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 暗闇の中、少年は一人彷徨っていた
辺りに人影はなく、ただ木々が等間隔に並んでいた。ここはどこだ?早く家に帰りたいと思いながらただひたすらに少年は歩いた。彷徨っていた場所は丘と言っても言いような低めの山だったようで、歩き始めてから数分で無事、道に出てこれた。しかし歩道がない、辺り一面道路と畑だけだ。一応家もあるが一軒も光はついておらず、只々不気味でしーんとしていた。少年は焦った、どんな道を通って来たんだっけ?何故だか急に思い出せない。かゆいところに手が届かない?そんな気分だ。あー、不安だ。怖い怖い怖い。家に帰りたい。
 家に、帰りたい。そうだよ、僕は家に帰りたいんだ。
 あれ?そうだ、そうだった……そういや燃えたんだった、僕の家。僕の体ごと。

10/28/2023, 3:36:34 PM