『暗がりの中で』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『暗がりの中で』
思わず手を伸ばす。
そこには何もない。
家の中なのか、外なのか、何もわからない空間。
確か、さっきまで朝で学校へ行く準備をしてたはず。その証拠に私は制服を着ている。
しかし、この状況は好都合かもしれない。
ここなら、学校なんてものもないだろうし、何もしなくてもいいんだものね。
「疲れた。何もしたくない。」
頑張っても結果は出なくて、それが仇になって。
どれだけ逃げたいって思っても逃げられなくて。
私はずっと、この汚い本心を隠して生きていかなきゃ。
そんなの嫌だった。毎日毎日、蓄積されていくストレスを浄化できない。
けど、助けてくれる人もいた。ちょっと年上のあの人。
母が夜勤の時や家に居づらい時、家に泊めてくれるし、私に家事も教えてくれた。
勉強も何もかも、あの人がいたから頑張れたんだ。
「戻りたい……。」
ここにいるのも悪くないけど、
あの人との未来を見たいから、あの人と一緒に居たいから。
私はもっと生きるよ、辛くても。
そう思った途端、黒い霧のようなものがはれていく。
段々と周りが晴れていくような感じがして、気がつくと、
あの人の家の前だった。
お仕事から帰ってきたらしいあの人は驚いた顔をして、
「どこ行ってたの?心配したよ。」
「ごめんなさい、少し悩んでて。」
「……そっか、悩みは中で聞いたげる。」
ねえ、私はまだ生きるよ。
あなたとこれからも一緒にいるために。
暗い闇の中で
あなたが見えた
暗い闇の中で
これ以上ないくらいに光って
辺りを照らすあなたを見つけた
でも、そんなあなたが闇の中に消えてしまった
でも大丈夫
今度は私があなたを照らす
生きる意味になる
だって私の生きる意味は
誰でもない、あなただから
暗がりの中で
暗がりの中で
膝を抱えて息を潜めていた。
誰にも見つからないように、気付かれないように
生きることは窮屈で、
息をするのさえ難しい。
面白いこと楽しいことは本の刹那の時間で、
そのあとはただ、無為意味な時間が続いている。
そんな中をただ、歩いていた。
疲れてしまって、優しい暗がりの中に身を潜めて
時間が過ぎるのをただ黙って眺めていた
悪いこと、いいこと、
楽しいこと、辛いこと、
世の中に溢れる表裏一体のものたちを
その優しい闇に抱かれながら見ていた…
暗がりの中で今日も孤独
わたしはもう一度愛されたい
生涯共にする結婚相手が欲しい
ポツポツと歩いていく。
宛もなく夜の道を歩いていく。
先が全く見えない夜の暗闇のなか、ひたすら歩く。
ポツポツと歩く。
懐中電灯がみえた。どこで入手したか。
歩いていればわかるさ。
信じて歩く。見つからない。
ポツポツと歩く。
子供がいた。どこからきたのか。
わからないよ。歩くしかないよ。
ポツポツと歩く。
若者がいた。どこにいくのか。
わからない。皆が歩いているからあるくだけさ。
ポツポツと歩く。
老人がいた。
もうすぐ着くわよ。
ポツポツと歩く。
友人がいた。
約束を破るんだね。
ポツポツと歩く。
両親がいた。泣いていた。
ポツポツと。
きれいな自分の服と靴。
ポツン。
地面はもうない。
ぱちん
暗がりの中、それは恐怖の対象で、なによりも怖くて、怖くて、いきがつまる。
暗がりの中で
ひとりきみのことを想う
君に会いたい。
当然のことだが、暗い場所は見えにくい。何があるのか分からない。
だからといって、目を向けないのか。暗いからこそ、隠れている真実があるのではないか。
陽のあたる場所ばかり見て闇から目を背けず、総てを我自身の目で見、その世界の本質を知ることが、賢い脳を持った人間に大切なことではないか、と考える。
暗がりには別の世界へ行くための入口があるんだ
見つけても決して飛び込んではいけないよ
お家に帰れなくなるからね
逆に帰りたくないのなら飛び込んでみるのも一興さ
そんなちょっと怖い話。
学校にも入っていないぐらいに小さい頃に、近所にいた名前も知らない少年が言っていた事。
少し大きくなった今となっては、暗くなる前に帰りましょうという話。
少し考えればわかる事だ。
でも、帰りたくない場合も提示されているのはなんでだろう。
「そりゃお前、向こう側の住民さね。」
「むこう?」
新聞紙を読みながら、しかめっ面をしている父の言葉を待つ。
「死んでる子供が、向こうで一緒に遊ぶ相手を探しに来てるんだよ。よく言うだろ、知らない人について行っては行けませんって。」
一緒に遊んでるから、知らない人じゃない。
「警戒心なんざ、子供はすぐ消えるからな。」
暗がりには別の世界へ行くための入口があるんだ
見つけても決して飛び込んではいけないよ
お家に帰れなくなるからね
「おおかた、帰れなくなったから飛び込んだことになったんだろうさ。ガキの間は、気付いた時にちゃんと周り見て帰って来れりゃ上出来なんだよ。怪我しててもな。」
帰りたくないのなら飛び込んでみるのも一興さ
お題:暗がりの中で
暗がりの中できみを見つけた。
親が置いていったのか
その小さいからだで必死に助けを求めてた
毛布で包んであげたら少しして寝てしまった。
わたしがこの子を守らなきゃ、そう思った。
暗がりの中で
暗がりの中、携帯画面の明かりが灯る。
何やら考え込んでいて、携帯を持った手は
固まったまま動かない。
お題は『暗がりの中で』
ただいま夜中の1時過ぎ。
画面を閉じて寝ようかな。
暗がりの中で灯るテールランプ
暗がりの中光に憧れ
彷徨う。
【月明かり】
お題:暗がりの中で
そいつは太陽みたいなやつだった。毎日フラフラしているにも関わらずそいつを好きな人はたくさん居て、その場にいるだけで周りをパッと明るくするようなそんな太陽みたいなやつ。それでいて、相手に気づかせないように自然と気遣うことができるからみんな好きになってもしょうがないのだ。
その日は疲れていて、いつもなら流せるちょっとした悪戯だとか周りから言われる悪口だとかそんな事に傷ついてしまった。だから、いつもは太陽みたいに眩しいあいつが自分に優しい言葉を掛けてきたことに驚いた。ただそれだけ。それだけだけど、あの月明かりのような優しさは自分だけが知っていたいと思ってしまった。
【暗がりの中で】
手探りで何かを探す。
「違う。どこなの。」
暗闇の中、自分の声だけが響いていた。
ここは特別広い場所ではないようであった。
ただ、いくら探しても探し物は見つからず、心臓の音が大きくなっていくのを感じた。
ピタ……。
突然、何か水のようなものが足に触れたのを感じた。
先程まであったであろうか。
そう思いながらそれを辿った。
そこには微かに月明かりに照らされていた。
虚ろな目がそこにはあった。
死んでいるのか生きているのかもわからなかった。
辿っていた水は、赤く染まっていた。
そしてその水は虚ろな目の主へと繋がっていた。
「……っ……ぁ……。」
その時、声の出し方を忘れたかのように声が出せなかった。
心臓の音がさらに早まり、視界は虚ろな目から離せないでいた。
「どうして。なんで。」
突然、目の主が話し始めた。
「君が…なんで。」
何度もその言葉を聞く度に、自責の念が募っていった。
そしてまた暗がりへと視界が落ちていった。
次に目を開けた時、視界は明るかった。
「……私…のせい…。」
だが、その心に抱えたかつてのトラウマは、私を暗がりへと連れ去るのだ。
娘が死んだ。
鍵をあけて、戸をあける。
バタン、と戸が閉まる音が聞こえてから、あ、家に帰ったのかと、暗い玄関を見ながら気づいた。
片手を見たらビニールの袋を持っていて、アルミの缶が汚く擦り合っている。その音が苛立たしく、いや、気持ち悪い、という方が正しいかもしれない。
袋の中にカンカンと、軽く鳴る音が、重たく耳に届いて、意識にぶつかる。
音を振り切るように、暗い玄関を歩き、暗いキッチンを通り過ぎ、暗いリビングのソファの腰を落とした。
プシュッと、空気が抜ける音に続いて、臭うアルコールの嫌な香り。消毒液の苦手な娘なら、そんなものとっとと捨てろ!とでも言うだろうか。
生前の思い出がチラつき、それから逃れる思いで、グイッと缶を垂直に傾け、気づけば空になっていた。
頭から足の指の先まで、体がほたっているのを感じるほど、着ているネクタイまで黒いスーツに首が締められる感覚。
酸素が行き届かなくて気絶するように、目を閉じた。
全てが暗いままだった。
暗がりの中で
赤ちゃんの寝顔を見て
ほっこり癒やされました
暗がりの中で。
暗い、明るい。この表現は、物理的なものだけではなく、精神的なものにも使う。「暗がりの中で」というお題で脳をよぎったのは、洞窟を抜ける非現実的な映像と現実的に直面する状況。今回は後者の話。
暗がりの中で人がすること、出来ることというのは限られている。少ない光を頼りに行動する。おそらくそれが限界。ただ、暗がりだからこそ休まる状況もある。個人的には、嫌いではない。ただ、こと精神的なものになると別の話。
精神的に「暗がりの中で」何かをするというのは負担が大きい。少ない光の中でもがいているような状況に近いかもしれない。頼れるものが少ないのか、抜け出せる手立てが見つからないのか。いずれにせよ早く抜け出したいものである。
暗がりの中で、何を探しているのか。それは人・状況によりそれぞれ。目的は違うものの、「暗がりの中で」というように、完全に暗くはない。暗くなっていくのか、明るくなっていくのか、それはわからない。
それでも今は僅かにでも光がある状況なのは間違いない。その光を逃さず、今出来ることをやるのがベストなのでは、と私は思っている。
暗がりの中の洞窟を抜けると、新しい景色が見えるはず。雪景色が見えてくれば、それは小説の世界。
私は小さな光を見つけました。その光はとても優しくて不思議で、私は吸い寄せられるようにその光に向かっていきます。
わたしはひとりっ子で
叱られたりすると
隅っこや小部屋の片隅で
じっと小さくうずくまり
時をやり過ごしていました
その癖が抜けないのか
大人になっても
叱られると
とてつもなく虚無が襲い
やはり同じポジションで
無意識に同じポーズをとっています
私は結局
何も成長していないということか
暗闇の中、少年は一人彷徨っていた
辺りに人影はなく、ただ木々が等間隔に並んでいた。ここはどこだ?早く家に帰りたいと思いながらただひたすらに少年は歩いた。彷徨っていた場所は丘と言っても言いような低めの山だったようで、歩き始めてから数分で無事、道に出てこれた。しかし歩道がない、辺り一面道路と畑だけだ。一応家もあるが一軒も光はついておらず、只々不気味でしーんとしていた。少年は焦った、どんな道を通って来たんだっけ?何故だか急に思い出せない。かゆいところに手が届かない?そんな気分だ。あー、不安だ。怖い怖い怖い。家に帰りたい。
家に、帰りたい。そうだよ、僕は家に帰りたいんだ。
あれ?そうだ、そうだった……そういや燃えたんだった、僕の家。僕の体ごと。