『最初から決まってた』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『 最初から決まっていた 』
あぁ、何となく抱いていた不安
何となく違和感があった
でもその違和感から目を逸らし続けて
結局はあなたとお別れをした。
最初から決まっていたんだ
あの違和感は嘘ではないということを。
付き合う前の違和感を。
ありがとう好きだった人。
一ノ瀬はあなた以外の人と幸せになります。
最初から決まってた
目に見えないものはあると思ってる
人間には遠く及ばないものがこの世にはたくさんあるし
人が認識できるものなんて世界のほんの少しなんだと思う
スピリチュアル的なものではなく
実際に酸素とか、紫外線とか
そういうものは目に見えない
でも確かにあるのだ
人間が頭を駆使したから認識できるようになった
まだ認識できていないものもたくさんあると思う
認識できてないもののほうがの多いかもしれない
だから
人間の一生が何かに決められているとしても
おかしくはない気がする
全員が生まれたら死ぬと決められている時点で
まずひとつ決められているわけだし
最初から決まっているのだとしたら
なるようにしかならないんだろうな
人間が選ぶものなんて
せいぜいそこに行くまでの過程なのかもしれない
決まっているのはラクで
でも少しだけ苦しいなって思う
「最初から決まっていた」
オマエさんが放つ煙に振り回されるのは
◆
世捨て人になることは産まれた時から
◆
必要最低限の金で生活することには
お祭り
「神様なくして祭りなし、と古来から定まっていますわ」
「………そうか?」
焼きそば唐揚げりんご飴。サメ釣りクレープかき氷。ベビーカステラに綿飴、お好み焼き。きゅうりの浅漬けタピオカドリンク。昨今屋台も色々ある。
両腕に数多の戦利品を提げ、参道を行く。これはその最中あまりに暇だったのでせがんだ雑談のうちのひとつだ。
吊るされた提灯の灯りに赤く照らされた横顔、笹本が丁寧に結った編み込み。何個目かのりんご飴を齧りながらお嬢は雑談を続ける。長い長い階段をいく。数えるのもやめた何本目かの鳥居を潜る。銀色の髪が揺れる。簪についた酸漿の飾りが揺れる。
「地鎮祭に納涼祭や奉納祭、いつも神様と一緒ですわ。縁日だって神社でやるでしょう」
「……そうだな」
「日本国技のお相撲も起源は神事ですし」
コイツ俺が無知だと思って適当いってんじゃねぇのか、と疑ったがそういえば始まる前に塩を撒いていた気がする。
清めの塩、審判は着物、土俵を囲む縄。言われてみればまぁわからんでもない。
「ローマも似たような話あったよな」
「オリンピックの話ですわね……なんてタイムリーな…」
「たまたまだがな」
「………昔より、神様から遠くなっていると感じる事が多い気もしますけど。悪いとこばかりではないのでしょう」
「人がどうこうできる範囲が広がってっからな。人がどうこうしなきゃいけない事が多いと言ってもいいが」
「軽犯罪が増えた気が……いえ重犯罪も増えましたわね。ネット犯罪、詐欺……憂鬱ですわ……」
「神様に頼む事案とは違うわな……つか人災じゃねぇかよ」
事前にある程度の予測が立てられる気象も、神様に頼るものではなくなってきた。だって準備できるし。台風が何日に来るとか、1時間以内に雨が降ってきますとかアプリでわかるし。人為的に雨を降らせることはできずとも、ダムで水を溜めておくなり水道を引くなり、水源の確保はできる。神様を頼らずとも、神様に縋らずとも。
大昔は神様と崇められた獣も。家畜化されたり銃殺されたり。自然を敬えと声がしたが、敬ったところで給料がでたり宝くじに当たったりしないので、多分科学技術を崇め奉る時代になってきたという事だろう。
それとも、自然より科学より、人間による災害の方が厄介で粘着質で、終わりがないという事か。
人生は続いていく。人間は生きていく。
地震や大雨、災害時にだって、盗みや性加害をする奴が、いる。蛆のように湧いて終わらない悪意が、恐ろしい。
そうして湧いた悪意の吹き溜まりが。
そうして脅かされた安寧が。
濁り滞り淀み雑り溶け、形を成して災になる。
「カミ様から距離取り続けた結果、ヒトが最後に対峙するのが神様より恐ろしい人災って皮肉か何かか?」
「人災から遠ざかる為に神様を見ていたのですわよ」
「……そうだったのか?」
「隣の畑の方が実りが良い、日照り続きで水田が枯れた、地震でみんな家がなくなったのにあいつの家だけ無事だった。全部神様の思し召しだと思えば。ね、仕方ありませんでしょう?」
「そんで『神様が見ているから善行を積みましょう』に繋げるのか?」
「悪行為すものにとって都合が良すぎるところはありますけれど。その為に考え続ける人がいますから」
「はん、ご苦労なこった」
「何を他人事みたいな顔していますの、それこそ私達陰陽師ですわよ」
「………………いやお前らの領分って一般的な動物とかと外れた化け物だとか霊的存在とかだけじゃねぇの?」
「もちろんソレらも。まず調査の段階でそこまではっきりわかるものが少ないのですわ。結局微妙なものから精査するところから始めます」
ぱきりぱきりとりんご飴がどんどん削られていく。消化されていく。
「犯罪が増えてきた分その調査も増えましたわね…5年前と思うと桁違いだと思いますわよ」
「科学技術が進歩してこんだけ夜が明るくなってんのに?いや調査だけか増えてんの。陰陽師の出る幕自体は減ってんだよな?」
「何言ってるんです?夜が明るかろうと暗かろうとお化けにも妖怪にも関係ありませんわよ」
「んなわけねぇだろ、何のために俺が電気全部つけっぱでトイレ行ってると思ってんだよ」
「あれやめていただけます?電気代が勿体無い」
「鬼かお前」
ばきん。林檎飴は無惨に砕かれた。次は唐揚げだ。こいつ割と大食いだよな。食い過ぎたって寝てるところよく見るけど。
「見えにくいだけですわ。真昼の星と同じ考え方で良いです。見えていようがいまいがそこにあるものはそこにあります。そこにあればありますし、なければないですわ」
「…………今、お前には見えてんのかよ」
「多分聞かない方が幸せだと思いますけれど」
「一生答えなくて良い、ありがとう」
「見えていません」
「今の流れなんだったんだよ!?!?」
でも今お前に見えてないならここは安全なんだろうな、と一息つく。俺の恐怖を弄んだ罪は重いが。
「私に見えてないから安全だとは限りませんわよ」
「何でそういう事言うんだお前」
「私に見えないだけかもしれませんし、貴方には見えているものが私には見えないかもしれない、逆も然り」
「……勿体つけんな」
「昔はみんな暗闇を怖がりましたから。その感覚も鋭敏だったのでしょう。でも現代は明るい。明るければ暗い場所より安全だと思い込むでしょう?一理ありますけれど、結局この世に絶対なんてありませんでしょう?」
唐揚げは既に平らげられた。次は焼きそばに手を伸ばす。パックタイプの屋台飯って立ったままだと食いづらいよな。ハンカチを広げて座るよう促す。おい驚いた顔すんな。この間「淑女の洋服を地面につけさせるような男はマジで気が利きませんわよ」って凄んだのお前だろ。
気を取り直して。
「明るくても暗くても。嫉妬も憎悪も存在するでしょう?朝でも夜でも災いは災いとしてそこにあるでしょう?」
見えにくいだけですのよ。焼きそばを食べながらコイツは微笑う。物分かりの良くない子供に言い聞かせるように。どう足掻こうと現実は変わらない事を言い聞かせるように。
「だから諦めてトイレ行く時電気消してくださいな」
「人には気休めが必要なんだよ」
「大体電気ついてるくらいでどうにかなるなら私達の武器はサーチライトか高性能懐中電灯になってますわよ」
「やめろやめろ真実を突きつけるな」
焼きそばを食い切って次に手を伸ばしたのはベビーカステラ。うまいよなソレ。最近小麦が値上がりしたせいか高いけど。口の中の水分全部持っていかれるけど。
近くの屋台で出ていたのでタピオカジュースを追加する。ついでにゴミを捨てる。俺カフェオレ派だけどコイツミルクティー派なんだよな。
「月明かりで十分でしょうに……」
「うるせぇお前にはわからんわ怖がりの気持ちが!」
「怖がると寄ってきますからね」
「更に怖い事いってんじゃねぇよ泣くぞ」
「寄ってきますわよ」
「追い討ちすんなァ!!」
カステラを一つ食べ、タピオカジュースを飲み、またカステラを食べる。美味そうだな。買ってくるわ。お前から食いもん盗ろうとすると碌な目に遭わないから。
自分の分のカステラを食べながらタピオカ入りのカフェオレを飲む。美味い。
「何をしていてもいるものはいますわ。だから大事なのは意識しないこと。そこにいると思わないこと。意識して関わりを断つ意思。」
「………………なぁやっぱりお前今日もなんか見えて」
「聞かない方が幸せだと思いますけれど。見えていませんわよ」
「……………………はい。」
その後お参りを済ませた俺たちは何事もなく柳谷邸に帰れたのであった。電気代が上がった。
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だいぶ前のお題ですがやっと描き切れたので載せます
お嬢→そこそこ長いベテラン風味陰陽師
怖がり→見習いぴよぴよ陰陽師
分かっていたよ、分かっていた
なら教えてよ
悲しすぎる、なんで
私がこの町でひとり生きていくことも
私がお金に苦労することも
私が山を好きになることも
私がマロンを飼うことも
きっと最初から決まってた
私が今日朝早く目が覚めることも
私が今日卵焼きを作ることも
私が今日枝切りバサミを買うことも
私が今日あなたを何年ぶりかで思い出すことも
きっと最初から決まってた
人が今日毒を流すことも
人が今日地球温暖化を語ることも
人が今日餓えに苦しむことも
人が今日ダイヤモンドを贈ることも
きっと最初から決まってた
人が今日道をつくることも
人が今日ドラッグに溺れることも
人が今日人を殺すことも
人が今日愛を語ることも
きっと最初から決まってた
人がその日少なくなった仲間とともに
海を見てただ佇んでその時を待つ頃には
人が人の決められたパターンに沿った行動を
理解して自分たちの暴走を止めることができるだろうか
君からの言葉はどれも暖かくて、それがずっと当たり前だったから冷たくなるのを感じる度にとっても悲しくなって僕が全部悪いのに垂れてもない紐を引っ張り続けて無様にしがみついて君に期待する。初めはわかってたのに、どうせ社交辞令だろう、あと数回遊べば終わりなんだろうって。結局最初から決まってて今はそれになってる。でも大好きな君を傷付けていっぱい悩ませた僕が、もう過去の人にしか過ぎない僕が何かを思うことすらきっとダメで涙を流すのすら本当はダメで、君が好きって言ってくれた僕はこんなこと考えてたら僕じゃなくなるから何かの間違いでまた笑ってくれた時に僕がいないとほんとにどこかに行ってしまうから、頑張ってるんだけど涙が止まんなくてずーっと上の空。泣き疲れて寝ての繰り返し。いつまで泣けるかな。また笑って名前呼んでよ、今度は僕泣かないから
最初から決まってた
そう
あぁ、なんだ、“最初から決まっていたと”いうことか。
はっ、と自嘲する僕の声が狭い部屋に消えていった。|
そこまで打って手をとめた。
我ながら文才が無いものだ、と改めて痛感するお題だ。
いや、文才だけの問題では無い。
アイデアも、経験も、思考力もなにもかもがたりない。
動かない画面が暗くなり、変わりに醜い自分の姿が映し出された。
髪はボサボサで目元には隈、着ている部屋着はヨレヨレの、
なんとも覇気のない姿に軽く吐き気を覚えた。
―こんなはずじゃなかったのに
偶然にも今の姿が、先程まで綴っていた物語の人物と重なっていた。
これも、最初から決まっていたのかな。なんて
乾いた笑い声をもらし、僕は再び画面と向き合った。
【最初から決まっていた】
星が空に舞う時
風が葉を揺らす時
すべてが静かに流れる中で
最初から決まっていた
この道を歩むこと
運命の糸が織り成す
タペストリーのような景色を見つめる
ささやかな瞬間の一つひとつに
確信を覚える
最初から決まっていた
ここに産まれ落ちること
迷いながらも
心の奥で知っている
最初から決まっていた
この旅の地図
だけど
自由に歩んでいこう
答え合わせは
旅の最後で充分だから。
ここは真剣に考えなきゃならない……
選択を間違えれば大変な事になる。
……どっちだ?
ひらめいたぞっ!!
「右かなぁ?」
「えぇ~右ってコッチぃ?」
あからさまに不機嫌な声をあげながら彼女は右手をあげた。
あぶない、あぶない。
「ち、違うょ。俺から見て右」
「でしょ~?そうだと思ったんだぁ♪」
「コレくださぁい♪」
……ホッ。
我ながらうまく切り抜けた。
俺に聞く前から決まってるんだょなぁ(笑)
【最初から決まっていた】
※最初から決まってた
そう、最初から決まっていたのだ。
日常、政治・経済、スポーツ……全ジャンルにおいて
散々使い回された「最初から決まってた」
この一言がどれだけ難題であることか!
「え、結婚式……ですか?」
国語のワークを解き終えて休憩の体勢に入った私に、先生が意外な話題を振ってきた。
「そう。半年後にやるんだけど」
先生は驚く私の顔に目もくれず、丸つけを始めた。
私の心はどす黒いモヤで埋め尽くされた。先生が、結婚する。私じゃない、他の人と。
いや、わかっていたはずじゃないか。私と先生では歳が違いすぎる。
私が大人になるまで、先生は待ってくれないだろうことくらい。
わかっていた。
最初から決まってたのだ。
「それで、どうする?君も来ますか」
残酷なことを聞く。私から先生を奪っていく人の幸せを願えと言うのか。
「えっ、と……私は」
私が煮え切らない返事をしたからか、先生は添削の手を止めてこちらを見た。
「おや、君なら興味津々でついてくるかと思ってました」
「そ、そうですか?」
「フフフ、君は積極性の塊だから。まぁでも、興味わかなくて当然か。知らない人の結婚式なんてね」
え?
「……知らない人??」
「ええ、大学の友人の〇〇くんと△△さん。知らないでしょう?」
その時、私の心に一筋の光が射し込んだ。
「話したことなかったよね?」
固まった私を不思議そうに見つめる先生は、今日も美しい。
「はい……ないです。知らない人です!!!」
「ど、どうしました!?急に大声出して」
「いえ、何でもありません♪」
私は勢い良く机に向き直り、意気揚々と、いちばん苦手な算数のワークを開いた。
今ならどんな難問だって解ける気がする。
つり上がった口角が天井にまで届きそうなのを抑えようと、私は鉛筆を強く握った。
そんな「私」を見て、「先生」はそっと微笑んだ。
テーマ「最初から決まってた」
最初から決まっていた
こうなる事は
最初から決まっていた
だとしても
自分の力で
未来を掴もうと思ったんだ
最初から決まていたんだ何もかも全てが
そりゃそうだ それがシナリオってもんだもの
この世のすべてが誰かの描いた物語
書いた側から進行するのみ修正無用
後戻り不可のパラドックス
良いことだけ信じるに限る。
なんてったって、嘘なんでね。
虚偽、嘘、偽りってのは幸せになるためにあるんだよ。
【最初から決まってた】
あの日あの瞬間にあの選択をした時点で
こうなる事は最初から決まっていたのかもしれない。
ー最初から決まってたー
右にするか 左にするか
目の前に並んでいると迷うよね
定番のクリームプリンか特売のシュークリームか
迷う姿はかわいいな
“最初から決まっていた“
そう思ったら
いろんなあきらめはつくかもしれないけど
もがきたい自分もいるんだよ
結果は結局、そこに辿り着くことに
なるのかもしれないけど
それでも もがいていたい…。
最初から決まってた。
そう嘆くのは簡単だ。
勇気と希望を持って進もう。
何も決まってないから。
「きれい事だ」
私の隣で誰かが呟いた。
彼は痩せた身体から有り余る不機嫌を滲ませた。
「何も決まってないわけがあるか」
「生まれて、生きることすら難しい子どもがいるのに。
ネグレクトについて知らないと見える」
補足するように呟いたのは、小さな人だった。
目深く被った帽子は表情を隠していた。
「ものの喩えじゃないかな」
恐る恐るの内面を隠すように胸を張って、私は言った。
彼らは私の方に顔を向けて、舌打ちをした気がした。
私が彼らを確認すると、彼らは立ち去っていた。
私は考える。
話が比喩かどうかより、彼らがなぜ不満げなのか。
なぜ彼らが呟いたのか聞けばよかった、と。
こうして彼らは消えていくんだろう。
なかったことにされるんだろう。
「最初から決まってた」
誰にも理解されない。
そんな想いを、抱え続けているのかもしれない。
悪いことをしたかもな。
私は悲しく、寂しくなった。
私が彼らなら、そう思うからだ
私たちが今から決めることは
本当は最初から決まってたことなのかもしれない
私の家族がこうなるのも
私の将来がこうなるのも
全部…