『月夜』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
月夜
月明かりが照らす夜
普段、気に掛かることはあまり無いがいつもそこに存在する
昔から変わらないもの
この光景を昔、今、未来の沢山の人が見てきたし、これからも見ていくんだろう
この幻想的で普遍的な月夜の夜空を
今度、ゆっくり眺めてみよう
そう思った
雲の向こうの月を見る 丸まった毛布
「月夜」
今年の秋はどこかでお月見していたい。原っぱでお団子を食べながら。
阻まれた闇に立ち尽くす
柔らかな光に包まれて
朧な世界に歩を進める
―「月夜」―
雲ひとつない宙空に浮かぶ月
日中に降り積もった雪は
月明かりに照らされて
光り輝く
防寒具着て
今宵は月見酒と洒落込もうか
明るい夜だった。
月の美しい夜だった。
星が霞むほど、眩しい光だった。
満月か、と思った。
そしたら、きみが近くにいて、
これは「待宵月」って教えてくれたんだ。
時々ふらっと現れては星座を教えてくれたね。
お陰ですっかり覚えちゃった。
夜空を見上げたら、いろんな物語が見えるようで。
いつもの道が輝いて見えたよ。
一番好きなのはね、テーブルさん座。
テーブルみたいな山って意味でこの名前らしいけど
「テーブルって人みたいだよね」って
一緒に笑った時のキミの顔が、
何より美しく見えたから。
最近は星とか月とか、そういう持ち物が増えちゃった。
見るとキミのことを思い出して、買っちゃうんだ。
周りの人も「何かあったの?」って
ニヤニヤしながら聞いてくるし。
全部キミのせいだね。
でも、嫌じゃないんだ。
キミに何をされても、嫌いになれない自分がいる。
たまに、ちょびっと、「キミがいなかったら」とか、
考えたりはするけど、結局「それは嫌だ」っていつも思うんだ。
だから、勘違いしないで。
最近、顔を見せてくれないね。
変なことを考えちゃったから?
それとも、飽きちゃった?
最初は鬱陶しく思うこともあったよ。
だって、怖いくらい帰り道で会うんだもん。
でもさ、それが続くと普通になっちゃうから。
ちょっと寂しいのも、変な普通ができるのも、キミが悪いんだからね。
だから、あんまり僕をひとりにしないで。
どんどんキミが消えていく気がするんだ。
静かな帰り道に戻って、キミの言葉に悩まされることもなくなって。
どんな日々を過ごしていたのか忘れてしまいそうだよ。
でも、キミが教えてくれた星座だけは忘れたくなくて。
毎日夜空を見上げて。
ひとつひとつ確かめていくんだ。
少し寒くなってきた日。
いつものように夜空を見上げる。
「今日の月は、、、」
そこまで言って、懐かしい気配を感じて振り返る。
そこにキミはいなかった。
でも、なぜか近くにいる気がして、諦められなかった。
道でひとりでくるくる回って、、、
人が見る目も、気にならなかった。
キミを探すことだけに、必死だった。
そんな時。
刹那、キミの影を瞳が捉えた。
「、、、待宵月、もうすぐだね。」
耳元で囁かれて。
力が抜けて、壁に寄りかかる。
さっき止めてしまった動作を、もう一度。
見上げると、確かに、「幾望」が見えた。
待宵月=十五夜の前日、十四夜。幾望ともいう。
オオカミさんを私との絆で縛りましょう。そしたら人を襲うことも月夜で独りで哭くこともないでしょう。大丈夫、夜明けは必ずやってくる。
絆
決してほどけない絆があったら
私は今頃生きていなかった
絆は重石
生きるために必要ではない
今はそう思う
月夜
月が見えない夜、ふいに月の存在を感じた
月は空高くにあるのに、とても近く感じる
私の陰と似たのかもしれない、なんて
『男はつらいよ』の寅さんは、よく歌を唄う。いい喉で童謡を唄う事が多かったと思う。
あれが自然なのは、昔の人はあんな風に何かにつけて、歌い出す事が良くあったからだろう。
私の父も、ふだん気難しい1面のある人であったが、夜道を歩きながら良く「おつきさま」を歌っていたのを思い出す。
「おつさま、 えらいな、 おひさまの、 きょうだいで、 みかづきに、 なったり、 まんまるに、 なったり、 にっぽんじゅうを、 てらす… 」
(石原和三郎 作詞)
いま初めて調べたが、これは1900年、明治33年に作られたというから思ったより古くからある歌だった。
父の歌声を聞きながら、見上げるお月様には確かにウサギが居るように見えたものだ。
月にウサギが居るのは『ジャータカ物語』が由良であろう。これは仏教説話、お釈迦さまの前世の話をまとめたもの。
中でもウサギが旅人に、自分を施す話はもっとも有名だ。
行き倒れている旅人に、動物たちは施しをする。それぞれが魚や木の実など差し出して施すのだが、
何も持たないウサギは「どうか火を起こしてください」と旅人に頼み、「私の肉を食べて下さい」と言って火に飛び込んでしまうのである。
その旅人は実は神様で、ウサギの善行に感動した神様は、記念にウサギの姿を月に写すことにしたのである。
そして、このウサギこそ、転生を重ね、善行を積み、やがて釈迦として生まれるのである。
……
うおおーい、お釈迦さま、自己犠牲が過ぎませんか?!
余りにも恐い。
でも、そういう人だったんでしょうね。
『月夜』
今夜は月夜とは言えないなぁ。ガラス一枚隔てた外でこんこんと雪が降るなか、ほけーっと寝っ転がって外を眺めていた。
そういえば、『今日にさよなら』のお題でも少しだけ、月を話題に出した気がする。
太陽に託された光で、命たちの夜の導となるお月様。
その強さは太陽にはほど遠くて、でも安心させるような穏やかさを持っている。
まだ街路灯もなかった時代には、きっと夜の明かりとして多くの命を照らしていたのだろう。そして今も、多くの星が見えなくなった中で、忙しなく生きるひょろっとした命を眺めているのかもしれない。
月夜
月が綺麗だ。そのときは明日はいい天気だ。
どこかに行こうかな。
満月を見上げる。
あそこに住んでいる兎たちは、今日もかの高貴なお方の為に、薬を搗き続けているのか。
【月夜】
「月が綺麗ですね」
少しの期待を込めて言ってみた。
きっとこの言葉の意味など知らないだろうから。もし知っていたとしても返しの言葉は文字通り死んでも言わないだろう。
夜毎、あちらこちらへ転々としている人だから。この言葉も想いもなんの枷にもなりはしない。
それでも勝手に囚われてどこにも行けない私には、やっぱり捨てられない大切なものなのだ。
「月が、綺麗だな」
ほらね、予想通り。ほんのりとした期待が霧散するのなんてわかっていたことだ。
この人以上に死を恐れる人はいないでしょう。何と引き換えにしても生きることを諦めない人だもの。
「ごめんなさい、あなたのほうが綺麗ですよ」
生きることに必死になる姿はとてもとても眩しい。
何もかも投げ出して諦めた私にはとても眩しい。光に吸い寄せられる羽虫のように、私はこの人を求めて群がる女たちの一人だ。
欲望は人を輝かせる。月はただのおまけ。
でも私は、この人の月でありたい。月は一人では輝けないからずっと側にいてほしい。こんなこと言えやしないけど。
【題:月夜】
─月夜─
「満月の今夜、光輝く瞳の貴方を頂戴する。」
星が煌めく空から、颯爽と現れた男は言った。
開け放たれた窓からは、
冷えた風によりカーテンは靡き、
月明かりは窓辺に立つ彼を引き立たせる背景になっている。
そして、彼が私の方を向いた瞬間、見えていなかった顔が見えた。
それは数年前、失踪した私の彼に似ていた。
私の家は裕福な為、庶民だった彼と付き合うことは許されなかった。
失踪した時は本当に悲しかったが、今こうして会えた。
偽物だという考えはひとつもなかった。
彼は近づき、手を取って言った。
「お嬢さん、貴方を幸せにさせてくれませんか?私に、拐われてくれませんか?」
彼の目には、うっすらと涙が滲んでいた。
そんな彼にかける言葉は、ひとつしかなかった。
「はい、よろこんで」
満月の美しい月夜に監視カメラに映ったのは、
楽しそうに、幸せそうに笑う、二人の男と女だった。
月が綺麗。どっかの文豪みたいなことを思って言ったわけじゃないけど。本当に月は綺麗だと思う。
あの人が居なくなった夜も、こんな綺麗な月の出る夜だったなぁ。
あの人はきっと、月が好きじゃなかったんだろう。
月に興味がなかったのか、嫌いだったかは分からないけど。
月夜の日、あの人は居なくなった。捨てられたって分かってるけど、でも、希望を持ってしまうの。
あの頃からずっと。
ずっと月は綺麗だった。
テーマ【月夜】3/7 #8
こんな明るい夜は
うまく眠れなくて
散歩に出てみたりして
狼男に逢えないかななんて
ちょっぴりわくわくしてみたり
主役は月であって
星ではない
あなたの好きな人は
あの娘であって
私じゃないと悟った月夜の晩
暗闇を照らすのに
星を見えなくしてしまう
優しく淋しい…
【月夜/168 】
月夜
夜を歩く。残業でやむ無く夜に歩かされるのではなく、自分から。昼の喧騒が消えたせいか、街が自分の為にだけあるような気がして気持ちが弾む。
3月初旬頃は、まだ冬の星座が楽しめる。もしふたりで歩いたら、オリオン座が見える、などと話したりするのだろうか。
逆に月夜なら何を話すだろう。月がきれい、と言うのかな。それはそれでいいのだろうけど。少し苦手かな。
月の光は強い。星もほとんど消えてしまう。オリオン座さえも見えづらくなる。きっと僕なんか完全に消えてしまうだろう。
でもその分、月が彼女を照らしてくれればそれでいいか。彼女を頼りに迷わずに歩ける。
僕は月の明るい夜は嫌いだ。だって、僕の醜い部分まで照らし出されてしまう気がするから。でも、月は好きだ。太陽よりもずっと優しくて包み込むような光だから。夜の街には、たくさんの人の隠したいものが隠れてる。じわじわと、じわじわと、街を侵食していく。特に都会だとそう感じる。街灯と裏路地の暗さがよりはっきりするから。そんな夜の街が、僕は嫌いじゃない。夜の街を歩いていると、僕の醜い部分も肯定されるような、そんな気がするから。
今夜も僕らの街に夜が来る
テーマ:月夜