夢幻劇

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            そう
あぁ、なんだ、“最初から決まっていたと”いうことか。
はっ、と自嘲する僕の声が狭い部屋に消えていった。|



そこまで打って手をとめた。
我ながら文才が無いものだ、と改めて痛感するお題だ。

いや、文才だけの問題では無い。
アイデアも、経験も、思考力もなにもかもがたりない。

動かない画面が暗くなり、変わりに醜い自分の姿が映し出された。
髪はボサボサで目元には隈、着ている部屋着はヨレヨレの、
なんとも覇気のない姿に軽く吐き気を覚えた。


―こんなはずじゃなかったのに


偶然にも今の姿が、先程まで綴っていた物語の人物と重なっていた。


これも、最初から決まっていたのかな。なんて



乾いた笑い声をもらし、僕は再び画面と向き合った。



【最初から決まっていた】

8/7/2024, 8:55:23 PM