな。
この匂い。苦いサーカスのようだ。
でも今の僕は新しい人間だ。
汚れている部分もある。だけど今は。
木枯らし。終わりを告げよう。
風さえ吹かなければ寒くないのに
風が吹くから寒くなる
風の冷たさに負けない、私を覆うものが必要
自分で、自分を暖める
絶対手に入れる
「木枯らし」
少しずつなんてやめて欲しい。
秋の終わり
少しずつ減っていく葉を見て思った。
日に日に減っていく葉を見ているとなんだか酷く切なく、苦しい気持ちになる。
全部落ちきるまで時間が掛かれば掛かるほど
その気持ちは増していく。
そしていつしか情が湧いてしまう。
気になってしまう。
切ないことも、苦しいことも全部一息で終わらせて欲しい。
この複雑な気持ちなんて抱える暇もないくらい一瞬で消して欲しい。
情なんて持ってしまう前に、消えてしまうことを拒みたくなる前に、視界から思考から見えぬ所まで吹き飛ばして欲しい
そう、それは木枯らしのように。
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いつか誰かが
不意に現れて
纏わりつくこの
辛い記憶の数々を
木枯らしみたいに
吹き飛ばしてくれるかな
そして
葉の落ちた木のように
裸ん坊になった私は
寒さを凌ぐために
また違う誰かと
泣きながら
笑いながら
一つ
また一つと新しく
青々とした思い出の葉を
身に纏ってゆくのだろう
「木枯らし」
電波塔の所 居候をしている
いちばん大きな青をなぞって 終わりを繰り返す
煌びやかに流れる流れ星
頭の中で思い出す 復唱した言葉
よかった、ちゃんと覚えていたんだ。
光なんて作り物で 映り込むものが本物で
鍵盤で叩いた空模様 いつまでも青いね
少しのアクセントと 少しの甘さで 僕は満たされたい
僕は君に青を見て、という
それでも 君流れ星が流れてゆく
静かな鍵盤を叩いた君の瞳 雪いだように透き通った光
君は憎らしくもあって 愛らしくもある
ゲルニカの一輪の花の傍 僕は食べられているみたいだ
橋に立って 柵のそばにいて モノクロームの世界で
鍵盤を弾く
映りこんだ姿で染められてゆくもの
木枯らし
木枯らしが木々を裸にしていく
木枯らしが落ち葉をさらっていく
色を奪っていく
あの人もこの季節に消えた
風のように予告なく
空虚な気分だけ残して
木枯らしが熱を奪っていく
木枯らしが思考を凍らせる
木枯らしがすべてを真っ白に染めていく
冬が来る
2023/01/18
雨の日に濡れて
晴れの日に乾いて
雪の日に埋もれて
雪解けに現れて
季節を幾度も繰り返して
野ざらしの新聞紙は
木枯らしを今年も待つ
しわしわになり よれよれになり
風に乗って転げていく
風化したくない出来事を
身を挺して伝えてゆく
夜の繁華街
人波に逆らい歩く
手には花束と色紙
語らいあった同期との送別会
冷たい風が背中へ吹き付ける
すっと顔を上げる
心配するな、と木枯らしの後押し
#3 『木枯らし』
思わず、声が漏れた。
隣をそっと盗み見ると、一見不機嫌そうに唇をとがらせた愛しい人の横顔。
「なんだよ」
「う、ううん。なんでもないよ」
車の通りは激しくない、というかほぼ歩道みたいな道だから肩を抱いてきた理由とは考えにくい。そもそもとても珍しい行動ゆえにびっくりしてしまった。
「どうせ、似合わねーことしてるとか考えてんだろ」
バレてた。
だって、今風に言うとものすごく「ツンデレ」だから。とても可愛い性格だと思っているけれど、なかなか素直になれないことを密かに悩んでいるのも知っている。
「……今日はすげー寒くなるって言ってたろ。んな薄着してくんなっての」
もしかして、風が吹くたび身をすくめてたの、気づかれてた?
確かに天気予報では「木枯らし一号」という注意喚起をしてくれていた。ただ気温の数字に振り回された自分が悪い。
——ああ、そうか。ようやく、行動の意図に気づけた。
「……あたためてくれてありがとう」
回されたままの腕に頬を寄せると、さらに距離が縮まったように感じた。
お題:木枯らし
短い小説 『木枯らし』
とある山道を歩いている時のこと。
表情豊かな山は眠りについているように見えた。
落葉樹は葉をひとつ残らずなくし、常緑樹は葉の鮮やかさを失っていた。
所々伐採された木々があった。無念にも切られた木々を埋めるように雪が積もっている。動物の声はおろか、気配すら感じ取れない。山は冬の寒さに対応し、同時に自らの活力を失っていた。
山はどうしてこんなにも雪が積もるのだろう。自分が住んでいる地域とは大して標高差は変わらないのに、少し高いだけで雪にまみれるとは。ここに住む人たちも、さぞや活力を失っていることだろう。
ひゅう~…
冷たい乾いた風が目の前を通りすぎた。その風は枯れ葉を連れてどこかへ去っていった。
木枯らしはこの季節でも健在であるようだ。
木枯らしというのは哀愁漂わせる。山やその生き物たちに冬を知らせ、冬眠を促しているような感じ。
今では山の生き物はほとんど冬眠しているというのに、木枯らしは止まない。
人間にも冬眠を促しているのか?
…悪いが、そうしてる暇はない。生きるためにはどんな季節でも活動しないといけないのだ。
そう、どこかへ行った木枯らしに話しかけるように呟き、目的地へと再び歩いた。
木枯らしが吹きつける中
一人歩いている。
寒いのは好きじゃないけれど。
冷たい風があまりにもビュービュー
顔に当たるものだから。
なんだか笑えてきてしまう。
木枯らし
今日一日の出来事に ため息つく私
そんな事言うつもりじゃなかった
なぜあんな言い方したんだろう
へんなコンディション
明日は普通にもどるかな
自分がした事なのに嫌な気持ちになったの
木枯らしに吹かれて葉がパラパラと舞った
帰り道 少し落ち込みながら
カラカラの葉っぱを蹴飛ばした
このカラカラ私の心みたいだね
木枯らし-
の様な人だと思っていた。
だけど本当は
春の暖かく優しい
光り輝く風を持った人だった。
お題
木枯らし
びゅうっと風が唸りをあげて落ち葉たちを宙にさらう。
風は冷たく頬を刺し、隣にいる彼女も寒いと身を震わせていたはずが、面白いよと正面を指差した。
巻い上がった赤い紅葉に黄色のいちょう、茶色い葉っぱがゆらゆらと地面に着地していく。暖色でまとめられた葉っぱたちのダンスは温かく映る。
「立って見ているだけだと凍えそうだ。俺達も踊ろうよ」
また風が唸りをあげて
葉っぱと、彼女のスカートが舞い上がる。
『木枯らし』と踊る。
”道徳”とはなんだろうか。
最近は小学校や中学校でもこの道徳という教科の時間が増えている。
人を思いやる心のことなのだろうか、善い行いのことなのか。
私が思う道徳は、見返りを求めず行う善い行動のことだ。
見返りというのは物でも、目に見えない信頼関係などでもだ。
見返りを求めている時点でそれは人のためではなく自分のためになっている。
私はただただ人を助けるための行動こそが真の道徳だと考えているため見返りを求めることは道徳では無いと考える。この考えだときっと道徳的な行動ができる人は少ないだろう。
しかし、皆がこのような行動ができるのならば世界はもっと静かになるのでは無いだろうか。
「言の葉」
自分の中から
どんな言葉が
出てくるだろうと
わくわくしていた頃。
言葉は
こんこんと湧く
泉のように
枯れることなく
溢れ出てきた。
こころの声ではなく
世の中の声や
怖がりさんな
自分の声が
大きくなって
次第に
なにが楽しいのか
どうしたいのか
すら分からなくなった。
木枯らしが木の葉を
すべて
散り去るように
もっている言葉も
みんな散っていった。
それでも
厚い雪の下で
じっと生きている
わたしの言葉。
もうすぐ春
陽の光を浴びて
こころをあたたれば
きっとまた芽吹く
言の葉。
#木枯らし